ぎっくり腰は「急に起きる腰痛」ではありません。見落としがちな身体のサイン
ぎっくり腰は、重い物を持ち上げた時や、物を拾おうと前かがみになった時、あるいはくしゃみをした瞬間など、何気ない動作をきっかけに突然起こることがあります。そのため、「あの動作が原因だった」「急に腰を痛めてしまった」と考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、本当にぎっくり腰は「その瞬間」に起きたのでしょうか。同じように重い物を持ち上げても、前かがみになっても、くしゃみをしても、ぎっくり腰になる人とならない人がいます。もし、その動作だけが原因なのであれば、この違いを説明することはできません。
実は、ぎっくり腰は突然起こったように見えても、その前から腰には少しずつ負担が蓄積し、身体は何らかのサインを出していた可能性があります。つまり、本当に考えるべきなのは「ぎっくり腰になった瞬間」ではなく、「なぜ、その瞬間に腰へ負担が集中する身体の状態になっていたのか」ということです。
では、ぎっくり腰が起こる前に、身体ではどのようなことが起きているのでしょうか。そして、そのサインに気づくためには、どのような視点が大切なのでしょうか。
このコラムでは、ぎっくり腰が起こる仕組みと、見落としがちな身体のサインについて解説していきます。
■ ぎっくり腰は、本当に突然起こるのでしょうか?
ぎっくり腰は、「急性腰痛症」とも呼ばれ、突然強い腰の痛みに襲われる状態を指します。実際に、重い物を持ち上げた時や、前かがみになった時、あるいはくしゃみをした瞬間などをきっかけに発症することが少なくありません。
そのため、多くの方は「その動作で腰を痛めた」と考えます。しかし、本当に原因はその瞬間だけなのでしょうか。
例えば、同じように荷物を持ち上げても、ぎっくり腰になる人とならない人がいます。また、毎日同じ仕事や家事を繰り返していても、ある日突然ぎっくり腰になることがあります。もし、その動作だけが原因なのであれば、この違いを説明することはできません。
私たちの身体は、日々の生活の中で少しずつ負担を受けています。長時間のデスクワークや立ち仕事、繰り返しの動作、睡眠不足や疲労の蓄積など、一つひとつは小さな負担でも、それが積み重なることで身体は少しずつバランスを崩していくことがあります。
そして、その状態が続いた結果、何気ない動作が最後の引き金となり、ぎっくり腰として表面化することがあります。
つまり、ぎっくり腰は「突然起こった」のではなく、それまで蓄積していた身体への負担が、その瞬間に表面化した結果と考えることもできます。
だからこそ、本当に大切なのは「どの動作でぎっくり腰になったのか」を考えることではありません。「なぜ、その動作で腰へ負担が集中する身体の状態になっていたのか」という視点で、身体全体を見ていくことが重要なのです。
■ 身体は、ぎっくり腰になる前からシグナルを出しています
ぎっくり腰になった患者様へお話を伺うと、「前日までは何ともなかった」とおっしゃる方が少なくありません。
しかし、さらに詳しくお聞きすると、「そういえば数日前から腰が重かった」「朝起きると少し腰が張っていた」「疲れると腰に違和感があった」といった変化を思い出される方が多くいらっしゃいます。
これらは、ぎっくり腰そのものではありません。しかし、身体から送られていた小さなシグナルだった可能性があります。
私たちの身体は、ある日突然壊れるようにはできていません。少しずつ負担が積み重なる中で、違和感や張り、疲れやすさなど、さまざまな形で内なる声を発しています。
ところが、仕事や家事に追われる毎日の中では、「このくらいなら大丈夫」「寝れば治るだろう」と、そのシグナルを見過ごしてしまうことも少なくありません。
そして、その状態のまま身体へ負担が蓄積し続けると、ある日、荷物を持ち上げる、前かがみになる、くしゃみをするといった何気ない動作が最後の引き金となり、ぎっくり腰として表面化することがあります。
つまり、ぎっくり腰は突然始まったのではなく、それまで身体が発していたシグナルに気づけなかった結果とも考えられるのです。
だからこそ大切なのは、「ぎっくり腰になってから何をするか」だけではありません。身体が日頃から伝えている内なる声に耳を傾け、小さな変化を見逃さないことが、ぎっくり腰を繰り返さないための第一歩になるのではないでしょうか。
■ カイロプラクティックが大切にしているのは、身体からのシグナルを読み取ることです
ぎっくり腰は、ある日突然起こったように見えても、その前から身体はさまざまなシグナルを発しています。
しかし、そのシグナルは「痛み」だけではありません。身体は、私たちが気づくよりもずっと前から、小さな変化を積み重ねながら、内なる声を発し続けています。だからこそ当院では、その小さな変化を見逃さないことを何よりも大切にしています。
例えば、身体へ触れた瞬間の皮膚の質感も、その一つです。皮膚はサラサラしているのか、それともベタついているのか。指先にキュッと吸い付くような質感なのか、あるいは乾燥して滑るような状態なのか。このようなわずかな違いも、神経系の状態を評価するための大切な情報になります。
もちろん、それだけで身体の状態を判断することはありません。筋肉の緊張は左右で違いがあるのか、熱感は認められるのか、浮腫はあるのか、関節は本来の動きを保っているのか、立っている姿勢や歩いている姿勢にはどのような変化が現れているのか。私たちは、一つひとつの小さなシグナルを丁寧に積み重ねながら、「身体は何を伝えようとしているのか」を読み解いていきます。
そのため当院では、体表温度検査・視診検査・静的触診・動的触診・レントゲン評価という5つの検査法を組み合わせ、それぞれの検査結果を総合的に評価し、サブラクセーション(根本原因)を特定しています。
レントゲン評価では骨格や椎間板の状態を確認し、体表温度検査では神経系の変化を確認します。さらに視診や触診では、皮膚の質感、筋緊張、熱感、浮腫、関節の可動性など、画像だけでは分からない身体からのシグナルを読み取っていきます。こうして、それぞれの検査結果が同じ場所を示した時、初めてサブラクセーション(根本原因)を特定することができるのです。
ぎっくり腰という強い痛みは、身体からの最後のシグナルだったのかもしれません。だからこそ、痛みが出た場所だけを見るのではなく、その前から身体が発していた内なる声に耳を傾けることが大切です。
もし何度もぎっくり腰を繰り返しているのであれば、一度ご自身の身体が発している小さなシグナルに目を向けてみませんか。
身体からのシグナルを正しく読み取り、サブラクセーション(根本原因)を評価することが、ぎっくり腰を繰り返さない身体づくりへの第一歩になると私たちは考えています。ぜひ日々の健康維持のために、カイロプラクティックケアを役立ててみてください。
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執筆者前田 一真
神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。
シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。


