2026.09.22

長年の腰痛に脚のしびれが加わったら?慢性化した身体で考えたいこと

カテゴリ: 健康通信
長年の腰痛に脚のしびれが加わったら?慢性化した身体で考えたいこと

腰痛というと、「重い物を持ったから」「長時間座っていたから」「姿勢が悪かったから」と、その日の負担に原因を求めたくなることがあります。

実際、普段より身体を使った翌日に腰が重くなったり、長時間のデスクワークのあとに腰へ張りを感じたりすることは珍しくありません。そして多くの場合、身体を休めたり、適度に動かしたりするうちに、そうした違和感は少しずつ気にならなくなっていきます。

ところが、中には数か月、数年、さらには十年以上にわたって腰痛を繰り返している方もいます。

最初は「疲れたときだけ」だった腰痛が、いつしか朝起きた瞬間から気になるようになる。以前なら一晩眠れば楽になっていたのに、休んでも腰の重さが残る。さらに状態が進むと、腰だけではなく臀部や脚にまで痛みやしびれを感じるようになることもあります。

ここで考えたいのは、単純に「腰へ負担がかかり続けたから悪くなった」ということだけではありません。

人間の身体には、日々加わる負担に合わせて動き方や筋肉の使い方を変え、環境へ適応しようとする仕組みがあります。多少同じ姿勢が続いたり、疲労が重なったりしても、そのたびに身体が動かなくなるわけではありません。関節や筋肉の働きを調整しながら、私たちは仕事をし、歩き、座り、眠り、毎日の生活を続けています。

つまり、慢性的な腰痛を考えるときには、「どれだけ腰へ負担がかかったのか」だけではなく、身体がその負担に対してどのように対応し続けてきたのかという視点も大切になります。

たとえば同じように一日中座って仕事をしていても、夕方には腰が重くなっても翌朝には気にならなくなる人もいれば、休んでも腰の張りが残り、何年も同じ症状を繰り返す人もいます。

この違いを「腰が強い人と弱い人」という言葉だけで説明するのではなく、身体が負担をどのように受け取り、どのように動きを補い、どのように回復しているのかまで視野を広げると、慢性的な腰痛の見え方は少し変わってきます。

また、腰痛が長く続いている方の中には、病院でレントゲンやMRIを受け、「椎間板がすり減っている」「年齢による変化がある」と説明された経験がある方もいるでしょう。

画像検査によって骨や椎間板の状態を確認することは、とても重要です。しかし、身体の構造と現在の身体機能は、必ずしも同じ意味ではありません。

骨や椎間板がどのような状態にあるのかという情報に加えて、腰や骨盤がどのように動いているのか、周囲の筋肉がどのように働いているのか、そしてそれらを調整している神経機能がどのような状態にあるのかまで考えることで、身体をより立体的に捉えることができます。

藤沢で慢性的な腰痛に悩んでいる方の中にも、「何年も腰痛が続いているから仕方がない」「年齢の問題だから変わらない」と考えている方がいるかもしれません。

しかし、症状が長く続いているということと、その身体についてもう考える余地がないということは同じではありません。

このコラムでは、長年続く腰痛について、腰や骨盤の構造、身体が負担へ適応する仕組み、そして慢性化した腰痛を考えるうえで大切な身体機能の視点について解説していきます。

■腰痛を考えるとき、なぜ腰だけを見ても十分ではないのでしょうか?

腰が痛くなると、どうしても意識は「腰そのもの」に向きます。腰の筋肉が硬いのではないか、腰椎に負担がかかっているのではないか、姿勢が悪いのではないか。もちろん、どれも腰痛を考えるうえで大切な視点です。

ただし、私たちが立つ、歩く、座る、身体を前へ曲げる、椅子から立ち上がるといった動作をするとき、腰椎だけが単独で動いているわけではありません。

腰椎の下には骨盤があり、その左右には股関節があります。さらに下には膝や足関節が続き、上には胸椎や頸椎がつながっています。日常動作では、これらの関節がそれぞれ少しずつ役割を分担しながら、身体全体として一つの動きをつくっています。

たとえば、床に落ちた物を拾う動作を考えてみましょう。

身体を前へ倒すときには、腰椎だけが曲がるわけではありません。股関節が曲がり、骨盤が前へ傾き、腰椎や胸椎もそれぞれ動くことで、身体全体として前屈が成立します。歩くときにも、骨盤はわずかに回旋し、左右の股関節が交互に動き、その上で体幹がバランスを取りながら前へ進みます。

つまり、腰は身体の中心にあるからこそ、周囲の関節の影響を受けやすい場所でもあります。

もし股関節の動きが十分でなければ、その不足分を腰部で補うことがあります。骨盤周辺の動きに偏りがあれば、それに合わせて腰椎や背中の動き方が変わることもあります。逆に、腰部の動きが低下すれば、股関節や胸椎など別の場所が大きく動くことで日常動作を成立させようとすることもあります。

このような働きは「身体が悪いことをしている」のではありません。

むしろ、多少どこかに動きにくさがあっても、そのたびに歩けなくなったり仕事ができなくなったりしないのは、身体に補う能力が備わっているからです。人間の身体は、一つの場所に問題が生じたとき、別の場所を使って動きを成立させようとします。

ただし、その補い方が長期間続くと、負担のかかり方に偏りが生じることがあります。

いつも同じ場所ばかりが大きく動く、特定の筋肉が緊張し続ける、左右で体重のかかり方が違う。そうした状態が日常化すると、身体の一部だけではなく、腰椎、骨盤、股関節を含めた一連の動き方そのものが変わっていく可能性があります。

腰椎には、上下の椎骨の間に椎間板があります。椎間板は衝撃を分散しながら、腰椎がさまざまな方向へ動くために重要な役割を担っています。また、椎骨の後方には椎間関節があり、腰椎の動きを案内しながら安定性にも関わっています。

さらに、骨盤の後方には仙骨と左右の腸骨によってつくられる仙腸関節があります。仙腸関節の動き自体は大きくありませんが、上半身から下半身へ力を伝える土台の一部として機能しています。

このように見ると、「腰痛」という一つの症状の背景には、腰椎だけではなく、骨盤、股関節、椎間板、関節、筋肉など、さまざまな構造が関係していることが分かります。

そしてもう一つ重要なのは、「画像に変化があること」と「現在どのように身体が機能しているか」は、まったく同じ情報ではないということです。

レントゲンやMRIは、骨や椎間板など身体の構造を確認するうえで非常に重要です。一方で、日常生活の中で腰や骨盤がどのように動いているのか、左右で動き方に違いがあるのか、どこかを別の場所で補っているのかといった機能的な情報は、また別の視点から確認する必要があります。

だからこそ、慢性的な腰痛を考えるときには、「どこが痛いのか」だけではなく、「身体全体がどのように動いているのか」という視点を持つことが大切です。

腰が痛いから腰だけを見るのではなく、腰椎、骨盤、股関節がどのように連動し、その人の身体が毎日の動作をどのように成立させているのか。そこまで視野を広げると、何年も繰り返してきた腰痛についても、これまでとは違った角度から身体を考えられるようになります。

■身体は、自分の姿勢や動きをどのように把握しているのでしょうか?

前の章では、腰椎、骨盤、股関節などが互いに連動し、一つの場所が十分に動きにくいときには別の場所でその動きを補うことがあるとお伝えしました。では、身体はどうやって「ここが動きにくいから、別の場所を少し多く動かそう」と調整しているのでしょうか。

私たちは普段、立っているだけでも身体の状態を細かく計算しているわけではありません。歩くときにも、右脚を何センチ前へ出し、骨盤をどれくらい回旋させ、どの筋肉を何%働かせるかを意識している人はいないでしょう。それでも転ばずに歩くことができ、急に段差が現れれば脚を高く上げ、滑りやすい床では自然と歩幅を小さくし、身体が傾けば反射的に姿勢を立て直します。

こうした調整を可能にしているのが、神経系を介した情報交換です。筋肉や腱、関節などには、身体の位置や動き、筋肉がどの程度伸ばされているのかといった情報を感知する仕組みがあります。こうした感覚の一つを固有感覚といい、自分の身体を直接見なくても「腕がどこにあるのか」「膝がどれくらい曲がっているのか」と感じられるのも、この情報が神経を介して脳へ伝えられているからです。

たとえば目を閉じた状態でも、自分の人差し指を鼻へ近づけることができます。暗い部屋でも、立っているのか座っているのかが分かります。脳はこうした身体の各所から送られてくる情報を受け取り、「今、身体はどのような状態にあるのか」を判断し、その状況に合わせて筋肉へ指令を送りながら姿勢や動作を調整しています。

つまり、身体の動きは脳から一方的に命令されているわけではありません。身体から脳へ情報が送られ、その情報をもとに脳から身体へ新しい指令が返される。この双方向の情報交換が絶えず繰り返されることで、私たちは環境の変化に適応しながら身体を動かしています。

慢性的な腰痛を考えるときにも、この仕組みは重要です。腰や骨盤周辺の関節の動き方が変われば、そこから脳へ送られる情報も変化します。すると身体は、その状態の中でも立ったり歩いたり仕事をしたりできるように、筋肉の使い方や別の関節の動きを調整します。これは身体に備わった適応能力です。

ところが、こうした補正が長期間続けば、その動き方自体が身体にとって「いつもの状態」になっていくことがあります。本来よりも特定の筋肉を使いやすくなったり、左右で動き方に差が生じたり、ある場所の動きを別の場所で補うことが日常化したりします。

ここで大切なのは、痛みだけを身体の状態を知る唯一の基準にしないことです。痛みは身体から発せられる重要な警告サインの一つですが、人間の身体は問題が生じた瞬間から必ず痛みを出すわけではありません。身体はまず、その環境の中で何とか適応しようとします。だからこそ、「痛みがない=身体がすべて正常に機能している」とも、「痛みが強い=そこだけに問題がある」とも単純には言い切れません。

慢性的な腰痛では、痛みを感じている場所だけでなく、身体がどのような情報を脳へ送り、それに対して脳がどのように身体を調整しているのかという神経機能の視点も重要になります。カイロプラクティックでは、こうした脳と身体との神経を介した情報交換を非常に重要視しています。

そして、前田カイロプラクティック藤沢院では、脳と身体との神経伝達を阻害している状態を「サブラクセーション(神経伝達の阻害)」と捉えています。サブラクセーションを考えるとき、単に「骨がずれているかどうか」だけを見るわけではありません。

関節がどのように動いているのか、周囲の組織にはどのような変化があるのか、神経機能に関連する所見がどのように現れているのか、そしてレントゲン上では身体の構造にどのような状態が確認できるのか。視診、静的触診、動的触診、体表温度測定、レントゲン評価など、異なる種類の情報を照らし合わせながら身体を評価していきます。

アジャストメントを行う目的も、腰痛という症状そのものを直接消すことではありません。神経伝達を阻害しているサブラクセーションを取り除くことで、脳と身体との情報交換が適切に行われる環境を整えていきます。

身体には本来、日々の負担に適応し、自ら状態を回復させようとする「治るチカラ」が備わっています。カイロプラクターが腰痛を治しているのではなく、その人自身の身体が持つ「治るチカラ」を十分に発揮できるよう、神経機能の妨げとなっているものを取り除いていくことがカイロプラクティックの役割です。

長年腰痛が続いていると、どうしても「腰のどこが悪いのか」という一か所へ意識が集中しがちです。しかし、身体は関節、筋肉、神経が別々に働いているわけではありません。それぞれから送られる情報を脳が受け取り、身体全体を絶えず調整することで、私たちは毎日の生活に適応しています。

慢性的な腰痛を身体全体から考えるということは、単に腰以外の場所も見るという意味ではありません。身体がどのような情報を受け取り、それに対してどのように適応しているのか。その中心にある神経機能まで視野を広げて考えることが、長く続く腰痛を理解するうえで大切な視点になります。

■20年間「腰痛持ち」だった男性の身体は、どのように変化したのでしょうか?

ここまで、腰痛を腰だけの問題として捉えるのではなく、腰椎・骨盤・股関節などの連動、そしてそれらを調整している神経機能まで視野を広げて考えてきました。

実際に前田カイロプラクティック藤沢院には、20年近く慢性的な腰痛を抱えていた男性が来院されました。

社会人になった頃から腰痛を感じるようになり、当初は数日休めば落ち着いていました。しかし、年月とともに腰痛は慢性化し、やがて「腰が痛いのが当たり前」という状態になっていました。さらに40代になる頃には、それまで腰だけだった症状に右脚のしびれが加わり、長時間座ることや歩くことにも影響が出るようになりました。

特につらかったのが夜間です。寝返りを打つたびに腰から右脚へ痛みが走り、そのたびに目が覚めてしまうため、十分な睡眠を取ることさえ難しくなっていました。

整形外科ではレントゲンやMRI検査を受け、腰椎の椎間板の変化について説明を受けていました。牽引療法や電気治療、薬、整体、鍼灸なども経験していましたが、一時的に腰が軽く感じても、しばらくすると再び症状が戻る状態を繰り返していました。

当院では、「20年間腰痛がある」「右脚がしびれている」という症状だけからアジャストメントを行う箇所を決めたわけではありません。視診、静的触診、動的触診、体表温度測定、レントゲン評価を組み合わせ、身体の構造と機能の両面から状態を確認しました。

その結果、骨盤部の関節の動きや周囲組織の状態、筋緊張、体表温度測定、レントゲン評価など、複数の検査で確認すべき所見がみられました。それらを照らし合わせながらサブラクセーションを見極め、必要と判断した箇所へアジャストメントを行っていきました。

ケアを継続していく中で、まず変化が現れたのは、長年悩まされていた腰痛そのものだけではありませんでした。夜間に痛みで目を覚ます回数が減り、それまで十分に取れなかった睡眠にも変化がみられるようになりました。

その後も身体の状態を確認しながらケアを継続すると、腰の状態だけでなく、右脚のしびれや歩行時のつらさ、長時間のデスクワークにも変化がみられました。長年「腰が痛いのが普通」だった本人にとって、日常生活の中で腰や右脚を意識する時間そのものが少なくなっていきました。

ここで、この症例から考えてみたいことがあります。

20年間腰痛が続いていたという事実は変わりません。レントゲンにも、長期間にわたる身体の構造的な変化が確認されていました。それでも、身体の構造に慢性的な変化があることと、「これから先も同じ症状が続くこと」は同じ意味ではありません。

この男性の身体に具体的にどのような検査所見が確認されていたのか。どこにサブラクセーションが見つかり、どのような考え方でケアを進めたのか。そして、夜も眠れなかった状態から、腰痛や右脚のしびれをほとんど意識せず生活できるようになるまで、身体はどのような経過をたどったのか。

その詳細については、実際の症例報告でご紹介しています。

▶20年間続いた慢性腰痛と右脚のしびれで夜も眠れなくなった詳しい症例報告はこちら

▶その他の腰痛・坐骨神経痛などでお悩みだった方の症例報告はこちら

▶腰痛に対する前田カイロプラクティック藤沢院のアプローチはこちら

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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。

シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。

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