2026.09.21

帰り道にはもう肩が重い。マッサージをしても繰り返す慢性肩こりの背景

カテゴリ: 健康通信
帰り道にはもう肩が重い。マッサージをしても繰り返す慢性肩こりの背景

「せっかくマッサージを受けたのに、帰る頃にはもう肩が重い。」
「週末に身体を休めても、月曜日になるとまた首や肩が張ってくる。」
「最近では、朝起きた瞬間から肩がこっている。」

肩こりがつらいとき、「硬くなった筋肉をほぐせば楽になるのではないか」と考えるのは自然なことです。実際にマッサージを受けると、それまで重かった肩が軽くなり、首も動かしやすくなったように感じることがあります。

ところが、その軽さが長く続かない人もいます。数日後に戻るのではなく、施術を受けた帰り道にはすでに肩が張り始めている。そこで再びマッサージへ行き、ストレッチをしたり、身体を温めたりしても、また同じ肩こりを繰り返してしまいます。

この状態が続けば、「自分の肩は相当硬いのだろう」「もっと強く揉んだ方がいいのではないか」と考えるかもしれません。しかし、慢性的な肩こりを理解するうえで注目したいのは、筋肉がどれだけ硬くなっているのかだけではありません。

そもそも筋肉は、ただ硬くなったり柔らかくなったりする組織ではありません。頭を支える、腕を動かす、姿勢を保つといった身体活動に合わせて収縮し、その働きは絶えず調整されています。デスクワーク中も、見た目には身体を動かしていないように見えて、首や肩の筋肉は頭や腕の位置を保つために働き続けています。

ここで興味深いのが、肩こりを感じる「タイミング」の変化です。以前は一日の仕事を終えた頃にしか感じなかった肩こりが、やがて午後から気になるようになり、さらに午前中、そして朝起きた瞬間から感じるようになることがあります。同じ肩こりでも、身体が楽に過ごせる時間が少しずつ短くなっているのです。

反対に、一日の終わりに肩が張っても、一晩眠れば翌朝には気にならなくなる人もいます。同じようにパソコンを使い、同じように首や肩へ負担がかかる生活を送っていても、翌日まで肩こりを持ち越す人と、休息によって状態が変化する人がいます。

藤沢で慢性的な肩こりに悩んでいる方の中にも、マッサージや整体、ストレッチ、ヨガ、運動、入浴、寝具の見直しなど、すでにさまざまな方法を試してきた方がいるでしょう。それぞれによって一時的に身体が楽になることはあっても、朝から肩こりを感じるほど繰り返しているのであれば、「肩をほぐす」ということとは別に考えてみたい問題があります。

それは、なぜ一度変化した筋肉が、再び緊張した状態へ戻るのかということです。

肩の筋肉は、自分の意思とは無関係に勝手に硬くなっているわけではありません。身体はそのときの姿勢や動き、外部から入ってくる情報などに応じて、必要な筋肉の働きを絶えず調整しています。そう考えると、マッサージによって一度柔らかくなった筋肉が再び緊張するという現象も、単純に「肩が硬い」という結果だけを見るのとは違った捉え方ができます。

肩こりを感じている場所と、その状態を繰り返している身体の仕組みは、必ずしも同じ問題ではありません。だからこそ慢性的な肩こりでは、つらい場所をほぐすことだけではなく、筋肉がどのように働き、その状態がどのように調整されているのかを知ることも、自分の身体を理解する手がかりになります。

このコラムでは、マッサージを受けても繰り返す慢性的な肩こりについて、筋肉が緊張したり緩んだりする身体の仕組みと、一晩休んでも肩こりを繰り返す身体を考えるうえで大切な視点について解説していきます。

■筋肉は、一度ほぐれたあとになぜ再び緊張するのでしょうか?

肩こりがつらいときに首や肩へ触れると、筋肉が張っていたり、硬く感じられたりすることがあります。マッサージや入浴などによってその感覚が和らげば、「硬かった筋肉がほぐれた」と感じることもあるでしょう。ところが、その状態が数日どころか数時間しか続かない場合、「筋肉がまた元の硬さへ戻ってしまった」と考えたくなるかもしれません。

しかし、筋肉は粘土のように、一度柔らかくすればその形を保ち続ける組織ではありません。筋肉には収縮して力を生み出すという重要な役割があり、身体が必要とする働きに応じて活動の程度を変えています。首や肩の筋肉も例外ではなく、頭を支えたり、腕を動かしたり、姿勢を保ったりするために絶えず働いています。

たとえば、椅子に座ってパソコン画面を見ているとき、首や肩を大きく動かしていなくても筋肉の活動がなくなっているわけではありません。頭の位置を保つためには頸部周辺の筋肉が働き、キーボードやマウスを操作する腕を支えるためには肩甲骨周辺の筋肉も関わります。見た目には「じっと座っている」だけでも、身体の内部では姿勢を維持するための活動が続いているのです。

また、筋肉の働き方は常に一定ではありません。姿勢を少し変える、画面へ顔を近づける、腕を伸ばして物を取る、椅子から立ち上がるといった動作のたびに、必要となる筋肉の組み合わせや活動量は変化します。私たちが日常生活を送れるのは、筋肉が単純に「硬い・柔らかい」という二つの状態を行き来しているのではなく、その瞬間に必要な力を細かく変化させているからです。

長時間のデスクワークでは、この筋肉の働き方に偏りが生じやすくなります。同じ姿勢を完全に固定しているわけではなくても、画面を見る、キーボードを操作する、マウスを動かすといった似た活動を長時間繰り返します。その結果、首や肩周辺では特定の筋肉が働く時間が長くなり、重さや張り、疲労感として自覚されることがあります。

ここで重要なのが、マッサージによって一時的に肩が軽くなったあとも、筋肉には再び働く必要があるということです。施術後に首や肩が楽になっても、歩いて駅へ向かい、電車に乗り、スマートフォンを見たり、翌日になれば再びパソコンへ向かったりします。筋肉は生活へ戻った瞬間から、そのときの身体の状態に応じた活動を再開します。

だからといって、「デスクワークをしている限り肩こりは仕方がない」ということでもありません。同じような仕事をしていても、仕事の終わりに感じた肩の張りが休息によって気にならなくなる人もいれば、翌朝まで残る人もいます。さらに慢性化すると、十分に休んだはずなのに、起床した時点ですでに肩の重さを感じることもあります。

この違いを考えるとき、「筋肉へどれだけ負担がかかったのか」だけでは十分ではありません。筋肉は必要に応じて収縮するだけでなく、動作や姿勢が変われば活動する筋肉や力の入れ方も変化します。つまり大切なのは、筋肉が緊張することそのものではなく、身体が状況に応じてその働きをどのように変化させているのかという点です。

マッサージには、そのとき感じている筋肉の張りや不快感を和らげ、リラックスするための選択肢としての役割があります。一方で、一度楽になった肩がすぐに再び重くなるのであれば、「もっと強く揉めばよい」と考えるだけではなく、なぜ身体が再びその筋肉を働かせているのかという視点を持つことも必要です。

そして、筋肉は自分自身で「今日はこれくらい緊張しよう」と判断しているわけではありません。どの筋肉を、いつ、どの程度働かせるのかという調整には、身体から入ってくる感覚情報と神経系の働きが深く関わっています。慢性的な肩こりを「硬くなった筋肉」だけの問題として見ないためには、次にこの筋肉の活動を調整している仕組みへ視点を広げる必要があります。

■筋肉は、何を基準に「力を入れる・抜く」を調整しているのでしょうか?

私たちは、重い荷物を持ち上げるときには「力を入れよう」と意識します。しかし、パソコン画面を見ている間に頭を支えたり、椅子へ座った姿勢を保ったりするときには、首や肩の筋肉へ一つひとつ指示を出しているわけではありません。それでも身体は倒れることなく姿勢を保ち、必要になればすぐに頭や腕を動かすことができます。

こうした動きを可能にしているのは、筋肉へ送られる運動の指令だけではありません。筋肉や腱、関節などからは、身体の各部がどの位置にあるのか、どのように動いているのか、筋肉がどの程度伸ばされているのかといった感覚情報が絶えず神経系へ送られています。脳や脊髄などの中枢神経系は、こうした情報を利用しながら、そのとき必要となる筋活動を調整しています。

たとえば、頭を少し前へ動かしただけでも、頭と身体との位置関係は変化します。腕をキーボードから離して伸びをしたり、椅子へ深く座り直したりすれば、今度は身体を支える条件が変わります。そのたびに私たちが「この筋肉を何%働かせよう」と考えなくても身体が対応できるのは、身体から入ってくる情報と運動の調整が絶えず繰り返されているからです。

ここで大切なのは、筋肉を「緊張させること」自体が悪いわけではないということです。姿勢を保つにも身体を動かすにも筋活動は必要ですし、状況によっては身体を守るために筋肉の活動が高まることもあります。問題を単純に「筋肉が緊張している=悪い状態」と捉えてしまうと、本来必要な身体の働きまで否定することになってしまいます。

また、「力を抜く」という状態も、身体のすべての筋肉が完全に活動を止めることではありません。立っているときも座っているときも、姿勢を保つためには一定の筋活動が必要です。重要なのは、活動する必要がある場面では必要な力を発揮し、条件が変わればそれに合わせて筋活動も変化できることです。

この視点から考えると、マッサージを受けた直後には肩が軽く感じられても、帰り道には再び重くなってしまうという現象も、「筋肉がまた勝手に硬くなった」とだけ考える必要はありません。身体が立つ、歩く、スマートフォンを見るといった活動へ戻れば、神経系はその時点で入ってくる感覚情報をもとに、再び姿勢や動きを調整していきます。

カイロプラクティックが重要視しているのも、こうした身体と脳との情報交換に関わる神経機能です。前田カイロプラクティック藤沢院では、脳と身体との神経伝達を阻害している状態を「サブラクセーション(神経伝達の阻害)」と捉えています。

そのため、慢性的な肩こりで来院された場合でも、肩の筋肉がどれだけ硬いのかだけで身体を判断することはありません。視診、静的触診、動的触診、体表温度測定、レントゲン評価など、異なる検査から得られる情報を照らし合わせながら身体を評価し、サブラクセーションを見極めていきます。肩がこっているから肩を、首が張っているから頸椎をアジャストするというように、症状の場所だけからアジャストメントを行う箇所を決めるわけではありません。

アジャストメントの目的も、硬くなった筋肉を直接柔らかくしたり、肩こりという症状そのものを取り除いたりすることではありません。必要と判断した箇所へアジャストメントを行い、サブラクセーションを取り除くことで、脳と身体との情報交換が適切に行われる環境を整えていきます。

身体には、仕事をするときには必要な筋肉を働かせ、姿勢が変われば力の配分を変え、休息するときにはその状況へ合わせて自らの状態を調整する「治るチカラ」が備わっています。カイロプラクターが肩の筋肉へ「緩みなさい」と指令を出すのではなく、その人自身の身体が必要な情報を受け取りながら、その時々の環境へ適応していけることが重要です。

慢性的な肩こりを考えるとき、「肩が硬い」という結果だけを見るのと、「なぜ身体はその筋肉をそのように働かせているのか」と考えるのとでは、身体の見え方が変わります。一度ほぐれた肩がすぐに元へ戻るという経験も、筋肉だけを切り離して見るのではなく、筋肉の活動を絶えず調整している神経機能まで視野を広げることで、違った角度から捉えることができます。

■マッサージの帰り道には肩が戻り、やがて朝から肩こりを感じるようになった30代女性の症例

今回ご紹介するのは、藤沢市にお住まいの30代女性です。大学生までは肩こりをほとんど感じていませんでしたが、マーケティング会社へ就職し、朝から夜までパソコンを使う生活が続くようになってから、徐々に首や肩の重さを感じるようになりました。

当初は仕事を終える頃に肩が重くなる程度でしたが、次第に週末になっても張りが抜けなくなりました。整体院でマッサージやストレッチを受けると、その場では身体が軽く感じられるものの、帰りの電車ではすでに肩が張り始め、また元の状態へ戻ってしまうことを繰り返していました。

ホットヨガやピラティス、身体を温めることや寝具の見直しなど、自分でできることもさまざま試しました。それでも肩こりを繰り返し、30歳を迎える頃には、仕事を始める前の朝起きた時点ですでに肩の重さを感じるようになっていました。さらに症状が強い日には、首の付け根からこめかみにかけて痛みが広がり、目の奥の重さや頭痛まで感じる状態になっていました。

そのような中、同じように肩こりと頭痛に悩んでいた同僚から紹介され、前田カイロプラクティック藤沢院へ来院されました。当院では、肩の筋肉の硬さだけを見るのではなく、頸部や骨盤部の関節の動き、筋緊張、周囲組織の状態、体表温度、レントゲン評価など、複数の検査結果を照らし合わせながら身体を評価しました。そのうえでサブラクセーションを見極め、必要と判断した箇所へアジャストメントを行っていきました。

カイロプラクティック・ケアを継続する中で、まず朝に感じていた肩の張りに変化がみられ、首も以前より動かしやすくなっていきました。その後は頭痛を感じる頻度や、デスクワーク中に肩こりを意識する時間にも変化がみられ、徐々に一日の中で肩こりを気にせず過ごせる時間が増えていきました。

この女性の場合、肩こりのきっかけとなったデスクワークそのものをやめたわけではありません。また、肩の筋肉を常に柔らかい状態に保つことを目標にしたわけでもありません。それでも、マッサージを受けた帰り道には肩が張り始め、一晩休んでも朝から肩こりを感じていた状態から、日常生活の中で肩こりをほとんど意識せず過ごせるまで身体の状態に変化がみられました。

この症例から考えたいのは、「マッサージでは肩こりに意味がない」ということではありません。実際、この女性もマッサージを受けた直後には身体の軽さを感じていました。注目したいのは、一度楽になったにもかかわらず、なぜ身体が再び肩の筋肉を緊張させ、やがて休息を取った翌朝にも肩こりを感じる状態になっていたのかという点です。

実際にこの女性の身体にはどのような検査所見が確認され、長年繰り返していた肩こりや頭痛がどのような経過をたどったのか。詳しい検査結果やケアの経過については、実際の症例報告でご紹介しています。

▶どんなにマッサージをしても治らない慢性的な肩こりの詳しい症例報告はこちら

▶その他の首・肩こりなどでお悩みだった方の症例報告はこちら

▶肩こりに対する前田カイロプラクティック藤沢院のアプローチはこちら

ご予約・お問合せはお電話またはLINEから

お電話での予約
TEL:0466-21-9624
LINEでの予約
QRコードを読み取り、トーク画面から「予約希望」とご連絡ください。
前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。

シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。

コラム一覧へ戻る
pagetop