首・背中・膝の痛みが続く?症状の場所だけでなく身体全体から考える
「首から背中にかけて痛みが続いて、パソコンの作業に集中できない。」
「膝の痛みが強くなり、歩くことや外出までつらくなってきた。」
「整体やマッサージを受けると一時的に楽になるけれど、しばらくするとまた痛みが戻ってしまう。」
このように、首や背中、膝など複数の場所に痛みがあると、「それぞれ別の問題なのだろう」と考える方も多いかもしれません。
実際、首や背中の痛みには、筋肉や関節、神経、日常生活での姿勢や身体の使い方など、さまざまな要因が関係することがあります。また、膝の痛みについても、関節の状態や炎症、これまでのけが、歩き方など、身体の状態を総合的に考える必要があります。
さらに、過去のけがや手術を経験している場合、その後の生活の中で身体の使い方が変化していることもあります。長時間のデスクワークなど、現在の生活習慣による負担が重なれば、以前から抱えていた身体の問題と現在の不調が複雑に関係している可能性もあります。
では、首や背中、膝に同時に痛みがあるとき、症状のある場所だけを見ていてよいのでしょうか。
大切なのは、「どこが痛いのか」だけではなく、「これまで身体にどのような負担がかかってきたのか」「身体をどのように動かしているのか」といった視点から、自分の身体を捉えることです。
このコラムでは、首・背中・膝など複数の場所に痛みがあるときに、症状の場所だけに注目するのではなく、過去のけがや手術、身体の動き、日常生活での負担なども含めて身体全体を考える視点について解説していきます。
■首・背中・膝の痛みは、なぜ同時に起こるのか
首や背中、膝の痛みが同時にあると、「すべて同じ原因なのではないか」と考えたくなるかもしれません。しかし、身体の痛みは必ずしも一つの原因だけで起こるとは限らず、それぞれ異なる要因が関係している場合があります。
首の痛みやこりには、長時間同じ姿勢を続けることによる筋肉への負担、関節の状態、神経の問題などが関係することがあります。特にデスクワークなどで長時間座った状態が続くと、首や肩周辺の筋肉に負担がかかり、痛みやこわばりを感じることがあります。
背中の痛みについても、筋肉や関節への負担だけでなく、身体の動かし方や姿勢、脊椎の状態など、さまざまな要素が関係します。また、痛みが強くなることで身体を動かすこと自体が減り、さらに身体の動きに変化が生じることもあります。
一方、膝の痛みには、関節の軟骨や骨の変化、炎症、外傷、繰り返し加わる負荷などが関係します。変形性膝関節症では、膝関節の軟骨がすり減るなどの変化に伴って、痛みや腫れ、動かしにくさなどがみられることがあります。膝に水がたまる場合には、関節内に炎症が起きている可能性も考えられます。
このように考えると、首・背中・膝の痛みが同時にある場合でも、それぞれの症状について必要な評価を行うことが大切です。「首が痛いから首だけ」「膝が痛いから膝だけ」と単純に考えるのではなく、それぞれにどのような状態があるのかを確認することが、身体を理解する第一歩になります。
また、痛みの場所や強さだけでは判断できないこともあります。特に、膝の腫れが強い、歩くことが難しい、痛みが長期間続いている、首や背中の痛みに吐き気など別の症状を伴うといった場合には、自己判断で済ませず、必要に応じて医療機関で状態を確認することも重要です。
身体の痛みを考えるときには、まず症状がある場所で何が起きているのかを知ること。そのうえで、次に「なぜその部位に負担がかかっているのか」という視点へ広げていくことが大切です。
■過去のけがや身体の使い方も含めて、全身の状態を考える
首や背中、膝など複数の場所に痛みがあるときは、それぞれの症状を確認するだけでなく、これまで身体にどのような負担がかかってきたのかにも目を向けることが大切です。
例えば、過去に大きなけがや手術を経験している場合、その後の生活の中で痛みを避けるために身体の動かし方が変わることがあります。股関節や膝などに動かしにくさがあれば、立つ、歩く、階段を上る、しゃがむといった日常の動作にも変化が生じることがあります。
こうした動作の変化が、必ず別の部位の痛みを引き起こすとは限りません。しかし、身体はそれぞれの部位が完全に独立して動いているわけではありません。長い期間にわたって身体の使い方が変化している場合には、全身の動きや負担のかかり方を確認することが重要になります。
また、過去のけがだけではなく、現在の生活習慣も身体の状態に影響します。例えばデスクワークで長時間座る生活が続けば、首や背中など同じ部位に負担が集中することがあります。過去のけがや手術後の身体の使い方に、現在の仕事や生活環境による負担が重なっている場合もあります。
そのため、複数の症状があるときには、「どこが痛いのか」だけではなく、「これまでどのようなけがをしてきたのか」「手術を受けたことがあるのか」「普段どのように身体を動かしているのか」といった情報も含めて身体の状態を考える必要があります。
カイロプラクティックでは、こうした身体の状態を確認するために、視診、静的触診、動的触診、体表温度検査などを行い、必要に応じてレントゲン評価も用います。前田カイロプラクティック藤沢院でも、症状のある場所だけに注目するのではなく、身体全体の状態を評価しています。
また、カイロプラクティックでは、神経機能に影響を与える可能性のある状態を「サブラクセーション」という独自の概念で捉えます。ただし、これは医学的な病名や診断名ではなく、首や背中、膝の痛みをすべてサブラクセーションだけで説明するものでもありません。
大切なのは、一つの原因に決めつけることではありません。必要な医学的評価を受けながら、過去から現在までの身体の状態や生活の中での負担を整理し、自分の身体に何が起きているのかを考えていくことです。
症状のある場所だけを見るのではなく、これまでの身体の経過や日々の使い方まで視野を広げることで、現在の不調を別の角度から捉えられることがあります。
■首・背中・膝の痛みをきっかけに、これまでの身体の負担を見直した50代女性
複数の場所に痛みがある場合、現在つらいと感じている部位だけを見ていると、その背景にある身体の変化を見落としてしまうことがあります。特に、過去に大きなけがや手術を経験している場合には、その後の身体の使い方や生活環境も含めて考えることが大切です。
神奈川県茅ケ崎市から来院された50代女性は、20代の頃にスキーで転倒し、左骨盤の骨折と左股関節脱臼を経験していました。その後、左股関節をかばいながら生活を続け、40代の頃には左股関節の人工関節手術を受けています。
50代になってからは左膝の痛みが徐々に強くなり、膝に水がたまるようになったため、整形外科で定期的に処置を受けていました。一方、社会人になってから長時間のデスクワークが増え、首から背中にかけての痛みや張りも感じるようになっていました。
首から背中の痛みは、単なるこりとして我慢できる程度ではなく、パソコン作業に集中することが難しくなるほど強くなっていました。整体やマッサージ、ストレッチなども受けていましたが、一時的に落ち着いても痛みが戻ることを繰り返していました。
初回来院時には、頚椎から背中にかけての筋肉の緊張や腰部の筋肉の緊張がみられ、左膝には腫れも確認されました。そこで、首や背中、膝といった現在症状を感じている場所だけではなく、過去のけがや手術歴、身体の動きなども含めて全身の状態を評価しました。
この女性の場合、20代の頃の外傷、左股関節の手術、その後の左膝の不調、そして現在のデスクワークなど、長い年月の中でさまざまな身体への負担が重なっていました。もちろん、これらがすべて現在の痛みの原因だと決めつけることはできません。しかし、こうした背景を知ることで、現在の身体を考えるための材料が増えていきます。
その後、首から背中の痛みや左膝の不調には変化がみられ、歩行や日常生活でも身体を動かしやすくなっていきました。現在も身体の状態を確認しながら、定期的なケアを続けています。
複数の症状があるとき、すべてを一つの原因で説明しようとする必要はありません。それぞれの症状を確認しながら、過去のけがや手術、身体の使い方、現在の生活環境なども含めて考えることで、自分の身体をより広い視点から捉えることができます。
「首が痛いから首だけ」「膝が痛いから膝だけ」と考えるのではなく、これまで身体にどのような負担がかかってきたのかを振り返ること。それが、現在の身体の状態を知るための一つのきっかけになるかもしれません。
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執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。


