2026.10.11

右脚のしびれと左膝の痛みがある?症状の場所だけでなく身体全体を考える

カテゴリ: 健康通信
右脚のしびれと左膝の痛みがある?症状の場所だけでなく身体全体を考える

「右脚のしびれや痛みが続いている」
「膝の痛みで、立ったり座ったりする動作までつらくなってきた」
「以前はできていた農作業や外出が、痛みのために思うようにできなくなった」

このように、脚のしびれや痛みと膝の不調が同時に現れると、「脚の症状は腰の問題」「膝の痛みは膝の問題」と、それぞれ別のものとして考えることが多いかもしれません。

実際、腰椎の変化によって下肢の痛みやしびれが生じることがある一方、膝の痛みには変形性膝関節症をはじめ、関節や周囲の組織などさまざまな要因が関係します。そのため、複数の症状があるときに、一つの原因ですべてを説明しようとすることはできません。

また、痛みやしびれが長く続くと、歩き方や身体の動かし方が変わり、それまでとは異なる身体への負担が生じることもあります。特に、農作業や長時間の歩行など、日常的に身体を使う生活を送っている方にとっては、症状によってできることが少なくなること自体が、新たな負担につながることもあります。

では、右脚のしびれと左膝の痛みのように、異なる場所に症状が現れている場合、身体をどのように見ていけばよいのでしょうか。

このコラムでは、脚のしびれと膝の痛みが同時にあるときに、それぞれの症状だけを見るのではなく、過去の負担や身体の動き、日常生活なども含めて身体全体を考える視点についてお伝えしていきます。

■右脚のしびれと左膝の痛みは、なぜ同時に起こるのか

脚のしびれや痛みと膝の痛みが同時にあると、「どちらも腰からきているのではないか」「膝の痛みをかばっているから脚まで痛くなったのではないか」と考えることがあるかもしれません。

しかし、下肢に現れる痛みやしびれには、腰椎や神経に関連するものだけでなく、筋肉や関節、末梢神経など、さまざまな要因が関係する可能性があります。症状が出ている場所だけから、その原因を判断することはできません。

例えば、腰椎の椎間板や脊柱管などの状態によって神経が刺激されると、腰だけでなく、お尻や脚に痛みやしびれが現れることがあります。また、腰部脊柱管狭窄症では、歩くと脚の痛みやしびれが強くなり、休むことで軽くなる「間欠性跛行」と呼ばれる症状がみられることがあります。

一方、膝の痛みには、変形性膝関節症のように膝関節そのものの変化が関係する場合があります。膝の軟骨などの状態が変化すると、立ち上がりや歩行、階段の上り下りなど、日常的な動作で痛みを感じることがあります。

つまり、「脚が痛い」という同じような訴えであっても、腰椎や神経に関連している場合と、膝関節そのものに関連している場合では、考えるべきことが異なります。

さらに、腰や脚、膝のどこかに痛みがあることで、無意識に歩き方や身体の使い方が変わることもあります。痛みを避けるために片側へ体重をかけたり、歩幅を小さくしたりすることで、これまでとは異なる部位に負担がかかることがあります。

そのため、右脚のしびれと左膝の痛みのように複数の症状がある場合には、「すべて同じ原因」と考えるのでも、「それぞれ完全に別の問題」と決めつけるのでもなく、それぞれの症状について必要な評価を行いながら、身体全体の動きや生活背景も含めて考えることが大切です。

特に、歩くことで脚の痛みやしびれが強くなったり、歩ける距離が以前より短くなったり、膝の痛みによって日常生活に支障が出ている場合には、症状を我慢し続けるのではなく、医療機関などで現在の状態を確認することも重要です。

症状が現れている場所は、身体からの大切なサインの一つです。ただ、その場所だけに注目するのではなく、「なぜ今、この症状が出ているのか」を身体全体から考えていくことが、長く続く不調を理解するための第一歩になります。

■症状がある場所だけを見ない。歩き方や身体全体の状態を考える

右脚のしびれと左膝の痛みのように、複数の場所に症状がある場合、それぞれの症状を個別に考えることも大切です。一方で、身体はそれぞれの部分が独立して動いているわけではありません。

立つ、歩く、しゃがむ、物を持つといった動作では、足や膝だけでなく、股関節や骨盤、脊椎、体幹などが連動して働いています。そのため、どこかに痛みや動かしにくさがあると、身体の動かし方が変化し、別の部位に負担がかかることがあります。

例えば、膝に痛みがあることで片側に体重をかける時間が増えたり、脚の痛みやしびれを避けるために歩幅や歩行速度が変わったりすることがあります。反対に、身体の動きに制限があることで、日常の動作の中で特定の部位に負担が集中している可能性もあります。

もちろん、こうした身体の使い方だけで、すべての痛みやしびれを説明できるわけではありません。腰椎の変化や膝関節の状態など、医学的に確認する必要がある問題もあります。だからこそ、症状の場所だけを見るのではなく、現在の身体がどのように動いているのかを確認することにも意味があります。

カイロプラクティックでは、症状がある部分だけを施術するのではなく、身体全体の状態を評価することを大切にしています。前田カイロプラクティック藤沢院でも、視診検査、体表温度検査、静的触診、動的触診、必要に応じたレントゲン評価などを組み合わせ、脊椎や骨盤、関節、筋肉などの状態を確認します。

その中で、カイロプラクティック独自の考え方である「サブラクセーション」という概念を用いて、神経機能に影響を与える可能性のある状態についても評価します。ただし、サブラクセーションは医学的な病名や診断名ではなく、腰椎すべり症や変形性膝関節症、下肢のしびれなどの原因を、それだけで説明するものではありません。

また、年齢を重ねるにつれて、農作業や家事、長時間の歩行など、これまで当たり前に行ってきた動作が身体への負担になることもあります。だからこそ、症状をなくすことだけを目的にするのではなく、「今の身体でどのような動作が負担になっているのか」「どのように身体を使っているのか」を知ることも大切です。

長く続く脚のしびれや膝の痛みがあるときは、症状のある場所だけに答えを求めるのではなく、過去のケガや生活習慣、仕事や農作業などによる負担、現在の身体の動きまで含めて見ていく。そうした視点を持つことで、自分の身体に起きている変化をより立体的に捉えられるようになります。

■右脚のしびれと左膝の痛みで、歩くことが難しくなっていた70代女性

長年、身体を使う仕事を続けていると、腰や膝など特定の部位に負担が積み重なるだけでなく、立つ・歩く・しゃがむといった日常の動作にも変化が生じることがあります。そうした変化が重なることで、複数の場所に不調を感じるようになることもあります。

藤沢市にお住まいの70代女性は、長年農作業を続けており、40代の頃には仕事中に強い腰痛を経験していました。その後も腰の重さや違和感を感じることがありましたが、日常生活や農作業を続けていました。

その後、右脚のしびれや痛みが強くなり、整形外科で腰椎すべり症と診断され、通院や服薬を続けていました。また、右脚の症状が強くなる少し前から左膝の痛みも悪化し、膝の曲げ伸ばしや自転車に乗ることが難しくなっていました。整形外科では両膝の変形性膝関節症と診断されています。

右脚の痛みやしびれによって歩く距離が限られ、左膝の痛みも加わったことで、外出や農作業など、それまでできていたことにも負担を感じるようになっていました。

前田カイロプラクティック藤沢院では、症状のある腰や膝だけを見るのではなく、立ち方や歩き方、身体の動き、筋肉や関節の状態などを含めて評価しました。さらに、必要に応じてレントゲン評価も行い、これまで身体にどのような負担が積み重なってきたのかを考える材料としました。

このように、右脚のしびれと左膝の痛みという二つの症状があっても、それぞれを別々に考えるだけではなく、日常生活での身体の使い方や長年の負担、歩行を含めた身体全体の状態を確認することが大切です。

この女性も、その後、歩行や日常生活、農作業などに変化がみられるようになりました。ただし、こうした変化を一つの要因だけで説明することはできません。身体の状態を総合的に評価し、その時点で何が起きているのかを考えていくことが重要です。

症状がある場所だけに目を向けるのではなく、「なぜ今、この症状が出ているのか」「これまでどのような負担が身体にかかってきたのか」と考えることで、自分の身体を見直すきっかけになるかもしれません。

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中島 恵

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。

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