2026.09.19

頭痛薬を飲んでもまた痛くなる。午後に繰り返す慢性頭痛と「痛み」の仕組み

カテゴリ: 健康通信
頭痛薬を飲んでもまた痛くなる。午後に繰り返す慢性頭痛と「痛み」の仕組み

「午後になると、こめかみや後頭部が締めつけられるように痛くなる。」
「頭痛薬を飲めば楽になるけれど、しばらくするとまた痛くなる。」
「朝は大丈夫なのに、仕事を続けていると決まって頭が重くなってくる。」

慢性的な頭痛を繰り返していると、痛みそのものだけではなく、「今日も午後になったら頭痛が出るのではないか」「薬を持っていないと不安だ」と、頭痛を気にしながら一日を過ごすようになることがあります。最初は週に数回だったものが、気づけば頭痛薬を持ち歩くことが当たり前になっている方もいるでしょう。

頭痛薬は、つらい痛みに対処するための大切な選択肢です。薬を使うこと自体が悪いわけではありません。しかし、薬を飲むと一時的に楽になり、時間が経つとまた痛くなるという状態を何度も繰り返していると、「薬で痛みを抑えること」と「なぜ頭痛を繰り返しているのかを考えること」は、分けて捉える必要があります。

そもそも頭痛は不思議な症状です。私たちは「頭が痛い」と感じますが、脳の組織そのものが一般的な痛みを感じているわけではありません。頭部や頸部には、血管や硬膜、筋肉、関節、神経など痛みに関係するさまざまな組織があり、そこから生じる情報が神経系を介して伝えられることで、私たちは「頭が痛い」という感覚を経験します。

さらに、痛みは身体に起きている変化を単純に映し出すだけのものでもありません。睡眠不足や精神的な緊張、長時間のデスクワーク、光や音など、そのとき身体が置かれているさまざまな条件によって、頭痛の感じ方や起こりやすさが変化することがあります。だからこそ、慢性的な頭痛を「首や肩がこっているから」「パソコンを見すぎたから」という一つの理由だけで説明するのは難しいのです。

午後になると頭痛が強くなる場合も、「午後」という時間そのものが頭痛を起こしているわけではありません。朝から仕事を続ける中で、画面を見る時間、身体活動、食事や水分、精神的な緊張など、一日の中でさまざまな条件が変化しています。午前中は問題なく過ごせても、夕方になるにつれて頭痛を感じるのであれば、その人の身体が一日を通してどのような状態へ変化しているのかを見ることも大切です。

また、頭痛薬を使う頻度が増えている場合には注意が必要です。頭痛に対する薬を頻繁に使用することで、かえって頭痛を繰り返しやすくなる「薬剤の使用過多による頭痛」が生じることもあります。頭痛薬を飲む日が以前より増えている、薬を使っても頭痛を繰り返しているという場合には、自己判断だけで服用を続けず、医療機関へ相談することも重要です。

もちろん、頭痛の中には緊急性の高いものもあります。突然これまで経験したことのない激しい頭痛が現れた場合や、手足の麻痺、言葉の出にくさ、意識の変化、発熱などを伴う場合には、慢性的な頭痛と同じものだと判断せず、速やかに医療機関で評価を受ける必要があります。

一方で、医療機関で必要な検査を受けても緊急性の高い問題は確認されず、それでも頭痛を何度も繰り返している方もいます。藤沢周辺で慢性的な頭痛に悩んでいる方の中にも、「薬を飲めば仕事はできるから」と対処を続けながら、なぜ自分はこれほど頭痛を繰り返すのだろうと感じている方がいるかもしれません。

痛みは、ただ邪魔な感覚として身体から切り離せるものではありません。身体の状態を神経系がどのように受け取り、どのように痛みとして認識しているのか。その仕組みを知ることは、薬で痛みを抑えることとは別の角度から、自分の慢性的な頭痛を理解する手がかりになります。

このコラムでは、頭痛薬が手放せなくなるほど繰り返す慢性的な頭痛について、私たちが「頭が痛い」と感じる仕組みと、午後になると繰り返す頭痛を身体全体から考えるうえで大切な視点について解説していきます。

■「頭が痛い」という感覚は、身体のどこから生まれているのでしょうか?

頭痛が起こると、私たちは当然のように「頭が痛い」と感じます。しかし、頭痛について理解するうえで最初に知っておきたいのは、脳の組織そのものには一般的な痛みを感じる痛覚受容器がないということです。頭部には、脳を覆う硬膜や血管、頭部や頸部の筋肉や関節、神経など、痛みに関係するさまざまな組織があります。

こうした組織に存在する感覚受容器が刺激を受けると、その情報は神経を介して中枢神経系へ伝えられます。そして脳がその情報を処理することで、私たちは最終的に「痛い」という感覚を経験します。つまり痛みとは、身体のどこかからそのまま「痛み」というものが脳へ運ばれてくるのではなく、身体から届いた情報を神経系が処理した結果として生じる感覚です。

頭痛にはさまざまな種類があります。頭痛そのものが主な問題となる一次性頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがあり、それぞれ関係する仕組みや症状の特徴は異なります。一方、ほかの病気や身体の異常に伴って生じるものは二次性頭痛と呼ばれます。そのため、「頭が痛い」という一つの症状だけから、身体の中で起きていることをすべて同じ仕組みで説明することはできません。

たとえば緊張型頭痛では、頭の両側や後頭部などに締めつけられるような痛みや圧迫感を感じることがあり、首や肩のこわばりを伴うこともあります。片頭痛では、ズキズキと脈打つような痛みだけではなく、吐き気や光・音への過敏などを伴う場合があります。同じ「頭痛」という言葉を使っていても、痛みの性質や現れ方は大きく異なるのです。

また、痛みの強さは必ずしも組織へ加わっている負担の大きさだけで決まるわけではありません。痛みは身体を守るために重要な警告サインですが、神経系による情報処理には、そのとき身体が置かれているさまざまな状況も関係します。睡眠不足や精神的な緊張などによって、普段ならそれほど気にならない刺激を強く感じることもあります。

慢性的な頭痛を考えるうえでは、この「時間」という要素も重要です。一日の中でも身体の状態は一定ではありません。朝からパソコン画面を見続け、仕事へ集中し、食事や休憩を挟みながら時間が経過すれば、視覚から入る刺激や頸部周辺の筋活動、精神的な緊張、疲労感なども変化していきます。午後になると頭痛を感じやすい人では、単純に「午後だから痛い」のではなく、一日を過ごす中で変化してきた複数の条件が関係している可能性があります。

そのため、「デスクワークをすると頭痛になる」「首がこっているから頭痛が起こる」と単純に結びつけることには注意が必要です。長時間のパソコン作業や首・肩周辺の負担が頭痛に関係する場合はありますが、それだけですべての慢性頭痛を説明できるわけではありません。同じ人であっても、よく眠れた日と睡眠不足の日、仕事へ余裕を持って取り組める日と強い緊張が続く日では、頭痛の現れ方が異なることがあります。

そして、頭痛薬が作用するのも、この痛みに関係する生理学的な過程です。鎮痛薬には種類によって異なる作用がありますが、痛みに関係する物質の産生などを抑えることで、つらい頭痛を軽減するために役立つものがあります。ただし、薬によって痛みが軽くなったことと、その人がなぜ繰り返し頭痛を経験しているのかが明らかになったことは、同じ意味ではありません。

さらに、頭痛薬を使用する日数が増えている場合には、「薬剤の使用過多による頭痛」にも注意が必要です。頭痛を抑えるために使っている薬が、使用状況によっては頭痛を慢性化させる要因になることがあるためです。薬を飲む回数が以前より増えた、薬が効きにくくなったように感じる、ほぼ毎日のように頭痛があるという場合には、自己判断だけで薬を増減せず、医療機関へ相談することが重要です。

慢性的な頭痛では、痛みを感じるたびに「どこが悪いのだろう」と考えたくなるかもしれません。しかし、痛みは単に一つの場所の異常を知らせるだけの単純な仕組みではありません。身体からどのような情報が送られ、それを神経系がどのように受け取り、そのときの身体の状態に応じてどのように処理しているのかまで含めて考えることで、慢性的な頭痛を見る視点は大きく変わります。

では、身体から送られてくる情報を受け取り続けている神経系は、一日の仕事や睡眠、精神的な緊張といった変化にどのように対応しているのでしょうか。次の章では、頭痛を単なる「頭の問題」としてではなく、身体と脳との情報交換という視点から考えていきます。

■同じ身体でも、なぜ頭痛を強く感じる日と感じない日があるのでしょうか?

慢性的な頭痛を経験している方でも、一日中まったく同じ強さで痛み続けているとは限りません。朝はほとんど気にならなかったのに午後になると頭が重くなる日もあれば、忙しい一日を過ごしても比較的楽な日もあります。天候や睡眠、仕事の忙しさなどによって頭痛の現れ方が変わると、「結局、何が原因なのだろう」と分からなくなることもあるでしょう。

しかし、身体そのものも一日の中で同じ状態を保っているわけではありません。仕事へ集中しているとき、食事をしているとき、身体を動かしているとき、眠っているときでは、筋肉の活動や呼吸、循環、自律神経の働きなども変化しています。身体は外部環境やその時々の活動に合わせて、自らの状態を絶えず調整しながら生活しています。

痛みについても、身体から入ってきた一つの刺激だけで機械的に強さが決まるわけではありません。神経系は身体から送られてくる情報だけでなく、そのときの身体の状態や周囲の状況など、さまざまな情報を統合しています。そのため、同じ人であっても睡眠が十分に取れている日と不足している日、心身に余裕がある日と強い緊張が続いている日では、痛みの感じ方が変化することがあります。

これは「頭痛は気の持ちよう」という意味ではありません。痛みは本人が実際に経験している感覚であり、身体を守るための重要な警告サインです。大切なのは、痛みの強さと身体の一か所に生じた変化が、常に一対一で対応しているわけではないということです。

慢性的な頭痛では、この仕組みを理解することが特に重要になります。頭痛が繰り返されるたびに首や肩を揉んだり、痛み止めを使ったりすることで楽になる場合はありますが、それだけでは「なぜ今日は頭痛を強く感じ、別の日にはそれほど感じないのか」という違いまでは説明できません。頭痛が出た瞬間だけではなく、その人の身体が一日を通してどのような状態にあったのかという視点も必要になります。

こうした身体の状態を調整するうえで重要な役割を担っているのが神経系です。身体の各部から送られてくる情報は神経を介して脳へ伝えられ、脳はその情報を受け取りながら身体の状態を把握しています。そして、その状況に応じた指令が再び身体へ送られることで、私たちは変化する環境に対応しています。

カイロプラクティックでは、この脳と身体との情報交換に関わる神経機能を重要視しています。前田カイロプラクティック藤沢院では、脳と身体との神経伝達を阻害している状態を「サブラクセーション(神経伝達の阻害)」と捉えています。

そのため、慢性的な頭痛があるからといって、「首が硬いからほぐせばよい」「頭痛があるから頭だけを確認すればよい」とは考えません。当院では、視診、静的触診、動的触診、体表温度測定、レントゲン評価など、異なる検査から得られる情報を照らし合わせながら身体を評価し、サブラクセーションを見極めていきます。

アジャストメントの目的も、頭痛という感覚を直接消したり、頭痛薬の代わりをしたりすることではありません。サブラクセーションを取り除くことで、脳と身体との情報交換が適切に行われる環境を整え、その人自身の身体が現在の状態を把握し、日々変化する環境へ適応できる状態を目指します。

人間の身体には、仕事中には必要な活動状態へ変化し、仕事が終われば休息し、眠っている間には翌日に向けて身体の状態を整えるなど、環境に応じて自らを調整する「治るチカラ」が備わっています。カイロプラクターが頭痛そのものを治すのではなく、その人自身が持っている力を十分に発揮できる環境を整えることが、カイロプラクティックの大切な役割です。

頭痛薬によって痛みを抑えることが必要な場面と、身体がどのような状態にあるのかを評価することは、どちらか一方を否定する関係ではありません。頭痛薬が必要になるほど慢性的な頭痛を繰り返しているからこそ、痛みが出た瞬間だけではなく、身体と脳との情報交換や、その人が日々の変化へどのように対応しているのかという視点から身体を見ることも大切です。

■午後になると頭痛が強くなり、頭痛薬が手放せなくなっていた30代女性の症例

今回ご紹介するのは、大和市にお住まいの30代女性です。広告・企画系の仕事をしており、パソコンやスマートフォンを一日中使用する生活を送っていました。数年前から頭痛を感じるようになり、仕事を続けていると次第に頭の奥が重くなり、こめかみや後頭部を締めつけられるような痛みが現れていました。

当初は「仕事で疲れているだけだろう」と考え、市販の鎮痛薬を使いながら仕事を続けていました。しかし、週に数回だった頭痛は次第にほぼ毎日のように現れるようになり、症状が強い日には目の奥の痛みや吐き気を感じることもありました。特に午後から夕方にかけて頭痛が強くなり、仕事への集中にも影響が出ていました。

病院ではCTやMRIによる検査を受け、脳に異常は確認されず、緊張型頭痛と説明されて消炎鎮痛薬が処方されました。薬を服用すると一時的には楽になるものの、時間が経つと再び頭痛を感じていました。リラクゼーションやマッサージ、ヨガ、ストレッチなども試しましたが頭痛を繰り返し、夜には寝つきの悪さも感じるようになっていました。

そのような状態が続く中、同じように頭痛で悩んでいた職場の先輩から紹介され、前田カイロプラクティック藤沢院へ来院されました。当院では頭痛という症状だけで判断するのではなく、頸部の筋緊張や関節の動き、体表温度、骨盤部の状態、レントゲン評価など、複数の検査結果を照らし合わせながら身体を評価しました。そのうえでサブラクセーションを見極め、必要と判断した箇所へアジャストメントを行っていきました。

カイロプラクティック・ケアを継続する中で、午後に感じていた頭の重さや目の奥の痛みに変化がみられ、仕事中に頭痛薬を使わずに過ごせる時間も増えていきました。その後は頭痛を感じる頻度にも変化がみられ、夕方まで仕事へ集中できるようになり、睡眠や首・肩のこわばりにも変化がみられました。

この女性の場合、パソコンやスマートフォンを使用する仕事そのものがなくなったわけではありません。それでも、ほぼ毎日のように頭痛を繰り返し、頭痛薬を使いながら仕事をしていた状態から、頭痛を気にせず一日を過ごせるまで身体の状態に変化がみられました。

慢性的な頭痛では、「首や肩がこっているから」「デスクワークだから」「薬を飲めば楽になるから」と、一つの要素だけへ意識が向きやすくなります。しかし今回の症例は、頭痛が現れた瞬間だけではなく、その人の身体がどのような状態にあるのかを複数の検査から評価することの重要性を考える一例です。

実際にどのような検査所見が確認され、頭痛薬が手放せない状態からどのような経過をたどったのか。さらに、頭痛だけではなく睡眠や日常生活にどのような変化がみられたのかについては、実際の症例報告で詳しくご紹介しています。

▶頭痛薬が手放せなくなった慢性的な頭痛の詳しい症例報告はこちら

▶その他の頭痛・顔・耳などでお悩みだった方の症例報告はこちら

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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。

シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。

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