2026.09.18

スノボで首を痛めたら?転倒後の頸部痛と長年の違和感を考える

カテゴリ: 健康通信
スノボで首を痛めたら?転倒後の頸部痛と長年の違和感を考える

「スノーボードで転倒してから、首の痛みがなかなか取れない」
「以前から首に違和感があったけれど、転倒をきっかけに痛みが強くなった」
「サーフィンやスノーボードなどのスポーツを続けたいのに、首や腰の不安が気になってしまう」

このような経験は、スポーツを日常的に楽しんでいる方にとって決して他人事ではありません。

スノーボードでは、転倒した際に身体へ大きな衝撃が加わることがあります。特に首を強く打ったり、身体が予想外の方向へ動いたりすると、直後はそれほど気にならなくても、時間が経ってから痛みや動かしにくさが強くなることもあります。

また、今回のように「転倒する前から首に違和感があった」という場合には、転倒だけを原因として考えてよいのか、という疑問も生まれます。普段は何となく感じている程度だった違和感が、強い衝撃をきっかけに一気に表面化することもあるためです。

さらに、首の問題を抱えている方の中には、腰や肩などにも以前から違和感や疲労感を抱えているケースがあります。デスクワークや立ち仕事などの日常生活による負担と、サーフィンやスノーボードのようなスポーツによる負荷は別々のものに見えますが、実際には一つの身体の中でつながっています。

では、スノーボードでの転倒によって首に痛みが出たとき、単純に「転倒したから首が痛くなった」と考えるだけでよいのでしょうか。転倒する以前から存在していた首の違和感や、長年の腰の重だるさには、どのような意味があるのでしょうか。

スポーツを楽しむためには、痛みが出た場所だけを見るのではなく、普段から身体にどのような負担がかかっているのか、そしてその負担に身体がどのように対応しているのかを考えることも大切です。

今回のコラムでは、スノーボードの転倒をきっかけに悪化した頸部痛の症例をもとに、スポーツによる外傷と、それ以前から積み重なっていた身体の負担との関係、そして首や腰だけにとらわれず身体全体を見ていくことの意味についてお伝えしていきます。

■ スノーボードで首を痛めるのはなぜ?転倒で頸部にかかる負担と痛みの仕組み

スノーボードでは、滑走中にバランスを崩して転倒することがあります。特にスピードが出ている状態で転倒したり、身体をひねりながら地面に衝突したりすると、首にも普段とは異なる大きな負担がかかります。

首は、頭部を支えながらさまざまな方向へ動かすことができる一方で、急激な動きや衝撃にさらされると、周囲の筋肉や靭帯などに負担が生じることがあります。転倒した瞬間に首が前後へ大きく動いたり、身体と頭の動きが異なる方向へ向かったりすると、頸椎周囲の組織に急激な力が加わることがあります。

こうした外力によって、筋肉や靭帯などの軟部組織に負担がかかると、直後から痛みが出るとは限りません。転倒した直後は興奮状態にあったり、スポーツを続けていることで痛みに気づきにくかったりすることもあります。そのため、「転んだときはそれほど痛くなかったのに、時間が経ってから首が痛くなってきた」ということもあります。

また、痛みが出ると身体は無意識にその部分を守ろうとします。首を動かすことで痛みが強くなる場合には、周囲の筋肉が緊張して動きを制限することがあります。これは、負担のかかった部分をさらに動かさないようにする身体の防御反応の一つです。

その結果、首を動かしにくくなったり、振り向くと痛みを感じたり、肩や背中まで張っているように感じたりすることがあります。スポーツを続けている場合には、首をかばった状態で身体を動かすことで、別の部位にも負担を感じることがあります。

特にスノーボードのように、転倒だけでなく、滑走中に何度も身体をひねったり、バランスを取り続けたりするスポーツでは、一度の大きな衝撃だけではなく、その後の動作も含めて身体への負担を考える必要があります。

さらに、転倒する以前から首に違和感や張りを感じていた場合には、「今回の転倒だけがすべての原因」とは限らないこともあります。もともと首や肩に負担を感じていたところへ、転倒による急激な外力が加わることで、それまで気になっていた違和感が強く感じられるようになることも考えられます。

一方で、同じような転倒をしても、強い症状が出る人もいれば、ほとんど気にならない人もいます。また、同じようにスポーツを続けていても、身体の状態によって負担の感じ方は異なります。

では、なぜ同じような衝撃や運動でも、人によってその後の痛みや違和感に違いが生まれるのでしょうか。

その背景を考えるためには、「どれくらい強い衝撃が加わったのか」だけではなく、転倒する以前から身体がどのような状態にあり、日常生活やスポーツによる負担に対してどのように適応していたのかという視点も必要になります。

なお、転倒後の首の痛みが強い場合や時間とともに悪化している場合、手足のしびれ・力が入りにくいなどの神経症状がある場合、強い頭痛やめまい、意識を失った、歩きにくいなどの症状を伴う場合には、単なる筋肉の張りと自己判断せず、医療機関で適切な評価を受けることが大切です。

スポーツによる転倒は、身体に一時的な負担を与えるだけでなく、それまで積み重なっていた身体の状態を表面化させるきっかけになることもあります。だからこそ、外傷そのものだけを見るのではなく、「その人の身体がこれまでどのような負担を受け、どのように対応してきたのか」という視点が重要になります。

■ 同じ転倒でも痛み方が違うのはなぜ?身体の「適応」と神経の働きに目を向ける

スノーボードで転倒した場合、首にどのような力が加わったのかを考えることはもちろん重要です。しかし、それだけでは「なぜこの人は強く症状を感じるのか」「なぜ以前からあった違和感が、転倒をきっかけに大きくなったのか」という疑問には十分に答えられないことがあります。

私たちの身体は、日常生活の中で常にさまざまな刺激を受けています。長時間のデスクワーク、立ち仕事、運動、睡眠不足、同じ姿勢の繰り返しなど、その内容は人によって異なります。

そして身体は、そうした環境にただ耐えているわけではありません。姿勢を調整したり、筋肉の働きを変えたり、動作の仕方を変えたりしながら、その時々の環境に適応しています。

ここで重要になるのが、神経の働きです。

身体の各部位には、筋肉や関節、皮膚などを通して、自分の身体が今どのような状態にあるのかという情報が存在しています。それらの情報は神経を介して脳へ伝えられ、脳は受け取った情報をもとに、姿勢や筋肉の働き、動き方などを調整しています。

たとえば、足元が不安定な場所を歩くとき、私たちは意識していなくても身体を細かく調整しています。スポーツでも同じで、スピードや地面の状態、身体の向きなどに応じて、姿勢や筋肉の使い方を瞬間的に変えています。

つまり、身体は「負担を受ける側」であると同時に、「その負担に対応する側」でもあります。

そのため、同じような動作や転倒を経験したとしても、身体がどのような状態にあり、そこからどのように情報を受け取り、動きを調整できているかによって、感じ方やその後の経過が異なることがあります。

これは、「身体の状態が悪かったから痛くなった」という単純な話ではありません。

むしろ、長い時間をかけて身体が環境に適応してきた結果として、本人には気づきにくい動きの癖や負担の偏りが生まれていることがあります。そこへ普段とは異なる大きな外力が加わることで、それまで身体が何とか対応していた部分に変化が生じ、違和感や痛みとして自覚されることもあります。

今回のように、転倒する以前から首に「何か詰まっているような感じ」があり、伸ばしたくなることがあった場合も、単純に「転倒によって首を痛めた」とだけ考えるのではなく、その前から身体がどのような状態にあったのかを見ることには意味があります。

また、首だけに注目すると見落としてしまうことがあります。

身体はそれぞれの部位が独立して動いているわけではありません。頭部や頸部の動きには、胸郭や肩、背中、骨盤、下肢など、さまざまな部位の動きが関係しています。スポーツでは特に、全身を連動させてバランスを保ちながら動く必要があります。

そのため、ある場所に違和感があるからといって、必ずしもその場所だけに原因があるとは限りません。少なくとも、身体全体がどのように動き、どのように環境へ対応しているのかを確認することで、症状のある場所だけでは見えにくかった身体の状態が見えてくることがあります。

こうした考え方は、カイロプラクティックが身体を見る際にも関係しています。

カイロプラクティックでは、「サブラクセーション」という概念を用いることがあります。当院では、これを神経伝達の阻害につながる身体の状態として捉えています。これは一般医学で確立された診断名ではなく、カイロプラクティック独自の考え方です。

当院では、痛みのある場所だけを追いかけるのではなく、身体から脳へ伝わる情報と、脳から身体へ送られる指令が適切に行われているかという視点から身体を評価します。

そして、必要な部位にアジャストメントを行い、神経の働きを妨げていると考えられる要素にアプローチします。目的は、痛みそのものを直接取り除くことではありません。身体が本来持っている情報のやり取りや環境への適応が行いやすい状態を整え、「治るチカラ」が働きやすい環境をつくることを大切にしています。

だからこそ、スポーツによる外傷を考えるときも、「どこが痛いのか」だけで終わらせないことが重要だと当院では考えています。

転倒という出来事は突然起こります。しかし、その瞬間だけが身体の状態をつくっているわけではありません。そこに至るまでの日常生活やスポーツ活動、身体の使い方、そしてこれまで身体がどのように環境へ適応してきたのかという積み重ねがあります。

では、実際に、転倒による頸部の痛みをきっかけにケアを始めた方の身体には、どのような変化があったのでしょうか。

次の章では、スノーボードでの転倒による首の痛みだけでなく、それ以前から抱えていた首や腰の違和感にも変化が見られた、40代男性の実際の症例をご紹介します。

■ スノーボードの転倒後、首の痛みと長年の違和感に変化が見られた40代男性の症例

今回ご紹介するのは、神奈川県横須賀市から来院された40代男性のケースです。

普段から非常に活動的な方で、冬になると毎年何度もスノーボードへ出かけ、夏場はサーフィンを週に何度も楽しんでいました。仕事ではデスクワークや立ち仕事もあり、身体を動かすことと日常生活の両方で、身体には継続的な負担がかかっていたと考えられます。

実は、スノーボードで転倒する以前から、首には「何かが詰まっているような感じ」があり、時々首を伸ばしたくなることがありました。

ただし、日常生活ができないほどの痛みではありませんでした。そのため、ご本人も特別なケアを受けることはなく、気になったときに自分でストレッチをしたり、休んだりしながら過ごしていました。

また、中学生の頃には腰を痛めた経験があり、それ以来、長時間のデスクワークや立ち仕事をすると、腰に重さや疲労感を感じることもありました。

つまり、今回の転倒が起こる前から、首や腰には長い年月の中で感じていた違和感があったことになります。

そんな中、スノーボード中に転倒して首を痛めました。

転倒直後は滑走を続けていましたが、時間が経つにつれて首の痛みが強くなり、最終的にはスノーボードを続けることが難しくなりました。その後も首を動かしにくい状態が続き、日常生活の動作にも不安を感じるようになっていきました。

特に、ご本人にとって大きかったのは、「またスポーツができなくなるのではないか」という不安でした。

もともと身体を動かすことが好きで、スノーボードやサーフィンを生活の一部として楽しんでいたからこそ、単に首の痛みを軽くしたいというだけではなく、「これからも好きなスポーツを続けられる身体に戻していきたい」という思いがありました。

そこで、目の前の痛みだけに対処するのではなく、身体を一から見直していきたいと考え、ケアを受けることを決められました。

以前、学生時代に一度カイロプラクティックを受けた経験があり、そのときの印象も良かったそうです。また、塩川満章D.C.の動画などを通じて、症状のある場所だけではなく神経の働きにも目を向けるカイロプラクティックの考え方に興味を持ち、専門的に評価してもらえるところを探して当院を見つけられました。

初回来院時には、首の動作による痛みに加えて、身体の動きや状態を確認する中で、骨盤周囲や頸部などにも左右差や緊張が見られました。体表温度測定や視診、静的・動的触診、必要に応じたレントゲン評価などを行い、現在の身体の状態を確認したうえでケアを開始しました。

当初は週3回程度の集中的なケアを提案しましたが、仕事との兼ね合いもあり、実際には週2回のペースからスタートしました。

ケアを継続する中で、まず大きな変化として感じられたのが、転倒によって強くなっていた首の痛みでした。

2回目のケアを終えた頃には、転倒後に感じていた首の痛みが大きく軽減し、首を動かしたときの可動性にも変化が見られました。それまで日常生活の動作一つひとつに感じていた不安も少しずつ和らいでいきました。

さらにケアを続けていくと、今回の転倒とは直接関係がないと思っていた、長年の腰の違和感にも変化を感じるようになりました。

4回目の頃には、中学生の頃から続いていた腰の重さや疲労感が以前ほど気にならなくなり、長時間のデスクワークや立ち仕事をした後の身体の負担も軽く感じられるようになりました。また、ご本人自身が姿勢の変化にも気づくようになりました。

その後も身体の状態を整えていく中で、以前からあった首の「詰まっているような感じ」も、ほとんど気にならない状態になっていきました。肩周辺の張りも和らぎ、身体を動かすことに対する恐怖感も少しずつ減っていきました。

ここで大切なのは、今回のケースが「首を痛めたから首だけをケアした」という経過ではなかったことです。

転倒によって強くなった症状をきっかけとして身体全体の状態を見直したことで、ご本人が以前から抱えていた別の違和感にも変化を感じるようになりました。

そして、さらに印象的だったのが、その後のスポーツへの向き合い方です。

ケアを継続する中で、運動後の身体の回復が以前より早く感じられるようになり、サーフィンをした後にも首や腰に過度な負担を感じにくくなっていきました。

「また痛くなるかもしれない」という不安から身体を動かすことをためらうのではなく、少しずつ自分の身体を信頼しながら、好きなスポーツを楽しめるようになっていったのです。

現在も大きな症状の再発なく、日常生活とスポーツの両方を楽しみながら、身体の状態を維持するためのケアを継続されています。

このケースから考えられるのは、スポーツによる外傷は、その瞬間に受けた衝撃だけを見て終わるものではないということです。

今回の転倒は、もともとあった首の違和感や長年の腰の負担を含め、ご本人がこれまで気づいていなかった身体の状態を見直すきっかけにもなりました。

もちろん、一つの症例で得られた経過をすべての方に当てはめることはできません。しかし、「痛い場所だけを見る」のではなく、その人がこれまでどのような生活を送り、どのようなスポーツを続け、身体がどのように負担へ対応してきたのかまで考えることには意味があります。

スポーツを長く楽しむためには、痛みが出てから対処するだけではなく、日頃から身体の状態に目を向けておくことも大切です。

「まだ我慢できるから大丈夫」と思っていた小さな違和感が、今回のように大きな出来事をきっかけとして気になる症状になることもあります。

好きなスポーツをこれからも楽しみたいからこそ、症状が出た部分だけではなく、自分の身体全体がどのような状態にあるのかを知っておく。

それが、長くスポーツと付き合っていくための身体づくりを考える一つのきっかけになるのではないでしょうか。

▶スノボでの転倒を機に悪化した頸部の痛みと長年抱えてきた違和感の詳しい症例報告はこちら

▶その他の外傷・スポーツ外傷・上肢下肢の症状でお悩みだった方の症例報告はこちら

▶頸椎捻挫(むちうち)に対する前田カイロプラクティック藤沢院のアプローチはこちら

ご予約・お問合せはお電話またはLINEから

お電話での予約
TEL:0466-21-9624
LINEでの予約
QRコードを読み取り、トーク画面から「予約希望」とご連絡ください。
中島 恵

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。

コラム一覧へ戻る
pagetop