2026.06.21

背筋を伸ばしても猫背が戻るのはなぜ?身体が姿勢を選ぶ理由とは

背筋を伸ばしても猫背が戻るのはなぜ?身体が姿勢を選ぶ理由とは

「背筋を伸ばしなさい。」

子どもの頃から、このように言われ続けてきた方は多いのではないでしょうか。

猫背になると、見た目が悪くなるだけでなく、肩こりや首こり、頭痛の原因になると言われることも少なくありません。そのため、「猫背は悪い姿勢だから、意識して背筋を伸ばさなければならない」と考えている方も多いでしょう。

しかし、実際には意識して姿勢を正しても、しばらくすると元の猫背へ戻ってしまうという経験はありませんか。それどころか、無理に胸を張ることで、かえって疲れや首・肩の張りを感じてしまう方もいらっしゃいます。

もし猫背が単なる姿勢の癖であれば、意識するだけで改善できるはずです。それでも元に戻ってしまうということは、身体が現在の姿勢を選ばなければならない理由があるのかもしれません。つまり、猫背は「原因」ではなく、身体がバランスを保つために選択した「結果」である可能性も考えられるのです。

では、なぜ身体は猫背という姿勢を選ぶのでしょうか。また、見た目が猫背に見える人は、本当に骨格まで猫背になっているのでしょうか。

今回のコラムでは、「猫背は悪い姿勢」という一般的な考え方とは少し違う視点から、身体が姿勢を選ぶ仕組みについて解説していきます。

■ 猫背は「悪い姿勢」ではなく、身体が選んだ姿勢かもしれません

猫背というと、「姿勢が悪い状態」というイメージを持たれる方が多いかもしれません。もちろん、猫背の状態が続くことで首や肩、腰へ負担がかかることはあります。しかし、それだけで「猫背が原因」と考えてしまうと、本当に大切なことを見落としてしまう可能性があります。

私たちの身体は、常に重力の影響を受けながら生活しています。そのため、脳は神経を介して筋肉や関節から送られてくる情報を絶えず受け取り、「どうすれば最も安定して立ち続けられるのか」「どうすれば頭を支え続けられるのか」を瞬時に判断しながら姿勢をコントロールしています。

例えば、寒いときに自然と身体を丸めたり、お腹が痛いと前かがみになったりするのは、自分の意思というよりも、身体がその状況へ適応しようとする防御反応です。猫背もこれと同じように、身体が現在の状態で最も安定すると判断した結果として現れていることがあります。

つまり、猫背は身体が怠けている姿勢ではありません。身体のどこかに負担があるために、その負担をできるだけ少なくしようと適応した結果として現れている姿勢なのです。

だからこそ、意識して背筋を伸ばしても長続きしないことがあります。身体が「その姿勢では安定しない」と判断している限り、無意識のうちに元の姿勢へ戻ろうとするからです。

では、身体は何を基準に「この姿勢が一番安定している」と判断しているのでしょうか。その鍵となるのが、頭の重さを支えるための骨盤と背骨のバランスです。

■ 猫背に見えても、本当に「猫背」とは限りません

人間の頭の重さは、成人で約4〜6kgあるといわれています。これはボウリングの球ほどの重さに相当し、私たちはその重い頭を一日中支えながら生活しています。

本来であれば、骨盤という土台の上に背骨が積み重なり、その延長線上で頭を効率よく支えることができます。しかし、骨盤や背骨のバランスが変化すると、頭をそのまま支え続けることが難しくなります。すると身体は倒れないように重心を調整しながら、頭の位置を保とうとします。

その結果として現れる姿勢の一つが、一般的に「猫背」と呼ばれる姿勢です。

つまり、身体は猫背になりたくてなっているわけではありません。頭を支え、重力の中でバランスを保つために、その姿勢を選択していると考えられます。だからこそ、意識して胸を張ったり背筋を伸ばしたりしても、身体が安定しなければ無意識のうちに元の姿勢へ戻ってしまうのです。

さらに興味深いことに、見た目では猫背に見える方でも、レントゲン評価を行うと、一般的にイメージされる「背中が大きく丸くなった猫背」とは異なる骨格を示すことがあります。中には、本来あるべき背骨の生理的なカーブが減少し、背骨全体が真っ直ぐに近い状態になっているケースも少なくありません。

つまり、「猫背に見える」ということと、「骨格そのものが猫背である」ということは、必ずしも同じではないのです。見た目だけで姿勢を判断してしまうと、本当に身体で起きていることを見誤ってしまう可能性があります。

だからこそ、カイロプラクティックでは背中だけを見るのではなく、骨盤から背骨、そして頭の位置までを一つのつながりとして捉えながら、身体全体のバランスを評価することを大切にしています。

 

■ 本当に大切なのは、「猫背を伸ばすこと」ではなく、「猫背になる理由」を知ることです

猫背が気になると、多くの方は「姿勢を良くしよう」と考えます。しかし、身体が現在の姿勢を選んでいる理由を考えずに、見た目だけを変えようとしても、根本的な解決につながらないことがあります。

私たちの身体は、頭の位置や重心、重力とのバランスを保ちながら生活しています。そのため、骨盤や背骨のバランスが変化すると、身体は倒れないように姿勢を変え、頭を支えやすい位置を探そうとします。猫背も、そのような適応の結果として現れていることが少なくありません。

だからこそ、カイロプラクティックでは「猫背だから背中を伸ばす」という考え方ではなく、「なぜ身体は猫背という姿勢を選ばなければならなかったのか」という視点を大切にしています。そのため当院では、体表温度検査、視診検査、静的触診、動的触診、レントゲン評価を組み合わせながら、神経系の働きや骨盤・背骨を含めた身体全体のバランスを総合的に評価しています。

私たちが目指しているのは、見た目だけを整えることではありません。身体が無理に姿勢を補正しなくても、自然に頭を支えられる状態を目指すことです。その結果として、身体が猫背という姿勢を選ぶ必要がなくなれば、姿勢も本来あるべき状態へ近づいていくと私たちは考えています。

猫背は、身体の失敗ではありません。今の身体の状態を教えてくれている一つのサインです。

「姿勢が悪い」と決めつける前に、なぜ身体はその姿勢を選んでいるのかという視点で、ご自身の身体を見つめ直してみませんか。

ぜひ日々の健康維持のために、カイロプラクティックケアを役立ててみてください。

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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。

シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。

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