2026.10.22

突然耳が聞こえにくくなったら?突発性難聴と耳鳴り・耳の閉塞感の仕組み

カテゴリ: 健康通信
突然耳が聞こえにくくなったら?突発性難聴と耳鳴り・耳の閉塞感の仕組み

「朝起きたら、突然片方の耳が聞こえにくくなっていた。」
「耳の奥でキーンという音が鳴り続け、静かな場所でも気になってしまう。」
「耳が詰まったような感覚が消えず、このまま聞こえなくなってしまうのではないかと不安になる。」

突然耳が聞こえにくくなったり、耳鳴りや耳の閉塞感が現れたりすると、誰でも大きな不安を感じるものです。特に、これまで当たり前のように聞こえていた家族の声や周囲の音が聞き取りにくくなると、日常生活や仕事にも大きな影響が及びます。

こうした症状の原因の一つとして知られているのが、突発性難聴です。

突発性難聴は、ある日突然、主に片側の耳の聞こえが悪くなる病気です。耳鳴りや耳の閉塞感を伴うことも多く、人によってはめまいや吐き気などが現れる場合もあります。突然の聴力低下は早期の診断と治療が重要であり、症状に気づいた場合には速やかに耳鼻咽喉科を受診する必要があります。

しかし、耳の聞こえが悪くなるという現象は、単に耳の中で音が遮られているということではありません。

私たちが音を聞くためには、外から入ってきた音の振動を内耳で電気信号に変換し、その情報を聴神経から脳へ伝える必要があります。そして脳は、届けられた情報を処理することで、初めて音の高さや大きさ、言葉の意味などを認識しています。

つまり、「音が聞こえる」という当たり前の働きも、耳と脳が連携することによって成り立っているのです。

一方、耳鳴りは周囲に音が存在していないにもかかわらず、音が聞こえるように感じる現象です。また、耳の閉塞感も、必ずしも耳の中に何かが詰まっていることを意味するわけではありません。こうした症状には、内耳の状態や聴覚情報の伝達・処理など、さまざまな仕組みが関係しています。

さらに、耳鳴りが続くことで不安が強くなったり、睡眠が妨げられたりすることもあります。聞こえにくさそのものだけでなく、耳の症状が日常生活や精神的な負担にまで影響することも、理解しておきたい点です。

では、私たちの耳はどのような仕組みで音を聞き取っているのでしょうか。そして、突発性難聴ではなぜ耳鳴りや耳の閉塞感が同時に現れることがあるのでしょうか。

このコラムでは、突発性難聴を入り口に、耳と脳が音を認識する仕組みや、耳鳴り・耳の閉塞感が生じる背景について解説していきます。

■私たちの耳はどのような仕組みで音を聞き取っているのでしょうか?

私たちは普段、家族の声や音楽、車の走行音など、さまざまな音を自然に聞き取っています。しかし、音が聞こえるという働きは、耳に音が入ってくるだけで成立しているわけではありません。外から入ってきた音の振動を神経の情報に変換し、その情報を脳が受け取ることで、初めて音として認識することができます。

耳は大きく分けて、外耳、中耳、内耳という三つの部分から構成されています。それぞれが異なる役割を担いながら、音の情報を脳へ届けています。

まず、耳介から入った音は外耳道を通って鼓膜へ届きます。音は空気の振動として伝わるため、鼓膜に到達すると、その振動によって鼓膜が細かく動きます。

鼓膜の奥にある中耳には、ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨という三つの小さな骨が存在します。これらは耳小骨と呼ばれ、鼓膜が受け取った振動を内耳へ効率よく伝える役割を担っています。

さらに奥にある内耳には、音を感じ取る蝸牛という器官があります。蝸牛は渦巻き状の構造をしており、その内部は液体で満たされています。中耳から振動が伝わると、蝸牛内部の液体や膜が動き、その動きによって音を感じ取る特殊な細胞が刺激されます。

この細胞が有毛細胞です。有毛細胞には、音の振動によって生じた機械的な刺激を電気的な信号へ変換する働きがあります。つまり、空気の振動として耳に入ってきた音が、ここで神経系を通じて伝えられる情報へと変わるのです。

有毛細胞によって生み出された情報は、聴神経を通って脳幹へ伝わり、さらに視床を経由して大脳の聴覚野へ届けられます。脳はこうして受け取った情報を処理し、音の高さや大きさ、言葉の内容などを認識しています。

この一連の仕組みを考えると、私たちが音を聞き取るためには、鼓膜や耳小骨が正常に振動するだけでなく、内耳で音の振動を神経信号に変換し、その情報が脳へ適切に伝わることが必要だと分かります。

難聴は、こうした音の伝達経路のどこに問題が生じるかによって、大きく伝音難聴と感音難聴に分けられます。

伝音難聴は、外耳や中耳で音の振動が十分に伝わらなくなることで生じます。一方、感音難聴は、内耳や聴神経など、音を神経情報に変換して伝える仕組みに問題が生じることで起こります。

突発性難聴は、このうち感音難聴に分類されます。明らかな原因が特定できないまま、突然、主に片側の耳の聴力が低下することが特徴です。内耳の循環障害やウイルス感染などが原因として考えられていますが、その発症機序は十分に解明されていません。

また、突発性難聴では聞こえにくさだけでなく、耳鳴りや耳の閉塞感を伴うことがあります。これは、内耳の働きが変化することで、脳へ届けられる聴覚情報にも変化が生じることが関係していると考えられています。

重要なのは、耳が聞こえにくくなるという現象を、単純に「耳の穴が塞がっている」「音が入ってこない」という問題だけで捉えないことです。音を聞くという働きは、外耳、中耳、内耳、聴神経、そして脳までが連携することで成り立っています。

突発性難聴を理解するためには、耳という器官だけでなく、音の振動が神経情報へ変換され、脳によって認識されるまでの一連の仕組みを知ることが大切なのです。

■なぜ突発性難聴では耳鳴りや耳の閉塞感が起こるのでしょうか?

突発性難聴では、突然耳が聞こえにくくなるだけでなく、耳鳴りや耳の閉塞感を伴うことがあります。耳の奥で「キーン」「ジー」といった音が鳴り続けたり、水が入ったような詰まりを感じたりすることで、聞こえにくさ以上に不快感や不安を覚える人もいます。

しかし、耳鳴りや耳の閉塞感は、必ずしも耳の中で実際に音が発生していたり、何かが詰まっていたりすることを意味するわけではありません。その背景には、内耳から脳へ伝わる聴覚情報の変化や、脳が音を処理する仕組みが関係していると考えられています。

私たちの脳は、耳から届けられた音の情報をそのまま受け取っているだけではありません。周囲の環境に応じて必要な音に注意を向けたり、さまざまな音の中から人の声を聞き分けたりしながら、聴覚情報を絶えず処理しています。

ところが、突発性難聴によって内耳から脳へ届く情報が急激に減少すると、脳の聴覚情報処理にも変化が生じることがあります。

耳鳴りの発生には複数の仕組みが関係していますが、その一つとして考えられているのが、聴覚情報の減少に伴う中枢神経系の活動の変化です。

脳の聴覚系には、入力される音の情報に応じて神経活動を調節する仕組みがあります。内耳からの情報が減少すると、その変化に対応する過程で聴覚系の神経活動が高まり、外部に音が存在しないにもかかわらず、音を感じる状態につながることがあると考えられています。

これは、一般に中枢利得の増大と呼ばれる仕組みの一つです。ただし、すべての耳鳴りがこの仕組みだけで説明できるわけではなく、耳鳴りの発生にはさまざまな要因が関係しています。

一方、耳の閉塞感は、耳の中に圧力がかかっているような感覚や、膜で覆われているような感覚として現れることがあります。

耳の閉塞感は耳管の機能障害や中耳の病気などでも起こりますが、突発性難聴のような内耳の障害に伴って現れる場合もあります。特に低い音が聞こえにくくなったときには、耳が詰まったように感じることがあります。ただし、内耳の障害によって閉塞感が生じる詳しい仕組みは、まだ十分に解明されていません。

さらに、耳鳴りが長く続くと、音そのものだけでなく、その音に対する脳の反応も日常生活に影響するようになります。

脳には、音を認識する聴覚系だけでなく、危険を察知したり、不安や恐怖などの感情に関わったりする神経回路も存在しています。突然聞こえるようになった耳鳴りを「このまま治らないのではないか」「さらに聞こえなくなるのではないか」と強く意識することで、耳鳴りに注意が向きやすくなり、不快感が増すことがあります。

また、静かな場所では周囲の音が少なくなるため、耳鳴りがより目立って感じられることがあります。就寝時に耳鳴りが気になって眠れなくなれば、睡眠不足によって日中の疲労感や集中力の低下が生じ、耳鳴りへの負担感がさらに強まることもあります。

このように、耳鳴りや耳の閉塞感を理解するためには、内耳の状態だけでなく、聴覚情報を受け取る脳の働きや、その音に対する感情・注意の仕組みまで含めて考えることが大切です。

前田カイロプラクティック藤沢院では、突発性難聴そのものを直接治療することを目的としているわけではありません。突然の聴力低下に対しては耳鼻咽喉科での早期診断と治療が優先され、そのうえで身体全体の状態を評価することが重要だと考えています。

当院では、視診、静的触診、動的触診、体表温度測定、レントゲン評価など複数の検査を通して、神経機能を妨げるサブラクセーション(神経伝達の阻害)が生じていないかを評価します。ガンステッド・カイロプラクティックでは、必要な部位へのアジャストメントによって神経系への負担を軽減し、身体が本来持っている調節機能や「治るチカラ」を発揮しやすい環境を整えることを目指しています。

突発性難聴に伴う耳鳴りや閉塞感は、耳だけで完結する問題ではなく、聴覚情報の変化を脳がどのように受け取り、処理しているのかという視点からも理解することができます。音を聞くという働きは、耳と脳が連携することで成り立っており、その変化は私たちの感情や睡眠、日常生活にも深く関わっているのです。

■突然の耳鳴りと閉塞感が日常生活に及ぼす影響

私たちは普段、周囲の音を意識することなく聞き取り、会話をしたり、仕事に集中したりしています。しかし、突然耳の聞こえ方が変わると、それまで当たり前だった日常生活にも大きな影響が及ぶことがあります。

特に突発性難聴では、聴力の低下だけでなく、耳鳴りや耳の閉塞感を伴うことがあります。周囲の音が聞き取りにくい一方で、耳の奥では絶えず音が鳴っているように感じる。このような状態が続くと、耳の症状そのものに加えて、不安や睡眠の問題などが重なることもあります。

前田カイロプラクティック藤沢院に来院された40代女性も、突然右耳の聞こえが悪くなり、高音の耳鳴りと強い閉塞感に悩まされていました。耳鼻咽喉科で突発性難聴と診断され、治療を受けていましたが、耳の症状による不安が強く、睡眠や日常生活にも影響が及んでいました。

この女性の状態から考えたいのは、聴力の低下によって生じる負担が、単に「音が聞こえにくい」という問題だけにとどまらないことです。

例えば、会話の中で相手の言葉を聞き取ろうとするだけでも、普段以上に集中力が必要になる場合があります。さらに、耳鳴りが気になって十分な睡眠が取れなければ、翌日の仕事や日常生活にも影響が及びます。こうした負担が積み重なることで、耳の症状をより強く意識するようになることもあります。

また、突然聞こえ方が変わるという経験は、身体の状態に対する安心感にも影響します。これまで自然にできていたことが難しくなると、今後の生活や仕事への不安が生じることがあります。耳の症状を理解する際には、聴力検査の結果だけでなく、その人が日常生活の中で何に困り、どのような負担を感じているのかにも目を向けることが大切です。

前田カイロプラクティック藤沢院では、耳鼻咽喉科での治療を前提として、耳の症状だけでなく身体全体の状態にも目を向け、神経機能を妨げるサブラクセーションが生じていないかを評価しました。

その後、女性の身体の状態には少しずつ変化がみられました。

突発性難聴では、早期に適切な医学的治療を受けることが重要です。そして、耳鳴りや閉塞感が続く場合には、聴力だけでなく、不安や睡眠、日常生活への影響にも目を向けることが大切です。

私たちが音を聞くという働きは、耳だけで完結するものではありません。耳から脳へ届けられる情報と、それを受け取る神経系の働きを理解することで、耳の症状が日常生活に及ぼす影響を、より広い視点から捉えることができるのです。

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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。

シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。

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