2026.10.18

トレーニング中の肉離れはなぜ起こる?筋肉への負担と身体のバランスの関係

カテゴリ: 健康通信
トレーニング中の肉離れはなぜ起こる?筋肉への負担と身体のバランスの関係

「トレーニング中に太ももを痛めてしまった。」
「痛みが落ち着いてきたけれど、以前のように運動を再開してよいのか不安になる。」
「筋力を高めるために運動を続けているのに、思うように身体が動かず、違和感を覚えることがある。」

このような経験はありませんか。

肉離れは、スポーツ中だけでなく、スクワットやレッグプレスなどの筋力トレーニング中にも起こる怪我です。筋肉にかかる負荷が大きくなることに加え、疲労の蓄積や過去の受傷歴、運動時の身体の使い方など、さまざまな要因が発生や再発に関係します。

また、怪我をした部位の痛みが落ち着いても、筋力や動作能力が十分に回復しているとは限りません。安全に運動を再開し、長くトレーニングを続けていくためには、損傷した筋肉の状態を確認するとともに、運動の強度や日常生活での身体の使い方を見直すことも大切です。

では、肉離れを防ぎ、怪我からの回復を目指すうえで、筋肉だけでなく、関節の動きや身体全体のバランスにも目を向けることには、どのような意味があるのでしょうか。

このコラムでは、肉離れが起こる仕組みやトレーニング時に気をつけたいことを解説しながら、身体全体の状態を把握することの大切さと、カイロプラクティックが重視する神経機能の視点についてお伝えします。

 

■ 肉離れはなぜ起こる?筋肉への負荷と再発に関わる要因

肉離れは、筋肉に大きな負荷がかかった際に、筋線維などが損傷することで起こる怪我です。太ももの裏側にあるハムストリングスや、前側にある大腿四頭筋などは、スポーツやトレーニング中に肉離れを起こすことがあります。走る、跳ぶ、急に方向を変えるといった動作だけでなく、スクワットやレッグプレスなどの筋力トレーニング中にも発生する可能性があります。

筋肉は縮みながら力を発揮するだけでなく、力を出しながら引き伸ばされることもあります。このような筋肉の働きを「遠心性収縮」といいます。例えば、スクワットで身体をゆっくり下ろすときには、太ももやお尻の筋肉が身体を支えながら力を発揮しています。このとき、筋肉にかかる負荷が許容できる範囲を超えると、損傷につながることがあります。扱う重量だけでなく、動作の速度や可動域、反復回数などによっても筋肉への負担は変化します。

肉離れの発生には、複数の要因が関係します。運動強度を急に上げた場合や、疲労が蓄積している場合、十分な回復が得られていない場合などは、トレーニングの負荷を適切に調整することが大切です。また、過去に肉離れを経験した方は、再発にも注意が必要です。痛みが軽くなったとしても、筋力や動作能力が十分に回復していないことがあるため、以前と同じ強度で運動を再開するのではなく、身体の状態を確認しながら段階的に負荷を戻していく必要があります。

さらに、日常生活の過ごし方も振り返りたいポイントです。デスクワークなどで長時間座る生活を送っている方は、日中の活動量が少ない一方で、トレーニングの時間には大きな負荷をかけていることがあります。ただし、座っている時間が長いことだけで肉離れが起こるとは限りません。普段の運動量とトレーニングの強度に差がないか、休養を十分に取れているかなど、生活全体を見直すことが大切です。

また、股関節や膝関節、足首の動き、左右の筋力差、動作中の身体の使い方なども、運動時に筋肉へかかる負荷を考えるうえで確認したい要素です。身体の動きに制限があったり、特定の筋肉に負担が集中したりすることはありますが、骨盤の傾きや左右差があるという理由だけで、肉離れの原因を特定することはできません。受傷時の動作や筋肉の損傷状態、トレーニング内容などを含めて、総合的に考える必要があります。

肉離れを起こした場合は、損傷の程度を確認し、適切な回復期間を確保することが基本です。強い痛みや腫れ、皮下出血がある場合や、歩行・体重をかける動作が難しい場合は、医療機関で評価を受けましょう。運動への復帰も、痛みの有無だけで判断せず、筋力や可動域、実際の動作を確認しながら進めることが大切です。怪我をした部位の回復を優先しつつ、トレーニングの負荷や身体の使い方を見直すことが、再発リスクを減らすための一歩になります。

■ 筋肉だけでは分からない身体の働きとは?神経機能と動きの関係

私たちが身体を動かすとき、筋肉や関節はそれぞれ独立して働いているわけではありません。脳や神経は、身体の各部位から送られてくる感覚情報を受け取り、その情報をもとに筋肉の働きや関節の動きを調整しています。立つ、歩く、しゃがむといった日常動作から、重量を扱うトレーニングまで、身体のさまざまな機能が連携することで、目的に応じた動きが生まれます。

例えば、レッグプレスやスクワットでは、股関節や膝関節、足首などが連動し、複数の筋肉が協調して働きます。その際、関節の動きや筋力、身体の使い方などによって、動作中に筋肉へかかる負荷の分布が変わることがあります。身体の動きを考えるうえでは、筋肉の強さだけでなく、関節がどのように動き、複数の部位がどのように連携しているかにも目を向けることが大切です。

こうした動きを支える重要な仕組みの一つが、神経系による感覚情報の処理と運動の調整です。筋肉や関節などから得られる情報は、身体の位置や動きを把握し、姿勢や動作を調整するために役立っています。神経系と筋肉の連携は、バランスを保ち、状況に応じて身体を動かすうえで欠かせません。ただし、神経機能が身体の動きに関わることと、神経機能の問題が特定の肉離れを引き起こしたと判断することは別です。怪我の原因を考える際には、受傷時の状況や筋肉の損傷状態などを含めて評価する必要があります。

前田カイロプラクティック藤沢院では、神経機能を重視しながら、身体の状態を複数の視点から評価しています。視診、静的触診、動的触診、体表温度検査、必要に応じたレントゲン評価を通して、姿勢や関節の動き、身体の状態などを確認します。そのうえで、神経機能に影響する要因がないかを評価し、必要に応じてアジャストメントを行います。

カイロプラクティックは、肉離れそのものを直接治療するものではなく、怪我の回復や再発予防を保証するものでもありません。肉離れの診断や損傷した筋肉の回復には、医療機関での評価や適切なリハビリテーションが重要です。そのうえで、身体全体の状態を把握し、運動の負荷管理や身体の使い方を見直していくことは、長くトレーニングを続けていくために大切な視点となります。

■ レッグプレス中に右大腿部を負傷した30代男性

トレーニングを継続している方にとって、突然の怪我は身体の痛みだけでなく、これまで続けてきた運動を思うようにできなくなる不安にもつながります。健康維持や筋力向上を目的に努力してきた方ほど、「なぜ今回、強い痛みが出たのだろう」と疑問を感じることもあるのではないでしょうか。

前田カイロプラクティック藤沢院には、ジムでレッグプレスを行っていた際に右脚の付け根付近に鋭い痛みが生じた30代男性が、神奈川県横浜市西区から来院されました。痛みは時間の経過とともに強くなり、歩行や立ち上がる動作にも支障が出るほどでした。

この男性は学生時代からサッカーなどのスポーツに親しみ、社会人になってからも健康維持のためにトレーニングを続けていました。一方で、仕事はデスクワークが中心で、長時間座る生活が続いていました。最近は筋力強化を目的に下半身のトレーニング強度を上げており、受傷前から股関節周辺に違和感を覚えることもあったそうです。

初回来院時には、左仙腸関節の明らかな可動域制限や腰部の筋緊張、仙骨全体および左上部頸椎周辺の浮腫感が確認されました。また、体表温度検査では骨盤や上部頸椎周辺に左右差が認められ、レントゲン画像の評価では、骨盤の傾きや腰椎・頸椎のカーブに関する所見も確認されました。

これらは、当院が身体の状態を把握するために評価した所見です。右大腿部の痛みと、骨盤や頸椎の所見との直接的な関係が証明されたわけではなく、これらの所見だけで肉離れの原因を特定することはできません。強い痛みを伴う肉離れでは、損傷した筋肉の状態を医療機関で確認することも重要です。

その後、当院でアジャストメントを継続するなかで、男性からは歩行時の痛みが軽減し、日常生活での動作が徐々に楽になったことが報告されました。さらに、痛みのない範囲で下肢のトレーニングを再開し、ランニングや自転車なども行えるようになったと話されていました。ただし、こうした経過だけで、アジャストメントが肉離れの回復を促したと断定することはできません。

トレーニングを長く続けていくためには、怪我をした部位の回復を優先しながら、運動の負荷や身体の使い方、日常生活での活動状況にも目を向けることが大切です。痛みが落ち着いた後も、身体の状態を確認しながら段階的に運動へ復帰していきましょう。

この男性が来院されるまでの経緯や、当院での評価、その後の身体の変化については、以下の症例報告で詳しくご紹介しています。

▶レッグプレス中に発症した右大腿部の肉離れの症例報告はこちら

▶その他、スポーツ外傷や筋肉・関節の不調に関する症例報告はこちら

▶足の問題に対する前田カイロプラクティック藤沢院のアプローチはこちら

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中島 恵

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。

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