朝起きた瞬間から頭が痛いのはなぜ?寝起きに頭痛が起こる原因とは
「朝、目が覚めた瞬間から頭がズキズキ痛む。」
「せっかく長く眠ったのに、起きたときの方が頭痛がひどい。」
「毎朝のように頭痛薬を飲まないと、一日を始められない。」
このような寝起きの頭痛に悩まされている方も少なくありません。
本来、睡眠は一日の疲労を回復させ、身体を休ませるための大切な時間です。それにもかかわらず、夜は頭痛がなかったのに朝起きた瞬間から頭が痛かったり、普段より長く眠った日にかえって頭痛が強くなったりすると、「寝ている間に何が起きているのだろう」と不安になる方もいるでしょう。
寝起きに起こる頭痛には、片頭痛や緊張型頭痛をはじめ、睡眠不足や睡眠時間の変化、歯ぎしりや食いしばり、睡眠時無呼吸症候群など、さまざまな要因が関係することがあります。
また、突然経験したことのないような激しい頭痛が現れた場合や、手足のしびれや麻痺、ろれつが回らない、意識状態の変化などを伴う場合には、重大な病気が隠れている可能性もあります。そのため、繰り返す頭痛や強い頭痛がある場合には、まず医療機関で原因を確認することが大切です。
一方で、検査では大きな異常が確認されていないにもかかわらず、「朝起きると頭が痛い」という状態を何度も繰り返している方もいます。
では、身体を休ませているはずの睡眠中に、なぜ頭痛が起こるのでしょうか。
私たちの身体は、眠っている間も完全に活動を停止しているわけではありません。呼吸や心拍、血圧、体温などは絶えず調整され、脳と身体の間では神経を通してさまざまな情報交換が続いています。
そのため、寝起きの頭痛について考えるときには、「寝すぎたから」「枕が合わないから」といった一つの要因だけではなく、睡眠中も含めて身体がどのような状態にあるのかという視点も大切です。
今回ご紹介する症例では、毎朝起きた瞬間から激しい頭痛に襲われ、頭痛薬が手放せない状態が続いていました。特に休日などに普段より長く眠ると頭痛が強くなり、朝から身体が重く、仕事にも影響が出ていました。
当院で身体を詳しく評価すると、下部頸椎だけではなく、下部胸椎や下部腰椎にも可動域制限が確認され、体表温度の左右差、浮腫、頸部の過緊張など、複数の変化がみられました。
寝起きに頭が痛いからといって、痛みが出ている頭だけを見るのではなく、「なぜ朝になると頭痛が現れるのか」「睡眠中も含めて身体はどのような状態にあるのか」という視点から身体全体を考えることも重要です。
このコラムでは、寝起きに頭痛が起こる原因とは何なのか、身体を休めているはずの睡眠中に頭痛が起こる理由、そして実際に毎朝の激しい頭痛で頭痛薬が手放せなくなっていた症例について解説していきます。
■寝起きに頭痛が起こる原因とは?
朝起きた瞬間から頭が痛いと、「寝ている間に首へ負担がかかったのではないか」「枕が合っていないのではないか」と考える方も多いのではないでしょうか。
もちろん、寝姿勢や寝具が身体への負担に関係することはあります。しかし、寝起きの頭痛にはそれ以外にもさまざまな要因が関係しています。
頭痛は大きく分けると、頭痛そのものが病気である一次性頭痛と、何らかの病気や身体の異常によって起こる二次性頭痛があります。
一次性頭痛には、片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛などがあります。片頭痛では、ズキズキと脈打つような痛みだけではなく、光や音に敏感になったり、吐き気を伴ったりすることがあります。緊張型頭痛では、頭全体を締めつけられるような痛みや、首や肩のこりを伴うことがあります。
一方、寝起きの頭痛には睡眠そのものが関係している場合もあります。
睡眠時間が不足している場合だけではなく、休日などに普段より長く眠ったことで頭痛が起こる方もいます。また、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりによって顎や側頭部、首周辺の筋肉へ負担がかかり、朝起きたときに頭痛を感じることもあります。
さらに、睡眠時無呼吸症候群などによって睡眠中の呼吸に問題が生じている場合にも、起床時の頭痛がみられることがあります。
今回ご紹介する症例でも特徴的だったのが、「長く眠った朝ほど頭痛が強くなる」ということでした。
一般的には、身体が疲れていれば「たくさん眠った方が身体は回復する」と考えるかもしれません。しかし、睡眠時間を長くすれば必ず身体の状態が良くなるとは限りません。
大切なのは、単純に「何時間眠ったのか」だけではなく、眠っている間に身体がどのような状態にあり、朝を迎えたときにどのような変化が起きているのかを見ることです。
また、毎朝のように頭痛が続いている場合には、頭痛薬によって痛みを抑えながら生活している方も少なくありません。頭痛薬はつらい症状を抑えるために重要な選択肢ですが、使用する頻度が増えることで、薬剤の使用過多による頭痛につながる場合もあります。
そのため、「朝だから頭が痛い」「寝すぎたから頭が痛い」と自己判断するのではなく、繰り返す頭痛がある場合には、まずその頭痛がどのようなタイプなのかを確認することが重要です。
特に、突然経験したことのない激しい頭痛が起きた場合や、手足のしびれや麻痺、ろれつが回らない、意識状態の変化、発熱などを伴う場合には、速やかに医療機関を受診する必要があります。
そのうえで、医療機関で大きな異常が確認されていないにもかかわらず、毎朝のように頭痛を繰り返しているのであれば、「痛みが出ている頭」だけではなく、睡眠中も含めた身体全体の働きに目を向けることも大切です。
では、身体を休ませているはずの睡眠中に、私たちの身体では実際にどのようなことが起きているのでしょうか。
次の章では、寝起きの頭痛を「睡眠中の身体の働き」という視点から考えていきます。
■身体を休めているはずなのに、なぜ朝起きた瞬間から頭痛が起こるのでしょうか?
睡眠は、日中に受けた疲労を回復させ、翌日の活動に備えるための大切な時間です。
それにもかかわらず、「夜は頭痛がなかったのに、朝起きた瞬間から頭が痛い」「むしろ長く眠った日の方が頭痛が強い」という状態が続けば、「寝ている間に何が起きているのだろう」と不安になる方もいるでしょう。
ここで大切なのは、睡眠中は身体の働きが止まっているわけではないということです。
眠っている間にも呼吸や心拍、血圧、体温などは絶えず調整されています。さらに、寝返りを打ったり、姿勢を変えたりしながら、私たちの身体は睡眠中も周囲の環境に適応し続けています。
つまり、睡眠とは単純に「身体を動かしていない時間」ではありません。脳と身体の間では、眠っている間にも絶えず情報交換が行われています。
例えば、首の関節や筋肉からも、頭がどの位置にあるのか、関節がどの程度動いているのか、筋肉がどの程度緊張しているのかといった情報が神経を通して脳へ届けられています。
脳はこうした身体からの情報を受け取りながら、現在の身体の状態を把握し、その状況に応じた指令を再び神経を通して全身へ送り返しています。
そのため、寝起きの頭痛について考えるときにも、単純に「枕が悪い」「寝すぎた」という外側の条件だけを見るのではなく、睡眠中に身体がどのような状態にあり、その変化へどのように適応しているのかという視点が重要になります。
今回ご紹介する症例では、毎朝のように強い頭痛が現れ、起床するとすぐに頭痛薬を服用する生活が続いていました。特に休日などに普段より長く眠ると、頭痛がさらに強くなることも大きな特徴でした。
もし「睡眠時間が長いこと」だけが原因なのであれば、睡眠時間を短くすれば問題は解決するはずです。しかし、その人がなぜ睡眠時間の変化にうまく適応できず、頭痛というサインを繰り返しているのかという部分までは、それだけでは分かりません。
カイロプラクティックでは、こうした身体の適応に深く関わる神経の働きを重要視しています。
私たちの身体では、全身から集められた膨大な情報が神経を通して脳へ届けられています。脳はその情報をもとに身体の状態を把握し、そのとき必要な働きを神経を通して全身へ送り返しています。
そして、この脳と身体との情報交換を妨げる状態を、カイロプラクティックでは「サブラクセーション」と呼んでいます。
サブラクセーションによって神経伝達が阻害されれば、身体から脳へ届けられる情報にも影響が及び、その人が本来持っている環境への適応力を十分に発揮しにくくなると考えます。
これは、「サブラクセーションが頭痛を起こしている」「アジャストメントをすれば頭痛が治る」という意味ではありません。
大切なのは、頭痛という症状そのものを原因として追いかけるのではなく、「なぜ身体は毎朝のように頭痛というサインを出しているのか」という視点から、その人の身体を評価することです。
だからこそ当院では、寝起きの頭痛だからといって、痛みが出ている頭だけを見たり、首や肩の筋肉を単純に緩めたりすることを目的とはしていません。
レントゲン評価、視診、静的触診、動的触診、体表温度測定などを組み合わせ、身体全体を詳しく評価しながら、神経の働きを妨げているサブラクセーションを見極めていきます。
では実際に、毎朝起きた瞬間から激しい頭痛に襲われ、頭痛薬が手放せなくなっていた方の身体には、どのような状態が確認されたのでしょうか。
次の章では、実際に当院へ来院された方の症例をご紹介します。
■毎朝の激しい頭痛で頭痛薬が手放せなくなっていた実際の症例
今回ご紹介するのは、朝の目覚めと同時に起こる激しい頭痛に悩まされていた30代の女性です。
数年前から、朝起きるとこめかみにズキズキと脈打つような痛みを感じるようになり、次第に症状は強くなっていきました。特に休日など、普段より長く眠った日の朝ほど頭痛が強く、布団から起き上がることさえつらい状態でした。
午前中は身体も重く、仕事が始まってからも頭痛によって集中力が続かず、ミスが増えることもありました。昼頃になると少しずつ痛みは落ち着くものの、朝の激しい頭痛には耐えられず、頭痛薬が手放せない生活が続いていました。
枕や寝具を変えたり、寝る前にストレッチをしたり、身体を温めたり、整体やマッサージへ通ったりと、できることは試していました。しかし大きな変化はみられず、「休みたいのに、長く寝ると頭痛が強くなる」という状態に悩まされていました。
そこで当院では、頭痛が出ている場所だけを見るのではなく、レントゲン評価、視診、静的触診、動的触診、体表温度測定などを組み合わせ、身体全体の状態を詳しく評価しました。
検査では、下部頸椎だけではなく、下部胸椎や下部腰椎にも明らかな可動域制限が確認され、体表温度検査でも同じ領域に左右差がみられました。また、隆椎周辺には強い浮腫があり、頸部全体には過緊張と熱感が確認されました。
レントゲン評価では、頸部の椎間板に慢性的な変性がみられ、本来あるはずの首の前弯カーブが消失したストレートネックの状態も確認されました。
この症例で重要だったのは、「毎朝頭が痛いから首だけに問題がある」と判断しなかったことです。
複数の検査結果を照らし合わせながら身体全体を評価し、神経の働きを妨げているサブラクセーションを見極め、必要な箇所へアジャストメントを行っていきました。
ケアを続ける中で、まず起床時に感じていたこめかみの痛みに変化がみられ、以前よりも朝の目覚めが楽になっていきました。
その後は、休日に普段より長く眠った場合でも強い頭痛が出にくくなり、頭痛薬を飲まずに過ごせる日も増えていきました。さらにケアを継続すると、起床時の頭痛だけではなく、首や肩のこり、朝の倦怠感にも変化がみられるようになりました。
現在では、以前のように朝起きた瞬間から激しい頭痛に襲われることもなくなり、身体の状態を維持するため定期的にカイロプラクティックケアを継続されています。
この症例からも、寝起きに起こる頭痛を「寝すぎたから」「枕が合っていないから」といった一つの要因だけで判断するのではなく、その人の身体で何が起きているのかを丁寧に評価することの大切さが分かります。
当院が目的としているのは、頭痛という症状を直接取り除くことではありません。検査によって神経の働きを妨げているサブラクセーションを見極め、その人自身が持っている「治るチカラ」が十分に発揮できるよう、神経の働きを整えることを大切にしています。
毎朝のように頭痛薬を飲んでいたこの方も、頭痛だけを追いかけるのではなく、身体全体を評価することで変化がみられました。
「朝起きた瞬間から頭が痛い」「休日に長く眠るとかえって頭痛が強くなる」「毎朝のように頭痛薬に頼っている」という方は、まず必要な医学的検査を受けたうえで、頭痛という症状だけではなく身体全体の状態に目を向けることも大切です。
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執筆者前田 一真
神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。
シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。


