2026.08.02

当院はペインクリニックではありません ~あなたの身体は誰が治しているのでしょうか?~

カテゴリ: 健康通信
当院はペインクリニックではありません ~あなたの身体は誰が治しているのでしょうか?~

「先生、この痛みを取ってください。」

「先生、このしびれを治してください。」

「先生、この頭痛をなんとかしてください。」

当院でも、このようなお言葉をいただくことがあります。

もちろん、つらい痛みやしびれ、頭痛などでお困りの患者様のお力になりたいという気持ちは、私たちも同じです。

しかし、そのようなお言葉をいただくたびに、私たちは患者様へ一つお伝えしていることがあります。

「当院はペインクリニックではありません。」

初めてこの言葉を聞かれた方の多くは、「どういう意味ですか?」と驚かれます。

痛みを抱えて来院しているのに、「痛みを取る場所ではない」と言われれば、不思議に思われるのも当然かもしれません。

では、なぜ当院はそのようにお伝えしているのでしょうか。

その理由は、私たちが考えるカイロプラクティックの役割が、「痛みだけを追いかけること」ではないからです。

私たちは、患者様が本来持っている「治るチカラ」を何よりも大切にしています。その考え方は、一般的な「痛みを取る」というイメージとは少し異なるかもしれません。

このコラムでは、なぜ当院が「ペインクリニックではありません」とお伝えしているのか、そして私たちが本当に目指していることについて解説していきます。

■痛みには身体を守る「警告サイン」としての役割があります

痛みは、できることなら感じたくないものです。しかし実は、痛みは私たちの身体にとって非常に重要な役割を果たしています。

例えば、熱い鍋に触れた瞬間、私たちは反射的に手を引っ込めます。これは強い熱さや痛みを感じたからこそ、それ以上のやけどを防ぐことができたのです。また、足を捻挫したときに痛みを感じることで無意識に足をかばい、患部を安静に保とうとします。このように、痛みは身体に起きている異常や危険を知らせ、これ以上悪化しないよう私たちを守ってくれる大切な警告サインなのです。

痛みは決して悪いものばかりではありません。もし痛みをまったく感じなければ、骨折をしても歩き続けたり、傷口が開いていても気づかなかったりする可能性があります。実際に、生まれつき痛みを感じにくい非常にまれな病気では、ケガを繰り返したり、重症化するまで異常に気づけなかったりすることが知られています。

つまり、痛みそのものは「敵」ではなく、身体を守るために脳が発している重要なメッセージなのです。

しかし、多くの方は「痛みがなくなれば治った」と考えがちです。本当にそうなのでしょうか。

例えば、火災報知器が鳴っている家で、警報音だけを止めれば火事は解決するでしょうか。当然、答えは「いいえ」です。火災報知器は火事を知らせているだけであり、本当に解決しなければならないのは火災そのものです。

痛みも同じです。痛みには、身体に起きている異常や危険を知らせるサインとしての役割があります。しかし、痛みの強さと身体で起きている問題の大きさが、必ずしも一致するとは限りません。もちろん、痛みを和らげることはとても大切です。しかし、痛みだけに目を向けていては、身体が発している本当のメッセージを見落としてしまう可能性があります。

だからこそ大切なのは、「どこが痛いのか」だけではなく、「なぜ脳は痛みというサインを出したのか」という視点を持つことです。

では、その痛みを感じているのは一体どこなのでしょうか。そして、私たちの身体を本当に治しているのは誰なのでしょうか。次の章では、その答えについて考えていきます。

■あなたの身体を治しているのは誰なのでしょうか?

ここで一つ、考えていただきたいことがあります。

転んで擦り傷ができたとき、その傷を治しているのは誰でしょうか。

骨折した骨を再びつなぎ合わせているのは誰でしょうか。

風邪をひいたとき、身体の中に侵入したウイルスと闘っているのは誰でしょうか。

薬でしょうか。病院でしょうか。それとも、医師やカイロプラクター(施術者)でしょうか。

もちろん、薬や医療は症状を抑えたり、感染症と闘ったり、身体が回復へ向かうための環境を整えたりするうえで、非常に重要な役割を担っています。しかし、傷口をふさぎ、新しい皮膚をつくり、骨を再生させ、免疫細胞を働かせているのは、最終的には患者様ご自身の身体です。

私たちの身体には、生まれながらにして、傷ついた場所を修復し、身体の状態を一定に保ち、環境の変化に適応しようとする仕組みが備わっています。カイロプラクティックでは、この身体が本来持っている回復する力を「イネイト・インテリジェンス(先天性治癒力)」と呼んでいます。当院では、それを患者様自身が持っている「治るチカラ」と表現しています。

そして、その「治るチカラ」を働かせるために重要な役割を担っているのが、脳と神経です。

脳は、身体のあらゆる場所から絶えず情報を受け取っています。皮膚が何に触れているのか、筋肉がどの程度緊張しているのか、関節がどのように動いているのか、内臓がどのような状態にあるのか。そうした膨大な情報を神経が脳へ送り、脳はその情報をもとに身体の状態を判断します。

そして脳は、必要に応じて神経を通して身体へ指令を送り返します。私たちが意識しなくても心臓が動き、呼吸が続き、食べ物が消化され、体温が一定に保たれているのは、この脳と身体の情報交換が24時間休むことなく行われているからです。

ところが、神経は非常に繊細な組織です。わずかな負担でも神経の働きに影響が及ぶことがあります。しかし、それでもすぐに痛みやしびれなどの症状が現れるとは限りません。

コロラド大学の研究では、神経に10円玉程度のわずかな重さが加わっただけでも、神経の働きが6割も低下したという研究報告があります。さらに重要なのは、神経の働きが6割低下している状態でも、痛みを感じない場合があるということです。

つまり、痛みやしびれ、あるいは身体の不調を自覚したときに、その日突然すべての問題が始まったとは限りません。症状が現れるよりも前から神経へ負担が積み重なり、身体と脳との情報交換に影響が及んでいた可能性も考えられます。

痛みがないことと、身体に問題がないことは、必ずしも同じではありません。また、痛みがなくなったことだけをもって、身体の状態がすべて元に戻ったと判断できない場合もあります。

だからこそ大切なのは、痛みという結果だけを追いかけるのではなく、身体から脳へどのような情報が届けられているのか、そして脳が身体の状態を正しく把握できる環境になっているのかという視点を持つことです。

では、その脳と身体をつないでいる神経の働きに負担がかかっている場合、カイロプラクティックはどのような役割を果たすのでしょうか。次の章では、当院が痛みだけではなく神経の働きを重視している理由について解説していきます。

■神経の働きを整え、「治るチカラ」を支えることがカイロプラクティックの役割です

ここまでお読みいただくと、なぜ当院が「ペインクリニックではありません」とお伝えしているのか、その意味が少しずつ見えてきたのではないでしょうか。

もちろん、患者様が抱えている痛みやしびれ、頭痛などの症状が一日でも早く落ち着き、以前のような生活を取り戻してほしいという思いは、私たちも同じです。しかし、私たちカイロプラクターが患者様の痛みを直接取り除いたり、身体を治したりしているわけではありません。

これは、医師法など法律上の問題があるから「治せない」とお伝えしているわけではありません。また、どのような療法でも、施術側が治しているわけではありません。痛みや症状など身体に起きている問題を解決しているのは、患者様自身が持っている「治るチカラ」なのです。

そして、その働きの中心にあるのが脳と神経です。

脳は、神経を通して身体のあらゆる場所から情報を受け取っています。筋肉や関節がどのような状態にあるのか、身体のどこに負担がかかっているのか、内臓がどのように働いているのか。身体から届く膨大な情報を脳が受け取り、現在の状態を把握したうえで、必要な指令を再び神経を通して全身へ送り返しています。

つまり、身体から脳へ正確な情報が届けられ、脳から身体へ適切な指令が送られることによって、私たちの身体は環境の変化に対応し、バランスを保ち、回復へ向かうことができます。ところが、神経の働きに負担がかかり、身体から脳へ届く情報が乱れてしまえば、脳は身体で何が起きているのかを正確に把握しにくくなります。

カイロプラクティックで行うことは、痛みがある場所を追いかけて、その症状を一時的に消すことではありません。神経の働きを妨げているサブラクセーション(神経伝達の阻害)を丁寧に評価し、必要な箇所へアジャストメントを行うことで、身体から脳へ情報が届きやすい状態をつくることです。

身体の情報が脳へ正しく届けられれば、脳はその情報をもとに身体で起きている問題を判断し、回復に必要な働きを導いていきます。私たちの役割は、その仕組みが本来どおり働けるようにお手伝いすることであり、患者様に代わって身体を治すことではありません。

また、神経は非常に繊細であると同時に、回復にも時間を必要とする組織です。損傷した末梢神経の軸索が再生する速度は、一般的に一日あたり約0.3~1mm程度とされており、状態や部位によって違いはあるものの、神経の回復は決して速いものではありません。

痛みが出るまでに数か月、あるいは数年と神経への負担が積み重なっていたのであれば、一度のアジャストメントですべてが元の状態へ戻るとは限りません。痛みが早い段階で軽減したとしても、それだけで身体の問題がすべて解消されたとは判断できない場合もあります。痛みは身体の状態を知らせる一つのサインであり、神経機能そのものの回復と必ずしも同じ速度で変化するわけではないからです。

だからこそ当院では、その日の痛みが何点になったかだけで身体の状態を判断するのではなく、毎回の検査を通して神経の働きや身体の変化を丁寧に評価しながら、必要なケアを積み重ねていくことを大切にしています。

私たちは、痛みだけを追いかけるペインクリニックではありません。神経の働きを整え、身体の情報を脳へ届けることで、患者様が本来持っている「治るチカラ」を十分に発揮できる状態を目指す場所です。

身体を治しているのは、カイロプラクターではありません。患者様ご自身の脳であり、身体の中に備わっている「治るチカラ」です。私たちはその力を100%信じ、尊重しています。あなた自身の「治るチカラ」が最大限に発揮できるよう支えること。それが、私たち前田カイロプラクティック藤沢院が創業以来、一貫して大切にしているカイロプラクティック哲学です。

ご予約・お問合せはお電話またはLINEから

お電話での予約
TEL:0466-21-9624
LINEでの予約
QRコードを読み取り、トーク画面から「予約希望」とご連絡ください。
前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。

シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。

コラム一覧へ戻る
pagetop