2026.09.14

仕事のストレスで肩こりが続くのはなぜ?首の張りまで慢性化する原因とは

カテゴリ: 健康通信
仕事のストレスで肩こりが続くのはなぜ?首の張りまで慢性化する原因とは

仕事中は集中できているのに、仕事が終わっても身体だけが「勤務中」のまま――そんな感覚を覚えたことはないでしょうか。

パソコンを閉じても肩や首には力が入り、帰宅してからも翌日の予定や納期が頭から離れない。身体は疲れているはずなのに、ベッドへ入ってもなかなか眠れず、朝になっても十分に休んだ感じがしない。そのまま再び仕事へ向かい、一日の終わりにはまた肩や首が重くなっている。このような状態が繰り返されると、「仕事をしている限り肩こりは仕方がない」と感じてしまうことがあります。

長時間のデスクワークが首や肩に負担をかけることは想像しやすいでしょう。頭や腕の位置を保ちながらパソコンを操作するためには、首や肩周辺の筋肉が働き続ける必要があります。しかし、仕事による肩こりを考えるときには、身体をどの姿勢で使っていたのかだけではなく、その時間に身体がどのような状態で仕事をしていたのかという視点もあります。

人間の身体は、重要な仕事に集中するとき、時間に追われているとき、失敗できない場面に直面したときなど、その状況に対応できるよう身体の状態を変化させます。心拍や呼吸、筋肉の働き、注意力なども一定ではなく、周囲の環境や求められている行動に合わせて絶えず調整されています。

こうした反応そのものは、決して悪いものではありません。大切な場面で集中力を高めたり、素早く判断したりするためには、身体が活動に適した状態へ変化する必要があります。仕事上のストレスに反応することも、本来は環境へ適応するための身体の働きの一つです。

では、問題になるのはどのようなときでしょうか。

仕事という刺激がなくなったあとも、身体が活動時の状態から十分に切り替わらず、肩や首の緊張、浅い呼吸、寝つきの悪さなどが続いている場合です。仕事中に身体が緊張することよりも、仕事を終えたあとに回復へ向かう状態へ移れるかどうかが、慢性的な疲労や肩こりを考えるうえでは重要になります。

睡眠は、その違いが現れやすい場面の一つです。眠っている時間は単に身体を動かしていない時間ではなく、日中とは異なる状態へ身体を切り替え、翌日に備えるための重要な時間です。ところが、身体は疲れているのに頭が冴えている、布団に入っても仕事について考え続けている、何度も目が覚めるといった状態が続けば、翌朝になっても首や肩の重さ、疲労感が残ることがあります。

そして翌日には、十分に回復しきらない状態から再び長時間のデスクワークや精神的な緊張が始まります。この繰り返しによって、「仕事をすると肩がこる」という単純な一日の問題ではなく、活動と回復のサイクルそのものが崩れ、肩こりや首の張りを慢性的に感じるようになることがあります。

藤沢周辺で肩こりや首の張りに悩んでいる方の中にも、休日になっても身体の緊張が抜けない、寝ても疲れが取れない、仕事が忙しくなるほど肩こりや頭痛まで強くなるという方がいるかもしれません。そのような場合には、硬くなった肩の筋肉だけではなく、仕事中の身体と休息時の身体がどのように切り替わっているのかまで視野を広げて考えることが大切です。

もちろん、突然これまでにない強い頭痛が現れた場合や、手足の麻痺、言葉の出にくさ、胸痛や息苦しさなどを伴う場合には、肩こりや仕事のストレスと自己判断せず、速やかに医療機関で評価を受ける必要があります。

このコラムでは、仕事のストレスによって続く肩こりや首の張りについて、身体が仕事へ対応する仕組み、活動から休息へ切り替わる働き、そして休んでも肩こりが抜けなくなる身体を考えるうえで大切な視点について解説していきます。

■仕事中の「緊張状態」は、肩や首にどのように現れるのでしょうか?

仕事で強い集中が必要なときや、納期が迫っているとき、重要な判断を求められているとき、身体は普段とまったく同じ状態でいるわけではありません。周囲の状況へ素早く対応できるように、心拍や呼吸、筋肉の働き、注意力などを変化させながら、その場に適応しようとします。こうした変化に深く関わっているのが自律神経系です。

自律神経系は、自分の意思で一つひとつ操作しなくても、心拍、血圧、消化、発汗、体温調節など、身体内部のさまざまな機能を調整しています。仕事中に緊張が高まったときには、身体を活動しやすい状態へ導く働きが強まり、休息時にはそれとは異なる調整が行われます。一般的には、交感神経は活動や緊張時に働きやすく、副交感神経は休息や回復に関わる働きとして知られています。

ただし、「交感神経が悪く、副交感神経が良い」という単純な話ではありません。重要な仕事に集中するときや、危険を避ける必要がある場面で身体が素早く反応できることは、生きていくうえで必要な機能です。問題を考えるうえで大切なのは、どちらか一方を強くすることではなく、その場の状況に応じて身体の状態を変化させられることです。

精神的な緊張が高まると、肩や首の筋肉にも変化が現れることがあります。プレッシャーを感じているときに肩をすくめる、奥歯を噛みしめる、呼吸が浅くなるといった経験をしたことがある方もいるでしょう。これは必ずしも本人が意識的に力を入れているわけではなく、仕事へ対応している身体全体の反応の一部として現れることがあります。

また、パソコン作業では身体的な負担も同時に加わります。頭や腕の位置を保つために首や肩周辺の筋肉は一定の活動を続けていますが、そこへ精神的な緊張が重なることで、「姿勢を維持するための筋活動」と「ストレスへ対応する身体の反応」が同時に続くことになります。そのため、同じ一時間のデスクワークでも、余裕を持って作業できているときと、強いプレッシャーの中で作業しているときとでは、身体の感じ方が違うことがあります。

呼吸も見逃せない要素です。人間は緊張すると呼吸が浅くなったり、速くなったりすることがあります。呼吸は肺だけで行われているわけではなく、肋骨や胸郭、横隔膜などの動きを伴っています。首周辺には呼吸を補助する筋肉もあるため、呼吸の仕方が変化すれば、首や肩周辺の筋活動にも影響することがあります。

さらに、仕事へ集中している時間が長いほど、自分の身体に起きている変化へ気づきにくくなることもあります。画面や作業に意識が向いている間は肩の張りをそれほど感じていなかったのに、仕事を終えた瞬間に「ものすごく肩が重い」と気づくことがあります。これは、身体の状態が急に変わったというより、作業中には仕事へ向けられていた注意が、身体へ戻ってきたことで不快感を強く認識する場合もあります。

ここまで見ると、仕事による肩こりや首の張りは、「姿勢が悪かったから筋肉が硬くなった」という一方向の仕組みだけでは捉えにくいことが分かります。姿勢を保つための筋肉の活動、精神的な緊張、自律神経による身体内部の調整、呼吸、注意の向け方などが重なりながら、私たちは仕事という環境へ対応しています。

そして、本来であれば仕事が終われば、身体に求められる役割も変わります。パソコンから離れ、帰宅し、食事をし、眠る時間になれば、仕事中とまったく同じ身体状態を維持する必要はありません。つまり肩こりや首の張りを考えるうえで重要なのは、「仕事中にどれだけ緊張したか」だけではなく、仕事が終わったあとに身体が次の状態へ移行できているかどうかです。

では、私たちの身体はどのようにして「今は集中する時間」「今は休む時間」と状況を判断し、それに合わせて身体の状態を切り替えているのでしょうか。次の章では、神経系による情報のやり取りと、活動から休息へ移行する身体の調整という視点から、慢性的な肩こりや首の張りをさらに考えていきます。

■仕事が終わっても身体が「仕事モード」を引きずるのはなぜでしょうか?

仕事中に身体が緊張すること自体は、異常な反応ではありません。納期を意識しながら作業する、重要な判断をする、ミスがないよう集中するといった場面では、その状況へ対応するために身体の状態も変化します。では、パソコンを閉じて仕事が終わったにもかかわらず、肩や首の緊張が抜けず、夜になっても頭が冴えているように感じることがあるのはなぜでしょうか。

私たちの身体は、時計を見て「仕事が終わったから休息へ切り替えよう」と単純に反応しているわけではありません。目や耳から入る外部の情報だけでなく、筋肉や関節、内臓など身体内部から伝わる情報も神経系を介して絶えず処理しながら、現在置かれている状況に適した状態へ身体を調整しています。

そのため、仕事場を離れたことと、身体がすぐに休息しやすい状態へ移ることは必ずしも同じではありません。帰宅後も仕事の連絡を確認する、翌日の予定を考える、納期や問題点が気になり続けるといった状況では、仕事そのものは終わっていても、身体にとっては対応すべき刺激が続いていることがあります。

ここで重要になるのが、身体には一定の状態を固定して保つのではなく、状況に応じて変化し続ける働きがあるということです。仕事中には活動へ対応し、食事をするとき、くつろぐとき、眠るときには、それぞれの状況に応じて身体の働きを変えていく。このように環境の変化へ適応できることが、人間の身体にとって重要になります。

睡眠は、この切り替えを考えるうえで分かりやすい例です。睡眠中には意識がなくなるだけではなく、睡眠段階に応じて自律神経活動や心拍、呼吸などにも変化が起こります。つまり眠るという行為は、「身体を使わない時間」ではなく、日中とは異なる生理的な状態へ移行している時間でもあります。

ところが、精神的な緊張が長く続き、寝床に入っても仕事について考え続けていれば、寝つきにくさや睡眠の質の低下につながることがあります。十分に休息できなかった翌朝には疲労感が残り、その状態から再びデスクワークや仕事上のプレッシャーに対応しなければなりません。こうして活動と休息の境目が曖昧になると、「仕事をしているときだけ肩がこる」という状態から、「朝から肩が重い」「休日でも首の張りが抜けない」と感じる状態へ変化していくことがあります。

また、身体の状態を切り替えるためには、身体から適切な情報が神経系へ伝わり、それに応じた調整が行われることが重要です。今どのような姿勢なのか、筋肉や関節がどのような状態なのか、身体内部ではどのような変化が起きているのか。脳と身体との間では、このような情報交換が絶えず行われています。

カイロプラクティックでは、この脳と身体との情報交換を重要視し、神経伝達を阻害している状態を「サブラクセーション(神経伝達の阻害)」と捉えています。前田カイロプラクティック藤沢院では、肩こりや首の張りがあるからといって、硬くなっている筋肉だけを問題としてアジャストメントを行うわけではありません。

視診、静的触診、動的触診、体表温度測定、レントゲン評価など、それぞれ異なる検査から得られる情報を照らし合わせ、その人の身体を評価します。首や肩の筋緊張も一つの所見として確認しますが、「肩が硬い=そこが原因」と決めつけるのではなく、複数の検査結果からサブラクセーションを見極めることを重視しています。

アジャストメントの目的も、仕事上のストレスそのものをなくしたり、肩こりや不眠といった症状を直接取り除いたりすることではありません。サブラクセーションを取り除くことで脳と身体との情報交換が適切に行われる環境を整え、その人自身の身体が置かれている状況に応じて調整できる状態を目指します。

人間の身体には、外部環境が変化しても、それに適応しながら自らの状態を保ち、回復へ向かおうとする「治るチカラ」が備わっています。仕事の責任をなくすことや、職場で起こるすべてのストレスを避けることは現実的ではありません。だからこそ重要なのは、ストレスを一切受けない身体を目指すことではなく、活動する必要があるときには活動し、休息できる状況になれば回復へ向かえるという身体本来の適応力です。

慢性的な肩こりや首の張りを考えるとき、「ストレスが多いから肩がこる」というところで話を終わらせてしまえば、仕事を辞めない限り何も変えられないことになってしまいます。そうではなく、同じ人の身体でも一日の中で求められる状態は刻々と変わっているという視点を持つことで、仕事中の緊張だけでなく、仕事を終えたあとに身体がどのように休息や回復へ向かっているのかまで含めて考えることができます。

■仕事が終わっても緊張が抜けず、肩こりと首の張りが続いていた30代女性の症例

今回ご紹介するのは、Webデザイナーとして働く30代の女性です。一日10時間以上パソコンに向かうことも多く、以前から肩こりや首の張りを感じていましたが、当初は仕事が忙しい日に症状を感じる程度でした。

ところが、プロジェクトリーダーを任されるようになり、自分の作業だけではなく、チーム全体の進行や納期まで意識する立場になったことで生活が変わっていきました。仕事中は常に緊張しているような感覚があり、肩こりや首の張りに加えて、頭痛や眼精疲労も感じるようになりました。

さらに特徴的だったのが、仕事を終えてもその状態が続いていたことです。帰宅後も翌日の仕事や納期が頭から離れず、身体は疲れているのになかなか寝つけない。朝になっても疲労感が残り、十分に回復した感覚がないまま再び仕事へ向かう生活を繰り返していました。

マッサージやストレッチによって一時的に肩が軽くなることはあっても、仕事を再開すると再び肩や首がつらくなる。「仕事を続けている限り、この肩こりとは付き合っていくしかないのかもしれない」と感じるようになり、その後、症状について相談したことをきっかけに前田カイロプラクティック藤沢院へ来院されました。

当院では、長時間のデスクワークや仕事上のストレスだけを原因と決めつけず、複数の検査から身体の状態を評価しました。頸椎から上部胸椎にかけての関節の動きや首・肩周辺の筋緊張、体表温度、レントゲンなどに確認すべき所見がみられ、それらを照らし合わせながらサブラクセーションを見極め、必要と判断した箇所へアジャストメントを行っていきました。

ケアを継続する中で、仕事を終えたあとの肩や首の張りに変化がみられ、頭痛や眼精疲労を感じる頻度も少なくなっていきました。また、それまで身体は疲れているのになかなか眠れなかった状態や、朝まで残っていた疲労感にも変化がみられるようになりました。

この女性の仕事が楽になったわけでも、パソコンを使わなくなったわけでもありません。それでも、仕事の負担を受けるたびに肩や首の張りを強く感じ、その状態を帰宅後や睡眠まで引きずっていた身体には変化がみられました。今回の症例は、仕事による肩こりを「デスクワークだから」「ストレスがあるから」という理由だけで捉えるのではなく、活動した身体がその後どのように休息や回復へ向かっているのかまで見ることの大切さを考える一例です。

実際には、この女性の身体にどのような検査所見が確認され、どのような経過をたどって肩こりや首の張り、頭痛、眼精疲労、睡眠の状態に変化がみられたのか。詳しい内容については、実際の症例報告でご紹介しています。

▶仕事のストレスで慢性化した肩こりと首の張りの詳しい症例報告はこちら

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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。

シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。

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