2026.09.13

生理痛は遺伝する?母娘で似る理由と自律神経、腰痛との関係

カテゴリ: 健康通信
生理痛は遺伝する?母娘で似る理由と自律神経、腰痛との関係

「母親も生理痛がひどかったから、私も仕方がないのかな」
「生理になるたびに下腹部が痛くて、腰痛までつらくなる」
「生理前になると身体が重くなったり、疲れやすくなったりする」

このような生理に伴う不調を抱えている方は少なくありません。特に、母親や姉妹も生理痛が強いと、「生理痛は遺伝するもの」と考えてしまうこともあるでしょう。

一方で、同じ家族でも生理痛の程度には違いがあります。また、以前はそれほど気にならなかったのに、年齢や生活環境の変化とともに、生理痛や腰痛、身体のだるさなどが気になるようになる方もいます。

では、生理痛は本当に遺伝によって決まるのでしょうか。そして、月経周期に伴う身体の変化を考えるとき、「自律神経」はどのように関係しているのでしょうか。生理痛だけを見るのではなく、睡眠や疲労、ストレスなども含めて身体全体に目を向けることで、これまでとは違った捉え方ができるかもしれません。

このコラムでは、生理痛と遺伝との関係を整理しながら、生理痛や腰痛と自律神経の関係、そして自律神経が安定して働くことのメリットについて解説していきます。

■ 生理痛はなぜ起こる?遺伝だけでは決まらない月経時の身体の変化

生理痛は、月経が始まるときに子宮が収縮することで起こる痛みが代表的です。

月経前になると、妊娠に備えて厚くなっていた子宮内膜が、妊娠が成立しなかったことによって体外へ排出されます。このとき、子宮を収縮させる働きを持つ「プロスタグランジン」という物質が関係しています。プロスタグランジンの産生量が多い場合などには、子宮の収縮が強くなり、下腹部に強い痛みを感じることがあります。

また、生理中の不調は下腹部の痛みだけではありません。

腰が重い、腰痛がする、頭痛、吐き気、疲労感、眠気など、さまざまな症状を伴うことがあります。症状の種類や強さには個人差があり、同じ女性でも年齢や生活環境によって変化することがあります。

では、なぜ人によって生理痛の強さが違うのでしょうか。

その一つとして考えられているのが、遺伝的な要素です。母親や姉妹など、近い家族に月経痛が強い人がいる場合、生理痛が強くなりやすい傾向がみられることがあります。

ただし、これは「母親に生理痛があるから、娘も必ず同じように痛くなる」という意味ではありません。

痛みには、月経に伴う身体の変化だけでなく、年齢、睡眠、ストレス、疲労、生活習慣など、さまざまな要素が関係します。そのため、家族に生理痛が強い人がいたとしても、それだけで自分の症状が決まるわけではありません。

さらに、生理痛が強い場合には、単純な月経痛ではなく、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患が背景にあることもあります。

以前はそれほど痛くなかったのに、徐々に生理痛が強くなってきた。鎮痛薬を飲んでも痛みが治まらない。痛みのために仕事や学校、家事などの日常生活に支障が出ている。生理以外の時期にも骨盤周辺の痛みがある。

このような場合には、「体質だから」「母親もそうだったから」と自己判断せず、婦人科などの医療機関で一度確認することが大切です。

特に、これまでとは明らかに違う強い痛みや、年齢とともに悪化している生理痛には注意が必要です。

一方で、生理になると毎回のように下腹部だけでなく腰痛や身体のだるさまで気になるという方もいます。

月経周期によって身体の状態が変化すること自体は自然なことですが、その変化をどの程度感じるのかには大きな個人差があります。

同じような月経周期を過ごしていても、ほとんど不調を感じない人もいれば、生理のたびに仕事や家事を休みたくなるほどつらい人もいます。

この違いを考えると、「生理痛は遺伝するのか」という問いだけでは、十分に説明できない部分が見えてきます。

では、同じような月経の変化が起きているにもかかわらず、なぜ身体のつらさにはこれほど個人差があるのでしょうか。そこには、月経そのものだけではなく、そのときの身体がどのような状態にあるのかという視点も関係してきます。

■自律神経が安定すると、毎月の身体の変化にも対応しやすくなる

生理痛について考えるとき、「痛みをなくすにはどうすればいいか」ということだけに意識が向きがちです。しかし、毎月の月経を身体の一つの変化として考えてみると、痛みだけではなく、睡眠、疲労感、気分、食欲、冷え、腰の重さなど、さまざまな変化が同時に起こっていることに気づくかもしれません。

女性の身体は、月経周期に伴ってホルモン環境が変化します。その変化に合わせて、体温や睡眠、消化、循環など身体のさまざまな機能も影響を受けます。こうした内側の変化に対して、その時々の状態に合わせて身体が対応できることは、日々を快適に過ごすうえで重要です。

そこで意識したいのが、自律神経の働きです。

自律神経は、心臓の動きや呼吸、血圧、消化、発汗など、自分の意思だけでは細かく調整できない身体の機能をコントロールしています。活動するときには身体を活動しやすい状態へ、休むときには回復しやすい状態へ切り替えるなど、環境や状況に合わせて身体を調整しています。

そのため、「自律神経を整える」ということは、単純に副交感神経を優位にすればよいという意味ではありません。大切なのは、必要なときには活動でき、休むべきときにはしっかり休めるように、身体が状況に応じて切り替えられることです。

睡眠不足が続いている、仕事や家事で疲労が蓄積している、精神的な緊張が続いている、運動不足になっているなど、日常生活のさまざまな要因によって身体の調整に負担がかかることがあります。だからこそ、生理痛があるときだけ対処するのではなく、生理がない時期も含めて身体の状態を見ていくことが大切になります。

たとえば、毎月の生理前になると腰が重くなる人であれば、「生理が来たから腰が痛くなった」とだけ考えるのではなく、その前の数日間に睡眠が十分に取れていたか、疲労が蓄積していなかったか、身体を動かす時間があったかなどを振り返ってみるのも一つの方法です。

もちろん、生活習慣を見直したからといって、生理痛が必ずなくなるわけではありません。また、生理痛には婦人科疾患が関係している場合もあります。痛みが年々強くなっている、鎮痛薬を飲んでも改善しない、生理以外の時期にも骨盤周辺に痛みがある、日常生活に支障が出るほどつらいといった場合には、まず婦人科で原因を確認することが大切です。

そのうえで、身体全体のコンディションを整えていくという視点を持つこともできます。

当院では、生理痛そのものだけを見てケアをするのではなく、身体がどのような状態にあり、環境の変化にどのように適応しているのかという視点を大切にしています。

身体の各部位から入ってくる情報は神経を通じて脳へ伝えられ、脳からはその状況に応じた指令が身体へ送られます。この情報交換が適切に行われることで、身体はそのときの環境に合わせて働こうとします。

カイロプラクティックでは、この神経の働きを妨げる要因の一つとして「サブラクセーション(神経伝達の阻害)」という考え方があります。当院では、身体の状態を評価し、必要な部位にアジャストメントを行うことで、神経の働きを妨げている要因を取り除き、身体が本来持っている「治るチカラ」が発揮されやすい環境をつくることを目指しています。

生理痛を「遺伝だから仕方がない」「毎月のことだから我慢するしかない」と決めつける必要はありません。一方で、生理痛だけを一つの原因から説明することもできません。

月経周期、睡眠、疲労、ストレス、運動習慣など、日々の身体の変化に目を向けながら、自分の身体がどのような状態で過ごしているのかを知ること。それが、毎月繰り返される身体の変化と上手につき合っていくための第一歩になるのではないでしょうか。

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中島 恵

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。

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