2026.07.20

寝違えは「寝方」や「枕」が原因ではありません。首が痛くなる本当の原因とは?

カテゴリ: 健康通信
寝違えは「寝方」や「枕」が原因ではありません。首が痛くなる本当の原因とは?

朝起きたら首が痛くて動かせない。後ろを振り向こうとすると痛みが走る。そんな「寝違え」を経験したことがある方は多いのではないでしょうか。

寝違えになると、「変な寝方をしたからかな」「枕が合っていなかったのかもしれない」と考える方が少なくありません。実際に、新しい枕へ買い替えたり、寝る姿勢を工夫したりしている方も多くいらっしゃいます。

しかし、本当に寝違えは寝方や枕だけが原因なのでしょうか。同じ枕で寝ていても寝違える日と寝違えない日がありますし、家族が同じ寝具を使っていても、自分だけが寝違えてしまうこともあります。もし寝方や枕だけが原因なのであれば、この違いを説明することはできません。

実は、寝違えは朝起きた瞬間に始まったのではなく、その前から首には少しずつ負担が蓄積し、身体は何らかのシグナルを発していた可能性があります。つまり、本当に考えるべきなのは「どんな寝方をしたのか」ではなく、「なぜ寝ている間に首へ負担が集中する身体の状態になっていたのか」ということです。

では、寝違えが起こる前に、身体ではどのようなことが起きていたのでしょうか。そして、身体はどのようなシグナルを発していたのでしょうか。

このコラムでは、寝違えが起こる仕組みと、首が痛くなる本当の原因について解説していきます。

■ なぜ寝ているだけで首が痛くなるのでしょうか?

寝違えは、朝起きた時に首が痛くなり、思うように動かせなくなる状態を指します。特に後ろを振り向いたり、左右へ首を回したりすると痛みが強くなり、日常生活にも支障をきたすことがあります。

一般的には、「寝方が悪かった」「変な姿勢で寝てしまった」「枕が合わなかった」と考えられることが多い症状です。しかし、睡眠中は私たちが思っている以上に何度も寝返りを打っています。これは、同じ場所へ負担が集中しないよう、身体が無意識に姿勢を変えながら圧力を分散しているためです。

つまり、本来の身体は、一晩中同じ姿勢で寝続けるようにはできていません。寝返りを繰り返しながら、首や肩、背中にかかる負担を分散し、血液の循環や関節の動きを保とうとしています。

それにもかかわらず寝違えが起こるということは、寝返りだけでは十分に負担を分散できなかった可能性があります。つまり、「寝ていること」が問題なのではなく、寝ている間も首へ負担が集中しやすい身体の状態になっていたことが関係しているのかもしれません。

だからこそ、「寝方が悪かったから寝違えた」「枕が合わなかったから寝違えた」と考えるだけでは、本当の原因を見落としてしまうことがあります。まずは、なぜ寝ている間に首へ負担が集中してしまったのかという視点で身体を見ていくことが大切なのです。

■ 寝違えは、身体が発していたシグナルかもしれません

私たちは眠っている間、一晩に20〜30回ほど寝返りを打つといわれています。

寝返りには、同じ場所へ負担が集中することを防いだり、筋肉や関節への圧力を分散したり、血液の循環を保ったりする大切な役割があります。

しかし、身体のどこかへ負担が集中していたり、首や肩の動きが低下していたりすると、無意識のうちに寝返りが打ちにくくなることがあります。

すると、本来であれば寝返りによって分散されるはずだった負担が首へ蓄積し続け、朝起きた時の強い痛みとして現れることがあります。

実際に寝違えを経験された方へお話を伺うと、「最近、首や肩が張っていた」「デスクワークが続いていた」「疲れがたまっていた」「以前から首を動かしにくかった」といった変化を感じている方も少なくありません。

これらは寝違えそのものではありません。しかし、身体が発していた小さなシグナルだった可能性があります。

つまり、寝違えは朝起きた瞬間に突然始まったものではなく、それまで身体が発していた内なる声が、朝になって痛みという形で表面化した結果とも考えられるのです。

だからこそ、「寝違えたから枕を替えよう」「寝方を変えよう」と考えるだけでは、本当の原因を見落としてしまうことがあります。

大切なのは、身体がどのようなシグナルを発し、なぜ寝返りだけでは負担を十分に分散できない状態になっていたのかを考えることです。身体からのサインに早い段階で気づくことができれば、寝違えを繰り返さない身体づくりにもつながっていくかもしれません。

■ カイロプラクティックが大切にしているのは、脳と身体をつなぐ神経の働きです

寝違えになると、多くの方は、「首を痛めた」「枕が合っていなかったからだ」と考えます。しかし、私たちカイロプラクティックでは、痛みが現れている首だけを見ることはありません。

人間の身体をコントロールしているのは「脳」です。脳は、皮膚や筋肉、関節、内臓など全身から送られてくる情報を受け取り、現在の身体の状態を判断しています。そして、その判断に基づいて神経を介し、筋肉や関節を動かし、内臓の働き、血液循環、リンパの流れなど、身体のさまざまな機能をコントロールしています。

つまり、身体が本来の働きを十分に発揮するためには、「身体から脳へ情報が正しく届くこと」と、「脳から身体へ指令が正しく伝わること」が欠かせません。この双方向の神経伝達が円滑に行われることで、その人が生まれながらに持っている自然治癒力も十分に発揮されるようになります。

私たちカイロプラクターが背骨や骨盤を詳しく評価するのは、そこに脳と身体を結ぶ神経が深く関係しているからです。背骨や骨盤にサブラクセーション(根本原因)が存在すると、脳と身体の間で行われている神経伝達が阻害され、身体が本来持っている機能を十分に発揮しにくくなると考えています。

神経伝達の変化は、痛みだけに現れるとは限りません。皮膚の質感や筋緊張、熱感、浮腫感、関節の可動性だけでなく、内臓の働き、血液循環、リンパの流れなど、身体に現れるさまざまな変化に神経が関与しています。

だからこそ当院では、体表温度検査・視診検査・静的触診・動的触診・レントゲン評価という5つの検査法を組み合わせ、サブラクセーション(根本原因)を多角的に評価しています。それぞれの検査には異なる役割があり、どれか一つの結果だけで判断することはありません。

体表温度検査では、背骨に沿った皮膚温度の変化を計測し、神経機能の変化を客観的な情報として確認します。左右の温度差や継続して現れる変化を確認することで、身体がどこで通常とは異なる反応を示しているのかを評価していきます。

視診検査では、頭や肩の高さ、背骨や骨盤の傾き、重心の偏りなどを確認します。寝違えによって首が痛む場合でも、身体は首だけでバランスを取っているわけではないため、骨盤から背骨、頭の位置までを一つのつながりとして見ることが重要です。

静的触診では、皮膚がサラサラしているのか、ベタついているのか、指先にキュッと吸いつくような質感なのかを丁寧に確認します。さらに、筋緊張、熱感、浮腫感など、画像には映らない軟部組織の変化も、神経機能の状態を読み取るための大切な情報となります。

動的触診では、背骨や骨盤の一つひとつの関節が本来持っている動きを確認します。首を動かしたときの痛みだけではなく、胸椎や骨盤を含めた身体全体の連動性を評価することで、なぜ寝返りによって負担を十分に分散できなかったのかを見極めていきます。

レントゲン評価では、骨格の構造や配列を確認するだけではありません。当院では椎間板の状態を6段階で評価し、サブラクセーション(根本原因)がどの程度の期間にわたって放置され、身体へ影響を及ぼしてきた可能性があるのかを客観的に評価しています。

また、レントゲン評価には、安全にカイロプラクティックケアを行うための重要な役割もあります。生まれつき骨の形に特徴がある方や、骨の数が一般的な構造より多い方・少ない方、椎骨同士が癒合している方など、身体の外側からの検査だけでは分からない個人差も存在するからです。

日本では、カイロプラクターにはレントゲン画像から病名を診断する権限はありません。しかし、安全にカイロプラクティックケアを進めるためには、骨格の状態を正確に把握することが非常に重要です。

そのため当院では、近隣の医療機関と提携し、レントゲン撮影を検査の一つとして取り入れています。そして、身体の状態によっては、カイロプラクティックケアを優先するのではなく、医療機関や専門医への受診をご案内することもあります。

このように、それぞれ異なる角度から得られた情報を総合的に分析し、サブラクセーション(根本原因)を正確に特定することが、カイロプラクティックでは何よりも重要だと私たちは考えています。

寝違えは、寝方や枕だけで起こる単なる首のトラブルではないのかもしれません。もし寝違えを何度も繰り返しているのであれば、痛みが現れている首だけではなく、神経伝達を阻害しているサブラクセーション(根本原因)を正確に特定することが大切です。

脳と身体が円滑に情報をやり取りし、その人が持っている自然治癒力を十分に発揮できるよう、ぜひ日々の健康維持のためにカイロプラクティックケアを役立ててみてください。

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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。

シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。

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