2026.08.05

練習しているのに疲れが抜けない…それは「体力不足」だけが原因ではない|回復を支える自律神経の働き

カテゴリ: 健康通信
練習しているのに疲れが抜けない…それは「体力不足」だけが原因ではない|回復を支える自律神経の働き

「毎日練習しているのに、疲れがなかなか抜けない。」
「休んだはずなのに身体が重い。」
「ケガが治りにくく、思うように練習へ復帰できない。」

学生アスリートから、このような相談を受けることは少なくありません。

練習量が多ければ疲れるのは当然です。しかし、同じチームで同じ練習をしていても、翌日には元気にプレーできる選手がいる一方で、疲労が抜けず、ケガを繰り返してしまう選手もいます。この違いは、筋力や体力だけで説明できるものではありません。

私たちの身体は、練習が終わった後や睡眠中に、傷ついた筋肉や組織を修復し、エネルギーを回復させ、翌日のパフォーマンスに備えています。この「回復」をコントロールしている重要な仕組みの一つが、自律神経です。

自律神経というと、「ストレス」や「リラックス」を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実際には、疲労回復や睡眠の質、筋肉の修復、免疫機能など、スポーツを続けるうえで欠かせない働きにも深く関わっています。

今回のコラムでは、なぜ同じ練習をしていても回復に差が生まれるのか、自律神経がスポーツパフォーマンスや回復力にどのように関わっているのか、そしてカイロプラクティックではなぜ神経の働きを大切に考えているのかについてお伝えしていきます。

■ 身体は「練習中」ではなく、「回復している時間」に強くなります

スポーツで上達するためには、練習量を増やすことが大切だと考えられがちです。しかし、実際に身体が強くなるのは、練習をしている時間ではありません。練習によって受けた負荷から回復している時間に、身体は少しずつ適応し、より強く、より動きやすい状態へと変化していきます。

例えば、筋力トレーニングを行うと筋肉には細かな損傷が生じます。その後、十分な栄養と休息を取ることで筋肉は修復され、以前よりも強くなる「超回復」という現象が起こります。これは筋肉だけではなく、腱や靭帯、骨などの組織にも、それぞれの回復の過程があります。

また、スポーツで身につけたフォームや技術も、練習中だけで完成するわけではありません。脳は練習で得た情報を整理し、睡眠中に神経回路を強化することで、動きをよりスムーズに再現できるようになることが分かっています。そのため、質の高い睡眠は、身体の回復だけでなく、技術の習得にも欠かせない要素です。

一方で、回復が追いつかない状態で練習を続けると、疲労は少しずつ蓄積していきます。最初は「身体が重い」「動きが悪い」「集中力が続かない」といった小さな変化かもしれません。しかし、その状態が続くことでフォームが崩れたり、一部の筋肉や関節へ負担が集中したりして、スポーツ障害につながる可能性があります。

だからこそ、近年のスポーツ医学では、「どれだけ練習したか」と同じくらい、「どれだけ回復できているか」が重要視されています。練習・栄養・睡眠・休養は、それぞれが独立したものではなく、競技力を高めるために欠かせない一つのサイクルなのです。

では、同じ練習量でも「回復が早い選手」と「疲労がなかなか抜けない選手」がいるのは、なぜなのでしょうか。その違いを考えるうえで欠かせないのが、自律神経の働きです。

■ 回復力は「若さ」だけでは決まりません|自律神経が回復のスイッチを握っています

「学生だから回復が早い」「若いから一晩寝れば疲れは取れる」と思われることがあります。

もちろん、成長期は細胞の代謝が活発で、大人に比べて回復しやすい面があることは事実です。しかし実際には、同じ年代で同じ練習をしていても、疲れがすぐに抜ける選手もいれば、翌日まで疲労が残る選手、ケガを繰り返してしまう選手もいます。

この違いは、筋力や体力だけでは説明できません。

私たちの身体は、24時間休むことなく働いています。心臓を動かし、呼吸を整え、食べたものを消化・吸収し、傷ついた筋肉や組織を修復するなど、自分の意思とは関係なく身体をコントロールしているのが自律神経です。

自律神経には、活動するときに優位になる「交感神経」と、休息や回復を担う「副交感神経」があります。

練習や試合では、交感神経が優位になることで心拍数が上がり、筋肉へ多くの血液が送られ、高いパフォーマンスを発揮できる状態になります。一方で、練習が終わった後も交感神経が働き続けてしまうと、身体は十分な「回復モード」へ切り替わりにくくなります。

本来であれば、副交感神経が優位になることで血流が保たれ、傷ついた組織の修復やエネルギーの補給、成長ホルモンの分泌、免疫機能など、身体の回復に必要な働きが活発になります。つまり、「どれだけ練習したか」だけではなく、「どれだけ回復モードへ切り替えられているか」も、競技力を左右する大切な要素なのです。

近年では、スポーツ科学の分野でも、自律神経のバランスを評価するために心拍変動(Heart Rate Variability:HRV)が活用されることがあります。HRVは、身体がどれだけ回復できているか、疲労が蓄積していないかを把握する一つの指標として、多くのトップアスリートやプロスポーツチームでもコンディション管理に利用されています。

つまり、「疲れが抜けない」「ケガが治りにくい」「身体が重い」といった状態は、単に練習量が多いからではなく、自律神経が十分に回復モードへ切り替わっていないサインである可能性も考えられます。

だからこそ、回復力を高めるためには、睡眠や栄養だけでなく、身体が本来持っている回復の仕組みが十分に働ける状態を整えることも大切です。

では、その回復の仕組みを支えている脳と神経の働きを、カイロプラクティックではどのように考え、どのような検査を行っているのでしょうか。

■ 回復力を支えるのは、脳と身体をつなぐ神経の働きです|カイロプラクティックが大切にしている身体の評価

スポーツにおける回復を考えるとき、多くの方は「筋肉の疲労」や「ストレッチ不足」「睡眠時間」といった部分に注目するかもしれません。

もちろん、十分な睡眠や栄養、適切な休養は身体を回復させるために欠かせません。しかし、それらを身体の中で実際に働かせているのは、脳と身体をつなぐ神経の仕組みです。

人間の身体は、脳が司令塔となって全身をコントロールしています。脳は、筋肉、関節、皮膚、内臓などから送られてくる情報を神経を通じて受け取り、「今、身体がどのような状態なのか」を判断しています。

そして、その情報をもとに、筋肉をどのように動かすのか、身体のバランスをどのように保つのか、休息時にはどのように回復を進めるのかを調整しています。

スポーツでは、この脳と身体の情報伝達が非常に重要です。

例えば、ボールを投げる、走る、ジャンプする、相手の動きに反応するといった動作は、筋肉だけの力で行っているわけではありません。関節の位置、筋肉の緊張状態、身体のバランスなど、全身から送られる情報を脳が瞬時に処理することで、正確で効率的な動きが可能になります。

また、練習によって生じた疲労から回復するためにも、身体の状態を正しく把握し、必要な調整を行う神経の働きが重要になります。

私たちカイロプラクターは、この脳と身体の情報伝達を妨げている可能性があるサブラクセーション(根本原因)を正確に特定することを大切にしています。

サブラクセーション(根本原因)が存在すると、身体から脳へ送られる情報や、脳から身体へ送られる指令が円滑に行われにくくなり、身体本来の機能が十分に発揮しにくい状態になる可能性があると考えています。

そのため、当院では「身体全体のバランスを整える」という考え方ではなく、身体に現れているさまざまな情報をもとに、神経機能に関係するサブラクセーション(根本原因)を評価することを重要視しています。

具体的には、

体表温度検査
視診検査
静的触診
動的触診
レントゲン評価

という5つの検査を組み合わせ、一つの情報だけで判断するのではなく、複数の検査結果を照らし合わせながら評価していきます。

体表温度検査では、背骨に沿った皮膚温度の変化を確認し、神経機能の変化を客観的な情報として評価します。

視診検査では、頭部や肩、背骨、骨盤の位置、身体の使い方などを確認し、スポーツ動作の中でどのような負担が生じやすい状態なのかを見ていきます。

静的触診では、筋緊張、熱感、浮腫感、皮膚の質感など、画像では確認できない身体の変化を評価します。

動的触診では、背骨や骨盤の一つひとつの関節が本来の動きを保っているかを確認し、身体の連動性を評価します。

そしてレントゲン評価では、骨格の構造や椎間板の状態を確認し、安全性を確保しながら身体の状態を客観的に把握します。

これらの検査を行う目的は、たくさんの場所へアジャストメントを行うためではありません。本当に必要な場所を正確に見極めるためです。

カイロプラクティックでは、身体を外から無理に変えることを目的としているわけではありません。身体を治す主役は、その人自身が生まれながらに持っている自然治癒力です。

私たちカイロプラクターは、神経伝達を阻害している可能性があるサブラクセーション(根本原因)を評価し、脳と身体が円滑に情報をやり取りできる環境を整えることで、その人が本来持っている回復する力や適応する力を十分に発揮しやすい状態を目指します。

学生アスリートにとって大切なのは、痛みが出た後に対処することだけではありません。日々の練習で最高のパフォーマンスを発揮し、成長し続けるためには、自分自身の身体の状態を知り、回復できる身体づくりを行うことが重要です。

「疲れが抜けない」「以前より身体が動かしにくい」「ケガを繰り返している」と感じたときこそ、身体からのサインに目を向けるタイミングかもしれません。

スポーツにおいて、良いパフォーマンスを発揮するためには、練習量を増やすことだけが重要なのではありません。

身体は、練習によって受けた負荷から回復することで成長し、より強く、より効率よく動けるようになります。そのため、「どれだけ頑張ったか」と同じくらい、「どれだけ回復できているか」という視点が大切です。

疲れが抜けない、身体が重い、ケガを繰り返すという状態は、単純に体力不足や年齢の問題ではありません。睡眠、栄養、休養に加えて、脳と身体をつなぐ神経の働きや、自律神経による身体の調整機能など、さまざまな要素が関係しています。

また、身体は痛みが出る前から、「動きの変化」「疲労感」「違和感」といった小さなサインを発しています。そのサインに早く気づき、自分自身の身体の状態を知ることが、ケガの予防やパフォーマンス向上への第一歩になります。

カイロプラクティックは、単に疲れを取ることや身体を柔らかくすることを目的としているわけではありません。5つの検査を通じて身体の状態を評価し、サブラクセーション(根本原因)を正確に特定することで、脳と身体が円滑に情報をやり取りできる状態を目指します。

身体を変える主役は、その人自身が持っている自然治癒力です。私たちカイロプラクターは、その力が十分に発揮されるための環境づくりをサポートしています。

学生アスリートにとって、今の身体づくりは将来の競技人生にもつながります。

「痛くなってからケアをする」のではなく、「最高のパフォーマンスを発揮し続けるために身体を知る」という考え方を持つことが、長くスポーツを続けるためには大切です。

藤沢市でスポーツによる疲労、コンディショニング、ケガの予防についてお悩みの学生アスリートや保護者の方からもご相談をいただいています。

日々の練習や試合で自分の力を十分に発揮するためにも、ご自身の身体の状態を一度詳しく確認し、健康管理やコンディショニングの一つとしてカイロプラクティックケアを役立ててみてください。

ご予約・お問合せはお電話またはLINEから

お電話での予約
TEL:0466-21-9624
LINEでの予約
QRコードを読み取り、トーク画面から「予約希望」とご連絡ください。
中島 恵

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。

コラム一覧へ戻る
pagetop