2026.08.04

マッサージでも改善しない肩こり、その原因は筋肉だけではないかもしれません

カテゴリ: 健康通信
マッサージでも改善しない肩こり、その原因は筋肉だけではないかもしれません

肩が重くて仕事や家事に集中できない。マッサージを受けると一時的には楽になるけれど、数日するとまた元に戻ってしまう。そんな肩こりに長年悩まされている方は少なくありません。

最近では、デスクワークやスマートフォンの使用時間が増え、肩こりを訴える方は年々増加しています。さらに、育児や介護、家事などが重なることで、身体への負担は知らず知らずのうちに積み重なっていきます。

「肩こりくらいなら仕方がない」と我慢している方もいらっしゃいますが、中には肩こりだけではなく、首の重さや頭の重さ、疲れが取れない、眠りが浅いなど、日常生活に影響を及ぼすほど症状が進行してしまうケースもあります。

このような症状が続くと、「もっと肩をほぐさなければ」「血流が悪いからマッサージへ行こう」と考えるのは自然なことです。しかし、何度マッサージを受けても改善しない場合は、肩そのものではなく、別のところに原因が隠れている可能性も考えなければなりません。

当院にも、「どこへ行っても改善しなかった肩こり」や、「肩だけではなく頭まで重くなってしまった」とお悩みの患者様が多く来院されています。そのような方々を評価していると、肩の筋肉だけでは現在の身体の状態を十分に説明できないケースを数多く経験します。

肩こりは、単なる筋肉疲労ではなく、身体全体のバランスや神経の働きが関係していることもあります。そのため、症状が出ている場所だけを見るのではなく、「なぜ肩へ負担が集中しているのか」という視点で身体を考えることが大切です。

このコラムでは、マッサージでも改善しない肩こりの原因について解説していきます。

■肩こりはなぜ起こるのでしょうか?

肩こりは、日本人が抱える身体の不調の中でも特に多い症状の一つです。「夕方になると肩が重くなる」「肩が張って頭まで痛くなる」「慢性的に肩が凝っていて、それが当たり前になっている」という方も少なくありません。

肩こりが起こる理由としてよく知られているのが、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用です。同じ姿勢が続くことで首や肩の筋肉に負担がかかり、筋肉が緊張した状態が続きます。また、パソコン作業では無意識のうちに画面へ顔を近づけたり、肩に力が入ったまま仕事を続けたりすることも多く、それが肩こりを引き起こす大きな要因になると考えられています。

さらに近年では、在宅勤務の普及により身体を動かす機会が減少し、育児や介護、家事などで同じ動作を繰り返すことも肩への負担を大きくしています。運動不足や睡眠不足、精神的なストレスなども重なることで、首や肩の筋肉は休む時間を失い、慢性的な肩こりへとつながってしまうことがあります。

筋肉が緊張すると、その周囲の血流が低下しやすくなります。すると筋肉に十分な酸素や栄養が届きにくくなり、疲労物質も溜まりやすくなるため、重だるさや張り感、痛みなどを感じやすくなります。そのため、多くの方は「肩の筋肉をほぐせば楽になる」と考え、マッサージやストレッチ、湿布などで症状を和らげようとします。

実際に、これらの方法によって一時的に肩が軽くなることは珍しくありません。硬くなっていた筋肉がほぐれることで血流が改善し、肩の動きが楽になったように感じることもあります。

しかし、その効果が数時間から数日しか続かず、再び同じ肩こりを繰り返してしまう方が多いのも事実です。「その場では気持ちがいいけれど、またすぐ元に戻ってしまう」「定期的にマッサージへ通わないとつらくなる」という経験をされた方も多いのではないでしょうか。

では、なぜ肩をほぐしているにもかかわらず、肩こりは何度も繰り返してしまうのでしょうか。

その理由を考えるためには、「肩こり=肩だけの問題」という見方ではなく、もう少し違った視点から身体を見ていく必要があります。次の章では、肩こりに対する考え方を少し変えてみることで見えてくる、新しい視点について解説していきます。

■肩こりは「肩だけ」の問題なのでしょうか?

肩こりがつらいと、どうしても「肩の筋肉が悪い」「肩が硬くなっていることが原因だ」と考えてしまいがちです。そのため、多くの方は肩をもみほぐしたり、ストレッチをしたり、温めたりすることで改善を目指します。

もちろん、肩の筋肉が緊張していることは間違いありません。しかし、それだけで慢性的な肩こりをすべて説明できるのであれば、マッサージやストレッチを受けた多くの方が、そのまま改善しているはずです。

実際には、「その日は楽だったけれど翌日には戻ってしまった」「定期的に通わないと肩こりがひどくなる」と感じている方は少なくありません。このようなケースでは、肩こりそのものが原因なのではなく、肩こりを引き起こしている別の要因が存在している可能性があります。

私たちの身体は、とても合理的にできています。どこか一か所に負担が集中すると、その負担を補うために別の場所が自然と働きます。これは身体を守るために備わっている大切な仕組みです。

例えば、姿勢が崩れたり、身体のバランスが乱れたりすると、そのままでは日常生活を送ることが難しくなります。そこで身体は倒れないように、頭を支えられるように、あるいはスムーズに動けるように、さまざまな筋肉を使ってバランスを保とうとします。

その結果として首や肩の筋肉が働き続ければ、筋肉は疲労し、肩こりという症状が現れてきます。つまり、肩こりは身体が頑張った結果として起きている可能性があるのです。

このように考えると、「肩をほぐすこと」と「肩こりを繰り返さない身体を目指すこと」は、必ずしも同じではありません。肩の筋肉を柔らかくすることは大切ですが、それ以上に「なぜ肩が頑張り続けなければならない状態になっているのか」を考えることが重要になります。

慢性的な肩こりに悩んでいる方ほど、症状が出ている肩だけを見るのではなく、身体全体を一つのつながりとして捉える視点が必要です。そして、その視点から身体を見直すことで、これまでとは違った改善への糸口が見えてくることがあります。

次の章では、当院が肩こりをどのような考え方で評価し、なぜ肩だけではなく身体全体を確認しているのかについて詳しく解説していきます。

■肩こりは、肩が悪いから起きているとは限りません

肩こりが続くと、「肩の筋肉が硬くなっているから、肩をほぐせば良くなる」と考えるのは、ごく自然なことです。実際に、マッサージやストレッチで一時的に楽になる方もいらっしゃいます。

しかし、それでも同じ肩こりを何度も繰り返してしまう場合、当院では「肩が悪い」とは考えません。なぜなら、筋肉は何も理由がなく硬くなるわけではなく、その筋肉が頑張らなければならない身体の状態があると考えているからです。

例えば、デスクワークやスマートフォンの使用が続くと、頭は少しずつ身体より前へ出た姿勢になりやすくなります。頭の重さは体重の約10%あるといわれていますが、本来は背骨や骨格が効率よく支えています。しかし、頭が前方へ移動すると、骨格だけでは支えきれなくなり、首や肩の筋肉が頭を支える役割を代わりに担うようになります。その状態が長く続けば、筋肉は休むことができず、肩こりとして現れてきます。

また、頸椎に負担が加わり、骨格が本来の働きを十分に発揮できなくなると、身体は頭を守ろうとして首や肩の筋肉をさらに緊張させます。さらに、仕事や家事、育児、介護などによる身体的・精神的な負担が積み重なると、交感神経が過剰に働き、全身の筋肉が力を抜きにくい状態になることがあります。このような状態では、肩だけをほぐしても、再び肩へ負担が集中しやすくなります。

つまり、肩こりは肩そのものが悪いのではなく、身体が頭を守り、姿勢を保ち続けようとした結果として現れていることがあるのです。言い換えれば、肩は悪者ではありません。あなたの身体が毎日の生活を支えるために、休むことなく働き続けている存在なのです。

だからこそ当院では、「肩が凝っているから肩を何とかする」という考え方ではなく、「なぜ肩が頑張り続けなければならない身体になったのか」を大切にしています。肩こりという結果だけを見るのではなく、姿勢や背骨の状態、神経の働き、身体全体のバランスを総合的に評価し、その方にとって本当の負担がどこにあるのかを見極めながらケアを行っています。

肩こりは、単なる疲労ではなく、身体からの大切なメッセージかもしれません。そのメッセージを「肩だけの問題」として終わらせるのではなく、「なぜその症状が現れているのか」という視点で身体を見つめ直すことが、慢性的な肩こりを改善するための大切な第一歩になると当院では考えています。

同じようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ実際の症例もご覧ください。
▶眠れないほど悪化した肩こりと頭の重さ

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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。

シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。

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