2026.08.30

更年期になると腰痛が悪化するのはなぜ?女性ホルモンと身体の変化

カテゴリ: 健康通信
更年期になると腰痛が悪化するのはなぜ?女性ホルモンと身体の変化

「更年期に入ってから、以前より腰痛がつらくなった。」
「突然身体が熱くなり、汗が止まらなくなることがある。」
「腰痛だけではなく、ほてりや発汗、眠りにくさまで重なり、毎日がつらい。」

このように、更年期を迎える頃から、それまでとは違った身体の変化に悩まされる女性は少なくありません。

更年期には、ほてりや発汗、動悸、頭痛、めまい、不眠など、さまざまな症状が現れることがあります。また、それまで感じていた肩こりや腰痛などが以前より気になるようになり、「これも更年期と関係しているのだろうか」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。

特に、もともと慢性的な腰痛を抱えていた方にとって、更年期を境に痛みまで強くなれば、「年齢のせいだから仕方がないのかな」「これからもっと悪くなってしまうのではないか」と不安になるものです。

もちろん、腰痛にはさまざまな原因が考えられます。また、更年期にみられる症状の中には別の疾患によって起こるものもあるため、強い症状やこれまでになかった身体の変化がある場合には、自己判断せず医療機関で適切な検査を受けることが大切です。

では、なぜ更年期になると、ほてりや発汗などの症状だけではなく、腰痛など身体の不調まで強く感じることがあるのでしょうか。

更年期だから、年齢だからと身体の変化を一括りにするのではなく、この時期に身体の中で何が起こっているのかを知ることも大切です。

このコラムでは、更年期に起こる身体の変化と腰痛との関係、そして更年期の身体を考えるうえで大切な視点について解説していきます。

■更年期には身体にどのような変化が起こるのでしょうか?

更年期とは、閉経を挟んだ前後約10年間を指します。日本人女性の閉経年齢は一般的に50歳前後とされているため、個人差はありますが、45歳頃から55歳頃までが更年期にあたることが多くなります。

この時期に大きく変化するのが、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌です。閉経が近づくにつれて卵巣の機能が低下すると、エストロゲンの分泌量は大きく揺らぎながら、次第に減少していきます。

エストロゲンは月経や妊娠だけに関わっているホルモンではありません。骨や血管、皮膚など、女性の身体のさまざまな働きに関係しているため、更年期にその分泌が変化すると、身体にもさまざまな変化が現れることがあります。

代表的なものが、突然身体が熱くなるほてりやホットフラッシュ、大量の発汗です。そのほかにも、動悸、頭痛、めまい、眠りにくさ、疲労感、気分の変化など、その現れ方は人によって大きく異なります。

また、更年期には肩こりや腰痛、関節の痛みなど、筋肉や関節に関係する症状を感じる方もいます。加齢による筋力や骨の変化、生活習慣など複数の要因が重なることもあり、それまで抱えていた腰痛が以前より気になるようになる場合もあります。

こうした更年期の症状が日常生活に支障をきたす状態を「更年期障害」と呼びます。症状が強い場合には、医療機関で状態を確認したうえで、必要に応じてホルモン補充療法や薬物療法などが行われます。

ただし、更年期を迎えたすべての女性に同じ症状が現れるわけではありません。ほとんど症状を感じずに過ごす方がいる一方で、ほてりや発汗、不眠など複数の症状によって日常生活に大きな影響を受ける方もいます。

では、同じように女性ホルモンが変化する時期を迎えているにもかかわらず、なぜ症状の現れ方や程度には大きな違いがあるのでしょうか。次の章では、更年期に起こるホルモンの変化だけではなく、その変化に身体がどのように適応しているのかという視点から考えていきます。

■同じ更年期でも、症状が強く現れる人と現れない人がいるのはなぜでしょうか?

更年期を迎えると、卵巣機能の低下に伴って女性ホルモンの分泌が大きく変化します。しかし、同じように更年期を迎えても、ほとんど症状を感じない人もいれば、ほてりや大量の発汗、眠りにくさ、疲労感、腰痛など、さまざまな不調に悩まされる人もいます。

この違いを考えるうえで大切なのは、女性ホルモンの変化そのものだけではなく、その変化に身体がどのように適応しているのかという視点です。

私たちの身体では、体温や血圧、心拍、発汗、睡眠など、自分の意思では直接コントロールできないさまざまな働きが絶えず調整されています。こうした身体の調整に深く関わっているのが自律神経です。

更年期には女性ホルモンの分泌が大きく変化するため、それに伴って身体にはさまざまな変化が生じます。大切なのは、その変化に対して身体が適切に対応できる状態にあるかどうかです。

そして、身体が周囲の環境や体内の変化に適応するためには、脳と身体との情報交換が適切に行われていることが重要です。身体から送られてくるさまざまな情報は神経を通して脳へ届けられ、脳はその情報をもとに身体の状態を把握し、そのとき必要な指令を再び神経を通して全身へ送り返しています。

カイロプラクティックでは、この脳と身体との情報交換を妨げる状態を「サブラクセーション」と呼んでいます。サブラクセーションによって神経伝達が阻害されれば、身体から脳へ届けられる情報にも影響が及び、その人が本来持っている身体の調整機能を十分に発揮しにくくなると考えます。

だからこそ前田カイロプラクティック藤沢院では、「更年期だから女性ホルモンだけを見る」「腰が痛いから腰だけを見る」という考え方はしていません。レントゲン評価、視診、静的触診、動的触診、体表温度測定など複数の検査を組み合わせ、その人の身体全体を評価することを大切にしています。

カイロプラクティックの目的は、更年期障害や腰痛といった症状を直接取り除くことではありません。神経の働きを妨げているサブラクセーションを見極め、必要な箇所へアジャストメントを行うことで、脳と身体との情報交換が適切に行われる環境を整えていきます。その結果として、その人自身が生まれながらに持っている「治るチカラ」が最大限に発揮できる状態を目指します。

更年期という身体が大きく変化する時期だからこそ、「年齢だから仕方がない」と身体の可能性まで決めてしまうのではなく、その人の身体が変化にどのように適応しているのかまで含めて考えることが大切です。

では実際に、長年続いていた慢性腰痛に加えて、ほてりや大量の発汗などに悩まされるようになった方の身体には、どのような状態が確認されたのでしょうか。次の章では、実際に当院へ来院された方の症例をご紹介します。

■慢性腰痛に加えて、ほてりや大量の発汗に悩まされていた実際の症例

今回ご紹介するのは、20代の頃から慢性的な腰痛を抱え、更年期を迎える頃から突然のほてりや大量の発汗などにも悩まされるようになった40代の女性です。

腰痛は以前から良い時期と悪い時期を繰り返していましたが、40代に入ってから身体の状態が大きく変化しました。突然身体が熱くなって汗が噴き出したり、夜になかなか寝つけなかったりするようになり、それまでの腰痛も以前より強く感じるようになっていました。

特に仕事中のほてりと発汗は大きな悩みとなり、周囲の人が普通に過ごしている中でも一人だけ大量の汗をかいてしまうことがありました。腰痛だけではなく複数の身体の変化が重なったことで、日常生活にも負担を感じるようになっていました。

前田カイロプラクティック藤沢院では、「腰が痛いから腰だけを見る」「更年期だから女性ホルモンだけの問題と考える」のではなく、レントゲン評価、視診、静的触診、動的触診、体表温度測定など複数の検査を組み合わせ、身体全体の状態を詳しく評価しました。

検査では、腰部や骨盤周辺だけではなく、身体の複数の箇所に可動性の低下や筋肉の緊張、体表温度の左右差など、神経機能への影響を考えるうえで重要な変化が確認されました。そこで、それぞれの検査結果を照らし合わせながらサブラクセーションを見極め、必要と判断した箇所へアジャストメントを行っていきました。

ケアを継続する中で、長年繰り返していた腰痛に変化がみられるようになりました。さらに、突然現れていたほてりや大量の発汗にも変化が現れ、夜の寝つきや日中の過ごしやすさにも変化がみられるようになりました。

その後は、腰の状態を以前ほど気にすることなく生活できるようになり、仕事中に悩まされていた突然のほてりや大量の発汗もほとんど気にならない状態となりました。

この症例で、カイロプラクターが更年期障害や慢性腰痛を直接治したわけではありません。当院が行ったのは、その人の身体を詳しく評価し、神経の働きを妨げているサブラクセーションに対して必要なアジャストメントを行うことです。

身体を回復へ導いているのは、その人自身が生まれながらに持っている「治るチカラ」です。その力が最大限に発揮できるよう、神経の働きを整え、脳と身体との情報交換が適切に行われる環境をつくることが、カイロプラクティックの大切な役割です。

更年期は身体が大きく変化する時期ですが、「更年期だから仕方がない」「年齢だから腰が痛くても仕方がない」と身体の可能性まで決めつける必要はありません。症状だけを見るのではなく、その人の身体が変化にどのように適応しているのかまで含めて評価することも大切です。

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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。

シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。

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