寝ても疲れが取れないのはなぜ?睡眠と自律神経の深い関係
「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない。」
「朝起きた瞬間から身体が重い。」
「睡眠時間は十分なのに、日中も眠気が続いてしまう。」
このようなお悩みを抱えている方は少なくありません。
「年齢のせいかな」「仕事が忙しいから仕方ない」と考えてしまう方もいらっしゃいますが、睡眠時間を確保しているにもかかわらず疲れが取れない場合は、「眠る時間」だけではなく「眠りの質」に目を向けることが大切です。
私たちの身体は、眠っている間に単に休んでいるわけではありません。脳や身体を休息させるだけでなく、傷ついた組織の修復や疲労の回復、ホルモンの分泌、免疫機能の調整など、健康を維持するためのさまざまな働きが行われています。
しかし、こうした回復の仕組みは、ただ長く眠れば十分に働くというものではありません。睡眠中の身体の状態によっては、十分な睡眠時間を確保していても、本来の回復力を発揮できないことがあります。
その背景には、自律神経の働きが関係していることも少なくありません。
今回のコラムでは、「寝ても疲れが取れない」と感じる方へ向けて、睡眠と自律神経の関係、そして身体の中で何が起きているのかについて解説していきます。
■ 睡眠中こそ、身体は最も忙しく働いています
「眠っている間は、身体も休んでいる。」
多くの方は、そのように考えているのではないでしょうか。しかし実際には、私たちの身体は睡眠中こそ健康を維持するために休むことなく働き続けています。
例えば、日中に傷ついた細胞や組織の修復、疲労の回復、成長ホルモンの分泌、免疫機能の調整など、人間が健康に生きていくために欠かせない働きの多くは睡眠中に行われています。つまり、睡眠とは単に身体を休ませる時間ではなく、「身体を修復する時間」なのです。
また、脳にとっても睡眠は非常に重要な時間です。
日中に得た膨大な情報を整理し、必要な記憶を定着させたり、不要な情報を整理したりする作業も睡眠中に行われています。そのため、睡眠不足が続くと集中力や判断力、記憶力の低下を感じやすくなるのは、脳が十分に働くための準備が整っていないからです。
さらに、睡眠中には自律神経の働きも大きく変化します。
日中は活動を支える交感神経が優位となりますが、眠りにつくと身体を休ませる副交感神経が優位となり、心拍数や血圧、呼吸は穏やかになっていきます。この切り替えがスムーズに行われることで、身体は効率よく回復モードへ入り、翌日に向けた準備を進めることができます。
つまり、私たちが眠っている間も、身体は決して休んでいるわけではありません。
脳は神経系を通じて全身へ指令を送り続け、細胞を修復し、免疫機能を調整し、ホルモンを分泌しながら、翌日も健康に活動できる身体をつくり続けています。
では、十分な睡眠時間を確保しているにもかかわらず、「寝ても疲れが取れない」と感じる方の身体では、一体何が起きているのでしょうか。
■ 自律神経のバランスが乱れると、眠っていても十分に回復できないことがあります
睡眠中に身体が修復されるためには、十分な睡眠時間だけではなく、自律神経が本来の働きを発揮できる状態であることも重要です。
私たちの身体には、活動するときに働く交感神経と、休息や回復を担う副交感神経があります。日中は交感神経が優位になることで集中力が高まり、仕事や家事、運動などを行うことができます。そして夜になると、副交感神経が優位へ切り替わることで、身体は回復モードへ移行し、睡眠中に細胞や組織の修復、疲労回復、免疫機能の調整などが行われます。
しかし、精神的なストレスや慢性的な疲労、不規則な生活習慣などによって交感神経が過剰に働いた状態が続くと、この切り替えがスムーズに行われなくなることがあります。
すると、本来であれば眠っている間に下がるはずの心拍数や血圧が十分に落ち着かず、筋肉の緊張も抜けにくくなります。身体は横になって眠っていても、神経系は活動モードから回復モードへ完全に切り替わることができず、十分な修復が行われないまま朝を迎えてしまうことがあります。
その結果、「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」「朝から身体が重い」「日中も眠気やだるさが続く」といった状態につながることがあります。
つまり、「眠ること」と「身体が回復すること」は必ずしも同じではありません。
睡眠時間が長くても、自律神経が本来のリズムで働けていなければ、身体は十分に回復することができない可能性があります。
では、自律神経はどのようにコントロールされ、なぜそのバランスが乱れてしまうのでしょうか。そして、カイロプラクティックでは、この神経系の働きをどのように考えているのでしょうか。
■ 自律神経は、身体から脳へ送られる情報によってコントロールされています
「自律神経を整えましょう。」
最近では、このような言葉を耳にする機会も増えました。しかし、自律神経は意識して動かせるものではありません。
「今日から副交感神経を優位にしよう」と思っても、心拍数や血圧、呼吸、胃腸の働きを自分の意思で自由にコントロールすることはできません。これらはすべて、脳が身体の状態を判断し、自律神経を通して自動的に調整している生命維持システムだからです。
では、脳は何を基準に身体の状態を判断しているのでしょうか。その判断材料となるのが、身体中から脳へ送られてくる膨大な神経情報です。
例えば、関節がどの位置にあるのか、筋肉がどれくらい伸びているのか、身体は左右どちらへ傾いているのか、頭の位置は正常に保たれているのかなど、身体では毎秒膨大な情報が神経を通して脳へ送られています。
脳は、それらの情報を24時間365日休むことなく統合・分析し、「今の身体にとって最も適した状態」を維持できるよう、自律神経を介して心拍や血圧、呼吸、体温、ホルモン分泌、免疫機能などを細かくコントロールしています。
つまり、自律神経は単独で働いているのではなく、身体から脳へ送られる情報をもとに働いているのです。カイロプラクティックでは、この「身体から脳へ送られる情報」の質をとても重要視しています。
そのため、私たちは「寝ても疲れが取れない」という症状だけを見て判断することはありません。体表温度検査、視診検査、静的触診、動的触診、レントゲン評価など、それぞれ異なる検査を組み合わせながら、身体から脳へ送られる神経情報に影響を及ぼしている可能性がある部位はどこなのかを総合的に評価しています。
なぜなら、同じ「寝ても疲れが取れない」というお悩みでも、その背景にある身体の状態は一人ひとり異なるからです。
睡眠時間を増やすことや生活習慣を見直すことももちろん大切です。しかし、それでも疲れが取れない状態が続いているのであれば、身体では別のことが起きている可能性も考えなければなりません。
睡眠は、人生のおよそ3分の1を占める大切な生命活動です。その貴重な時間に身体が十分な回復を行えない状態が続けば、疲労は少しずつ蓄積し、本来持っている力を十分に発揮できなくなってしまうこともあります。
「寝ても疲れが取れないのは年齢のせいだから。」
「仕事が忙しいから仕方がない。」
そう決めつけてしまう前に、一度ご自身の身体の状態を確認してみることも大切です。ぜひ日々の健康維持のために、カイロプラクティックケアを役立ててみてください。
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執筆者前田 一真
神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。
シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。


