2026.09.17

坐骨神経痛で歩くのもつらい。腰痛から脚のしびれへ広がる身体で何が起こる?

カテゴリ: 健康通信
坐骨神経痛で歩くのもつらい。腰痛から脚のしびれへ広がる身体で何が起こる?

「お尻から脚にかけて電気が走るように痛む。」
「少し歩くだけで脚にしびれが広がり、体重をかけるのが怖い。」
「最初は腰痛だけだったのに、いつの間にか脚まで痛くなってきた。」

腰の張りや痛みだけだったものが、ある時から臀部へ広がり、さらに太ももやふくらはぎ、足先まで痛みやしびれを感じるようになることがあります。症状が強くなれば、立ち上がる、歩く、靴下を履く、寝返りを打つといった、それまで当たり前にできていた動作まで難しくなることがあります。

このような症状について「坐骨神経痛」と説明された経験がある方もいるでしょう。しかし、坐骨神経痛は一つの病気そのものを指す名称ではなく、腰から臀部、脚にかけて現れる痛みやしびれなどの症状を表す言葉として使われています。そのため、「坐骨神経痛だから、坐骨神経がどこかで圧迫されている」と、それだけで身体の中で起きていることを説明できるわけではありません。

実際に、坐骨神経痛の背景には腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症など、さまざまな状態が関係することがあります。また、痛みやしびれが現れる場所や強さ、症状が出やすい姿勢や動作もその人によって異なります。腰にはほとんど痛みがなく脚だけがしびれる人もいれば、腰痛から始まり、次第に臀部や脚へ症状が広がっていく人もいます。

ここで知っておきたいのは、「しびれている場所=そこで問題が起きている場所」とは限らないことです。私たちが痛みやしびれを感じるためには、身体から送られてくる情報が神経を通って伝わり、それを脳が受け取るという過程があります。臀部や脚に症状が現れていても、その症状を理解するためには、腰から骨盤、神経の経路まで含めて考える必要があります。

さらに症状が強くなると、痛みやしびれそのものだけではなく、身体の使い方まで変わることがあります。痛む脚へ体重をかけないようにする、歩幅を小さくする、身体を傾けて歩くなど、身体はつらい場所を守りながら何とか日常生活を続けようとします。坐骨神経痛で「歩くのもつらい」という状態では、神経症状だけではなく、身体全体がその症状へどのように対応しているのかという視点も重要になります。

一方で、脚の著しい筋力低下、排尿・排便の異常、会陰部の感覚低下などを伴う場合には、神経への重大な影響が生じている可能性があるため、速やかに医療機関で評価を受ける必要があります。坐骨神経痛という言葉だけで自己判断せず、まず医学的な評価が必要となる状態を見逃さないことが大切です。

藤沢市で坐骨神経痛や腰痛に悩んでいる方の中にも、「神経が圧迫されているから仕方がない」「画像検査で腰に変化があるから、このしびれはずっと続くのではないか」と不安を感じている方がいるかもしれません。しかし、症状の名前だけで身体の状態すべてが分かるわけではありません。まずは、腰から離れた臀部や脚にまで、なぜ痛みやしびれを感じることがあるのかという身体の仕組みを知ることが重要です。

このコラムでは、腰痛から臀部痛や脚のしびれへ広がる坐骨神経痛について、神経症状が現れる身体の仕組みと、歩くことまでつらくなった身体を考えるうえで大切な視点について解説していきます。

■脚がしびれているのに、なぜ腰や骨盤まで確認する必要があるのでしょうか?

坐骨神経痛では、臀部から太もも、ふくらはぎ、足先にかけて痛みやしびれが現れることがあります。そのため、実際に症状を感じている臀部や脚そのものに問題があるように思えるかもしれません。しかし、神経の構造をたどっていくと、脚に現れている症状を理解するためには、症状の場所だけを見るのでは不十分であることが分かります。

坐骨神経は、人体の中でも特に太く長い末梢神経です。腰椎や仙骨の周辺から出た複数の神経根が集まって形成され、骨盤から臀部を通り、太ももの後面へと走っていきます。さらに膝の上方で脛骨神経と総腓骨神経へ分かれ、その先は下腿や足へと続いています。つまり、臀部や脚に感じている痛みやしびれであっても、その神経の経路を上へたどれば腰や骨盤周辺とつながっています。

ここで大切なのが、「症状を感じている場所」と「症状に関係している場所」は必ずしも一致しないということです。たとえば腰椎の神経根が刺激を受けた場合でも、症状は腰だけに現れるとは限らず、その神経が関係する臀部や脚の領域に痛みやしびれを感じることがあります。身体の離れた場所に症状が現れるという点は、坐骨神経痛を理解するうえで重要な特徴の一つです。

また、「しびれ」と「痛み」は同じ感覚ではありません。皮膚への刺激、温度、身体の位置など、私たちの身体ではさまざまな情報が神経を介して中枢神経系へ伝えられています。神経根や末梢神経などが影響を受ければ、その経路に関係する領域で、ピリピリする、感覚が鈍い、焼けるように感じる、電気が走るように痛むなど、通常とは異なる感覚として認識されることがあります。

一方で、「坐骨神経痛」という言葉だけから、神経のどこがどのような影響を受けているのかまで特定することはできません。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などが背景にある場合もあれば、それ以外の状態が症状に関係している場合もあります。さらに、腰から脚へ痛みが広がっているように感じても、すべてが坐骨神経そのものの障害によって生じているとは限りません。

症状の出方が人によって異なるのも、このためです。臀部だけが強く痛む人、太ももの後面からふくらはぎまでしびれる人、足先まで感覚の変化を感じる人など、その現れ方には幅があります。座っていると強くなる場合もあれば、立っているとつらい場合、歩き続けることで脚の症状が強くなる場合もあり、どの動作で症状が変化するのかという情報も身体の状態を考える手がかりになります。

さらに、歩くという動作では腰や骨盤、股関節、膝、足部が連動しながら、左右の脚へ交互に体重を移しています。臀部や脚に強い痛みがあれば、身体は痛む側へ体重をかける時間を短くしたり、歩幅を小さくしたりすることで、その場所を守ろうとすることがあります。坐骨神経痛が強くなると「脚がしびれる」という感覚だけではなく、歩き方や身体の使い方そのものまで変化することがあるのです。

だからこそ、坐骨神経痛を考えるときには、「お尻が痛いからお尻をほぐす」「脚がしびれるから脚を伸ばす」というように、症状を感じている場所だけを見るのでは十分ではありません。神経がどこから始まり、どこを通り、どの領域へつながっているのかという解剖学的なつながりに加えて、腰や骨盤、下肢が動作の中でどのように関係しているのかを見る必要があります。

そしてもう一つ重要なのは、神経が単なる「電線」のように情報を一方向へ運んでいるわけではないということです。私たちが立ったり歩いたりするときには、身体から脳へ絶えず情報が送られ、その情報をもとに身体の動きが調整されています。次の章では、この脳と身体との情報交換という視点から、坐骨神経痛によって歩くことまでつらくなった身体について考えていきます。

■「歩く」という動作を、神経はどのように支えているのでしょうか?

歩くことは、普段ほとんど意識せずに行っている動作です。しかし実際には、片脚で身体を支えながら反対側の脚を前へ運び、着地すると再び左右を入れ替えるという複雑な動きを連続して行っています。その間にも、身体は重心の位置を変え、姿勢を保ち、地面の状態に合わせて筋肉の働きを調整しています。

この動きを成立させるために必要なのは、筋力だけではありません。足の裏がどのように地面へ接しているのか、股関節や膝がどの位置にあるのか、筋肉がどの程度伸び縮みしているのか、身体がどちらへ傾いているのかといった情報が、歩いている間も絶えず神経を介して中枢神経系へ送られています。

脳や脊髄などの中枢神経系は、こうした感覚情報をもとに身体の状態を把握し、必要な運動を調整しています。歩道のわずかな傾斜や段差に対応できるのも、階段へ足を置く位置を毎回細かく計算しなくても昇れるのも、身体から入ってくる情報と運動の調整が絶えず繰り返されているからです。

つまり神経は、脳から筋肉へ「動け」という命令を届けるだけの一方通行の電線ではありません。身体から中枢神経系へ送られる感覚情報と、中枢神経系から身体へ送られる運動に関する指令が行き交うことで、私たちは刻々と変化する状況に合わせて身体を動かしています。

坐骨神経痛によって臀部や脚に強い痛みやしびれがある場合にも、この仕組みと無関係ではありません。痛みのある側へ体重をかけるとつらければ、身体はその脚で支える時間を短くしたり、歩幅を変えたり、上半身の位置を変えたりしながら動こうとします。これは単に「歩き方が悪くなった」というよりも、その時点で得られる情報に対して、身体が痛みを避けながら動こうとしている反応の一つと考えることができます。

一方で、歩行時の身体の使い方が変われば、腰や骨盤、股関節、反対側の脚などに加わる力の配分も変化します。そのため、歩くことまでつらくなった状態を考えるときには、痛みやしびれの強さだけではなく、その人がどのように身体を支え、どのような動きで日常生活を続けているのかを見ることも重要です。

カイロプラクティックが重要視しているのも、こうした身体と脳との情報交換に関わる神経機能です。前田カイロプラクティック藤沢院では、脳と身体との神経伝達を阻害している状態を「サブラクセーション(神経伝達の阻害)」と捉えています。

そのため、坐骨神経痛があるからといって、痛みのある臀部をほぐしたり、しびれている脚だけに何かをしたりすることを目的とはしていません。また、画像上の変化だけを見て、そこがすべての症状の原因だと決めつけることもありません。視診、静的触診、動的触診、体表温度測定、レントゲン評価など、異なる検査から得られる情報を照らし合わせながら、その人の身体を評価していきます。

アジャストメントも、坐骨神経痛という症状そのものを直接取り除くために行うものではありません。複数の検査によってサブラクセーションを見極め、必要と判断した箇所へアジャストメントを行うことで、脳と身体との情報交換が適切に行われる環境を整えていきます。

身体には、痛みがあれば動きを変え、地面が傾けばバランスを取り、疲労すれば休息を求めるなど、そのときの状況に合わせて自らを調整する「治るチカラ」が備わっています。カイロプラクターが歩き方を身体へ教え込むのではなく、その人自身の身体が必要な情報を受け取りながら、環境の変化へ適応していけることが重要です。

坐骨神経痛によって歩くことさえつらくなったとき、目に見えるのは臀部の痛みや脚のしびれかもしれません。しかし、その人が再び立ち、体重を移し、脚を前へ運んで歩くためには、身体の各部と神経系による絶え間ない情報交換が必要です。症状が出ている場所だけではなく、「その身体がどのように歩いているのか」という視点を持つことで、坐骨神経痛を身体全体から考えることにつながります。

■坐骨神経痛で左脚に体重をかけることさえ難しくなった40代男性の症例

今回ご紹介するのは、藤沢市にお住まいの40代男性です。長年トラック運転手として働き、一日の大半を座って過ごす生活を続けていました。以前から腰に軽い張りを感じることはありましたが、「仕事柄仕方がないもの」と考え、そのまま仕事を続けていました。

ところが、次第に左臀部へ鋭い痛みを感じるようになり、左脚全体にもビリビリとしたしびれが広がっていきました。特にトラックのクラッチを踏む動作では左臀部へ激痛が走り、症状が強くなるにつれて左脚へ体重をかけることさえ難しくなりました。歩行だけでなく、靴下を履く、寝返りを打つといった日常動作にも支障が出るほどの状態になっていました。

鍼灸院や整体院にも通いましたが症状は強くなり、その後に受診した整形外科では「典型的な坐骨神経痛」と説明され、痛み止めが処方されました。それでも症状に変化がみられず、「このまま歩けなくなるのではないか」という不安からインターネットで調べ、前田カイロプラクティック藤沢院へ来院されました。初診時には左脚を引きずるように歩き、受付へ向かう途中にも何度も立ち止まらなければならない状態でした。

当院では、痛みの強い左臀部やしびれている左脚だけを確認したわけではありません。骨盤部の関節の動き、腰部から臀部にかけての筋緊張、周囲組織の状態、体表温度などを確認し、さらにレントゲン評価を含めた複数の検査結果を照らし合わせながら身体を評価しました。その結果をもとにサブラクセーションを見極め、そのときの身体の状態に応じて必要と判断した箇所へアジャストメントを行っていきました。

カイロプラクティック・ケアを継続する中で、歩行時の左臀部痛や左脚のしびれに変化がみられ、立ち上がりや歩き出しも徐々にスムーズになっていきました。さらに座っていられる時間にも変化がみられ、仕事に必要なトラックの運転やクラッチ操作にも支障を感じにくくなり、最終的にはトラック運転手として職場へ復帰することができました。

この男性は、トラック運転という仕事そのものを変えたわけではありません。また、レントゲンで確認された身体の構造的な変化そのものが、アジャストメントによって消失したわけでもありません。それでも、左脚へ体重をかけることさえ難しかった状態から、再び歩き、長時間座り、仕事へ戻れるまで身体の状態に変化がみられました。

坐骨神経痛では、どうしても「どこで神経が圧迫されているのか」「しびれている脚をどうすればよいのか」という部分へ意識が向きやすくなります。しかし今回の症例は、症状が現れている場所だけではなく、腰や骨盤を含めた身体の状態を複数の検査から評価することの重要性を考える一例です。

実際にこの男性の身体にはどのような検査所見が確認され、歩くことさえ困難だった状態から、どのような経過をたどってトラック運転手として職場へ復帰したのか。詳しい検査結果やケアの経過については、実際の症例報告でご紹介しています。

▶歩行困難なほどの坐骨神経痛による左臀部の激痛と左脚のしびれの詳しい症例報告はこちら

▶その他の腰痛・坐骨神経痛などでお悩みだった方の症例報告はこちら

▶坐骨神経痛に対する前田カイロプラクティック藤沢院のアプローチはこちら

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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。

シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。

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