四十肩・五十肩で腕が上がらない…痛い肩を無理に動かしていませんか?
肩に痛みがあり、腕を上げようとすると強い痛みが走る。髪を結ぶ、服を着替える、高い場所の物を取るなど、これまで当たり前にできていた動作がつらくなってしまう。そんな四十肩・五十肩でお悩みの方は少なくありません。
四十肩・五十肩になると、「肩が固まってしまうから、痛くても動かした方がいい」「無理にでも腕を上げた方が早く治る」と考える方もいらっしゃいます。一方で、「動かすと痛いから、できるだけ安静にした方がいい」と迷ってしまう方も少なくありません。
では、本当はどちらが正しいのでしょうか。
実は、四十肩・五十肩と一言でいっても、身体の中で起きている状態は一人ひとり異なります。そのため、「痛くても動かした方がいい」「安静にしていた方がいい」と一つの答えだけで説明できるものではありません。
大切なのは、「痛みがあるから動かす」「痛いから動かさない」と判断することではなく、なぜ肩が痛くなり、腕が上がらなくなっているのか、その背景にある身体の状態を正しく理解することです。
このコラムでは、四十肩・五十肩で腕が上がらなくなる理由や、肩を無理に動かす前に知っておきたい身体の仕組みについて解説していきます。
■ 四十肩・五十肩で腕が上がらなくなるのはなぜでしょうか?
四十肩・五十肩は、正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、肩関節の周囲に炎症や拘縮が生じることで、痛みや可動域の制限が現れる状態を指します。40代から50代に多くみられることから、このような名称で呼ばれていますが、60代以降や、それより若い年代でも発症することがあります。
多くの方は「肩が悪くなった」と考えますが、実際には腕を上げるという動作は、肩関節だけで行われているわけではありません。
肩をスムーズに動かすためには、肩甲上腕関節(GH関節)だけでなく、肩甲骨と胸郭の動きである肩甲胸郭関節、さらに肩鎖関節や胸鎖関節が連動して働く必要があります。これらが協調して動くことで、初めて腕を頭の上まで無理なく挙げることができます。
また、肩関節の安定性には、関節包や靱帯だけでなく、腱板(ローテーターカフ)と呼ばれる4つの筋肉が大きく関与しています。これらの筋肉は、腕を動かすだけではなく、上腕骨頭を肩甲骨の関節窩へ安定させるという重要な役割を担っています。
四十肩・五十肩では、関節包に炎症が起こったり、関節包や周囲組織が拘縮したりすることで、肩関節の動きそのものが制限されることがあります。その結果、「腕が途中までしか上がらない」「背中へ手が回らない」「夜になると肩がズキズキ痛む」といった症状が現れます。
さらに、腕を上げる動作には「肩甲上腕リズム(Scapulohumeral Rhythm)」と呼ばれる協調運動があります。一般的には、腕を約180度まで挙上する際、肩甲上腕関節が約120度、肩甲骨が約60度動くことで、スムーズな挙上動作が行われます。
しかし、肩甲骨の動きが悪くなったり、胸椎や胸郭の可動性が低下したりすると、この肩甲上腕リズムが乱れ、肩関節だけで腕を上げようとする状態になりやすくなります。その結果、肩関節や腱板へ過剰な負担が集中し、炎症や痛みを引き起こす一因となることがあります。
つまり、四十肩・五十肩は単に「肩だけの問題」と考えるのではなく、肩甲骨や胸郭、背骨を含めた身体全体の連動性が大きく関わる症状です。だからこそ、肩だけではなく、身体全体がどのように協調して動いているのかという視点を持つことが、四十肩・五十肩を理解する第一歩となるのです。
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執筆者前田 一真
神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。
シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。


