2026.09.02

「またヘルニアが悪化した?」更年期に再び現れた腰痛を、以前の診断だけで考えないために

カテゴリ: 健康通信
「またヘルニアが悪化した?」更年期に再び現れた腰痛を、以前の診断だけで考えないために

「以前、腰椎椎間板ヘルニアと診断されたことがある。」

当時は腰の痛みや脚のしびれに悩まされていたものの、時間の経過とともに症状は落ち着き、いつの間にか腰のことを気にせず生活できるようになった。

ところが、40代、50代になり、更年期を迎えた頃から、再び腰に痛みや違和感を感じるようになった。

「以前のヘルニアがまた悪くなったのではないか」
「年齢のせいなのだろうか」
「一度ヘルニアになったから、これからも腰痛を繰り返すのだろうか」

このような不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

一度、腰椎椎間板ヘルニアと診断された経験があると、腰に痛みが出たときに、どうしても過去の診断と現在の症状を結びつけて考えてしまいます。

さらに、更年期になると身体にはさまざまな変化が起こります。これまでと同じ生活をしているつもりなのに疲れやすくなったり、身体の重さを感じたり、睡眠や体調に変化を感じたりすることもあります。

そのため、「更年期になったから腰痛が再発した」「昔のヘルニアが再発した」と考えてしまうこともあるかもしれません。

しかし、ここで一度立ち止まって考えてみたいことがあります。今の腰痛は、本当に以前の腰椎椎間板ヘルニアだけで説明できるのでしょうか?

過去にヘルニアがあったことと、現在の腰痛が必ずしも同じ原因によって起きているとは限りません。また、年齢を重ねることと、痛みが慢性化することも同じではありません。過去の診断名だけではなく、現在の身体に何が起きているのか、そして更年期を迎えるまでに身体や生活がどのように変化してきたのかを考えることが大切です。

「またヘルニアになったのかもしれない」と不安になる前に、今の自分の身体を改めて見つめ直してみる。そこには、以前とは違う身体の状態が隠れているかもしれません。

今回のコラムでは、過去に腰椎椎間板ヘルニアと診断された方が、更年期になって再び腰痛を感じるようになった場合に考えたいことについて、女性のライフステージとカイロプラクティックの関係性についてお伝えしていきます。

■ 腰椎椎間板ヘルニアは、一度落ち着いても腰痛が再び現れることがある

腰椎椎間板ヘルニアは、腰の骨である腰椎の間にある椎間板の一部が後方へ突出し、周囲の神経を刺激することで、腰痛やお尻から脚にかけての痛み、しびれなどが現れることがあります。

症状の強さや経過は一人ひとり異なり、時間の経過とともに痛みやしびれが落ち着き、日常生活を問題なく送れるようになる方もいます。

一方で、一度症状が落ち着いた後に、再び腰痛や脚の違和感などを感じることもあります。このとき、「以前のヘルニアが再発したのではないか」と考えるのは自然なことです。しかし、腰に再び痛みが出たからといって、必ずしも過去の腰椎椎間板ヘルニアがそのまま再発したとは限りません。

腰痛や脚の痛み・しびれにはさまざまな原因があり、症状が現れる場所が似ていても、その背景が同じとは限らないためです。また、40代以降の女性では、更年期を迎える時期と重なることで、これまでとは違った身体の変化を感じることがあります。

年齢を重ねることで筋肉量や身体の柔軟性が変化したり、運動量や生活リズムが変わったりすることもあります。仕事や家事、子育てなど、それまで長年続けてきた生活の中で身体にかかってきた負担が、現在の身体の状態に影響していることも考えられます。

そのため、更年期になって腰痛が再び現れたときには、「昔のヘルニアがあるから」と過去の診断だけで現在の症状を判断するのではなく、今の身体を改めて確認することが大切です。過去に腰椎椎間板ヘルニアがあったという事実は、現在の身体を考えるうえで大切な情報の一つです。

しかし、それだけですべてを説明できるわけではありません。では、なぜ更年期を迎える頃になると、以前とは違う腰の不調を感じる方がいるのでしょうか。

次の章では、「更年期だから腰痛が起こる」「昔のヘルニアが再発した」という一つの理由だけではなく、女性の身体に起こる変化を含めて、現在の腰痛を考える視点について解説していきます。

■ 「更年期だから」「昔のヘルニアだから」では見えてこない、今の腰痛

以前に腰椎椎間板ヘルニアと診断された経験があると、再び腰が痛くなったとき、「またヘルニアが悪くなったのではないか」と考えてしまうのは自然なことです。

さらに更年期を迎えると、身体のさまざまな変化を感じるようになるため、「更年期だから腰が痛いのだろう」と考えることもあるかもしれません。

しかし、ここで大切なのは、「昔のヘルニア」と「今の腰痛」を一度分けて考えてみることです。過去に腰椎椎間板ヘルニアがあったとしても、現在感じている腰痛が必ずしも同じ状態によって起きているとは限りません。

反対に、「更年期だから仕方がない」と考えてしまうと、現在の身体で起きている変化に目を向ける機会を失ってしまう可能性もあります。

例えば、以前と比べて仕事の内容が変わったり、運動する時間が減ったり、睡眠や生活リズムが変化したりすることがあります。子育てが一段落した一方で、仕事の責任が大きくなっている方もいるでしょう。長年続けてきた家事や仕事によって、同じ姿勢や同じ動作を繰り返している方もいます。こうした変化は一つひとつを見ると、それほど大きな問題には感じないかもしれません。

しかし、身体はそれまでの生活の積み重ねの中で少しずつ変化しています。その結果として、以前は問題なくできていた動作がつらくなったり、疲労が抜けにくくなったり、腰に負担を感じるようになったりすることがあります。

つまり、現在の腰痛を考えるときに大切なのは、

「ヘルニアがあるか、ないか」だけでも、
「更年期だから仕方がない」だけでもありません。

「今の身体は、以前と何が変わったのか」という視点です。

過去にヘルニアを経験した方だからこそ、「また同じことが起きた」と思うかもしれません。けれども、身体は過去とまったく同じではありません。年齢を重ね、生活環境が変わり、身体の使い方も変わっています。

だからこそ、過去の診断名に現在の症状を当てはめるのではなく、今の自分の身体をもう一度見つめ直すことが重要なのではないでしょうか。そして、ここからさらに考えたいのが、「腰が痛いから腰に問題がある」と単純に考えてよいのかということです。

次の章では、腰そのものだけではなく、脳や神経を含めた身体全体という視点から、更年期以降の腰痛を考えるカイロプラクティックの考え方について解説していきます。

■ 腰だけを見るのではなく、身体全体から現在の状態を考える

過去に腰椎椎間板ヘルニアと診断された経験があり、更年期になって再び腰痛が現れると、「以前と同じ問題が起きている」と考えてしまいがちです。

しかし、年月が経てば身体も生活環境も変わります。

そのため、現在の腰痛を考えるときには、過去の診断名だけに目を向けるのではなく、今の身体がどのような状態にあるのかを考えることが大切です。

カイロプラクティックでは、腰痛があるからといって、腰だけを切り離して考えるのではなく、脳や神経を含めた身体全体の働きに目を向けます。

私たちの身体は、脳からの指令と、筋肉や関節など身体から脳へ送られるさまざまな情報が絶えず行き来することで、姿勢を保ったり、身体を動かしたり、環境の変化に適応しています。

そのため、腰に症状がある場合でも、「腰の構造だけ」を見ていては、その人の身体の状態を十分に捉えられないことがあります。

特に女性の場合、更年期を迎える時期には、これまでとは生活リズムが変わったり、睡眠や疲労の感じ方が変化したり、運動量が減ったりすることがあります。

そこに長年の仕事や家事、育児などによる身体への負担が重なっていることもあります。

こうした背景を含めて現在の身体を考えることで、「なぜ今、腰に症状が現れているのか」という見方も変わってきます。

もちろん、腰椎椎間板ヘルニアが再発しているケースや、別の疾患が関係しているケースもあります。

強い痛みや脚の筋力低下、排尿・排便の異常など、気になる症状がある場合には、まず医療機関で適切な評価を受けることが大切です。

そのうえで、慢性的に続く腰痛について考えるのであれば、過去の診断名だけではなく、「今の身体」を見ることも一つの大切な視点になります。

■ 「またヘルニアになった」と決めつける前に、今の身体と向き合う

一度、腰椎椎間板ヘルニアを経験した方にとって、再び腰が痛くなることは大きな不安につながります。

「またあの痛みが戻ってきたのではないか」
「これからずっと腰痛と付き合っていくのだろうか」

そんなふうに考えてしまうかもしれません。しかし、過去にヘルニアがあったことと、現在の腰痛が慢性的に続いていることは、必ずしも同じ意味ではありません。

そして、更年期を迎えたことも、すべての腰痛を説明するものではありません。大切なのは、過去の病名や年齢だけで現在の身体を決めつけないことです。以前ヘルニアになったときと比べて、今の生活はどう変わったでしょうか。

身体の動かし方や運動量はどうでしょうか。以前は気にならなかった疲労や身体の変化を感じるようになっていないでしょうか。こうしたことを振り返ると、現在の腰痛を考えるための新しい視点が見えてくることがあります。

年齢を重ねることは、誰にでも起こる自然な変化です。しかし、加齢することと、痛みを抱え続けることは同じではありません。以前ヘルニアになったから。更年期だから。もう年齢だから。そうやって理由を一つに決めてしまう前に、今の身体に目を向けてみる。

過去ではなく、「今の自分の身体はどうなっているのか」を知ることから始めてみるのも、一つの方法です。

腰痛を「昔のヘルニアの再発」という一つの視点だけで捉えるのではなく、これまでの生活や身体の変化、そして現在の身体全体の状態まで含めて考えてみる。それによって、これまでとは違った形で自分の身体と向き合えるかもしれません。

「年齢だから仕方がない」でも、「昔のヘルニアだから仕方がない」でもない。今の身体を知ることが、これから先の身体との付き合い方を考えるきっかけになるのではないでしょうか。

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中島 恵

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。

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