2026.08.27

身体の不調は一つの原因だけ?3つの症例から考える「身体全体を見る」ということ

カテゴリ: 健康通信
身体の不調は一つの原因だけ?3つの症例から考える「身体全体を見る」ということ

「腰が痛いから腰に問題がある」
「肩がこるから肩の筋肉が原因」
「脚がしびれるから、脚だけを見ればいい」

身体に不調が現れると、私たちはどうしても症状が出ている場所に目を向けます。

インターネットで調べても、「腰痛にはこれ」「肩こりにはこの方法」といった情報がたくさん見つかります。

もちろん、症状が出ている場所を確認することは大切です。

しかし、身体の不調が現れるまでには、仕事や生活習慣、過去のケガ、身体の使い方など、さまざまな背景が関係していることがあります。

実際に当院へ来院された方の中にも、長年腰痛に悩んでいた方、肩こりだけではなく腰痛や顎関節症まで抱えていた方、脚の痛みやしびれによって歩くことが難しくなっていた方など、さまざまなケースがあります。

そして、同じように「身体がつらい」と感じていても、その背景や身体の状態は一人ひとり異なります。

今回ご紹介するのは、実際に当院へ来院された3名の症例です。

一人目は、長年のデスクワークや過去の腰椎椎間板ヘルニアなどを背景に、30年以上の腰痛とゴルフスイング時の背中のつりに悩まされていた50代男性。

二人目は、10代から続く肩こりに加え、腰痛や顎関節症など、身体のさまざまな不調を抱えていた60代女性。

三人目は、腰痛そのものよりも右脚の痛みやしびれ、左膝の痛みが強くなり、歩行や農作業にも支障が出ていた70代女性です。

3名とも身体の不調を抱えていましたが、来院までの経緯も、現れていた症状も、身体の状態も異なっていました。

今回のコラムでは、実際の3つの症例をご紹介しながら、「症状が出ている場所だけを見る」のではなく、その背景にある身体全体の状態を考えることの大切さについてお伝えしていきます。

■ 30年以上の腰痛とゴルフ中の背中のつりに悩んでいた症例

一人目は、長年デスクワークを中心とした生活を送りながら、趣味でゴルフを続けていた50代男性です。

数年前からゴルフのスイング中に背中の筋肉が頻繁につるようになり、思うようにプレーできないことに悩まれていました。

また、両肩の慢性的なこりに加え、過去の腰椎椎間板ヘルニアやぎっくり腰をきっかけに、30年以上にわたって腰痛も抱えていました。

これまでにもマッサージや整体、ストレッチなどを受けていましたが、筋肉をほぐすだけでは背中のつりや長年の腰痛に十分な変化がみられず、別の角度から身体を考えたいという思いから来院されました。

初診では、頸部から肩にかけての過緊張、左仙腸関節の可動域制限、左腰部脊柱起立筋の緊張などが確認されました。

ケアを継続する中で、腰のこわばりや疲労感に変化がみられ、長時間のデスクワーク後でも身体を動かしやすくなっていきました。

さらに経過を重ねることで、30年来の腰痛が普段の生活でほとんど気にならない状態となり、ゴルフスイング時に繰り返していた背中のつりも大幅に抑えられ、不安なくゴルフを楽しめるまでになりました。

この症例では、「背中がつる」という症状だけを見るのではなく、長年の腰痛やデスクワーク、骨盤や背骨の状態など、身体全体の関係性を考えていくことが重要なポイントとなりました。

▶ ゴルフスイング時の背中のつりと30年来の腰痛の詳しい症例報告はこちら

■ 肩こりだけではなかった。腰痛や顎関節症など複数の不調を抱えていた症例

二人目は、10代の頃から肩こりに悩んでいた60代女性です。

長年、首から肩にかけてのだるさを感じており、さらに仕事では中腰になることが多く、腰痛も繰り返していました。また、学生の頃から顎関節症があり、右顎のクリック音や、食事中に右側の口の中を噛んでしまうことも気になっていました。

つまり、「肩こり」という一つの症状だけではなく、首・肩、腰、顎と複数の場所に不調が現れていたケースです。

初診では、頸椎から背部にかけての右側の過緊張、右仙腸関節の可動域制限、腰部から臀部にかけての過緊張などが確認されました。

ケアを続ける中で、首を動かした際の痛みや仕事後の腰痛が徐々に緩和し、その後は肩こりをほとんど感じずに生活できるようになりました。さらに、以前は気になっていた右顎のクリック音や口の中を噛んでしまうことにも変化がみられています。

この症例から分かるのは、「肩がこるから肩だけを見る」という考え方では、身体全体の状態を十分に捉えられない場合があるということです。

一つの症状の背景に、別の身体の問題が関係していることもあります。

▶ 40年以上続いた肩こり・腰痛・顎関節症の詳しい症例報告はこちら

■ 腰痛よりも右脚の痛みとしびれが強くなり、歩くことが難しくなった症例

三人目は、長年農業に携わってきた70代女性です。

40代の頃に仕事中にぎっくり腰を経験し、その後から腰の重だるさやしびれを感じることがありました。

しかし、その症状をごまかしながら生活を続けているうちに、来院する約1年前から右脚の痛みとしびれが強くなりました。

整形外科では腰椎すべり症と診断され、さらに両膝には変形性膝関節症が確認されていました。

次第に右脚を引きずって歩くようになり、歩いているとふくらはぎにも痛みが出て、長時間歩くことが難しい状態になっていました。さらに左膝の痛みも強くなり、自転車に乗ることや農作業にも支障が出ていました。

初診では、頸椎から背中にかけての過緊張、腰部から臀部にかけての過緊張、右脚を引きずるような歩行が確認されました。ケアを続ける中で、右ふくらはぎの痛みや左膝の痛みが徐々に緩和。

その後は杖を使わずに来院できるようになり、旅行で長時間歩いても症状が出ず、自転車にも乗れるまでに変化しました。

18週目には、掃除や農作業で前かがみになることが多い状況でも、痛みを感じずに作業できるようになっています。

この症例では、右脚の症状と左膝の症状という異なる場所の不調がありました。

しかし、それぞれを別々の問題として捉えるのではなく、骨盤や腰部を含めた身体全体の状態を考えることが重要なポイントとなりました。

▶ 右脚の痛み・しびれと左膝の痛みの詳しい症例報告はこちら

■ 身体の不調を「一つの原因」だけで決めつけない

今回ご紹介した3名は、年齢も生活環境も抱えていた症状も異なります。

ゴルフ中の背中のつりと30年以上の腰痛。長年の肩こりに加えた腰痛や顎関節症。そして、右脚の痛み・しびれと左膝の痛み。

一見すると、それぞれまったく違う問題に見えます。しかし共通しているのは、症状が出ている場所だけではなく、その背景にある身体全体の状態を確認していることです。

身体の不調には、これまでの生活や身体の使い方、過去から積み重なってきた負担など、さまざまな要素が関係しています。

だからこそ、「腰が痛いから腰だけ」「肩がこるから肩だけ」と考えるのではなく、身体全体を一つのつながったものとして捉えることが大切です。

前田カイロプラクティック藤沢院では、症状だけを追いかけるのではなく、その方の身体が今どのような状態にあるのか、そしてなぜその状態になったのかという視点を大切にしています。

健康に関する情報があふれる今だからこそ、「この症状にはこの方法」という情報だけに答えを求めるのではなく、自分自身の身体を知ること。

今回の3つの症例が、ご自身の身体を改めて考えるきっかけになればと思います。

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中島 恵

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。

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