2026.09.28

腰痛と左足のしびれを繰り返すのはなぜ?身体全体と神経の働きから考える

カテゴリ: 健康通信

「腰痛を何度も繰り返しているけれど、なかなか良くならない」
「腰だけでなく、左足のしびれや膝の痛みまで気になるようになってきた」
「昔から便秘や疲れやすさなど、いくつもの不調を抱えている」

このような悩みを抱えている方は、痛みやしびれが出ている場所だけに原因があると考えてしまうかもしれません。

しかし、身体はそれぞれの部分が完全に独立して働いているわけではありません。仕事で長時間立っている、同じ姿勢を続ける、過去にぎっくり腰を繰り返しているなど、日々の生活の中で積み重なる負担に対して、身体はさまざまな形で適応しています。

今回ご紹介するのは、14歳の頃に初めてぎっくり腰を経験して以来、長年にわたって腰痛を繰り返していた40代男性の症例です。

来院時には、腰痛だけでなく左足のしびれや左膝の痛みもあり、仕事で長時間立っていると症状が強くなり、日常生活にも影響が出ていました。

さらに、子どもの頃から続いていた重度の便秘をはじめ、頭痛、眼精疲労、肌荒れ、寝ても疲れが取れにくいといった身体の不調も重なっていました。

これまでにもさまざまな治療院やカイロプラクティックに通った経験がありましたが、思うような変化を感じられず、治療から遠ざかっていたそうです。

では、なぜ長年繰り返してきた腰痛に、足のしびれや膝の痛みまで重なったのでしょうか。そして、腰の状態だけを見るのではなく、身体全体の状態を評価することにはどのような意味があるのでしょうか。

今回のコラムでは、長年の腰痛に加えて左足のしびれや膝の痛み、便秘など複数の不調を抱えていた40代男性の症例をもとに、長時間の立ち仕事や過去から続く身体への負担と腰痛・しびれの関係、身体の適応と神経の働き、そしてカイロプラクティックではどのような視点から身体を評価しているのかについてお伝えしていきます。

■ 腰痛と左足のしびれはなぜ起こる?長時間の立ち仕事と身体への負担

腰痛と一言でいっても、その現れ方やきっかけは人によってさまざまです。

重いものを持った瞬間に急に痛くなることもあれば、長時間立っていた後に腰が重くなったり、同じ姿勢を続けることで徐々に痛みが強くなったりすることもあります。

腰の周辺には、背骨を支える筋肉や靭帯、関節など、さまざまな組織があります。私たちは日常生活の中で、これらを使いながら立つ、歩く、座る、かがむといった動作を繰り返しています。

特に仕事などで長時間立ち続ける場合には、身体を一定の姿勢に保つために筋肉が継続的に働きます。短時間であれば問題にならなくても、それが毎日繰り返されれば、身体の一部に負担が集中することがあります。

また、腰痛を考えるときには、現在の生活だけでなく、過去に経験した腰のトラブルにも目を向ける必要があります。

例えば、ぎっくり腰を経験すると、痛みが落ち着いた後も、再び痛くなることへの不安から動作を控えたり、無意識に腰をかばったりすることがあります。その結果、身体の使い方が以前とは変わっている場合もあります。

もちろん、過去にぎっくり腰を経験した人が必ず慢性的な腰痛になるわけではありません。しかし、何度も腰痛を繰り返している場合には、「今回なぜ痛くなったのか」だけではなく、これまでどのような負担が身体に積み重なってきたのかを考えることも大切です。

今回の症例では、こうした長年の腰痛に加えて、左足のしびれや左膝の痛みも現れていました。

腰から足にかけては神経が走っているため、腰部の状態によって神経が刺激されたり圧迫されたりすることで、足に痛みやしびれを感じる場合があります。

一方で、足のしびれには腰だけでなく、末梢神経、血管、筋肉、関節など、さまざまな要因が関係する可能性があります。そのため、「足がしびれているから腰が原因」と症状だけから判断することはできません。

また、しびれが急激に強くなった場合や、脚に力が入りにくい、排尿・排便に異常があるなどの場合には、早めに医療機関で評価を受けることが重要です。

では、膝の痛みについてはどうでしょうか。

私たちが歩いたり、階段を上ったり、立ち上がったりするとき、腰や骨盤、股関節、膝、足首は、それぞれが独立して動いているわけではありません。

一つの動作の中で、それぞれが連動しながら身体を支えています。

そのため、どこかに痛みや動かしにくさがあると、無意識に別の部位で動きを補うことがあります。

例えば、腰に痛みがあることで動作の仕方が変わったり、立ち方や歩き方に左右差が生じたりすると、膝や足にかかる負担が変化することがあります。

ただし、こうした動きの変化が必ず痛みを引き起こすわけではありません。大切なのは、痛みが出ている場所だけを見るのではなく、実際に身体がどのように動いているのかを確認することです。

今回の男性も、仕事で長時間立っている生活を続ける一方で、14歳の頃から腰痛を経験し、その後もぎっくり腰を繰り返していました。

長い年月の中で、身体はそのときどきの負担に合わせて、動き方や筋肉の使い方を変化させてきた可能性があります。

つまり、現在感じている腰痛やしびれだけを見るのではなく、「これまで身体がどのような環境に置かれ、どのように適応してきたのか」という視点も必要になります。

では、身体は長期間にわたる負担や姿勢、動作の変化をどのように捉え、それに対してどのように適応しているのでしょうか。

次は、身体から送られるさまざまな情報と、それを受け取る神経の働きに目を向けながら、身体全体の状態を考えていきます。

■ 腰だけを見ても分からない?身体の適応と神経の働きから考える

腰痛や足のしびれがあると、「痛みがある腰に問題があるのではないか」「しびれている足に原因があるのではないか」と考えるのは自然なことです。

もちろん、症状が出ている場所を詳しく評価することは大切です。

一方で、身体全体に目を向けると、もう一つ考えておきたいことがあります。

それは、身体が長い時間をかけて、日々の生活や姿勢、動作などにどのように適応してきたのかという視点です。

私たちの身体は、常に外部や身体内部からさまざまな情報を受け取っています。

関節がどの方向に動いているのか、筋肉がどの程度緊張しているのか、身体がどの位置にあるのか、皮膚にどのような刺激が加わっているのか。

こうした身体の状態に関する情報は、神経を介して脳へ伝えられます。

脳は送られてきた情報をもとに身体の状態を把握し、その状況に応じて筋肉の働きや姿勢、動作などを調整しています。

つまり、身体は一方的に「脳から命令を受けて動く」だけではありません。

身体から脳へ情報が伝わり、脳から身体へ指令が送られる。

この情報のやり取りを繰り返しながら、私たちは立つ、歩く、座る、仕事をする、運動するといった日常の動作を行っています。

そして、この仕組みは一時的なものではありません。

例えば、長時間立っている仕事を毎日続けていれば、その環境に合わせて身体の使い方が変化することがあります。

過去にぎっくり腰を経験してから腰をかばうような動作が続いていれば、その動きが日常の中で習慣になっていることもあります。

本人は「いつも通り立っている」「普通に歩いている」と感じていても、実際には左右で筋肉の使い方が異なっていたり、特定の関節が動きにくくなっていたりする場合があります。

これは、身体がその時々の環境に合わせて適応している一つの姿とも考えられます。

ただし、身体に左右差があること自体が異常というわけではありません。

人間の身体はもともと完全な左右対称ではなく、利き手や生活習慣、運動習慣などによっても身体の使い方には個人差があります。

大切なのは、見た目の左右差だけで「ゆがんでいる」「悪い状態」と判断することではありません。

その状態で身体がどのように動いているのか、関節はどの程度動くのか、筋肉にはどのような緊張があるのかなど、実際の身体の状態を確認することが重要です。

こうした身体と神経系の関係を考える際、カイロプラクティックでは「サブラクセーション」という独自の概念を用いることがあります。

サブラクセーションは、カイロプラクティックにおいて、身体の構造や関節の動き、神経系との関係を考える際に用いられる概念です。

医学的に確立された疾患名ではなく、すべての症状の原因を意味するものでもありません。

そのため、サブラクセーションがあるから特定の症状が起こる、と単純に結びつけるのではなく、身体全体の状態を評価するための一つの考え方として捉えることが大切です。

当院でも、一つの検査結果だけで身体の状態を判断することはありません。

視診によって姿勢や身体の状態を確認し、体表温度検査、静的触診、動的触診などを組み合わせながら、関節の動きや筋肉の状態、左右差などを確認していきます。

必要に応じてレントゲン評価も行い、骨格や椎間板などの状態を確認します。

複数の検査から得られた情報を重ね合わせることで、現在の身体にどのような特徴があるのかを評価していきます。

今回の男性も、初診時には左仙腸関節の浮腫感と可動域制限、上部頸椎の過筋緊張と浮腫感、頸部から腰部にかけての過緊張が確認されました。

また、体表温度検査では骨盤部と上部頸椎に左右差がみられ、レントゲン評価では慢性的な椎間板の変化や骨盤の傾きも確認されています。

もちろん、これらの所見だけで腰痛や左足のしびれ、便秘、頭痛など、すべての不調との因果関係を説明できるわけではありません。

便秘や頭痛、肌荒れ、疲労感などには、生活習慣、睡眠、ストレス、食事、薬剤、疾患など、さまざまな要因が関係する可能性があります。

だからこそ、複数の不調を抱えているときには、それぞれを別々の問題として捉えるだけではなく、一度身体全体の状態を確認してみることにも意味があります。

今回の症例でも、腰痛や左足のしびれだけを見るのではなく、長年の身体の経過や日常生活、全身の状態を含めて評価していきました。

では、実際にこの男性の身体には初診時どのような状態が確認され、ケアを継続する中でどのような変化がみられたのでしょうか。

次は、長年繰り返してきた腰痛と左足のしびれに加え、便秘や疲労感など複数の不調を抱えて来院された40代男性の症例をご紹介します。

■ 長年の腰痛と左足のしびれ、便秘に悩んでいた40代男性の症例

今回ご紹介するのは、14歳の頃に運動中にぎっくり腰を経験して以来、長年にわたって腰痛を繰り返していた40代男性の症例です。

神奈川県横浜市戸塚区から来院され、仕事では通勤時間も含めて立っている時間が長く、長時間同じ姿勢を続けていると腰の痛みが出るようになっていました。

特に来院前の3か月ほどは腰痛を頻繁に繰り返すようになり、徐々に痛みが強くなっていました。

その頃から左足のしびれや左膝の痛みも出るようになり、階段の上り下りや椅子から立ち上がるときなど、日常生活の中でも身体の不調を意識する場面が増えていたそうです。

もともと腰痛は一時的なものではありませんでした。

14歳の頃に経験したぎっくり腰をきっかけに腰痛が続き、その後も定期的にぎっくり腰を繰り返していました。

さらに、身体の悩みは腰だけではありません。

子どもの頃から重度の便秘に悩んでおり、現在でも1週間排便がないことがあるほどでした。

そのほかにも、眼精疲労、こめかみが脈打つような頭痛、肌荒れ、寝ても疲れが取れず身体がスッキリしない感覚など、さまざまな不調を抱えていました。

これまでにも、さまざまな治療院や他のカイロプラクティックに通った経験がありました。

しかし、本人が望んでいたような変化を感じることができず、次第に治療院からも遠ざかっていたそうです。

そんな中、知人からの紹介で前田カイロプラクティック藤沢院を知りました。

ホームページを見て、これまで経験してきたカイロプラクティックとは違う印象を持ち、「自分の身体の状態を一度詳しく見てみたい」と考え、来院されました。

初診時の評価では、左仙腸関節に浮腫感と明らかな可動域制限が確認されました。

また、上部頸椎には過筋緊張と浮腫感があり、頸部から腰部にかけても過緊張が確認されました。

体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に左右の温度差がみられました。

さらにレントゲン評価を行い、椎間板の状態をD1からD6までの6段階で評価したところ、慢性的な変化としてD4レベルと評価されました。

骨盤にも大きな傾きが確認されたため、当院では初期集中期のケアを週2回から開始しました。

ケアを継続する中で、身体の状態には少しずつ変化がみられていきました。

2週目、4回目のアジャストメントの頃には、上部頸椎と腰骨盤部の筋緊張が明らかに軽減しました。

この頃には、来院時に気になっていた左脚のしびれが改善し、階段の上り下りや椅子から立ち上がる際に感じていた左膝の痛みも、気にならなくなったそうです。

4週目、8回目のアジャストメントの頃には、身体の倦怠感にも変化を感じるようになりました。

以前よりも身体が重く感じることが少なくなり、朝もスッキリ起きられるようになったそうです。

また、この頃には喉のイガイガも和らいでいました。

そして5週目、10回目のアジャストメントの頃には、長年悩んでいた便通にも変化を感じるようになりました。

以前はひどいときには5日に1度程度しか排便がないこともありましたが、この頃には毎日排便できるようになったそうです。

便通には、食事や生活習慣、睡眠、ストレス、薬剤、消化器系の状態など、さまざまな要因が関係します。そのため、今回の便通の変化がカイロプラクティックのケアだけによって起こったと断定することはできません。

一方で、長年当たり前のように続いていた便秘について、身体のケアを継続する中で本人が変化を実感できたことは、今回の症例の特徴の一つでした。

この頃には、初診時に気になっていた腰痛や左脚のしびれ、膝の痛みなども、ほとんど気にならない状態になっていました。

現在は症状も落ち着き、身体の状態は安定しています。

それでも、「二度と同じような症状に苦しみたくない」という思いから、現在も1週間に1度のカイロプラクティックケアを継続しています。

今回の症例で印象的なのは、最初の悩みが腰痛だけではなかったことです。

14歳の頃から続く腰痛と繰り返すぎっくり腰に加え、左足のしびれや膝の痛み、子どもの頃からの便秘、頭痛、眼精疲労、肌荒れ、疲労感など、身体のさまざまな不調を抱えていました。

だからこそ、痛みが出ている場所だけに注目するのではなく、これまでの身体の経過や日常生活、姿勢や動作、全身の状態まで含めて確認していくことが大切になります。

もちろん、今回の症例でみられた変化が、すべての腰痛やしびれ、便秘に当てはまるわけではありません。

腰痛や足のしびれにはさまざまな原因があり、症状によっては医療機関での検査や治療が必要になる場合もあります。

それでも、長年続いている不調を「昔からだから」「年齢のせいだから」とそのままにするのではなく、一度自分の身体が現在どのような状態にあるのかを知ることは、これからの健康を考えるうえで大切な一歩になるのではないでしょうか。

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