2026.06.29

椎間板ヘルニアがあるのに痛くない人がいるのはなぜ?腰痛との関係を解説

椎間板ヘルニアがあるのに痛くない人がいるのはなぜ?腰痛との関係を解説

MRI検査を受けた際に、「椎間板ヘルニアがありますね。」と説明された経験はありませんか。

その瞬間、「腰が痛いのはヘルニアが原因なんだ」「もうこの腰痛とは一生付き合っていかなければならないのかもしれない」と、不安になった方も少なくないでしょう。

もちろん、椎間板ヘルニアが神経へ影響を与え、腰痛や足の痛み、しびれなどの原因となることはあります。そのため、MRIでヘルニアが確認されたという結果は、とても重要な情報です。しかし一方で、MRIでは椎間板ヘルニアが確認されても症状がまったくない方がいることや、反対にヘルニアが確認されなくても腰痛に悩まれている方がいることも、多くの研究で報告されています。

つまり、「ヘルニアがある」ということと、「ヘルニアが現在の腰痛の原因になっている」ということは、必ずしも同じ意味ではありません。画像所見は身体の状態を知るための大切な情報ですが、それだけで現在の症状の原因まで判断できるとは限らないのです。

では、なぜ同じ椎間板ヘルニアでも症状がある方とない方がいるのでしょうか。また、なぜ椎間板へ負担が集中し、ヘルニアが起こるのでしょうか。

今回のコラムでは、椎間板ヘルニアと腰痛の関係、そして「なぜ椎間板へ負担が集中したのか」という身体全体の視点について解説していきます。

■ 椎間板ヘルニアがあっても、症状が出るとは限りません

「椎間板ヘルニアがあります。」

MRI検査でこのように言われると、多くの方は「このヘルニアが腰痛の原因なんだ」と考えます。しかし実際には、椎間板ヘルニアが確認されてもまったく症状がない方もいれば、反対にヘルニアが確認されなくても腰痛や足のしびれに悩まれている方もいらっしゃいます。

もちろん、椎間板ヘルニアが神経へ影響を与え、痛みやしびれの原因となるケースはあります。そのため、MRIでヘルニアが確認されたという結果は非常に重要な情報です。しかし、「ヘルニアがある」ということと、「ヘルニアが現在の症状を引き起こしている」ということは、必ずしも同じ意味ではありません。

だからこそ、私たちは「ヘルニアがあります」という画像所見だけで身体の状態を判断することはありません。大切なのは、「なぜその椎間板へ負担が集中したのか」「なぜその人は症状が出ているのか」という背景まで考えることです。

椎間板は、背骨と背骨の間でクッションの役割を果たしています。しかし、前後へ曲げたり伸ばしたりする動きには適していても、繰り返しねじれる力にはあまり強い構造ではありません。そのため、日常生活の中で腰へ繰り返しねじれのストレスが加わると、少しずつ椎間板へ負担が蓄積し、ヘルニアにつながることがあります。

では、その「ねじれ」のストレスは、いったいどこから生まれているのでしょうか。そこには、腰だけではなく、骨盤を含めた身体全体のバランスが関係していることがあります。

■ 椎間板への負担は、腰だけで決まるわけではありません

腰椎椎間板ヘルニアというと、「腰だけに問題がある」と考えられることが少なくありません。しかし、実際には腰だけを見ていては、椎間板へ負担が集中した理由まで分からないことがあります。

例えば、歩くという何気ない動作でも、私たちの身体では骨盤、股関節、背骨が連動しながら滑らかに動いています。この連動があることで、一歩ごとの衝撃やねじれの力が全身へ分散され、腰だけに過剰な負担が集中しないようになっています。

しかし、骨盤にある仙腸関節の動きが左右どちらかで十分に機能しなくなると、その動きを補うために反対側の骨盤や腰椎が通常よりも大きく動かなければならなくなることがあります。その結果、本来は分散されるはずだった負担が腰椎へ集中し、椎間板にも繰り返しストレスが加わるようになります。

この変化は、一度の大きな負荷で起こるとは限りません。一歩一歩の歩行や立ち上がる動作、身体をひねる動作など、ごくわずかな負担が毎日何千回、何万回と積み重なることで、少しずつ椎間板への負担が蓄積していくこともあります。

もちろん、すべての椎間板ヘルニアが同じ経過で起こるわけではありません。しかし、「ヘルニアがある」という結果だけを見るのではなく、「なぜその椎間板へ負担が集中したのか」という視点を持つことで、身体の状態をより深く理解できるようになります。

だからこそ、カイロプラクティックでは腰だけを評価するのではなく、骨盤を含めた身体全体のバランスを確認することを大切にしています。身体全体を一つの機能的なシステムとして捉えることで、腰椎だけでは見えてこない負担の積み重ねが見えてくることもあるのです。

 

■ 大切なのは、「ヘルニアを見ること」ではなく、「ヘルニアになった身体」を見ることです

椎間板ヘルニアという診断を受けると、多くの方は「ヘルニアを何とかしなければならない」と考えます。しかし、私たちが臨床で大切にしているのは、ヘルニアという結果だけを見ることではありません。

本当に知りたいのは、「なぜその椎間板へ負担が集中したのか」ということです。

椎間板は、ある日突然飛び出すわけではありません。日常生活の中で繰り返される立つ・歩く・座る・身体をひねるといった何気ない動作の積み重ねによって、少しずつ負担が蓄積していきます。そして、その負担が身体の許容範囲を超えたとき、一つの結果として椎間板ヘルニアが現れることがあります。

だからこそ、カイロプラクティックではMRI画像だけを見て身体の状態を判断することはありません。当院では、体表温度検査、視診検査、静的触診、動的触診、レントゲン評価を組み合わせながら、神経系の働きや骨盤・背骨を含めた身体全体のバランスを総合的に評価しています。ヘルニアそのものではなく、「なぜその場所へ負担が集中したのか」という背景まで確認することが大切だと考えているからです。

私たちが目指しているのは、MRI画像を変えることではありません。その人が本来持っている自然治癒力を十分に発揮できる身体の状態を目指すことです。そのためには、「ヘルニアがある」という結果だけではなく、その結果に至るまで身体で何が起きていたのかを理解することが欠かせません。

椎間板ヘルニアは、とても重要な画像所見です。しかし、それは身体からのゴールではなく、これまで積み重なってきた身体の状態を教えてくれる一つのサインでもあります。

ぜひ日々の健康維持のために、カイロプラクティックケアを役立ててみてください。

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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。

シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。

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