2026.09.26

動悸やめまいが続くのはなぜ?ストレスと自律神経、身体の不調を考える

カテゴリ: 健康通信
動悸やめまいが続くのはなぜ?ストレスと自律神経、身体の不調を考える

「ストレスを感じると、動悸やめまいが起こるようになった」
「夜中に突然動悸がして目が覚めてしまい、朝になっても疲れが取れない」
「お腹の張りや消化不良、下痢などが続いていて、身体全体の調子がすぐれない」

このような不調が続くと、「年齢のせいなのか」「仕事のストレスが原因なのか」「自律神経が乱れているのではないか」と、さまざまなことを考えてしまうものです。

特に、動悸やめまいのような症状は、その時々によって強さが変わることがあります。仕事中や通勤時には症状が強くなるのに、夕方になると少し落ち着く。あるいは、以前よりストレスが減ったはずなのに、今度は睡眠中に動悸が起こるようになるなど、一見すると原因が分かりにくい経過をたどることもあります。

また、身体の不調は一つだけとは限りません。

首や肩の張り、腰の重だるさ、眠りの浅さ、お腹の張りや消化機能の乱れなど、いくつもの症状が同時に気になるようになると、「それぞれ別の問題なのだろうか」と悩んでしまう方もいるでしょう。

これまで整体やマッサージなどを受けることで一時的に身体が楽になっても、しばらくするとまた同じ状態に戻ってしまえば、「その場だけではなく、身体そのものを見直したい」と考えるようになるかもしれません。

一方で、動悸やめまいなどの症状には、心臓や血管、神経、内耳などさまざまな原因が関係する可能性があります。そのため、症状を自律神経だけの問題と自己判断せず、必要に応じて医療機関で適切な検査を受けることも大切です。

では、ストレスや日々の身体への負担は、私たちの身体にどのように影響しているのでしょうか。

そして、動悸やめまい、睡眠、消化機能、首や腰の不調など、一見すると別々に思える症状を考えるとき、身体全体の状態に目を向けることにはどのような意味があるのでしょうか。

今回のコラムでは、動悸やめまい、睡眠の乱れ、消化機能の不調などを抱えていた50代女性の症例をもとに、ストレスと自律神経の関係、身体全体の状態を見ていくことの意味、そしてカイロプラクティックではどのような視点から身体を評価しているのかについてお伝えしていきます。

■ 動悸やめまい、消化機能の不調に関わる自律神経の働き

私たちの身体には、意識しなくても常に働き続けているさまざまな調整機能があります。

心臓を動かして血液を全身に送り出すこと、呼吸の速さを調整すること、血圧を維持すること、胃腸を動かして食べ物を消化すること、体温を一定に保つことなど、生命を維持するために欠かせない働きの多くは、私たちが一つひとつ意識して行っているわけではありません。

こうした身体の機能を自動的に調整している重要な仕組みの一つが、自律神経です。

自律神経は、大きく交感神経と副交感神経に分けられます。交感神経は活動しているときや緊張・ストレスを感じているときに働きやすく、副交感神経は休息しているときや睡眠中など、身体を落ち着かせる場面で働きやすいとされています。

ただし、「交感神経が悪く、副交感神経が良い」という単純な関係ではありません。

仕事をしているときには身体を活動状態にする必要があり、運動するときにも交感神経の働きが必要になります。一方で、仕事や運動を終えた後には身体を休ませ、回復へ切り替えていく必要があります。

つまり大切なのは、状況に応じて身体の状態を適切に切り替えられることです。

ところが、仕事上のストレスや睡眠不足、長時間の緊張状態、身体的な疲労などが積み重なると、この切り替えがうまくいかなくなることがあります。

例えば、強い緊張状態では心拍数が上がり、呼吸が浅く速くなったり、筋肉が緊張したりすることがあります。その状態が長く続けば、身体がなかなか休息モードへ移行できず、「疲れているのにリラックスできない」「眠りたいのに身体が落ち着かない」と感じることにつながる場合があります。

動悸もその一つです。

心臓は自律神経の影響を受けながら、そのときの身体の状態に合わせて拍動を調整しています。そのため、緊張や不安、ストレスなどによって心拍を強く意識することがあります。

また、めまいについても、自律神経だけで説明できるものではありません。

平衡感覚には、内耳にある前庭系、視覚、身体から伝わる位置や動きの情報など、複数の感覚が関係しています。さらに、血圧や循環の調整が変化することで、立ち上がったときなどにふらつきを感じることもあります。

そのため、めまいがあるからといって「自律神経の乱れ」と自己判断するのではなく、症状の種類や経過を確認し、必要に応じて医療機関で原因を調べることが大切です。

自律神経の影響は、心臓や呼吸だけに限りません。

胃や腸などの消化管も自律神経によって調節されています。緊張するとお腹が痛くなったり、ストレスが続くと便通が変化したりする経験がある方もいるでしょう。

これは、脳と消化管が神経やホルモンなどを介して互いに情報をやり取りしているためです。

「ストレスで胃が痛くなる」という表現があるように、精神的な状態と身体の消化機能は決して別々に存在しているわけではありません。

さらに、睡眠も自律神経と深く関係しています。

本来、眠っている間は身体を休ませ、日中の活動によって受けた負担から回復していく時間です。しかし、心身が緊張した状態が続いていると、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたり、十分に眠ったはずなのに休んだ感覚が得られなかったりすることがあります。

ここで重要なのは、こうした不調を一つひとつ切り離して考えないことです。

動悸がある、めまいがある、眠れない、お腹の調子が悪い、首や肩が張る、腰が重い。

これらがすべて同じ原因から起こっているとは限りません。しかし、身体はそれぞれの器官が完全に独立して働いているわけではなく、神経や循環、ホルモンなどを介して互いに影響し合っています。

だからこそ、ある一つの症状だけを見るのではなく、「身体全体が現在どのような状態にあるのか」という視点を持つことも大切になります。

では、なぜ同じようなストレスや身体的な負担があっても、強く不調を感じる人と、あまり症状を感じない人がいるのでしょうか。

その違いを考えるためには、「どれだけ負担がかかったか」だけではなく、身体がその負担に対してどのように適応しているのかという視点が必要になります。

■ 動悸やめまい、消化機能の不調に悩んでいた50代女性の症例

今回ご紹介するのは、動悸やめまいをはじめ、睡眠の質の低下、首や肩の張り、腰や骨盤周辺の違和感、消化機能の不調など、身体のさまざまな悩みを抱えていた50代女性の症例です。

半年ほど前から、ストレスを感じると動悸やめまいが起こるようになり、特に朝の通勤時に症状が現れることが増えていました。仕事が始まるとさらに症状が強くなり、日中には息苦しさを伴うこともあったそうです。

一方で、夕方になると症状が少し落ち着くという特徴もありました。

その後、職場を変えたことで症状が出る頻度はやや減ったものの、完全になくなることはありませんでした。さらに、次第に就寝中にも動悸が起こるようになり、突然目が覚めてしまうことが増えていきました。

十分に眠ったつもりでも朝はスッキリせず、睡眠の質が低下しているように感じていたそうです。

また、当時は新型コロナウイルスの感染対策としてマスクを常時着用する機会が多く、息苦しさや酸欠感を覚えることもありました。身体を動かす作業中には息苦しさが強くなり、無意識に深呼吸を繰り返していることにも気づいていました。

仕事では重い荷物を運ぶことが多く、首や肩の張りも慢性化していました。

さらに、長時間の作業によって腰の違和感や痛みも強くなり、仕事が終わる頃には腰が重だるく感じることが日常的になっていました。

数年前からは、仰向けで寝ると骨盤周辺に違和感が出るようになり、痛みを避けるために横向きで寝る習慣がついていました。寝返りを打つたびに腰周辺の違和感を感じるため、身体を休めるはずの睡眠中にも気になってしまう状態でした。

さらに、幼少期から消化機能が弱く、胃腸のトラブルを起こしやすいことも悩みの一つでした。

特に朝は排便の回数が多く、一日に3回ほどトイレに行くことが当たり前になっていました。冷えや刺激物をきっかけにお腹を下しやすく、お腹の張り感も続いていたそうです。

これまでにも乳酸菌飲料や腸内環境を整えることを目的としたサプリメントを試していましたが、大きな変化は感じられませんでした。

また、定期的に整体やリンパマッサージも受けていました。

施術を受けた直後は身体が軽くなり、症状も一時的に楽になるものの、時間が経つと再び元の状態に戻ってしまう。その繰り返しから、「その場だけではなく、身体そのものを見直したい」と考えるようになったそうです。

そんな中、知人からカイロプラクティックを勧められました。

身体の根本的なバランスを見ていくことで不調が変化したという話を聞き、「今までとは違うアプローチを試してみたい」と思ったことが、来院のきっかけとなりました。

初診時には、頸部から背部にかけて強い過緊張がみられ、右上部頸椎にも可動域の制限が確認されました。また、右仙腸関節にも可動域の制限があり、骨盤周辺を含めて身体の動きに偏りがみられる状態でした。

温度検査では、骨盤部に明らかな左右差も確認されました。

レントゲン評価では、椎間板の状態を6段階で評価しており、このケースでは慢性的なD4からD5の段階と評価しました。

本来であれば初期集中期には週2~3回のケアが理想的でしたが、仕事の都合も考慮し、無理なく継続できる週1回からスタートすることになりました。

ケアを開始すると、早い段階から身体の変化がみられました。

1回目のアジャストメント後、休んでいる際にこれまで感じていた骨盤周辺の違和感がなく、仰向けで寝ることができました。

これまで仰向けになると骨盤周辺が気になり、横向きで寝ることが習慣になっていたため、ご本人にとっても分かりやすい変化だったそうです。

3回目のアジャストメントを行う頃には、来院時の検査で筋緊張の緩和が確認されました。ご本人は首や肩の張りをまだ強く感じていましたが、施術前の身体の状態そのものには変化が現れ始めていました。

さらにケアを継続する中で、9週目頃には骨盤部の筋緊張や浮腫感の軽減が確認されました。

この頃には、ご本人自身でもお腹周りの筋肉の張り感が取れてきたことを実感できるようになりました。

その後も状態を確認しながらケアを続け、11週目、13週目、15週目と経過する中で、施術間隔を少し空けても良い状態を維持できるようになり、経過は良好でした。

今回のケースでは、動悸やめまいだけを見るのではなく、首や肩、骨盤周辺の状態、睡眠時の身体の負担、消化機能に関する悩みなども含めて、身体全体の状態を評価していきました。

もちろん、動悸やめまい、息苦しさ、消化器症状にはさまざまな原因があり、この一例だけですべてを説明することはできません。また、これらの症状がある場合には、必要に応じて医療機関で適切な検査を受けることも重要です。

そのうえで今回の症例から考えられるのは、長期間にわたるストレスや肉体的な負担がある中で、身体のさまざまな部分に生じていた変化を一つずつ切り離して見るのではなく、身体全体がどのような状態で日々の負担に適応しているのかを評価することの大切さです。

症状が出ている場所だけを見るのではなく、その背景にある身体の状態まで丁寧に確認する。

それが、身体が本来持っている調整機能や回復する力を考えていくうえで、一つの重要な視点になるのかもしれません。

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中島 恵

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。

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