めまいと身体のあちこちに現れる痛み|自律神経との関係を考える
「ふわふわするようなめまいが繰り返し起こる」
「疲れやストレスがたまると、身体のさまざまな場所が痛くなる」
「検査では異常が見つからないのに、不調が続いている」
このような症状が続くと、日常生活にも影響が出てしまいます。家事や仕事を思うように進められなかったり、外出や運動を控えるようになったりすることもあるでしょう。原因がはっきりしないまま複数の不調が重なると、何に気をつければよいのか分からず、不安を感じることもあるかもしれません。
めまいや身体の痛みには、さまざまな原因が考えられます。自律神経は、心拍や血圧、発汗、体温調節など、私たちが意識しなくても行われる身体の働きを調整しています。また、睡眠不足や疲労、ストレスなどは、体調や痛みの感じ方に影響することがあります。ただし、めまいや痛みが続いているからといって、自律神経の乱れだけが原因とは限りません。症状の背景を理解するためには、それぞれの症状の特徴を知り、必要に応じて医療機関で原因を確認することが大切です。
では、自律神経は身体の働きにどのように関わっているのでしょうか。また、複数の不調が重なったとき、私たちは自分の身体の変化をどのような視点から捉えればよいのでしょうか。
このコラムでは、めまいや身体の痛みが起こる背景、自律神経と身体の調整機能の関係、そしてカイロプラクティックでは身体全体の状態をどのような視点から考えているのかについて解説していきます。
■ めまいや身体の痛みには、さまざまな原因が考えられる
めまいや身体の痛みは、日常生活の中で経験することのある症状ですが、その背景にはさまざまな要因が関係しています。例えば、めまいには、周囲がぐるぐる回るように感じるもの、身体がふわふわと浮いているように感じるもの、立ち上がったときに目の前が暗くなるものなどがあります。症状の現れ方が異なれば、考えられる原因や必要な検査も変わってきます。
めまいの原因の一つに、内耳の働きに関わる問題があります。内耳には、身体の傾きや回転を感知する前庭器官があり、目から入る情報や筋肉・関節から伝わる感覚情報などと組み合わさることで、身体のバランスを保っています。これらの情報にずれが生じたり、前庭器官などに問題が起こったりすると、回転する感覚やふらつきが現れることがあります。また、血圧の変化、薬の影響、貧血、神経系の病気などが関係する場合もあります。
一方、身体のさまざまな場所に現れる痛みも、一つの原因だけで説明できるとは限りません。筋肉や関節への負担、神経の障害、炎症など、痛みが生じる仕組みは多様です。例えば、神経が障害されたり刺激を受けたりすると、ピリピリ、ジンジンとした痛みや、しびれ、感覚の変化が現れることがあります。ただし、痛みの感覚だけで神経痛と判断することは難しく、症状の経過や身体の状態を踏まえた評価が必要です。
また、帯状疱疹の後には、皮膚の症状が落ち着いた後も神経の痛みが続く「帯状疱疹後神経痛」が生じることがあります。衣服が触れるだけで痛みを感じたり、焼けるような痛みが続いたりする場合もあります。帯状疱疹を経験したことがある方で、痛みが長く続いている場合には、こうした可能性も含めて医療機関で相談することが大切です。
自律神経も、身体の状態を考えるうえで知っておきたい仕組みの一つです。自律神経は、心拍や血圧、発汗、消化、体温調節などを調整しており、活動時に働きやすい交感神経と、休息時などに関わる副交感神経が、状況に応じて身体の機能を調整しています。睡眠不足や疲労、ストレスなどによって体調が変化することはありますが、めまいや痛みがあるという理由だけで、自律神経の働きに異常があると判断することはできません。
めまいと身体の痛みが同時に現れている場合も、必ずしも同じ原因から起こっているとは限りません。症状が始まった時期や頻度、痛む場所、めまいの感じ方、服薬状況などを振り返ることで、身体の状態を把握する手がかりになります。症状が繰り返される場合や日常生活に支障が出ている場合には、自己判断せず、医療機関で原因を確認することが重要です。
特に、突然の強いめまいに加えて、手足の麻痺、ろれつが回らない、物が二重に見える、立てないほどのふらつきなどが現れた場合には、脳卒中などの緊急性の高い病気も考えられるため、速やかに救急医療を受けてください。症状の現れ方を正しく理解し、必要な検査や対応につなげることが、身体の状態を知るための第一歩になります。
■ 自律神経と脳の働きから、身体の変化を考える
私たちの身体は、周囲の環境や活動状況に応じて、さまざまな機能を調整しています。その調整に関わる重要な仕組みの一つが、自律神経です。自律神経は、心拍や血圧、発汗、消化、体温調節などをコントロールし、身体の内部環境を一定の範囲に保つ働きを支えています。こうした調整は、脳や脊髄を含む中枢神経系と、全身に広がる神経との連携によって行われています。
例えば、緊張する場面では心拍数が上がり、汗をかきやすくなることがあります。一方、休息しているときには、心拍数が落ち着き、消化などに関わる働きが促されます。このように、交感神経と副交感神経は単純にどちらか一方が優れているという関係ではなく、状況に応じて働きながら、身体の機能を調整しています。
睡眠不足や疲労、精神的なストレスが続くと、睡眠の質や疲労感、食欲、身体の緊張などに変化が現れることがあります。こうした変化には、自律神経だけでなく、ホルモン、免疫機能、生活習慣など複数の仕組みが関係しています。そのため、身体の不調を理解する際には、「自律神経が乱れているから」と一つの理由に当てはめるのではなく、日々の生活や症状の経過も含めて考えることが大切です。
また、脳は身体から送られてくる感覚情報を処理し、周囲の状況に合わせて身体の反応を調整しています。平衡感覚についても、内耳からの情報だけでなく、視覚や筋肉・関節からの感覚情報などを統合することで、姿勢や動きを安定させています。これらの情報の処理や連携に問題が生じると、ふらつきやバランスの取りにくさなどが現れる場合があります。ただし、めまいの原因は多様であり、自律神経の働きだけで説明できるわけではありません。
痛みについても、脳と神経系の働きが関係しています。身体から伝わる情報は神経を通じて脊髄や脳に届き、脳によって痛みとして認識されます。また、神経系には痛みの信号を調整する仕組みも備わっています。睡眠不足や疲労、精神的な緊張などが重なると、痛みを普段より強く感じることもあります。ただし、痛みが続く場合には、神経や筋肉、関節などに問題がないかを確認することも欠かせません。
めまいや身体の痛みが続いているときは、症状だけでなく、睡眠時間、疲労の程度、仕事や家事の負担、症状が出るタイミングなども振り返ってみましょう。記録を続けることで、自分の身体にどのような変化が起きているのかを整理しやすくなり、医療機関で相談する際にも役立ちます。脳や神経系、自律神経の働きを知ることは、不調を一つの原因だけで決めつけず、自分の身体を理解するための手がかりになります。
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執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。


