2026.08.16

その不調、いつから始まっていたのでしょうか?症状が現れる前の身体に目を向けてみませんか

カテゴリ: 健康通信
その不調、いつから始まっていたのでしょうか?症状が現れる前の身体に目を向けてみませんか

「腰が痛くなったのは昨日からです。」
「肩こりが気になり始めたのは、ここ数週間です。」

身体の不調についてお話を伺うと、多くの方が「症状を感じ始めた時期」を不調の始まりとして捉えています。確かに、痛みや違和感が現れた日から、身体の変化を意識するようになるのは自然なことです。

しかし、考えてみてください。
その痛みや違和感が現れる前から、身体には何か変化が起きていなかったでしょうか。

以前より疲れやすくなっていた。
朝起きてもすっきりしなくなっていた。
同じ姿勢でいることがつらくなっていた。
運動後の回復に時間がかかるようになっていた。
以前は気にならなかった動作が、少しずつ負担に感じるようになっていた。

こうした小さな変化は、痛みとして認識される前には見過ごされてしまうことがあります。そして、いよいよ痛みや不調が現れたときに、「急に悪くなった」と感じるのかもしれません。

では、身体の不調は本当に症状が現れた瞬間から始まっているのでしょうか。
もし、症状が現れる前の身体にも目を向けることができたとしたら、今までとは違った身体の見方ができるかもしれません。

今回のコラムでは、身体の不調が現れるまでにどのような変化が起こるのか、カイロプラクティックの視点からお伝えしていきます。

■ 身体の不調は、症状が現れた瞬間に始まるとは限りません

「腰が痛い」「肩がこる」「膝が痛む」といった身体の不調が現れると、私たちはその症状が始まった時点を「身体が悪くなったタイミング」と考えがちです。

しかし、身体には本来、さまざまな変化に対応しながら状態を保とうとする仕組みがあります。例えば、仕事が忙しくなって睡眠時間が短くなったときや、運動量が急に増えたとき、長時間同じ姿勢で過ごす日が続いたときなど、身体には普段とは異なる負担がかかります。それでも私たちがすぐに痛みを感じるとは限りません。

身体は、筋肉の緊張を調整したり、姿勢を変えたり、動作を無意識に変化させたりしながら、その環境に適応しようとします。このように、身体には負担を受けたときに、それを補いながら機能を維持する仕組みがあります。そのため、最初の段階では「少し疲れやすい」「身体が重い」「いつもより動きにくい」といった、ごく小さな変化として現れることがあります。

ところが、その状態が長く続いたり、負担が繰り返されたりすると、身体がそれまでと同じように対応することが難しくなる場合があります。すると、これまで気にならなかった動作で違和感を覚えたり、特定の部位に痛みが出たりすることがあります。

例えば、長時間のデスクワークが続いたことで首や肩に負担が蓄積していても、最初から「肩が痛い」と感じるとは限りません。

「夕方になると肩が重い」
「以前より首を動かしにくい」
「仕事が終わる頃には疲れ切っている」

といった変化が先に現れ、その後に痛みやこりを強く感じるようになることもあります。また、スポーツでも同じことが考えられます。

練習量が増えたからといって、必ずその日にケガをするわけではありません。疲労が蓄積し、身体の動きが少しずつ変化した結果、ある動作をきっかけに痛みが現れることもあります。

このように考えると、「痛みが出た日」と「身体の状態が変化し始めた日」は、必ずしも同じではないことが分かります。もちろん、突然の外傷や明確な原因によって生じるケガもあります。その場合には、適切な医療機関で状態を確認することが大切です。

一方で、慢性的な肩こりや腰痛、繰り返す身体の不調などでは、症状が現れるまでに積み重なっていた身体への負担を考えることも重要になります。では、身体はなぜ、負担がかかっているにもかかわらず、すぐには「痛い」と知らせてくれないのでしょうか。

次の章では、身体が負担に適応する仕組みに目を向けながら、「痛みが出た場所=原因」とは限らない理由について考えていきます。

■ 「痛い場所」が、身体の変化の始まりとは限りません

身体に痛みが出ると、どうしてもその場所に意識が向きます。腰が痛ければ腰を、肩がこれば肩を、膝が痛ければ膝を気にするのは当然のことです。

しかし、ここで一度考えてみたいことがあります。

「痛みが出ている場所」と「身体の変化が始まった場所」は、本当に同じなのでしょうか。

身体は、一つひとつの部位が独立して働いているわけではありません。例えば、歩くという動作だけを考えても、足首、膝、股関節、骨盤、背骨、そして上半身までが連動しています。

どこか一つの場所に動かしにくさや負担が生じれば、身体はその状態に合わせて別の場所の働きを変えることがあります。これは、身体が今の状態に適応しようとする自然な反応です。

最初は小さな変化だったとしても、その状態が長く続けば、別の場所に負担が集中することがあります。例えば、以前は何ともなかった歩き方が、ある時期から少し変わっていたとしても、自分ではその変化に気づかないかもしれません。

しかし、身体はその変化を補うように動き続けます。そして、ある日を境に腰や肩、膝などに痛みが現れる。すると私たちは、「腰を痛めた」「肩を痛めた」と考えます。

もちろん、実際にその場所へ負担がかかっていることは事実です。ただし、そこに至るまでの過程を考えると、身体の変化はもっと前から始まっていた可能性があります。

この考え方は、繰り返す不調を考えるときにも重要です。

一度治ったはずなのに、同じ場所が何度も痛くなる。そのような場合、「また同じ場所が悪くなった」と考えるだけではなく、なぜそこに繰り返し負担が集まるのかを考える必要があります。

さらに、身体が環境に適応するうえでは、筋肉や関節だけではなく、脳や神経の働きも重要な役割を担っています。私たちは無意識のうちに、身体の位置や動き、周囲の環境からさまざまな情報を受け取り、それをもとに身体の動きを調整しています。

つまり、身体の不調を考えるときには、「どこが痛いのか」だけではなく、「その状態になるまでに、身体はどのように変化してきたのか」という視点を持つことが大切なのです。

症状は、身体が突然壊れたことを知らせるものとは限りません。それまで身体が頑張って適応してきた結果として、初めて気づくことのできたサインなのかもしれません。

では、このような身体の変化を、カイロプラクティックではどのように捉えているのでしょうか。

次の章では、症状のある場所だけではなく、脳と神経、そして身体全体のつながりから身体を考える、前田カイロプラクティック藤沢院の視点についてお伝えします。

■ 症状だけを見るのではなく、そこに至るまでの身体の変化を見る

カイロプラクティックでは、身体の不調を考えるとき、「どこが痛いのか」だけではなく、「そこに至るまでに身体がどのように変化してきたのか」という視点を大切にしています。

身体は、脳を中心として神経を介し、全身が常に情報をやり取りしながら働いています。立つ、歩く、座る、走るといった日常の動作も、筋肉や関節だけで行っているわけではありません。

身体のさまざまな場所から送られてくる情報を脳が受け取り、その状況に合わせて身体の働きを調整しています。例えば、仕事やスポーツによって身体へ負担がかかったとき、身体はその負担に適応しようとします。

疲労があれば動き方を変えたり、姿勢を調整したり、無意識のうちに別の部位を使って補ったりすることがあります。この適応によって、私たちは多少の負担があっても日常生活を続けることができます。

しかし、その状態が長く続けば、身体が本来とは異なる使い方を続けることになる場合があります。そして、ある時点で身体の適応だけでは対応しきれなくなったとき、痛みや違和感という形で初めて変化に気づくことがあります。

だからこそ、私たちは「痛みを感じている場所」だけを追いかけるのではなく、その背景にある身体全体の状態を考えることが重要だと考えています。カイロプラクティックでは、脳と身体をつなぐ神経機能に着目し、身体全体がどのように働いているのかを捉えていきます。

これは、痛みの原因を一つに決めつけるという考え方ではありません。一人ひとりの生活習慣や身体の使い方、これまでの身体への負担なども含めて、その人の身体が現在どのような状態にあるのかを考えていくということです。

そして、身体が本来持っている自然治癒力や環境へ適応する力が発揮されやすい状態を目指します。不調が出たとき、「いつから痛くなったのか」だけではなく、「その前に何が変わっていたのか」と振り返ってみる。

それだけでも、ご自身の身体を見る視点は変わるかもしれません。身体の不調は、症状が現れた瞬間に突然始まるとは限りません。

「最近、腰が痛くなった」
「ここ数週間、肩がこる」
「以前より疲れやすくなった」

そう感じたとき、その症状だけに目を向けるのではなく、少し前の自分の身体や生活を振り返ってみることも大切です。

仕事が忙しくなっていなかったか。
睡眠時間が短くなっていなかったか。
身体を動かす機会が減っていなかったか。
以前より同じ姿勢で過ごす時間が増えていなかったか。

何気ない変化の中に、身体が発していた小さなサインが隠れていることがあります。もちろん、すべての不調が長期間の積み重ねによって起こるわけではありません。突然のケガや病気など、明確な原因によって生じる症状もあります。

だからこそ、「痛くなったから悪くなった」と考えるだけではなく、「痛くなるまで、身体はどのように頑張っていたのだろう」と考えてみることも大切なのです。

今感じている不調をきっかけに、少し前の自分の身体を振り返ってみる。そこから見えてくるものが、これからの身体との付き合い方を考えるヒントになるかもしれません。

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中島 恵

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。

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