ぎっくり腰を何度も繰り返すのはなぜ?慢性腰痛との関係と原因
「何度もぎっくり腰を繰り返していて、またいつ痛くなるのか不安。」
「強い痛みは治まっても、腰の重さや違和感がずっと残っている。」
「仕事や家事をするときも、腰をかばいながら動くことが当たり前になっている。」
このように、一度だけではなく何度もぎっくり腰を繰り返し、その間にも慢性的な腰痛に悩まされている方は少なくありません。
ぎっくり腰というと、重い物を持ち上げた瞬間に突然腰を痛めるイメージがあるかもしれません。しかし実際には、身体を起こしたときや物を拾おうとしたとき、少し腰をひねったときなど、何気ない動作をきっかけに強い腰痛が現れることもあります。
強い痛みが出た直後は安静にしたり、コルセットを使用したりしながら過ごし、しばらくすると日常生活に戻れるようになることもあります。そのため、「今回も治った」と安心していたところ、数か月後や数年後に再びぎっくり腰を起こし、それを何度も繰り返している方もいます。
こうした状態が続くと、腰が痛いことそのものだけではなく、「またぎっくり腰になるのではないか」という不安が日常生活について回るようになります。重い物を持つことを避けたり、仕事中の動作に慎重になったり、休日にも腰を気にして行動を控えたりと、痛みへの不安によって生活の幅が狭くなってしまうこともあります。
では、なぜ一度ぎっくり腰になっても、その後は問題なく過ごせる人がいる一方で、何度も繰り返してしまう人がいるのでしょうか。また、強い痛みが落ち着いている時期にも慢性的な腰痛が続いていることには、どのような意味があるのでしょうか。
ぎっくり腰を繰り返していると、「腰が弱いから仕方がない」「仕事で腰を使うから避けられない」と考えてしまうかもしれません。しかし、痛みが落ち着いたことだけを身体が十分に回復した目安とするのではなく、なぜ同じ場所に何度も負担が表面化しているのかという視点から身体を考えることも大切です。
このコラムでは、ぎっくり腰とはどのような状態なのか、何度もぎっくり腰を繰り返す理由と慢性腰痛との関係、そして繰り返す腰痛を考えるうえで大切な視点について解説していきます。
■ぎっくり腰とはどのような状態なのでしょうか?
「ぎっくり腰」は一般的に使われている呼び名で、医学的には突然生じる強い腰痛を「急性腰痛」と呼びます。重い物を持ち上げた瞬間に腰へ激痛が走るというイメージが強いかもしれませんが、実際には身体を起こしたとき、前かがみになったとき、腰をひねったときなど、日常生活の何気ない動作をきっかけに起こることもあります。
ぎっくり腰の原因は一つではありません。腰を構成している筋肉や靱帯、椎間板、椎間関節など、さまざまな組織が痛みに関係する可能性があります。また、画像検査を行っても痛みの原因となる部位を明確に特定できないケースもあり、「ぎっくり腰=腰のどこか一か所が壊れた状態」と単純に考えられるものではありません。
発症した直後には、腰を動かしたときに強い痛みが出たり、身体を起こすことが難しくなったりすることがあります。歩く、立ち上がる、寝返りを打つといった普段は意識せず行っている動作でも痛みが強くなり、仕事や家事などの日常生活に大きな影響が及ぶ場合もあります。
一方で、急激に強い腰痛が現れたからといって、すべてが一般的なぎっくり腰とは限りません。発熱を伴っている場合や、転倒などの強い外傷後に発症した場合、脚の強いしびれや筋力低下、排尿・排便に関する異常などがみられる場合には、別の疾患が隠れている可能性もあります。このような場合には自己判断せず、医療機関で適切な検査を受けることが重要です。
一般的な急性腰痛では、強い痛みが徐々に落ち着き、時間の経過とともに日常生活へ戻れるようになるケースも多くあります。そのため、痛みがなくなれば「ぎっくり腰は治った」と考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、ぎっくり腰を経験した方の中には、その後も腰の重さや違和感、慢性的な腰痛が残ったり、しばらくすると再び強い腰痛を起こしたりする方もいます。一度だけで終わる人がいる一方で、毎年のようにぎっくり腰を繰り返し、「いつまた腰を痛めるか分からない」という不安を抱えながら生活している人もいます。
また、ぎっくり腰を繰り返していると、痛みへの不安から腰を必要以上にかばうようになることがあります。重い物を持つことを避ける、身体を動かすことに慎重になるなど、腰痛を経験する前とは行動そのものが変わってしまう場合もあります。
では、なぜ一度ぎっくり腰を経験しても、その後は問題なく過ごせる人がいる一方で、何度もぎっくり腰を繰り返し、その間にも慢性的な腰痛が続いてしまう人がいるのでしょうか。次の章では、痛みが一時的に落ち着いたかどうかだけではなく、その人の身体が日々の負担にどのように適応しているのかという視点から考えていきます。
■なぜぎっくり腰を何度も繰り返してしまうのでしょうか?
ぎっくり腰の強い痛みは、時間の経過とともに落ち着いていくことがあります。しかし、痛みがなくなったことと、身体が日々の負担に十分適応できる状態になったことは、必ずしも同じではありません。
実際に、一度ぎっくり腰を経験してもその後は問題なく生活できる人がいる一方で、数か月から数年おきに何度も繰り返す人もいます。さらに、ぎっくり腰を起こしていない時期にも腰の重さや違和感、慢性的な腰痛を抱えている人もいます。
この違いを考えるうえで大切なのは、「何をしたときに痛めたのか」というきっかけだけではなく、その負担に身体がどのように適応しているのかという視点です。
重い荷物を持つ、長時間座り続ける、中腰で作業をするなど、腰に負担がかかる場面は日常生活の中に数多くあります。しかし、同じような仕事や生活をしていても、すべての人がぎっくり腰を繰り返すわけではありません。身体には本来、日々加わるさまざまな負担や環境の変化に対応しながら、状態を調整していく働きがあります。
そして、身体がこうした変化に適応していくためには、脳と身体との情報交換が適切に行われていることが重要です。身体から送られてくる情報は神経を通して脳へ届けられ、脳はその情報をもとに身体の状態を把握し、そのとき必要な指令を再び神経を通して全身へ送り返しています。
カイロプラクティックでは、この脳と身体との情報交換を妨げる状態を「サブラクセーション」と呼んでいます。サブラクセーションによって神経伝達が阻害されれば、身体から脳へ届けられる情報にも影響が及び、その人が本来持っている身体の調整機能を十分に発揮しにくくなると考えます。
だからこそ前田カイロプラクティック藤沢院では、「腰が痛いから腰だけを見る」「ぎっくり腰だから痛みが出た場所だけを見る」という考え方はしていません。レントゲン評価、視診、静的触診、動的触診、体表温度測定など複数の検査を組み合わせ、その人の身体全体を評価することを大切にしています。
カイロプラクティックの目的は、ぎっくり腰や慢性腰痛といった症状を直接取り除くことではありません。神経の働きを妨げているサブラクセーションを見極め、必要な箇所へアジャストメントを行うことで、脳と身体との情報交換が適切に行われる環境を整えていきます。その結果として、その人自身が生まれながらに持っている「治るチカラ」が最大限に発揮できる状態を目指します。
ぎっくり腰を繰り返していると、重い物を持ったことや仕事で腰を使ったことなど、その直前の出来事だけが原因のように感じるかもしれません。しかし、その動作は身体に負担が表面化する「きっかけ」であり、それだけでは、なぜ同じような動作をしても繰り返す人と繰り返さない人がいるのかまでは説明できません。
何度もぎっくり腰を繰り返しているからこそ、その都度現れた痛みだけを見るのではなく、その人の身体が日々の負担にどのように適応しているのかまで含めて考えることが大切です。
では実際に、慢性的な腰痛を抱えながら何度もぎっくり腰を繰り返し、仕事や家族との時間にまで影響が及んでいた方の身体には、どのような状態が確認されたのでしょうか。次の章では、実際に当院へ来院された方の症例をご紹介します。
■何度も繰り返すぎっくり腰と慢性腰痛に悩まされていた実際の症例
今回ご紹介するのは、30代の頃から慢性的な腰痛を抱え、その後、何度もぎっくり腰を繰り返すようになった40代の男性です。
仕事は配送ドライバーで、長時間の運転に加えて荷物の積み下ろしなど、日常的に腰へ負担がかかる生活を送っていました。30代になってから慢性的に腰の重さや痛みを感じるようになり、35歳のときに初めてぎっくり腰を経験しました。
それ以降は腰への不安からコルセットを使用するようになりましたが、その後も毎年のようにぎっくり腰を繰り返していました。強い痛みが落ち着いている時期にも慢性的な腰痛が続き、「またぎっくり腰になるのではないか」という不安を抱えながら仕事をする状態が続いていました。
腰の状態は仕事だけではなく、休日の過ごし方にも影響するようになりました。家族と出かけても腰の状態を気にしなければならず、本来であれば身体を休めたり家族との時間を楽しんだりするはずの休日にも、腰への不安がついて回るようになっていました。
当院では、「ぎっくり腰を繰り返しているから腰だけを見る」という考え方ではなく、レントゲン評価、視診、静的触診、動的触診、体表温度測定など複数の検査を組み合わせ、身体全体の状態を詳しく評価しました。
検査では、腰部や骨盤周辺に可動性の低下や筋肉の緊張、体表温度の左右差など、神経機能への影響を考えるうえで重要な変化が確認されました。そこで、それぞれの検査結果を照らし合わせながらサブラクセーションを見極め、必要と判断した箇所へアジャストメントを行っていきました。
ケアを継続する中で、長年続いていた慢性的な腰痛に変化がみられるようになり、仕事中に腰を気にすることも少なくなっていきました。また、腰への不安から日常的に使用していたコルセットも、次第に必要としなくなっていきました。
その後は、仕事で長時間運転したり荷物を扱ったりしても以前のような腰痛を感じることがほとんどなくなり、繰り返していたぎっくり腰も起こらなくなりました。腰の状態を気にして行動を制限することもなくなり、休日には家族との時間を楽しめるようになりました。
この症例で、カイロプラクターがぎっくり腰や慢性腰痛を直接治したわけではありません。当院が行ったのは、その人の身体を詳しく評価し、神経の働きを妨げているサブラクセーションに対して必要なアジャストメントを行うことです。
身体を回復へ導いているのは、その人自身が生まれながらに持っている「治るチカラ」です。その力が最大限に発揮できるよう、神経の働きを整え、脳と身体との情報交換が適切に行われる環境をつくることが、カイロプラクティックの大切な役割です。
何度もぎっくり腰を繰り返している場合、その都度痛みが落ち着くことだけをゴールにするのではなく、なぜ同じような負担をきっかけに腰痛を繰り返しているのかという視点から身体全体を評価することも大切です。
▶何度も繰り返すぎっくり腰と慢性的な腰痛に苦しんだ詳しい症例報告はこちら
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執筆者前田 一真
神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。
シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。


