2026.08.28

頸椎椎間板ヘルニアで腕がしびれるのはなぜ?首の痛みと神経の関係

カテゴリ: 健康通信
頸椎椎間板ヘルニアで腕がしびれるのはなぜ?首の痛みと神経の関係

「首の痛みだけだったのに、だんだん腕までしびれるようになってきた。」
「手に力が入りにくくなり、今まで普通にできていたことがしづらくなってきた。」
「頸椎椎間板ヘルニアと診断され、手術が必要になるのではないかと不安になっている。」

このような首の痛みに加えて、肩甲骨周辺から腕、手にかけてのしびれや力の入りにくさに悩んでいる方も少なくありません。

最初は「首や肩が凝っているだけだろう」と思っていても、次第に症状が強くなり、腕や手にまで広がってくると、「このまま悪化したらどうなるのだろう」と不安になるものです。

さらに、病院でMRIなどの検査を受け、「頸椎椎間板ヘルニア」と診断されれば、「なぜ首の問題なのに腕や手までしびれるのだろう」「手術をしなければ良くならないのだろうか」と疑問や不安を感じる方もいるでしょう。

もちろん、腕のしびれや力の入りにくさなどが現れている場合には、自己判断せず、まず医療機関で適切な検査を受けることが大切です。

今回ご紹介する症例でも、首の激しい痛みに加えて、肩甲骨周辺から腕にかけてのしびれや力の入りにくさがあり、日常生活にも支障が出ていました。医療機関では頸椎椎間板ヘルニアと診断され、手術の可能性まで示されていました。

このコラムでは、頸椎椎間板ヘルニアとはどのような状態なのか、なぜ首の痛みだけではなく腕や手にしびれや力の入りにくさが現れるのかについて解説していきます。

■頸椎椎間板ヘルニアとはどのような状態なのでしょうか?

頸椎椎間板ヘルニアとは、首の骨と骨の間にある椎間板の一部が突出し、周囲の神経を刺激することで、首の痛みや腕のしびれなどが現れる状態です。

私たちの首には7つの頸椎があり、その間にはクッションのような役割をする椎間板があります。椎間板は、首を動かしたときに加わる衝撃を吸収したり、頸椎の動きを支えたりする重要な役割を担っています。

この椎間板は、中心部にある髄核と、その周囲を取り囲む線維輪によって構成されています。加齢による変性や繰り返される負担などによって線維輪に変化が生じ、内部の髄核が後方へ突出すると、近くを通る神経に影響を及ぼすことがあります。

頸椎から出る神経は、肩や腕、手などにつながっています。そのため、頸椎椎間板ヘルニアでは首だけに症状が現れるとは限らず、肩甲骨周辺の痛みや腕から手にかけてのしびれ、感覚の異常などがみられることがあります。

神経への影響が強くなると、腕や手に力が入りにくくなったり、握力が低下したり、指先を使った細かな動作がしづらくなったりする場合もあります。今回の症例でみられたような、ペットボトルのキャップを開けにくい、衣服のボタンを留めにくいといった変化も、日常生活の中で気づくことのある症状です。

また、椎間板が突出する方向や神経への影響によっては、腕や手だけではなく、歩行のしづらさなどが現れることもあります。そのため、手足の力が入りにくい、歩きにくいなどの症状がある場合には、自己判断せず医療機関で適切な検査を受けることが重要です。

医療機関では、症状や身体診察に加えて、MRIなどの画像検査によって椎間板や神経の状態を確認します。治療では症状や状態に応じて薬物療法やリハビリテーションなどの保存療法が行われ、神経症状が強い場合や日常生活への大きな支障が続く場合などには、手術が検討されることもあります。

ここまでを見ると、「椎間板が飛び出して神経を圧迫しているのだから、それがすべての症状の原因なのではないか」と考えるかもしれません。

しかし、頸椎椎間板ヘルニアという同じ診断名がついていても、症状の現れ方や程度はその人によって異なります。

では、画像に映っている椎間板の状態だけではなく、その人の身体で神経がどのように働いているのかという視点から考えると、何が見えてくるのでしょうか。

次の章では、画像に映る「構造」だけではなく、神経を介した身体の「機能」まで評価することが大切な理由について解説していきます。

■画像に映る「構造」だけではなく、神経の「機能」を見ることが大切です

頸椎椎間板ヘルニアと診断され、MRI画像で椎間板が突出している状態を見れば、「この椎間板が神経を圧迫しているから、首が痛くて腕もしびれているのだ」と考えるのは自然なことかもしれません。

もちろん、MRIなどの画像検査は、椎間板や神経などの状態を確認するために非常に重要です。しかし、画像から得られる情報は、身体を評価するための情報の一つです。

私たちが腕を動かしたり、手でものを握ったり、指先を細かく動かしたりするときには、骨や椎間板だけが関わっているわけではありません。筋肉や関節などから送られてくる情報を脳が受け取り、その情報に応じた指令を神経を通して送り返すことで、身体は絶えず動き続けています。

例えば、ペットボトルのキャップを開けるという何気ない動作でも、指先でどの程度の力を加えているのか、手首や肘がどの位置にあるのかといった情報が絶えず脳へ届けられています。脳はその情報をもとに必要な筋肉を適切なタイミングで働かせ、力加減を調整しています。

つまり、身体を考えるうえでは、画像に「何が映っているのか」という構造を見ることと、その身体が「実際にどのように働いているのか」という機能を見ることは、同じではありません。

カイロプラクティックで重要となるのが、この脳と身体との情報交換を妨げるサブラクセーション(神経伝達の阻害)です。サブラクセーションによって神経の働きが妨げられれば、身体から脳へ届けられる情報にも影響が及び、その人が本来持っている身体の調整機能を十分に発揮しにくくなると考えます。

だからこそ当院では、「頸椎椎間板ヘルニアだから突出した椎間板だけを見る」「首が痛いから首だけを施術する」という考え方はしていません。

レントゲン評価だけではなく、視診、静的触診、動的触診、体表温度測定など複数の検査を組み合わせながら、その人の身体で神経がどのように働いているのかを総合的に評価し、どこにサブラクセーションが存在しているのかを見極めることを大切にしています。

カイロプラクティックの目的は、MRIに映っている椎間板の形そのものを元に戻すことでも、首の痛みや腕のしびれを直接取り除くことでもありません。必要と判断した箇所へアジャストメントを行い、神経の働きを整えることで、脳と身体との情報交換が適切に行われる環境をつくることです。

そして、身体を回復へ導いているのは、カイロプラクターではありません。その人自身が生まれながらに持っている「治るチカラ」です。

頸椎椎間板ヘルニアという診断名だけで身体の可能性を決めつけるのではなく、画像に映る構造を正しく把握したうえで、その人の神経機能がどのような状態にあるのかまで丁寧に評価することが大切です。

では実際に、頸椎椎間板ヘルニアと診断され、手術の可能性まで示されていた方の身体には、どのような状態が確認されたのでしょうか。

次の章では、実際に当院へ来院された方の症例をご紹介します。

■手術を覚悟するほど首の痛みと腕のしびれが悪化していた実際の症例

今回ご紹介するのは、頸椎椎間板ヘルニアと診断され、首の激しい痛みと腕のしびれ、力の入りにくさに悩まされていた40代の男性です。

長時間のデスクワークが続く生活の中で首の痛みが徐々に強くなり、やがて肩甲骨周辺から腕にかけてしびれを感じるようになりました。さらに手にも力が入りにくくなり、ペットボトルのキャップを開ける、衣服のボタンを留めるといった日常的な動作にも支障が出るようになっていました。

医療機関を受診してMRI検査を受けたところ、頸椎椎間板ヘルニアと診断されました。症状が強く、手術の可能性についても説明を受けたことで、「このままでは手術を受けるしかないのではないか」という不安を抱えながら当院へ来院されました。

当院では、頸椎椎間板ヘルニアという診断名や画像上の変化だけで判断するのではなく、レントゲン評価、視診、静的触診、動的触診、体表温度測定などを組み合わせながら、身体全体の状態を詳しく評価しました。

検査では、頸部に明らかな可動域制限が確認され、体表温度検査でも左右差がみられました。また、頸部周辺には浮腫や筋肉の強い過緊張など、神経機能への影響を考えるうえで重要な変化が複数確認されました。

ここで重要なのは、「頸椎椎間板ヘルニアだから、この場所が問題だ」と特定の椎骨だけを追いかけたわけではないということです。複数の検査結果を照らし合わせ、その人の身体でどこにサブラクセーションが存在しているのかを見極め、必要と判断した箇所にのみアジャストメントを行っていきました。

ケアを続ける中で、激しかった首の痛みや肩甲骨周辺から腕にかけてのしびれに変化がみられるようになりました。さらに継続することで手の力も戻り始め、それまで困難だった日常生活の細かな動作にも変化が現れていきました。

その後は、首や腕の症状をほとんど気にすることなく日常生活を送れる状態となり、手術を受けることなく過ごせるようになりました。

この症例で、カイロプラクターが頸椎椎間板ヘルニアそのものを直接治したわけではありません。また、突出した椎間板をアジャストメントによって元の形へ戻したわけでもありません。

当院が行ったのは、画像上の変化だけにとらわれず、その人の身体を詳しく評価し、神経の働きを妨げているサブラクセーションに対して必要なアジャストメントを行うことです。

身体を回復へ導いているのは、その人自身が生まれながらに持っている「治るチカラ」です。私たちはその力を100%信じ、尊重しています。その「治るチカラ」が最大限に発揮できるよう、神経の働きを整え、身体から脳へ正しい情報が届けられる環境をつくること。それが、私たち前田カイロプラクティック藤沢院が大切にしているカイロプラクティックの役割です。

頸椎椎間板ヘルニアと診断されたからといって、診断名だけでその人の身体の可能性まで決めつける必要はありません。画像に映る構造を正しく把握すると同時に、その人の身体が実際にどのように機能しているのかを丁寧に評価することも大切です。

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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。

シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。

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