2026.10.04

腰痛と左足のしびれを繰り返すのはなぜ?身体全体と神経の働きから考える

カテゴリ: 健康通信
腰痛と左足のしびれを繰り返すのはなぜ?身体全体と神経の働きから考える

「腰痛を何度も繰り返しているけれど、なかなか良くならない」
「腰だけでなく、左足のしびれや膝の痛みまで気になるようになってきた」
「昔から便秘や疲れやすさなど、いくつもの不調を抱えている」

このような悩みを抱えている方は、痛みやしびれが出ている場所だけに原因があると考えてしまうかもしれません。

しかし、身体はそれぞれの部分が完全に独立して働いているわけではありません。仕事で長時間立っている、同じ姿勢を続ける、過去にぎっくり腰を繰り返しているなど、日々の生活の中で積み重なる負担に対して、身体はさまざまな形で適応しています。

今回ご紹介するのは、14歳の頃に初めてぎっくり腰を経験して以来、長年にわたって腰痛を繰り返していた40代男性の症例です。

来院時には、腰痛だけでなく左足のしびれや左膝の痛みもあり、仕事で長時間立っていると症状が強くなり、日常生活にも影響が出ていました。

さらに、子どもの頃から続いていた重度の便秘をはじめ、頭痛、眼精疲労、肌荒れ、寝ても疲れが取れにくいといった身体の不調も重なっていました。

これまでにもさまざまな治療院やカイロプラクティックに通った経験がありましたが、思うような変化を感じられず、治療から遠ざかっていたそうです。

では、なぜ長年繰り返してきた腰痛に、足のしびれや膝の痛みまで重なったのでしょうか。そして、腰の状態だけを見るのではなく、身体全体の状態を評価することにはどのような意味があるのでしょうか。

今回のコラムでは、長年の腰痛に加えて左足のしびれや膝の痛み、便秘など複数の不調を抱えていた40代男性の症例をもとに、長時間の立ち仕事や過去から続く身体への負担と腰痛・しびれの関係、身体の適応と神経の働き、そしてカイロプラクティックではどのような視点から身体を評価しているのかについてお伝えしていきます。

■ 腰痛と左足のしびれはなぜ起こる?長時間の立ち仕事と身体への負担

腰痛と一言でいっても、その現れ方やきっかけは人によってさまざまです。

重いものを持った瞬間に急に痛くなることもあれば、長時間立っていた後に腰が重くなったり、同じ姿勢を続けることで徐々に痛みが強くなったりすることもあります。

腰の周辺には、背骨を支える筋肉や靭帯、関節など、さまざまな組織があります。私たちは日常生活の中で、これらを使いながら立つ、歩く、座る、かがむといった動作を繰り返しています。

特に仕事などで長時間立ち続ける場合には、身体を一定の姿勢に保つために筋肉が継続的に働きます。短時間であれば問題にならなくても、それが毎日繰り返されれば、身体の一部に負担が集中することがあります。

また、腰痛を考えるときには、現在の生活だけでなく、過去に経験した腰のトラブルにも目を向ける必要があります。

例えば、ぎっくり腰を経験すると、痛みが落ち着いた後も、再び痛くなることへの不安から動作を控えたり、無意識に腰をかばったりすることがあります。その結果、身体の使い方が以前とは変わっている場合もあります。

もちろん、過去にぎっくり腰を経験した人が必ず慢性的な腰痛になるわけではありません。しかし、何度も腰痛を繰り返している場合には、「今回なぜ痛くなったのか」だけではなく、これまでどのような負担が身体に積み重なってきたのかを考えることも大切です。

今回の症例では、こうした長年の腰痛に加えて、左足のしびれや左膝の痛みも現れていました。

腰から足にかけては神経が走っているため、腰部の状態によって神経が刺激されたり圧迫されたりすることで、足に痛みやしびれを感じる場合があります。

一方で、足のしびれには腰だけでなく、末梢神経、血管、筋肉、関節など、さまざまな要因が関係する可能性があります。そのため、「足がしびれているから腰が原因」と症状だけから判断することはできません。

また、しびれが急激に強くなった場合や、脚に力が入りにくい、排尿・排便に異常があるなどの場合には、早めに医療機関で評価を受けることが重要です。

では、膝の痛みについてはどうでしょうか。

私たちが歩いたり、階段を上ったり、立ち上がったりするとき、腰や骨盤、股関節、膝、足首は、それぞれが独立して動いているわけではありません。

一つの動作の中で、それぞれが連動しながら身体を支えています。

そのため、どこかに痛みや動かしにくさがあると、無意識に別の部位で動きを補うことがあります。

例えば、腰に痛みがあることで動作の仕方が変わったり、立ち方や歩き方に左右差が生じたりすると、膝や足にかかる負担が変化することがあります。

ただし、こうした動きの変化が必ず痛みを引き起こすわけではありません。大切なのは、痛みが出ている場所だけを見るのではなく、実際に身体がどのように動いているのかを確認することです。

今回の男性も、仕事で長時間立っている生活を続ける一方で、14歳の頃から腰痛を経験し、その後もぎっくり腰を繰り返していました。

長い年月の中で、身体はそのときどきの負担に合わせて、動き方や筋肉の使い方を変化させてきた可能性があります。

つまり、現在感じている腰痛やしびれだけを見るのではなく、「これまで身体がどのような環境に置かれ、どのように適応してきたのか」という視点も必要になります。

では、身体は長期間にわたる負担や姿勢、動作の変化をどのように捉え、それに対してどのように適応しているのでしょうか。

次は、身体から送られるさまざまな情報と、それを受け取る神経の働きに目を向けながら、身体全体の状態を考えていきます。

■ 腰だけを見ても分からない?身体の適応と神経の働きから考える

腰痛や足のしびれがあると、「痛みがある腰に問題があるのではないか」「しびれている足に原因があるのではないか」と考えるのは自然なことです。

もちろん、症状が出ている場所を詳しく評価することは大切です。

一方で、身体全体に目を向けると、もう一つ考えておきたいことがあります。

それは、身体が長い時間をかけて、日々の生活や姿勢、動作などにどのように適応してきたのかという視点です。

私たちの身体は、常に外部や身体内部からさまざまな情報を受け取っています。

関節がどの方向に動いているのか、筋肉がどの程度緊張しているのか、身体がどの位置にあるのか、皮膚にどのような刺激が加わっているのか。

こうした身体の状態に関する情報は、神経を介して脳へ伝えられます。

脳は送られてきた情報をもとに身体の状態を把握し、その状況に応じて筋肉の働きや姿勢、動作などを調整しています。

つまり、身体は一方的に「脳から命令を受けて動く」だけではありません。

身体から脳へ情報が伝わり、脳から身体へ指令が送られる。

この情報のやり取りを繰り返しながら、私たちは立つ、歩く、座る、仕事をする、運動するといった日常の動作を行っています。

そして、この仕組みは一時的なものではありません。

例えば、長時間立っている仕事を毎日続けていれば、その環境に合わせて身体の使い方が変化することがあります。

過去にぎっくり腰を経験してから腰をかばうような動作が続いていれば、その動きが日常の中で習慣になっていることもあります。

本人は「いつも通り立っている」「普通に歩いている」と感じていても、実際には左右で筋肉の使い方が異なっていたり、特定の関節が動きにくくなっていたりする場合があります。

これは、身体がその時々の環境に合わせて適応している一つの姿とも考えられます。

ただし、身体に左右差があること自体が異常というわけではありません。

人間の身体はもともと完全な左右対称ではなく、利き手や生活習慣、運動習慣などによっても身体の使い方には個人差があります。

大切なのは、見た目の左右差だけで「ゆがんでいる」「悪い状態」と判断することではありません。

その状態で身体がどのように動いているのか、関節はどの程度動くのか、筋肉にはどのような緊張があるのかなど、実際の身体の状態を確認することが重要です。

こうした身体と神経系の関係を考える際、カイロプラクティックでは「サブラクセーション」という独自の概念を用いることがあります。

サブラクセーションは、カイロプラクティックにおいて、身体の構造や関節の動き、神経系との関係を考える際に用いられる概念です。

医学的に確立された疾患名ではなく、すべての症状の原因を意味するものでもありません。

そのため、サブラクセーションがあるから特定の症状が起こる、と単純に結びつけるのではなく、身体全体の状態を評価するための一つの考え方として捉えることが大切です。

当院でも、一つの検査結果だけで身体の状態を判断することはありません。

視診によって姿勢や身体の状態を確認し、体表温度検査、静的触診、動的触診などを組み合わせながら、関節の動きや筋肉の状態、左右差などを確認していきます。

必要に応じてレントゲン評価も行い、骨格や椎間板などの状態を確認します。

複数の検査から得られた情報を重ね合わせることで、現在の身体にどのような特徴があるのかを評価していきます。

今回の男性も、初診時には左仙腸関節の浮腫感と可動域制限、上部頸椎の過筋緊張と浮腫感、頸部から腰部にかけての過緊張が確認されました。

また、体表温度検査では骨盤部と上部頸椎に左右差がみられ、レントゲン評価では慢性的な椎間板の変化や骨盤の傾きも確認されています。

もちろん、これらの所見だけで腰痛や左足のしびれ、便秘、頭痛など、すべての不調との因果関係を説明できるわけではありません。

便秘や頭痛、肌荒れ、疲労感などには、生活習慣、睡眠、ストレス、食事、薬剤、疾患など、さまざまな要因が関係する可能性があります。

だからこそ、複数の不調を抱えているときには、それぞれを別々の問題として捉えるだけではなく、一度身体全体の状態を確認してみることにも意味があります。

今回の症例でも、腰痛や左足のしびれだけを見るのではなく、長年の身体の経過や日常生活、全身の状態を含めて評価していきました。

では、実際にこの男性の身体には初診時どのような状態が確認され、ケアを継続する中でどのような変化がみられたのでしょうか。

次は、長年繰り返してきた腰痛と左足のしびれに加え、便秘や疲労感など複数の不調を抱えて来院された40代男性の症例をご紹介します。

■長年の腰痛と左足のしびれ、身体のさまざまな不調を抱えていた40代男性

腰痛を何度も繰り返していると、「また腰を痛めてしまった」と、現在の痛みだけに目が向きやすくなります。しかし、長年にわたって腰痛を繰り返している場合には、これまでの生活や仕事、過去のぎっくり腰など、身体に積み重なってきた負担にも目を向ける必要があります。

前田カイロプラクティック藤沢院に来院された40代男性も、14歳の頃に初めてぎっくり腰を経験して以来、長年にわたって腰痛を繰り返していました。仕事では長時間立っていることが多く、来院前には腰痛だけでなく、左足のしびれや左膝の痛みも気になるようになっていました。

さらに、この男性には腰や脚以外にも、子どもの頃から続いていた重度の便秘、頭痛、眼精疲労、肌荒れ、寝ても疲れが取れにくいといった身体の悩みがありました。

ここで注目したいのは、腰痛だけを切り取って考えるのではなく、長い年月の中で身体にさまざまな負担が重なっていたということです。

14歳の頃から繰り返してきた腰痛とぎっくり腰、長時間立ち続ける仕事、現在感じている足のしびれや膝の痛み。こうした一つひとつの出来事が直接すべての症状を引き起こしたと考えることはできませんが、身体がその環境に適応しながら過ごしてきたことは考えられます。

例えば、腰を痛めた経験が何度もあると、無意識に腰をかばう動作が身についたり、特定の姿勢を避けたりすることがあります。本人にとっては「いつも通り」の動きでも、長い時間の中では身体の使い方に変化が生じていることがあります。

そこで当院では、腰痛やしびれがある場所だけを見るのではなく、身体全体の状態を評価しました。視診、体表温度検査、静的触診、動的触診などを組み合わせ、関節の動きや筋肉の緊張、身体の左右差などを確認していきます。必要に応じてレントゲン評価も行い、骨格や椎間板の状態についても確認します。

この男性の場合も、初診時には骨盤周辺や上部頸椎を含め、身体の複数の部位に緊張や可動性の特徴が確認されました。こうした所見を一つの症状の原因と決めつけるのではなく、現在の身体がどのような状態にあるのかを把握するための情報として評価していきました。

カイロプラクティックでは、このような身体の構造や関節の動き、神経系との関係を考える際に「サブラクセーション」という概念を用いることがあります。医学的に確立された疾患名ではなく、すべての症状の原因を意味するものでもありません。

当院では、複数の検査から身体の状態と神経機能を評価し、神経伝達を妨げる要因としてサブラクセーションが確認された場合には、必要なアジャストメントを行います。それによって腰痛や便秘などの症状を直接治療するというよりも、身体が本来持っている調節機能を発揮しやすい環境を整えていくことを大切にしています。

その後、ケアを継続する中で、身体の状態には少しずつ変化がみられました。来院時に気になっていた腰や左脚、膝の状態だけでなく、身体の重さや日常生活の中で感じていた不調についても、本人が変化を実感するようになりました。

また、長年悩んでいた便通についても変化を感じるようになりました。ただし、便通には食事、水分、活動量、睡眠、ストレス、薬剤、消化器系の状態など、さまざまな要因が関係します。そのため、今回の変化がカイロプラクティックのケアだけによって起こったと断定することはできません。

それでも、この男性が長年「自分にとって当たり前」になっていた身体の状態に変化を感じたことには意味があります。

長く続いている不調ほど、「昔からこうだから」「仕事柄仕方がない」と考えてしまうものです。しかし、その状態が長く続いているからこそ、現在の身体がどのような状態にあり、これまでどのように環境へ適応してきたのかを一度確認してみることが大切です。

腰痛や足のしびれがあるからといって、必ずしも腰だけに問題があるとは限りません。一方で、便秘や頭痛、疲労感までを一つの原因で説明できるわけでもありません。

それぞれの症状を適切に捉えながら、これまでの身体の経過、現在の生活環境、姿勢や動作、神経機能などを含めて身体全体を評価する。

そうすることで、これまで気づかなかった身体の特徴を知るきっかけになるかもしれません。

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中島 恵

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。

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