2026.08.15

腰椎すべり症と診断されたら腰痛は治らないのでしょうか?│画像だけでは分からない身体の状態

カテゴリ: 健康通信
腰椎すべり症と診断されたら腰痛は治らないのでしょうか?│画像だけでは分からない身体の状態

「腰椎すべり症ですね。」

「腰の骨がすべっているなら、もう元には戻らないのではないか。」
「この腰痛とは一生付き合っていくしかないのだろうか。」
「できるだけ悪化させないように生活するしかないのかもしれない。」

腰痛で整形外科を受診し、レントゲンやMRI検査によって腰椎すべり症と診断された方の中には、このような不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

腰椎すべり症とは、腰の骨である腰椎が本来の位置から前方へずれた状態です。腰痛だけではなく、お尻や脚の痛み・しびれ、長時間立っていることや歩くことのつらさなどが現れる場合もあります。

レントゲンなどで実際に腰椎がすべっている状態を見れば、「これだけ骨がずれているのだから、腰が痛くて当然だ」と考えてしまうかもしれません。

もちろん、画像検査によって骨や椎間板などの状態を確認することは非常に重要です。しかし、画像に映っている身体の「構造」と、現在その人の身体がどのように働いているのかという「機能」は、必ずしも同じものではありません。

私たちが立つ、座る、歩くといった動作をするときには、腰椎だけが単独で働いているわけではありません。腰椎の土台となる骨盤や仙骨、周囲の関節や筋肉などが互いに連動し、その働きを脳や神経がコントロールすることで、一つの身体として動いています。

今回ご紹介する症例でも、腰椎すべり症による激しい腰痛によって、イスから立ち上がることも困難な状態になっていました。

しかし、当院で身体を詳しく評価したのは、画像に確認された腰椎のすべりだけではありません。その人の身体が実際にどのように機能しているのかという視点から、レントゲン評価、視診、静的触診、動的触診、体表温度測定などを用いて身体全体を確認しました。

だからこそ当院では、「腰椎がすべっているから腰が痛い」と画像上の所見だけで判断するのではなく、構造と機能の両方から、その人の身体で何が起きているのかを詳しく評価することを大切にしています。

このコラムでは、腰椎すべり症とはどのような状態なのか、画像に映る身体の「構造」と実際の「機能」の違いについて解説していきます。

■腰椎すべり症とはどのような状態なのでしょうか?

腰椎すべり症とは、腰の骨である腰椎が、本来の位置から前方へずれた状態を指します。

私たちの腰には5つの腰椎があり、それぞれが椎間板や関節、靱帯などによって支えられています。これらが連携することで、身体を前後に曲げたり、ひねったり、立ったり座ったりといった日常的な動作を行うことができます。

腰椎すべり症は、大きく「腰椎変性すべり症」と「腰椎分離すべり症」などに分けられます。

腰椎変性すべり症は、加齢などによって椎間板や関節、靱帯などに変化が起こり、腰椎を支える安定性が低下することで、上下の腰椎にずれが生じるものです。一方、腰椎分離すべり症は、腰椎の一部に分離が生じ、その影響によって椎体が前方へすべる状態を指します。

症状の現れ方には個人差がありますが、腰痛をはじめ、お尻や脚の痛み・しびれ、長時間立っていることや歩くことのつらさなどがみられる場合があります。また、イスから立ち上がる、身体を反らす、動き始めるといった動作で腰痛を強く感じる方もいます。

腰椎すべり症の状態を確認するためには、問診や身体診察に加えて、レントゲンやMRIなどの画像検査が用いられます。治療では、症状や状態に応じて薬物療法やリハビリテーション、コルセットの使用などの保存療法が行われ、神経症状が強い場合や日常生活への大きな支障が続く場合には、手術が検討されることもあります。

ここで大切なのは、「腰椎がすべっている」という画像上の所見だけで、現在感じている腰痛のすべてを判断しないことです。

画像検査は、骨の配列や形状など身体の「構造」を確認するうえで非常に重要です。しかし、私たちが実際に身体を動かすときには、骨だけではなく、筋肉や関節、そしてそれらをコントロールしている脳や神経も絶えず働いています。

つまり、「どのような構造になっているのか」と「その身体が現在どのように機能しているのか」は、分けて考える必要があります。

では、画像に映る身体の「構造」と、実際に身体を動かしている「機能」にはどのような違いがあるのでしょうか。

次の章では、腰椎すべり症を考えるうえで大切な「構造と機能」という視点について解説していきます。

■レントゲンに映る「構造」と身体の「機能」は同じではありません

腰椎すべり症と診断され、実際にレントゲン画像で腰椎が前方へすべっている状態を見ると、「これが腰痛の原因なのだ」と考えてしまう方も少なくありません。

しかし、ここで大切なのが、画像に映っている身体の「構造」と、実際に身体がどのように働いているのかという「機能」を分けて考えることです。

レントゲンは、骨の配列や形状、変形などを確認するうえで非常に重要な検査です。一方で、画像だけでは関節がどのように動いているのか、筋肉や神経がどのように働いているのかまで、すべてを確認することはできません。

例えば、イスから立ち上がるという日常的な動作でも、腰椎だけが動いているわけではありません。骨盤や仙骨、股関節などが連動し、周囲の筋肉が適切に働くことで一つの動作が成り立っています。そして、こうした身体の動きをコントロールしているのが脳と神経です。

身体の各部位からは、関節の位置や動き、筋肉の状態などに関する情報が神経を通して絶えず脳へ送られています。脳は受け取った情報をもとに現在の身体の状態を把握し、そのとき必要な指令を再び神経を通して全身へ送り返しています。

カイロプラクティックでは、この神経伝達を阻害する状態を「サブラクセーション」と呼んでいます。サブラクセーションによって脳と身体との情報交換が妨げられれば、身体が本来の機能を十分に発揮しにくくなります。

だからこそ当院では、腰椎すべり症という画像上の所見だけで身体の状態を判断することはありません。

レントゲン評価に加えて、視診、静的触診、動的触診、体表温度測定など複数の検査を組み合わせ、画像から得られる「構造」の情報と、実際の身体から得られる「機能」の情報の両方から、その人の身体で何が起きているのかを詳しく評価します。

カイロプラクティックの目的は、すべっている腰椎を元の位置へ戻すことではありません。検査によって神経の働きを妨げているサブラクセーションを見極め、必要な箇所へアジャストメントを行うことで神経の働きを整え、脳と身体との情報交換が適切に行われる環境をつくります。

そして、その人自身が生まれながらに持っている「治るチカラ」が最大限に発揮できる状態を目指します。

「腰椎がすべっている」という構造上の変化があったとしても、それだけでその人の身体の可能性まで決まるわけではありません。画像に何が映っているのかを正しく把握すると同時に、現在その人の身体がどのように機能しているのかを見ることが大切です。

では実際に、腰椎すべり症による激しい腰痛によって、イスから立ち上がることも困難だった方には、どのような経過がみられたのでしょうか。

次の章では、実際に当院へ来院された症例をご紹介します。

■腰椎すべり症による激しい腰痛で、イスから立ち上がることも困難だった実際の症例

実際に当院へ来院された患者様は、腰椎すべり症と診断され、強い腰痛に悩まされていました。

特につらかったのが、長時間イスに座ったあとの動き出しでした。立ち上がろうとすると腰に激しい痛みが走り、すぐに身体を伸ばすことができないほどの状態でした。

腰痛が続く中で整形外科を受診し、レントゲンやMRIなどの画像検査を受けた結果、腰椎すべり症と診断されました。

画像で実際に腰椎がすべっている状態を確認したことで、「骨がずれているのだから、この腰痛は仕方がないのではないか」と不安を抱えるようになっていました。

しかし当院では、「腰椎すべり症があるから腰が痛い」と最初から決めつけるのではなく、レントゲン評価、視診、静的触診、動的触診、体表温度測定などを用いて、身体全体を詳しく評価しました。

検査によって重要視したのは、画像に映っている腰椎のすべりだけではありません。

腰椎の土台となる骨盤や仙骨を含めた関節の動き、筋肉や組織の状態、体表温度の左右差などを確認し、それらの情報を総合して神経の働きを妨げているサブラクセーションを見極めました。

そこで当院では、すべっている腰椎を元の位置へ戻すことや、腰痛そのものを直接取り除くことを目的とするのではなく、検査によって確認されたサブラクセーションに対して必要なアジャストメントを行っていきました。

ケアを継続する中で、イスから立ち上がる際に感じていた激しい腰痛にも変化がみられるようになり、日常生活の中で腰を気にする場面も徐々に減っていきました。

この症例で大切なのは、画像に映っている腰椎のすべりそのものがなくなったから、身体の状態に変化がみられたわけではないということです。

レントゲンに映る「構造」と、その人の身体が実際にどのように働いているのかという「機能」は、分けて考える必要があります。

カイロプラクターが腰椎すべり症を直接治したわけでも、すべっている腰椎を元通りにしたわけでもありません。

当院が行ったのは、その人の身体を詳しく評価し、神経の働きを妨げているサブラクセーションに対してアジャストメントを行うことです。

神経の働きを整え、脳と身体との情報交換が適切に行われる環境をつくることで、その人自身が生まれながらに持っている「治るチカラ」が最大限に発揮できる状態を目指します。

「腰椎すべり症だから仕方がない」と診断名だけで身体の可能性を決めつけるのではなく、画像に映る構造だけではなく、現在その人の身体がどのように機能しているのかまで丁寧に評価することが大切です。

▶腰椎すべり症による激しい腰痛で、イスから立ち上がることも困難だった症例

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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。

シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。

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