2026.07.16

肩こりは肩が原因とは限らない?見落とされやすい身体からのサイン

肩こりは肩が原因とは限らない?見落とされやすい身体からのサイン

「肩がこるから、肩を揉む。」

多くの方が、一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

肩こりを感じると、マッサージを受けたり、自分で肩を揉んだり、ストレッチをしたりして、その場では楽になることもあります。しかし、数日後、あるいは翌日には、また同じように肩がこってしまう。このような経験を繰り返している方も少なくありません。

では、なぜ肩こりは繰り返してしまうのでしょうか。

実は、「肩こり=肩が悪い」とは限りません。肩の筋肉が硬くなっていることは結果であって、その背景には別の要因が隠れていることもあります。

もちろん、肩そのものに負担がかかっている場合もあります。しかし、身体はすべてがつながり合いながら働いているため、一か所だけを見ても、本当の原因が見えてこないことがあります。

肩こりを繰り返さないためには、「肩だけを見る」という視点から一歩踏み出し、「なぜ肩へ負担が集中しているのか」という視点で身体全体を考えることが大切です。

今回のコラムでは、肩こりは肩が原因とは限らない理由や、身体全体から肩こりを考えることの大切さについてお伝えしていきます。

■ 人間は「肩こりになりやすい身体」をしています

肩こりは、多くの方が経験する身近な症状です。しかし、少し視点を変えて考えてみると、不思議なことがあります。

それは、人間ほど首や肩へ負担が集中しやすい身体をしている動物は少ないということです。

その理由の一つが、人間は二足歩行をする生き物だからです。

四足歩行の動物は、頭の重さを四本の足で分散しながら生活しています。一方、人間は約4〜6kgある頭を、首と肩を中心に支えながら一日中生活しています。ボウリングの球ほどの重さが常に首の上に乗っていると考えると、その負担の大きさを想像しやすいのではないでしょうか。

さらに、人間は二本の手を自由に使えるようになったことで、細かな作業ができるようになりました。その一方で、パソコン作業やスマートフォンの操作、読書、運転など、顔を少し前に傾けた姿勢を長時間続ける生活が当たり前になっています。

頭はわずか数センチ前へ傾くだけでも、首や肩の筋肉へかかる負担は大きく変化するといわれています。そのため、現代人の首や肩は、一日の大半を頭の重さと戦いながら過ごしていると言っても過言ではありません。

しかし、ここでもう一つ疑問があります。

同じようにデスクワークをしていても、肩こりになる人とならない人がいます。同じ頭の重さで、同じような仕事をしているにもかかわらず、その違いはどこから生まれるのでしょうか。

もし肩こりの原因が単純に「頭が重いから」であれば、ほとんどの人が同じように肩こりになるはずです。しかし現実にはそうではありません。

つまり、肩こりを考えるうえで本当に大切なのは、「肩へ負担がかかっている」という事実だけではなく、「なぜその人の肩へ負担が集中しているのか」という視点なのです。

■ 肩こりは、身体がバランスを保とうとした結果かもしれません

ここまでお読みいただくと、「頭が重いから肩こりになる」という単純な話ではないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。

実際には、頭の重さは誰でもほとんど変わりません。それにもかかわらず、慢性的な肩こりに悩む方もいれば、ほとんど肩こりを感じない方もいます。この違いはどこから生まれるのでしょうか。

私たちの身体は、頭・背骨・骨盤が互いにバランスを取り合いながら、できるだけ少ない力で頭の重さを支えられるようにできています。本来であれば、約4〜6kgある頭の重さは骨格全体で支えられ、首や肩の筋肉だけに大きな負担がかかることはありません。

しかし、このバランスが崩れると話は変わります。

例えば、頭が前方へ位置すると、頭の重心も前へ移動します。すると身体は倒れないように、首や肩の筋肉を働かせて頭を支え続けなければなりません。その結果、首や肩の筋肉は休む時間が少なくなり、慢性的な緊張状態となってしまいます。

また、身体の土台である骨盤のバランスが変化すると、その影響は背骨全体へ伝わります。本来は骨格で支えられるはずの頭の重さを筋肉が補おうとするため、首や肩の筋肉は必要以上に働き続けることがあります。

つまり、肩こりは肩だけで起きている問題とは限りません。

肩の筋肉は悪者なのではなく、身体全体のバランスを保つために、一生懸命働いた結果として硬くなっている可能性があるのです。

だからこそ、肩だけを揉んで一時的に筋肉を緩めても、頭や背骨、骨盤を含めた身体全体のバランスが変わらなければ、時間の経過とともに再び肩へ負担が集中し、同じような肩こりを繰り返してしまうことがあります。

肩こりを考えるうえで大切なのは、「肩が硬い」という結果だけを見ることではありません。「なぜ肩がそこまで頑張らなければならない身体になっているのか」という視点で、身体全体の状態を考えることが重要なのです。

■ 肩こりの原因は、一つではありません

肩こりというと、「肩の筋肉が硬くなっている」と考える方が多いかもしれません。しかし実際には、筋肉が硬くなること自体が原因ではなく、筋肉を硬くしなければならない理由が身体のどこかにあることも少なくありません。

例えば、頭部が前方へ傾いた姿勢では、約5kgある頭を骨格だけで支えることが難しくなります。すると、首や肩の筋肉は頭がさらに前へ倒れないよう、絶えず収縮し続けなければなりません。また、骨盤のバランスが変化すると、その影響は背骨全体へ伝わり、最終的には頭の位置にも影響を及ぼします。その結果、首や肩の筋肉が代償的に働き続け、肩こりとして現れることがあります。

一方で、肩こりは姿勢だけで説明できるものでもありません。

私たちの身体は、精神的なストレスや疲労が続くと交感神経が過剰に働きやすくなります。交感神経が優位な状態では、身体は無意識のうちに戦う準備を続けているような状態となり、肩をすくめるような姿勢や筋肉の緊張が抜けにくくなります。この状態が長期間続けば、首や肩の筋肉は十分に休むことができず、血流にも影響を及ぼし、慢性的な肩こりにつながることがあります。

つまり、肩こりは「筋肉の問題」と決めつけられるものではありません。骨格のバランスによる負担なのか、自律神経の影響による過緊張なのか、あるいはその両方が関係しているのかによって、身体で起きていることは大きく異なります。

だからこそ、カイロプラクティックでは「肩が硬いから肩をケアする」という考え方ではなく、「なぜその人の身体は肩へ負担をかけ続けているのか」という視点を大切にしています。

そのため当院では、体表温度検査、視診検査、静的触診、動的触診、レントゲン評価を組み合わせ、一人ひとり異なる身体の状態を総合的に評価しています。肩こりという同じ症状でも、その背景にある身体の状態が異なれば、ケアの考え方も変わるからです。

肩こりは、多くの方が経験する身近な症状です。しかし、「よくあること」と考えて放置していると、それが身体からの大切なサインを見逃すことにつながるかもしれません。

ぜひ日々の健康維持のために、カイロプラクティックケアを役立ててみてください。

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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が銀座に開院した塩川カイロプラクティックに内弟子として入り、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。
また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、後任の育成にも力を入れている。
2023年5月、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院として、地元である藤沢の地で「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院。

シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、感謝・感動・希望に溢れる社会の実現を目指している。

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