ホルモンって何をしているの?目に見えないホルモンが身体を変える仕組み
「ホルモンが乱れていると言われても、実際には何が起きているの?」
「ホルモンは目に見えないけれど、身体の中でどのように働いているの?」
「生理や更年期などでホルモンが変化すると、なぜ身体にも変化が現れるの?」
このように、ホルモンという言葉は日常的によく耳にする一方で、「ホルモンが身体の中で何をしているのか」と聞かれると、具体的にイメージするのは難しいかもしれません。
ホルモンは目で見ることのできない物質ですが、身体の中では重要な役割を担っています。身体の特定の場所でつくられ、血液などを介して必要な場所へ情報を届けることで、代謝や成長、生殖、睡眠、血糖の調節など、生命を維持するためのさまざまな働きに関わっています。
そして、ホルモンはいつも同じ量が分泌されているわけではありません。時間帯や年齢、月経周期、妊娠・出産など、そのときの身体の状態に合わせて変化しています。
そのため、ホルモンを「乱れている・乱れていない」という単純なものとして捉えるだけでは、身体の中で起きていることを十分に理解できません。
では、目に見えないホルモンは、どのように身体へ情報を伝えているのでしょうか。そして、その情報によって私たちの身体にはどのような変化が起こるのでしょうか。
今回のコラムでは、ホルモンを「身体の中で情報を伝えるメッセージ」という視点から、ホルモンの基本的な仕組みと身体の変化との関係について、できるだけ分かりやすく解説していきます。
■ホルモンとは、身体の中で情報を伝える「メッセージ」のようなもの
ホルモンと聞くと、「女性ホルモン」「男性ホルモン」「ホルモンバランス」といった言葉を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、ホルモンは一部の人だけに関係する特別なものではありません。私たちの身体の中では、さまざまなホルモンがつくられ、生命を維持するために働いています。
ホルモンは、身体の特定の組織でつくられ、血液などを介して離れた場所へ運ばれ、決められた細胞に情報を伝える物質です。イメージすると、身体の中を行き来する「メッセージ」のような役割をしています。
例えば、血液中の糖の量を調整するインスリン、身体の成長や代謝に関わる甲状腺ホルモン、ストレスに対する身体の反応に関わるコルチゾールなど、さまざまなホルモンがあります。
ここで大切なのは、ホルモンが身体のすべての細胞に同じように作用するわけではないということです。ホルモンを受け取るための「受容体」を持つ細胞に情報が届くことで、その細胞の働きが変化します。
これは、郵便に例えると分かりやすいかもしれません。身体の中でつくられたホルモンが手紙だとすると、血液はその手紙を運ぶ配送ルートです。そして、受容体を持つ細胞が宛先になります。手紙が届いて初めて、その細胞は届けられた情報に応じて働くことができます。
このように考えると、ホルモンは単に「多い・少ない」だけで身体を動かしているわけではないことが分かります。どのホルモンが、いつ、どのくらい分泌され、どの細胞に情報が届くのか。そして、受け取った細胞がどのように反応するのか。こうした複数の仕組みが組み合わさって、身体の状態が調整されています。
そのため、「ホルモンが乱れている」という言葉だけでは、身体の中で起きていることを十分に説明できません。ホルモンは、神経や臓器など他の身体の仕組みとも関わりながら、身体の状態を細かく調整しているのです。
■ホルモンのメッセージによって、身体の中では何が変わるのか
ホルモンが「身体の中で情報を伝えるメッセージ」だとすると、その情報が届いたあと、身体ではどのようなことが起こるのでしょうか。
ホルモンは、受容体を持つ細胞に情報を届けることで、その細胞の働きに変化を起こします。つまり、ホルモンそのものが身体を動かしているというよりも、細胞に「今はこのように働いてください」と情報を伝え、その結果として身体のさまざまな機能が変化していくのです。
例えば、食事をすると血液中のブドウ糖が増えます。すると膵臓からインスリンが分泌され、筋肉や脂肪組織などの細胞にブドウ糖を取り込むよう促します。こうして血糖値が適切な範囲に戻るよう身体が調整されます。
また、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは、全身の細胞の代謝に関わっています。成長に関わる成長ホルモン、睡眠・覚醒のリズムに関係するメラトニン、生殖機能に関わるエストロゲンやプロゲステロンなども、それぞれ異なる役割を担っています。
このように考えると、ホルモンは「女性ホルモン」や「男性ホルモン」といった一部のものだけではありません。身体の中にはさまざまなホルモンが存在し、それぞれが異なる場所に情報を届けながら、代謝、成長、生殖、睡眠、血糖調節など、生命を維持するためのさまざまな働きに関わっています。
そして重要なのは、一つのホルモンだけですべてが決まるわけではないということです。ホルモン同士が影響し合うだけでなく、神経系からの情報や臓器の状態なども関係しながら、身体全体のバランスが調整されています。
例えば、私たちが「眠くなった」「お腹が空いた」「身体が温かくなった」と感じるとき、その感覚のすべてを一つのホルモンだけで説明できるわけではありません。複数の仕組みが関係し合った結果として、身体の変化として現れています。
つまり、目には見えないホルモンの変化は、最終的には「眠る」「食べる」「成長する」「体温を保つ」といった、私たちが日常生活の中で感じる身体の変化につながっています。
ホルモンを理解するときには、「ホルモンの量が増えた・減った」だけを見るのではなく、「どのホルモンが、どこに情報を届け、その結果として身体のどのような働きが変化するのか」と考えると、目に見えないホルモンの働きをより具体的にイメージしやすくなります。
■ホルモンは一定ではない。身体の状態に合わせて変化している
ここまで見てきたように、ホルモンは身体の中で情報を伝え、その情報を受け取った細胞の働きを変化させています。
では、ホルモンはいつも同じ量が身体の中に存在しているのでしょうか。
実際には、ホルモンの分泌量は一定ではありません。身体の状態や時間帯、年齢、月経周期、妊娠・出産などに合わせて変化しています。必要なときに分泌され、役割を終えると分泌が減るなど、身体の状態に合わせて細かく調整されています。
例えば、睡眠と覚醒に関係するホルモンは一日の時間帯によって分泌のリズムが変化します。成長に関わるホルモンも、成長期には重要な役割を果たしますが、年齢とともに分泌の特徴が変わっていきます。
女性の場合は、月経周期の中でもホルモン環境が変化します。さらに、妊娠や出産、授乳、更年期など、ライフステージが変わることでホルモンの状態も大きく変化します。
つまり、「ホルモンが変化すること」そのものが異常というわけではありません。むしろ、身体がその時々の状態に適応するために、ホルモンの分泌が変化することは自然な仕組みの一つです。
ただし、ホルモンの変化によって身体の働きが変わると、それを「不調」として感じることがあります。例えば、月経周期に伴う身体の変化、更年期にみられるさまざまな変化などは、その一例です。
ここで注意したいのが、「この症状はホルモンが原因」と一つに決めつけないことです。身体の状態はホルモンだけで決まるものではなく、神経、臓器、睡眠、栄養、活動量、心理的な状態など、さまざまな要素が関係しています。
また、「ホルモンバランスが乱れている」という言葉も、それだけでは具体的に何が起きているのか分かりません。どのホルモンが、どの時期に、どのように変化しているのかを考えることで、身体の状態をより正確に理解できます。
ホルモンは目に見えません。しかし、身体の中では常に情報をやり取りし、その時々の状態に合わせて働き方を変えています。
「ホルモンのせい」と簡単に片付けるのではなく、ホルモンが身体のどのような働きに関わり、なぜその変化が起こっているのかを知ること。それが、目に見えないホルモンを自分の身体の中でイメージするための第一歩になります。
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執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。


