2026.09.20

サッカーで足首を繰り返し捻るのはなぜ?捻挫と身体のバランス、腰痛・頭痛を考える

カテゴリ: 健康通信
サッカーで足首を繰り返し捻るのはなぜ?捻挫と身体のバランス、腰痛・頭痛を考える

「サッカーをしていると、同じ足首を何度も捻ってしまう」
「練習や試合で踏ん張りがきかず、思うようにプレーできない」
「長時間勉強していると腰が痛くなり、夕方になると頭痛まで起こる」

このような悩みを抱えているスポーツを頑張る学生は少なくありません。

一度の足関節捻挫であれば、時間とともに痛みが落ち着き、再びスポーツへ戻れることもあります。しかし、捻挫を繰り返すようになると、「また捻るのではないか」という不安がプレー中につきまとうようになります。特にサッカーでは、走る・止まる・方向を変える・相手との接触を避けるなど、足首に素早い対応が求められる場面が多く、足元への不安はパフォーマンスにも影響します。

また、スポーツだけが身体の負担になるわけではありません。

学生の場合、授業や受験勉強などで長時間座る時間も多くなります。身体を動かしているときは気にならなくても、勉強中に腰の痛みを感じたり、長時間集中した後に頭痛が起こったりすると、今度は学業や日常生活にも影響してきます。

さらに、学校の健康診断などで「側弯症の疑い」を指摘された経験があると、「自分の背骨に何か問題があるのではないか」「このままスポーツを続けても大丈夫なのだろうか」と、不安を抱えてしまうこともあります。

では、なぜ足首の捻挫を繰り返すのでしょうか。

足首だけを見ればよいのでしょうか。それとも、身体全体の動きや、日常生活の中で積み重なっている負担にも目を向ける必要があるのでしょうか。

今回のコラムでは、サッカーで足関節捻挫を繰り返していた10代男性の症例をもとに、繰り返す足首のケガと身体の状態、長時間の座位による腰痛や頭痛、そして側弯症への不安について、身体全体という視点からお伝えしていきます。

■ サッカーで足首の捻挫を繰り返すのはなぜ?再発につながる身体の変化

サッカーでは、走る・止まる・ジャンプする・方向を変えるといった動作を短い時間の中で何度も繰り返します。特に相手をかわしたり、ボールを追いながら急に方向を変えたりする場面では、足首に大きな負担がかかります。

足関節捻挫の中でも多いのが、足首を内側にひねることで起こる「内反捻挫」です。足の裏が内側を向くように強くひねられることで、足首の外側にある靭帯に負担がかかり、痛みや腫れ、動かしにくさなどが生じます。

一度捻挫をすると、「痛みがなくなったから、もう治った」と考えてしまうことがあります。しかし、痛みが落ち着くことと、スポーツに必要な機能が十分に戻っていることは、必ずしも同じではありません。

足首の靭帯は、関節を安定させる役割を持っています。また、足首周囲には、関節がどのような位置にあるのか、どの方向へ動いているのかを身体が感じ取るための感覚も存在します。

捻挫によってこれらの組織に負担がかかると、痛みや腫れが治まった後も、関節の動かし方やバランスの取り方に変化が残ることがあります。その状態で以前と同じように走ったり、急に方向転換したりすると、足首に再び大きな負担がかかる可能性があります。

特にスポーツでは、身体のバランスを崩した瞬間に足元を細かく調整する能力が重要です。

たとえば、相手選手との接触を避けながら片足で着地したり、走りながら急停止したりする場合、足首だけでなく膝や股関節、骨盤、体幹なども連動して身体を支えています。

そのため、足首に不安がある状態でプレーを続けると、本人が意識していなくても、足首をかばうような動きが生じることがあります。すると、これまでとは異なる身体の使い方になり、別の部位に負担を感じることもあります。

また、成長期の学生では、身体そのものが大きく変化しています。

身長や体重が変化するだけでなく、骨格や筋肉の発達、身体の使い方も少しずつ変わっていきます。以前は問題なくできていた動作でも、成長によって身体のバランスや感覚が変わり、一時的に動きにくさを感じることがあります。

そこに練習量や試合数の増加、疲労などが重なると、身体が負担に対応しきれなくなることもあります。

さらに、足首の状態を考えるときには、単純に「足首が弱い」と決めつけないことも重要です。

走る、止まる、方向転換するという動作は、足首だけで完結しているわけではありません。足が地面から受けた力は、足関節、膝関節、股関節、骨盤、体幹へと影響し、それぞれが連動しながら身体を安定させています。

そのため、同じ場所を何度も捻ってしまう場合には、「なぜこの足首に負担が集中しているのか」という視点から、動作全体を考えることも必要になります。

そして、もう一つ見落としたくないのが、日常生活での身体の使い方です。

スポーツをしている時間だけが身体への負担ではありません。学生の場合、学校で授業を受けたり、帰宅後に長時間勉強したりすることもあります。長時間座っていることで腰に負担を感じたり、疲労が蓄積した状態で練習や試合を行ったりすることもあります。

つまり、「サッカー中に足首を捻った」という一つの出来事だけではなく、スポーツ、勉強、睡眠、疲労など、日々の生活の中で身体にどのような負担が積み重なっているのかを考えることも大切です。

もちろん、強い腫れや痛みがある場合、体重をかけられない場合、変形がある場合などは、靭帯損傷や骨折などの可能性もあるため、自己判断せず医療機関で適切な評価を受けることが重要です。特に成長期のスポーツ選手では、痛みを我慢して競技を続けることが、その後の復帰に影響する場合があります。

一度の捻挫をきっかけに、その後も同じ足首を繰り返し捻るようになったとき、単純に「足首のケガが治っていない」と考えるだけでは十分ではない場合があります。

では、同じようにサッカーをしていても、足首を何度も捻る人と、ほとんど捻挫をしない人がいるのはなぜなのでしょうか。

身体にかかる負担の量だけではなく、その負担を身体がどのように受け取り、どのように動きを調整し、環境に適応しているのか。

次の章では、足首という一つの部位だけではなく、身体全体の「適応」という視点から、繰り返すスポーツ障害について考えていきます。

■ なぜ同じ足首を繰り返し捻るのか?身体の「適応」と神経の働きから考える

足首の捻挫を繰り返していると、「足首が弱いから」「以前の捻挫が完全に治っていないから」と考えることが多いかもしれません。

もちろん、過去の捻挫によって足関節周囲の組織や動きに変化が残っていることは、再発を考えるうえで重要な要素です。しかし、スポーツを続ける中で同じ場所に何度も負担が集中する場合には、もう少し広い視点から身体を見ることも大切です。

私たちの身体は、常に同じ状態で動いているわけではありません。

練習量が増えれば疲労が蓄積します。試合が続けば身体への負担も変わります。成長期には身長や体重、筋肉の発達によって身体の使い方そのものが変化していきます。

さらに、サッカーでは芝や土の状態、相手との接触、走る方向、スピードなど、毎回異なる環境に対応しながらプレーしなければなりません。

身体は、こうした変化に合わせて姿勢や筋肉の働き、関節の動きを細かく調整しています。

その調整に関わっているのが、神経による情報のやり取りです。

身体の各部位には、関節がどの位置にあるのか、筋肉がどの程度伸びているのか、足が地面にどのように接しているのかといった情報があります。こうした情報は神経を介して脳へ伝えられ、脳はその情報をもとに身体の動きを調整しています。

たとえば、サッカーで相手をかわすために急に方向を変えるとき、私たちは「今から足首をこの角度にして、膝をこのくらい曲げて……」と一つひとつ考えているわけではありません。

身体は、それまでに受け取った情報をもとに、ほとんど無意識のうちにバランスを調整しています。

片足で着地したときに倒れないようにすること、足元が不安定になった瞬間に姿勢を戻すこと、走りながら次の動作へ切り替えること。こうした複雑な動作を可能にしているのが、身体と脳の絶え間ない情報交換です。

だからこそ、身体のどこかに動きの制限や違和感があると、身体はその状態に合わせて別の動き方を選択することがあります。

それは必ずしも「悪い動き」だから起こるわけではありません。

その時の身体にとって、できるだけ動作を成立させるための一つの適応とも考えられます。

しかし、その状態が長く続くと、本来なら複数の関節で分散されるはずだった負担が、一部の関節に集中することがあります。

足首を例にすると、股関節や膝、足部、体幹などが十分に連動できない状態では、方向転換や着地の際に足関節がより大きな役割を担うことがあります。

その結果として、本人は「普通にプレーしているつもり」でも、特定の場所に負担が繰り返し加わることがあります。

このように考えると、「なぜ足首を捻ったのか」だけではなく、「なぜ同じ足首に負担が集まり続けているのか」という問いが重要になってきます。

また、スポーツだけではなく、日常生活も身体の状態に影響します。

今回のような学生の場合、サッカーの練習時間だけでなく、学校での授業や受験勉強によって長時間座っている時間もあります。

身体を動かしている時間と、ほとんど動かず座っている時間。

一見すると正反対の生活に思えますが、どちらも身体に異なる負担を与えています。

長時間座っていることで腰に違和感が出ているのであれば、スポーツをしていない時間にも身体は負担を受けています。そして、その状態で練習や試合を繰り返せば、身体がその負担に適応しながら動いている可能性も考えられます。

ここで大切なのは、「腰が痛いから腰だけ」「足首を捻るから足首だけ」と分けて考えすぎないことです。

身体は一つにつながっており、動作も神経による情報処理も、特定の部位だけで完結するものではありません。

カイロプラクティックでは、こうした身体と神経の関係を考える際に、「サブラクセーション」という独自の概念を用います。

当院では、サブラクセーションを「神経伝達の阻害につながる身体の状態」と捉えています。ただし、これは一般医学で確立された診断名ではなく、カイロプラクティックにおける考え方の一つです。

当院では、症状が出ている場所だけを見るのではなく、身体から脳へ送られる情報と、脳から身体へ送られる指令が適切に行われているかという視点を大切にしています。

そのため、必要な部位を評価したうえでアジャストメントを行い、神経の働きを妨げていると考えられる要素にアプローチします。

目的は、足首の捻挫を直接「治す」ということではありません。

身体が周囲の環境を適切に認識し、必要な動きを選択しやすい状態を整えること。そして、身体が本来持っている「治るチカラ」が働きやすい環境をつくることを、当院では大切にしています。

スポーツ選手にとって、身体は競技をするための道具ではありません。

毎日の練習、試合、学校生活、勉強、睡眠など、さまざまな環境の中で常に変化しながら適応している存在です。

だからこそ、繰り返す捻挫を考えるときにも、「足首をどうするか」だけではなく、「身体全体が今どのように動き、どのように環境へ対応しているのか」という視点を持つことが大切になります。

では、実際にサッカーを続ける中で右足関節の捻挫を繰り返し、さらに腰痛や頭痛、側弯症への不安も抱えていた10代男性には、どのような身体の状態が確認されたのでしょうか。

次の章では、実際の症例を通して、スポーツだけではなく勉強や日常生活にも影響していた身体の悩みが、その後どのように変化していったのかをご紹介します。

■繰り返す足首の捻挫だけでなく、腰痛や頭痛にも悩んでいた10代男性

スポーツを続けていると、過去のケガがその後の身体の使い方や競技への不安につながることがあります。特に成長期は、身体そのものが変化していく時期でもあるため、競技だけでなく、学校生活や勉強、睡眠、日々の疲労など、さまざまな要素を含めて身体の状態を考えることが大切です。

前田カイロプラクティック藤沢院には、幼少期からサッカーを続けていた10代男性が来院されました。

小学生の頃に右足関節を捻挫した経験があり、中学生になると右足首を繰り返し捻るようになっていました。練習や試合では「踏ん張りがきかない」「また足首を捻るのではないか」という不安を感じることが増え、思い切ってプレーすることにもためらいが生じていました。

本人もストレッチやアイシングなど、自分でできるケアを続けていましたが、思うような変化を感じられず、サッカーをこのまま続けていけるのかという不安も抱えていました。

一方で、身体の悩みは足首だけではありませんでした。

小学生の頃と高校生の頃には、学校の健康診断で側弯症の疑いを指摘された経験があり、そのたびに医療機関で精密検査を受けています。しかし、いずれも特に大きな異常は認められませんでした。

検査上の問題がなかったとしても、「背骨に何か問題があるのではないか」という心配がなくなるとは限りません。身体に対する不安を抱えながら日常生活を送ることは、それだけでも本人やご家族にとって気になることの一つになります。

さらに、長時間座って勉強する習慣が続く中で、腰の痛みも感じるようになっていました。授業中や勉強中にも腰が気になり、姿勢を意識して正しても思うように変わらない。長く座っているほど負担を感じるため、学習への集中にも影響することがありました。

そして、もう一つ長く続いていたのが頭痛です。

午後の授業中や長時間集中した後に、こめかみ付近がズキズキするような頭痛が起こることがあり、疲労やストレスが重なると出やすい状態でした。痛みが強いときには頭痛薬を使用することもあり、頭痛そのものだけでなく、「また頭痛が起こるかもしれない」という不安も日常生活の中にありました。

このように考えると、この10代男性が抱えていた問題は、単純に「足首が弱い」という一つの話ではありません。

サッカーでは繰り返す足関節の捻挫への不安があり、学校生活では長時間座ることによる腰の負担があり、集中した後には頭痛が起こる。そして、過去に側弯症を疑われた経験から、身体そのものに対する心配も抱えていました。

これらをすべて一つの原因で説明することはできません。それぞれに異なる背景がある可能性があり、必要に応じて医療機関での評価を受けることも大切です。

その一方で、スポーツを続ける10代の身体を見るときには、痛みが出ている場所だけではなく、これまでのケガ、日常生活での身体の使い方、長時間の勉強、疲労なども含めて、身体全体の状態を確認するという視点があります。

そこで、身体全体の状態を確認することを目的に、前田カイロプラクティック藤沢院で評価を行いました。

視診、体表温度検査、静的触診、動的触診などを通して身体の状態を確認し、必要に応じてレントゲン評価も行います。このケースでも、腰部や頸部、骨盤周辺などを含めて身体全体の状態を評価しました。

カイロプラクティックでは、こうした評価を通して、神経機能に影響を与える要因の一つとしてサブラクセーションを捉える考え方があります。ただし、サブラクセーションは医学的な病名ではなく、足首の捻挫や腰痛、頭痛の原因を直接示すものでもありません。

大切なのは、症状が出ている場所だけを追いかけるのではなく、その人の身体が現在どのような状態にあるのかを確認し、神経機能を妨げる要因がないかを評価することです。

この10代男性も、身体全体の状態を確認しながらケアを継続する中で、長時間座っているときの腰の負担や頭痛、足首の状態などに少しずつ変化がみられるようになりました。

特に、スポーツ中に感じていた「また足首を捻るのではないか」という不安が軽くなっていったことは、本人にとって大きな意味がありました。

スポーツでは、身体の痛みそのものだけでなく、「またケガをするかもしれない」という不安によって、無意識に動きを抑えてしまうことがあります。思い切りプレーできる身体を考えるためには、競技中の身体だけでなく、学校生活や勉強など、日常の中で身体にかかっている負担にも目を向ける必要があります。

成長期のスポーツ選手にとって、身体のケアはケガをしたときだけ行うものではありません。

繰り返す捻挫、長時間座ることで感じる腰の負担、集中した後に起こる頭痛など、一つひとつの悩みだけを見るのではなく、その人がどのような生活を送り、どのように身体を使っているのかまで含めて考えること。

それによって、自分の身体の状態を知り、競技だけでなく勉強や日常生活にも集中しやすい環境を整えていくことにつながります。

スポーツを長く楽しむためには、痛みやケガが起きてから対処するだけでなく、成長や生活環境の変化も含めて、普段から身体の状態に目を向けておくことが大切です。

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中島 恵

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。

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