高血圧(立ちくらみ、不安感、不眠症、頭痛、発汗異常、不整脈、腰痛、アトピー性皮膚炎)

高血圧(立ちくらみ、不安感、不眠症、頭痛、発汗異常、不整脈、腰痛、アトピー性皮膚炎)

薬なしで血圧値が安定した!

50代男性
来院に至った経緯
仕事は大学講師をしており、講義以外はずっと座り作業が続いていた。その影響か昔から慢性的な腰痛があった。ある多忙な時期に地面が揺れているような立ちくらみがあり、そのまま意識を失って救急車で病院に搬送された。病院では血圧値が異常な数値になっていると言われ、上230下145で危険な状態で1週間入院することになった。

降圧剤を処方されながら1週間安静にしていたら、上180下120まで下がり、通院で様子を見ることになった。多忙過ぎたことが原因かなとも思ったが、思い返せば仕事が忙しくなる少し前から睡眠の質が悪かったことに気づいた。いつもは布団に入れば5分もせずに寝落ちしていたものが、1~2時間眠れずに本を読んだりスマホを操作したりしていた。

退院してから1か月間、処方された降圧剤を飲み続けたが、上180下120前後という数値が変わることはなく、定期的な経過観察が必要になった。高血圧の影響なのか夕方になると決まって頭痛がするようになった。これまで頭痛がするときは風邪を引いたときくらいで頭痛薬など飲んだことはほとんどなかった。

元々、5年前に健康診断で頻脈性の不整脈で引っかかったことがあったものの、今回倒れるまでは自覚症状はまったくなかったが、次第に不安感を覚え、いろんなことが怖くなってきた。電車に乗るなど人混みに行くと血圧が上がっているような気になり、常に血圧のことばかりが気になって疲れやすくなった。

昔から便秘気味だったが、ここ1~2年くらいは便秘がどんどん酷くなり1週間出ないこともあった。また、子供の頃からアトピー性皮膚炎もあったが、5年くらい前からすごく汗をかくようになり、その頃から背中の肌荒れも酷くなった。子供の頃から皮膚科に通っていたが、背中の肌荒れが治ることはなかったので、今回の高血圧も同じだなと思い病院には通院しなくなった。

それからというもの、整体院、針鍼灸院、接骨院、オステオパシーなどあらゆる代替医療を試したが、まったく効果がなかった。そんなときYoutubeで塩川満章先生という人の動画をたまたま見かけて、これは今まで受けていた他の代替医療と違うかもしれないと思って調べたところ、塩川カイロプラクティック治療室で副院長の前田先生が近くの藤沢駅で開院したことを知り、当院に来院された。


【神奈川県茅ケ崎市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    右後頭部の強い浮腫感

  • 03

    全身の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。また右後頭部には強い浮腫感が確認された。腰~背中~首とまるで一枚の鉄板が入っているような状態で、体は全身が過緊張だった。

体表温度検査では、上部頸椎、下部頸椎、中部胸椎、下部胸椎、下部腰椎、骨盤とあちこちに温度の誤差が確認された。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD5レベルで重度の骨盤の傾きも確認された。また椎骨の変性も見られ、腰部前弯カーブ(前カーブ)は消失していた。頸部の椎間板の段階はそれほど慢性的なところは確認されなかったが、頸部前弯カーブ(前カーブ)は完全に消失し、ストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。そのため、初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、仕事の関係で週2回のケアから開始した。

3週目(6回目のアジャストメント)には、血圧値が目に見えて落ち着いてきた。降圧剤を飲んでいても上180下125だったものが、上145下100まで落ち着いてきた。

5週目(10回目のアジャストメント)には、血圧値も安静時なら上130下85と完全に落ち着き降圧剤はまったく飲まなくなった。念のため病院で検査すると頻脈性の不整脈も安定していた。立ちくらみのような症状もまったく出なくなった。この段階でケアのペースを週1回に広げることができた。

7週目(12回目のアジャストメント)には、夕方になると感じていた頭痛もまったく気にならなくなった。慢性的だった腰痛もほとんど気にならなくなった。また睡眠の質にも変化が出てきて、布団に入れば30分以内には眠れるようになった。

15週目(20回目のアジャストメント)には、高血圧も頭痛も睡眠の質もまったく気にならなくなった。便秘もそれほど気にならなくなり、1日1回は出るようになった。また背中の肌荒れにも変化が出てきて、前ほど荒れなくなってきた。

現在は、高血圧などの問題は解消されたが、このまま続けていればアトピー性皮膚炎も完全に良くなるかもしれないという思いから、ケアのペースを3週間に広げてカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の高血圧の原因は、自律神経のバランスが乱れたことが最大の原因だと考えられる。

高血圧の場合は、まず上(拡張期の血圧)が高いのか、下(収縮期の血圧)が高いのかを考慮してアプローチを定める必要がある。今回のケースでは、上230下145と拡張期/収縮期ともに高い状態だった。

このような高血圧の場合は、交感神経と副交感神経を混ぜてアジャストメントを行うという行為は控えなければならない。一度にあちこちアプローチをしてしまうと、拡張期にも収縮期にも効果が得られないばかりか、最悪の場合は悪化させてしまうこともありうる。

どの神経系の問題なのかを特定する検査力が何よりも重要となってくる。今回は骨盤部と上部頸椎に強い反応があった。そのどちらも副交感神経支配の部位となるが、交感神経が過剰に働いた状態では休まるスイッチが働かず不眠症にも繋がってしまう。

高血圧のことだけを考えれば、上230下145と両方とも異常な数値になっている場合は交感神経からアプローチしたいところではあるが、今回のケースではそもそもの始まりが多忙のあまり自律神経のバランスが乱れ、不眠症になっていたことがスタートである。

夕方以降に出る頭痛は緊張性の頭痛であり、交感神経が過剰に働いている人の特徴でもある。立ちくらみなど、人間の平衡感覚を司っているのは耳であるが、上部頸椎は耳と密接な関係がある。まためまいや立ちくらみはリンパ液の増加の影響なども受けてしまうが、リンパ液の量も自律神経によってコントロールされている。

発汗異常なども機能が亢進した状態で交感神経が過剰に働いていたと考えられる。便秘はより複雑ではあるが、自律神経の乱れによって腸の蠕動運動にも影響していたのだろう。また自律神経の乱れは全体的なホルモンバランス異常を引き起こし。

不安感など人間の精神面にはセロトニンという、別名幸せホルモンが関係しているが、セロトニンはその総量の90%以上が腸から分泌されている。そのことからも精神面にも影響があったのではないかと考えられる。また脳からはセロトニン総量の僅か2%程度しか分泌されていないとされているが、実はこのたった2%のセロトニンが人間の精神面に大きく影響しているとされている。

不整脈に関しても心臓付近に器質的な異常がない場合は、迷走神経の問題が考えられ、それも上部頸椎は密接な関係がある。アトピー性皮膚炎も便秘によって体の中に毒素が溜まりやすい環境から、一生懸命肌から体の外へ毒素を出そうとした結果だと考えられる。

このように、どのような症状であったとしても、決して症状ベースで決めつけるのではなく、しっかりとした検査を考察を持って行うことが重要となる。今回のケースは自律神経の乱れから、交感神経/副交感神経どちらも原因だと思われる症状が出てしまっていた典型的な例であり、サブラクセーション(根本原因)を取り除き体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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