突発性難聴・耳鳴り

突発性難聴・耳鳴り

何をしても治らなかった耳鳴りが解消された!

30代男性
来院に至った経緯
仕事はITエンジニアをしており、毎日12~13時間ほどパソコン作業が続いている。今の仕事になってから、仕事の波が激しく忙しくなると1か月間ほとんど休みなしということが続いていた。

 1年くらい前、仕事の休みが全くなく1か月間毎日15~16時間パソコン作業が続く時期があった。その日は朝から何かキーンという耳鳴りのようなものがするなと思っていると、仕事中に同僚から呼ばれていることにまったく気づかず、耳が聞こえなくなっていることに気づいた。

すぐに耳鼻科を受診すると突発性難聴と診断された。病院で治療をすることになり、しばらくすると低音は聞こえるようになったが、高音が聞き取りづらくなってしまった。生活する分には問題なかったが、耳鼻科の先生からは老化すれば誰でもそうなると言われたが、当時32歳の自分には納得のいかない診断だった。

そのまま生活を送るしかなかったが、一日の中で耳鳴りが定期的に鳴っていることに気づいた。一度気になると、頭の中でずっと耳鳴りがしているような気がして、仕事に集中できなくなった。特に静かな空間にいると耳鳴りはどんどん大きくなり、集中してパソコン作業をするという環境下では顕著にキーンという音が聞こえるようになってしまった。

突発性難聴になってから初めての健康診断では、不整脈と逆流性食道炎があると言われ、大きな病院を紹介された。子供の頃から、顎周辺の違和感、副鼻腔炎、胃腸が弱いなど決して体が強い方ではなかったが、ここまで体調不良になることはなかった。

それからというもの自分の体のことが気になり、さまざまな症状が出ていることに気づいた。両方の手足が冷たくなっており末端冷え性になっていたり、夜に何度もトイレに起きたり、寝ているときにふくらはぎがつったり、口を大きく開けると顎がガクッとズレたり、自分の体に何が起きているのか不安になった。

病院で精密検査を受けても、不整脈と逆流性食道炎がある以外は特に異常がないと言われた。また不整脈も心臓の精密検査を受けても異常なしと言われ、「とりあえずお薬出しておきますね。」と言われた。自分の体のことが不安で病院に来ているのに、原因が分からないと言われた上に「とりあえず」という言葉は病院に対して不信感しかなく、自分でなんとかするしかないと危機感を覚えてさまざまな治療法を調べてみた。

これまで整体、鍼治療、気功術、温熱療法などさまざまなものを試してみたが、体調が良くなるものは何もなく、むしろ耳鳴りがどんどん酷くなっているように感じた。

そんなとき、インターネットの情報からカイロプラクティックの初めての患者は『耳が聞こえない』という患者だったことを知る。突発性難聴は高音が聞き取りづらいという以外はある程度は回復していたものの、最初は耳が聞こえなくなったから、自分の探していたものはこれかもしれないと直感で感じた。

ただしカイロプラクティックのイメージはボキボキされるだけで怖いという認識しかなかったため、どこに行ったらいいか探していたところ、当院のHPにたどり着きここなら安心して自分の体を任せられるかもしれないという思いで来院された。

【神奈川県藤沢市からご来院】
初診の状態
  • 01

    正中仙骨稜の強い浮腫感

  • 02

    第一頸椎右横突起に強い浮腫感

  • 03

    頸部全体の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、第一頸椎に明らかな可動域制限があり、正中仙骨稜(骨盤の真ん中)と第一頸椎右横突起に強い浮腫感があった。

体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。

レントゲン評価では、椎間板の段階は慢性的なD3レベルだったため、初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、仕事の関係で週1回のケアから開始した。

3週目(3回目のアジャストメント)には、夜に脚がつって起きるということがなくなり、夜中にトイレに起きるということもなくなった。また、少し食べ過ぎると消化不良のような胃もたれを起こしていたものが胃腸の調子が良いと感じるようになった。

5週目(5回目のアジャストメント)には、鼻の通りが良いと感じるようになった。また、手足など末端が温かいと感じることが増えてきた。

8週目(8回目のアジャストメント)には、口を大きく開けても顎がガクガク鳴ることがなくなった。また、この段階でケアのペースを2週間に一度のペースに広げることができた。

12週目(10回目のアジャストメント)には、あれほど気になっていた耳鳴りが、そういえばまったく気にならないなと本人も忘れているほどだった。また聞き取りづらかった高音も、それほど気にならなくなってきた。

22週目(15回目のアジャストメント)には、病院で心臓の定期検診を受けると不整脈が安定していると言われた。また逆流性食道炎も検査では問題ないと言われた。

現在は、健康な身体を保ちたいという思いから、ケアのペースを3週間に広げてカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の突発性難聴と耳鳴りの問題は、上部頸椎という耳に直接神経が繋がっている部位のサブラクセーション(根本原因)によるものだと考えられる。中でも第一頸椎は特に重要な部位となる。

人間は外部の情報を電気信号に変えて、神経を通じて脳へ伝えている。音も例外ではなく、その情報は電気信号によって脳へ届けられている。耳鳴りは脳が聞こえなくなった音をなんとか聞こえるようにしようと感度を上げて不要な音を拾っている状態である。

また子供の頃から顎周辺に違和感があったことからも、幼少期から上部頸椎には負荷がかかっていたのだろう。顎関節は人体にある関節の中で最も小さな関節の一つとなる。実際には顎が外れているわけではなく、関節円盤という部位の動きがスムーズに行かなくなった結果、ガクッと引っかかったように感じてしまう。場合によっては患部の炎症を引き起こし痛みが出る場合もあるが、ほとんどの場合は首のバランス(特に第一頸椎)の影響を受けているだけである。

夜になると脚がつってしまう問題は、骨盤部や腰部から脚に伸びている神経に負荷がかかっていたものと考えられる。血流やリンパの流れをコントロールしているのは、すべて神経である。

今回は上部頸椎と骨盤部という、どちらも副交感神経支配の部位にサブラクセーション(根本原因)があったことも問題である。自律神経には交感神経と副交感神経があるが、副交感神経にサブラクセーションがあることで、交感神経が過剰に働き自律神経のバランスを乱してしまう。

自律神経には体内の白血球の比率を保つ役割もある。交感神経が優位に働くと体内の顆粒球の比率が増加して、好酸球や好中球という副鼻腔炎にも関係する白血球が不必要に増えてしまう。

また逆流性食道炎や胃腸の問題(消化不良)なども交感神経が過剰に働いていることが関係している。交感神経が過剰働くと食道が上がってしまい胃酸が逆流してしまう。また消化は副交感神経の働きによるものなので、自律神経のバランスの乱れは消化不良も引き起こしていたのだろう。

それ以外にも、夜尿症は交感神経が過剰に働くことで膀胱周りの筋肉が不必要に収縮してしまう。末端冷え性は交感神経が過剰に働くことで、末梢の血管が収縮して手足など末端まで血が巡らないことで起こる。

今回は第一頸椎に対してアプローチをしていたが、心臓に異常がない不整脈に関しては迷走神経という神経が関係している。第一頸椎のサブラクセーション(根本原因)により、迷走神経にも負荷がかかり不整脈となっていたのだろう。

神経の流れを整えることで、体の情報が正しく脳へ届いた結果、症状の改善に繋がったのだと考えられる。どれだけ症状が出ていようとも問題となっている箇所を特定し、神経系を絞ってアプローチすることの重要性が分かる症例である。

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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