左膝の痛み(腰痛、頭痛、不眠症)

左膝の痛み(腰痛、頭痛、不眠症)

50代女性
来院に至った経緯
中学生の頃に転倒して棚の角に腰をぶつけ負傷し、その頃から腰痛があった。社会人(20代前半)になってから年に1回はぎっくり腰を発症していたが、安静にしていれば痛みが落ち着いていたため今まできちんとケアはしていなかった。  

社会人になってから頭痛が出るようになり、時間帯は決まって夕方に出やすい。 さらに就寝中に何度も起きるようになり、それが当たり前となっていた。  

3か月くらい前に歩行中、体の向きを変えようと体を切り返した際に左膝を負傷。病院にて変形性膝関節症と診断を受ける。痛みが徐々に強くなり階段の上り下りが出来なくなり、歩行も痛みで足を引きずるようになってしまった。  

これまで腰痛に対しては、それほどケアをしてこなかったが、今回の膝痛の問題は歩行時でも痛みが出て生活に支障をきたしてしまったことから整形外科を受診した。整形外科では膝に水が溜まっていることが原因だと言われ、膝に溜まった水をぬいたがまったく変化が出なかった。その後、ヒアルロン酸注射やステロイドでの治療を行ったが変化が出ないどころか、かえって痛みが強く出てしまった。

膝の痛みは日に日に強くなっており、どうしたらいいのか悩んでいたところ、ご家族がインターネットで調べている際に当院のHPにたどり着いた。カイロプラクティックでは、膝の痛みだけではなく、体に起こっている根本原因を特定して自身の治癒力によって改善していくという、薬などに頼らない療法に興味を持ち来院された。  

【神奈川県横浜市西区からご来院】
初診の状態
  • 01

    左アトラス、後頭部の浮腫感、緊張 

  • 02

    左胸鎖乳突筋の過緊張 

  • 03

    仙骨部全体に浮腫感

経過と内容
腰部のレントゲン側面像では椎間板の段階がD5レベルであったことから、初期集中期の治療として週3回のケアを提案したが諸事情により週1回のケアから始めた。  

3週目(3回目のアジャストメント)では、左膝の炎症も軽減がみられ、来院する前は2週間に1度は水腫を抜く状態であったが、抜かずにすんでいる。  また腰痛が明らかに軽くなっていたと感じるようになった。

5週目(5回目のアジャストメント)では、骨盤部の浮腫感、腰部起立筋の緊張が以前より軽減していて、前回のアジャストメントが維持できており、歩行の改善もみられた。  

9週目(9回目のアジャストメント)では、膝が痛くなってから階段を避けていたが、階段の上り下りでも痛みが出なくなった。  この頃には腰痛はまったく感じなくなった。

13週目(11回目のアジャストメント)では、移動で長時間歩いたが膝に痛みは出なくなった。  

20週目(18回目のアジャストメント)では、日常生活でも左膝の痛みはほぼ気にならなくなった。立っている際に体の向きを変える動作でも痛みは出なくなった。 夕方以降に出やすかった頭痛も以前より回数が減ってきており、睡眠の質も安定してきて途中で起きる回数が減ってきた。

現在は、月に1回から2回のペースでケアを継続している。毎年決まって6月と10月の頃に腰の痛みが強くなっていたが痛みが出ずに生活を送っている。

考察
今回の左膝痛の原因は、体の土台である骨盤部の不安定さから腰部や膝関節に必要以上の負荷がかかっていたことが原因だと考えられる。  

骨盤部にある左右の仙腸関節にも顕著な可動域制限が確認されたが、人間の補正作用から片側の動きが悪くなると、反対側は過剰に動いてしまう。それによって腰部に必要以上の捻じれが加わり、その結果腰部の神経にも大きな負荷がかかり腰痛が出ていたのだろう。  

骨盤や腰部から出る神経は膝関節にも関与しており、体の土台である骨盤部で長期的に神経の流れに負担がかかっていたことで、左膝の損傷部分の回復も低下してしまったのだろう。

病院で変形性膝関節症と診断を受けていたが、徒手検査で靭帯や半月板損傷は確認されなかった。しかし膝関節部には強い炎症があった。

骨盤にある左右の仙腸関節の動きが妨げられると、股関節の可動域は大きな影響受けてしまう。股関節の役割の一つとして、上半身の重さを二分し左右均等に分散する働きがある。これらが上手くできないと膝関節への負担も大きくなってしまう。  

骨盤が安定することで腰部や左膝への負担が軽減したこと、神経の流れが正常に戻り自然に損傷部分が修復されたことが、腰痛や左膝痛の改善に繋がったと考える。 

今回の患者様は、膝の痛み以外にも就寝中何度も目を覚ましてしまという睡眠の質の低下や頭痛などの自律神経系の症状がみられた。  

自律神経は交感神経と副交感神経で構成されている。交感神経は日中活動する時間帯で優位に働き、副交感神経は寝るときや体を休めるときに優位に働くことで体のバランスが保たれている。  

就寝中、何度か目を覚ましてしまう問題では、交感神経のスイッチが切れずに、睡眠中も緊張状態が続いてしまっている状態だったのだろう。

頭痛の問題では、決まって夕方から出る頭痛は緊張性の頭痛であり、交感神経が過剰に働いている人の特徴でもある。  

検査でも上部頚椎と骨盤に反応が顕著にみられが、副交感神経に絞ってアプローチをしたことで睡眠の質が向上し、頭痛の問題も解消されたのだろう。  

今回のケースでは、骨盤のサブラクセーション(根本原因)の下肢への影響、自律神経系の症状もみられ、初めから問題の神経系を絞ってアプローチをすることにより、結果に繋がることを改めて実感できた症例である。 

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。様々な講習会に参加している中で本来のカイロプラクティックの考え方に興味を持ち、日本で最も歴史あるカイロプラクテック学校「シオカワスクール」のセミナーを受講。勉強していく中で、カイロプラクティックで地域や社会に貢献したいという思いが強くなり、カイロプラクティックの世界へ飛び込むことを決意。

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