左腕の痺れ、腰痛、不眠症、顎関節症、末端冷え性

左腕の痺れ、腰痛、不眠症、顎関節症、末端冷え性

左腕のビリビリする痺れと左腕全体の焼けるような痛み

40代女性
来院に至った経緯
子供の頃から睡眠の質が悪く、布団に入ってもゴロゴロしていて、両親からは早く寝なさいと怒られていた。小学校高学年になると、寝ても2時間くらいで目が覚めるようになり、眠れなくて夜中に泣いていた。病院では不眠症だと言われて、睡眠導入剤を処方された。

中学生になる頃には食事の最中に顎からジャリジャリと音が鳴るようになった。自分の中だけで音が鳴っていると思って放置していたが、あるときお昼のお弁当を食べているときにクラスメイトからジャリジャリ音が聞こえるよと言われ、周囲にも聞こえていることに驚き人前でご飯が食べられなくなった。部活動ではバスケットボールをやっていたが、運動中でも手足など末端が冷えており、冬場はシュートをするにも手首が曲がらなくなってしまうほど冷え切っていた。

社会人になってデスクワークの仕事についた。毎日のように残業があり、一日10~12時間座りっぱなしの日が続いた。その影響か学生時代にはまったく感じなかった腰痛を感じるようになり、社会人2年目を迎えるころにはぎっくり腰やってしまった。特に重たい物を持ったわけではなく、向かいの机の同僚から書類を一枚貰おうと手を伸ばした瞬間にやってしまった。そのときは近所の整体院で数回施術をしてもらい、ぎっくり腰は回復したが、日常感じる腰痛は何も変わることがなかった。

ある朝、起きると首が固まっているなと感じ、仕事中は両肩に人でもぶらさがっているのかという重だるさを感じた。その日は一日仕事をして、これが肩こりかなと思っていたが、翌朝左腕全体にビリビリと痛みに似た痺れを感じて目を覚ました。

首の可動域も明らかに悪いと感じ、これは放置してはまずいやつだと思って近所の整体院や針治療に通ったが、左腕の痺れはまったく治まる気配がなく首もどんどん固まっていくように感じた。また仕事中にパソコン作業をしていてもタイピング時に指先の感覚が鈍くなっていることに気づいた。

病院でレントゲンやMRI検査を受けたが、頸椎5番と6番に軽いヘルニアがあるが特に手術するほどでもないので痛み止めで対処しましょうと言われた。痛み止めを2週間飲んでも何も変わることがなかったので、もう一度病院に行くと今度はブロック注射を打たれた。その直後から左腕全体が焼けるように痛みだし、左腕のビリビリした痺れはさらに酷くなった。

別の病院でセカンドオピニオンを受けたが、レントゲンやMRI検査をしても同じように頸椎5番と6番がほんの少しヘルニアっぽいですねとしか言われなかった。どうすればいいのか分からず絶望していたところ、Youtubeで塩川満章先生という人がいると知った。

塩川先生のクリニックが塩川カイロプラクティック治療室というところだと知ったが、場所を調べてみると銀座だったので、とても何回も通えないなと残念に思った。すると塩川カイロプラクティック治療室で副院長を務めた経験がある前田先生が藤沢駅前にカイロプラクティック院をオープンしたと知り、今回の来院に至った。

【神奈川県藤沢市より来院】
初診の状態
  • 01

    頸部全体の過緊張

  • 02

    頸部左側屈の極端な可動域制限

  • 03

    隆椎(頸椎7番)付近の明らかな熱感(炎症)

経過と内容
頸部の椎間板がD4レベル、腰部の椎間板にD5レベルと慢性的な段階が確認されたため、週3回のケアを提示したが、仕事の関係上週2回のケアからスタートすることにした。

3週目(6回目のアジャストメント)には、隆椎(頸椎7番)付近の熱感(炎症)が明らかに引いてきた。また寝起きは顔を洗ったり歯磨きするのも辛いほど首が硬直していたが、本人も明らかに首の可動域が広がってきていると感じるようになった。またこの段階でケアのペースを週1回に広げることができた。

4週目(7回目のアジャストメント)には、仕事中の左腕全体が焼けるような激しい痛みは出なくなった。まだ痺れは強く出ていたが、仕事中にパソコン作業をしているときの指先の間隔は戻ってきた。また痺れも左肘辺りまで上がってきて、前腕部に痺れを感じることはなくなった。

7週目(10回目のアジャストメント)には、左腕に感じていた痺れはまったく感じなくなった。痺れを感じなくなると、急に肩こりが酷いような痛みが首周辺に感じるようになった。

8週目(11回目のアジャストメント)には、首こり・肩こりのような痛みもまったく感じなくなり、日常生活を送る分には支障は一切なくなった。この段階でケアのペースの2週間に広げることができた。また8週目以降は左腕の痺れや首肩コリはかなり改善されたため、不眠症、顎関節症、末端冷え性に対してのアプローチに切り替えた。

16週目(15回目のアジャストメント)には睡眠の質は明らかに変わったと感じるようになり、手足の冷えも以前ほど感じなくなった。長年、食事中にジャリジャリ鳴っていた異音は気にならなくなり、子供からもお母さん顎から音鳴らないねと言われて嬉しく感じた。また社会人になってからずっと感じていた腰痛も本人も忘れているほどすっかり改善された。

 現在は、二度と同じ思いはしたくないとケアのペースを3週間に広げてカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の症例は、左腕の焼けるような痛みやビリビリする痺れが主訴としてあったが、幼少期からの不眠症など自律神経の問題も確認された。左腕の痺れと不眠症ではアプローチする神経系が異なってくる。

左腕のビリビリした痺れや左腕全体の焼けるような痛みは日常生活に支障をきたしていたため、まずは頸椎7番からアプローチを開始した。整形外科で診断されていた通り、頸椎5番6番のヘルニアから神経を圧迫していたために起こったものと考えられるが、そもそも頸椎5番6番がヘルニアになってしまうほどの負担は頸椎7番からの負担によるものと考えられる。

人間は、神経が損傷していく過程として、【正常→痛み→痺れ→麻痺】の順番で進行してしまう。神経の回復過程ではその逆を辿り、【麻痺→痺れ→痛み→正常】の順番で回復していく。

今回の左腕の問題は、まさにその回復過程を辿るように、まず仕事でタイピング中の指先の感覚が戻ってきて、前腕部の痺れがなくなり、左腕全体の焼けるような痛みがなくなり、首肩コリを感じてから解消されていった。

検査では頸椎7番以外では、骨盤部と上部頸椎に強い温度の誤差が確認された。骨盤部と上部頸椎は、どちらも副交感神経支配の部位となる。不眠症の問題は、子供の頃から副交感神経にサブラクセーションがあることで、交感神経が優位に働いてしまい休みのスイッチが入れられない状態だったのだろう。

末端冷え性も交感神経が過剰に鳴っている人の特徴でもある。交感神経の働きとして末梢の血管を閉じて体の中心に血液を集める作用がある。その状態長く続くことで末端まで血液が循環しなくなり、結果として末端冷え性になっていた。

左腕の問題が解消されてからは、骨盤部と上部頸椎の副交感神経に絞ってアプローチをしたが、それによって自律神経のバランスが徐々に整い不眠症や末端冷え性の改善に繋がったと考えられる。

食事中に周囲の人にも聞こえてしまうほどのジャリジャリとした異音は上部頸椎の問題であると考えられる。顎関節は上部頸椎(特に第一頸椎)と密接な関係があるが、上部頸椎が安定することで顎関節にかかる負担が減り、結果として顎からの異音が解消されたのだろう。

長年感じていた腰痛も、骨盤部という人間の土台の部分が安定することで腰部に掛かる負担がなくなった結果、腰痛の解消に繋がったのだろう。

今回の症例のように、左腕全体が焼けるような痛みとビリビリ強い痺れがあり、また20年以上前から不眠症や末端冷え性があるというケースではアプローチする神経系がまったく違ってくる。

一度に何か所もアジャストメントを行うと、人間の治るチカラも分散してしまうため、アプローチを分けて行うことが重要となってくる。神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けてあげることの重要性が分かる症例である。

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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