右脚の痺れ(腰痛、耳鳴り、顎関節症、不眠症、夜尿症)

右脚の痺れ(腰痛、耳鳴り、顎関節症、不眠症、夜尿症)

車の運転ができないほどの右足の痺れが良くなった!

50代女性
来院に至った経緯
19年前に出産をしてから骨盤がズレている感覚があり、自分でも歩いていて歪んでいると感じている。出産後、1年経ったときに子供を抱き上げる瞬間にぎっくり腰になってしまった。そのときは身動き一つ取れなくなってしまったが、近所に母親が住んでいたので事なきを得た。

それ以来、慢性的な腰痛が続いているが、3年位前から右脚に痺れを感じるようになった。日によって痺れの感じ方が微妙に違うが、酷いときには右足の裏を剣山で刺されているような痛みと痺れの間のような感覚で、右お尻から、太もも裏、ふくらはぎ裏、足の裏からつま先と常に痺れを感じていた。

田舎暮らしのため車がないと生活ができないが、右脚が常に痺れているので車の運転も怖くなり外出も控えるようになった。脚の痺れを感じるようになった頃から、睡眠の質がかなり悪くなった。右脚の痺れが気になっているわけではないが、布団に入っても2時間くらいゴロゴロしている日が多くなってきた。

ようやく眠れても2時間に一度くらいはトイレに起きてしまうようになった。考えてみると日中もトイレが近いな思い、病院へ行くと夜尿症だと診断されて薬を処方された。薬を飲んで夜トイレに起きる回数は減ったが、何度かは起きてしまった。また寝入りはまったく変わらなかったが、何種類も薬を飲みたくなかったので不眠症の事は病院には黙っていた。

1年ほど前から口を大きく開けると顎がガクガク鳴るようになり、2か月前からは耳鳴りがするようになった。顎は痛みがあるわけではないが、大きく口を開けるといつも右顎がカックンと音が鳴ってしまうようになった。耳鳴りは右耳だけキーンという音が聞こえてきて、特に夜寝ようとすると気になるようになった。

どんどん体調が悪くなっていくような気がして、東京に住んでいる友人に相談すると、東京の塩川カイロプラクティック治療室というところを紹介されたが、さすがに静岡県の伊豆から何度も東京までは通えないなと思っていた。

紹介された治療院を検索してみると、Youtubeで塩川満章先生という人の動画が出てきた。動画を見ると凄い先生ということはすぐに分かったが、遠方だったため塩川カイロプラクティック治療室に問い合わせて伊豆からは何度も通えないと伝えると、副院長の前田先生が藤沢駅前で開院されていることを教えてもらった。

伊豆から藤沢なら車で行ける距離だなと思い、旦那さんに無理を言って、藤沢まで車で送ってもらうことになった。これまで何度も、整体院、針鍼灸院、他のカイロプラクティック院に通っても改善しなかったため、旦那さんからは反対されたが、ここは絶対に今までの治療院と違うからと説得して、当院に来院された。


【静岡県伊豆市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    腰部起立筋の過緊張

  • 03

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎右横突起と右上後腸骨棘上端に強い浮腫が確認され、腰部起立筋と頸部胸鎖乳突筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD6レベルで重度の骨盤の傾きや椎骨の変性が確認された。首の椎間板の段階は慢性的なD5レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、遠方からお車でお越しだったので週1回のケアから開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、顎関節は初診時の状態では開けるときも閉じるときもガクガク鳴っていたが、口を開けるときにはほとんどガクッとは鳴らなくなっていた。

4週目(4回目のアジャストメント)には、右足つま先や足裏に感じていた痺れが少し上に上がってきて、足の甲やふくらはぎに突っ張るような痺れ感に変わってきた。

10週目(10回目のアジャストメント)には、右膝の裏がものすごく突っ張るように感じてきて、つま先や足裏の痺れはほとんど感じなくなってきた。睡眠の質がすごく良くなり、夜中にトイレに起きることもなくなった。

15週目(15回目のアジャストメント)には、右お尻や太もも裏のツッパリに似た痛みが強くなり、右脚の痺れは感じなくなった。また顎関節は一度も顎には触らずに首だけで安定した。

19週目(19回目のアジャストメント)には、腰痛が一気に解消された。右脚の痺れはまったく感じなくなり、自分で伊豆から藤沢まで車を運転して来られるようになった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の右脚の痺れは、骨盤部の右仙腸関節の制限から日常的に腰部の神経に負担が掛かっていたことが原因であったと考えられる。

下肢の神経は、腰部と骨盤部から下肢へ向かって伸びている。検査では骨盤部の右仙腸関節に顕著な反応がみられたが、仙腸関節のサブラクセーション(根本原因)によって下肢へと伸びる神経に大きな負荷が掛っていたと考えられる。

人間の痛みの感覚は「正常→痛み→痺れ→麻痺」の順番で進行してしまう。そのため回復過程では必ず「麻痺→痺れ→痛み→正常」の順番で回復していく。患部が腰部や骨盤部にも関わらず、つま先まで感じており、しかもそれが痛みではなく痺れという時点でかなりの期間神経を損傷し続けていたことが考えられる。

今回のケースでも回復過程では、つま先や足裏の痺れがふくらはぎくらいまで上がってきて、徐々に脚全体が筋肉痛のように重だるくなり、右お尻や太もも裏に痛みに似たツッパリ感が現れて、最後に腰に痛みが集中していってから腰痛自体も解消されていった。

一般的な痺れは、痛みよりもマシな状態と認識されているが、実際には神経症状としては痛みよりも進行している段階である。

検査では上部頸椎にも問題が確認されたが、上部頸椎と顎関節は密接な関係がある。顎に直接的な外傷がない場合、ほとんどのケースで首のバランス、特に上部頸椎のバランスの乱れが顎関節に掛かっているだけとなる。

今回のケースでも顎には一度も触らずに上部頸椎の安定と共に、顎関節症も解消されていった。また耳鳴りもあったが、耳鳴りは脳が聞こえなくなった音を拾おうとして過敏になっている状態である。上部頸椎と耳は密接な関係があるため、耳鳴りの問題も上部頸椎のサブラクセーション(根本原因)が原因だったと考えられる。

不眠症や夜尿症の問題もあったが、検査で反応が強かった骨盤部や上部頸椎は、どちらも副交感神経支配の部位となる。副交感神経にサブラクセーション(根本原因)があることで、交感神経が過剰に働き、自律神経のバランスを乱した結果、休まる神経が働かずに不眠症を発症していたと考えられる。

夜尿症は日中もトイレが近いという問題も、交感神経が過剰に働くことで膀胱周りの筋肉が収縮してしまい、膀胱のタンク容量が小さくなってしまった状態だと考えられる。膀胱のタンク容量が小さくなってしまったことで、まだ行くタイミングではないのにトイレに行きたくなり、トイレに行ってもした気がしないということが続いていた。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、腰部や骨盤の配列や自律神経のバランスが整った結果、下肢の痺れだけではなくさまざまな症状の改善に繋がったと考えられる。神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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