ホットフラッシュ(便秘・膝痛)

ホットフラッシュ(便秘・膝痛)

5年間、嫌になるほどかいていた汗が止まった!

50代女性
来院に至った経緯
45歳になった頃から人と会ったり、仕事でプレゼンなど緊張するシーンになると大量の汗をかくようになった。首から上だけ極端に汗をかくようになり、髪の毛などもシャワー後かというほどビショビショになってしまった。

友人に相談すると年齢的にホットフラッシュだと思うよと言われ、漢方の先生を紹介してもらった。その先生は針治療もしてくれる先生で、約5年間毎週1回は針治療と漢方を処方してもらっていたが、正直何も変わらず友人の紹介というだけで通い続けていた。

趣味は登山で定期的に山の中を歩いていたので自分では健康だと思っていたが、周囲からホットフラッシュは更年期障害の一種だと言われると、年齢のせいだからどうしようもないかと半ば諦めていた。

3年前のある日、登山の最中に左膝から激痛がした。幸いにも下山をしている最中だったので脚を引きずりながらの下山となったが、病院へ行くと水が溜まっていると言われた。病院に一緒に同伴してくれた登山メンバーが、膝の水は絶対にぬいちゃダメだと強く止めてくれた。

病院の先生は膝の水をぬかないと痛みはなくならないと言っていたが、自分でも膝に溜まった水は抜かない方がいいと誰かから聞いた記憶があったので、断固拒否して湿布薬だけ処方してもらった。

漢方の先生にも膝の痛みを相談して針治療をしてもらったが、膝の痛みも変わることはなく、趣味の登山もできなくなってしまった。しばらくするとストレスからか便秘になってしまい、酷いと5~6日間も便通がないことが続いた。

あまりに便通がないので、お腹が張って苦しくなり、我慢できずに便秘薬を飲んで出すということを繰り返していた。ホットフラッシュ、膝痛、便秘と一気に体調が悪化したことで、いろんなことに自信を無くしてしまった。

これまでまったく体に不調などなく過ごしてきたが、体のメンテナンスを怠ってきたということかと思ったが、マッサージすら通ったことがなく、ホットフラッシュを発症して漢方の先生にお世話になるまで病院にもほとんど通ったことがなかったので、何が正解なのか分からなかった。

そんなとき当院のHPを見る機会があり、「根本原因に対してアプローチをする」という一文が気になり、私に必要なものはこれかもしれないという思いで当院に来院された。


【神奈川県横浜市戸塚区から来院】
初診の状態
  • 01

    左仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    第一頸椎左横突起の強い浮腫感

  • 03

    左後頭部の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、左の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また左仙骨翼と第一頸椎左横突起に強い浮腫が確認された。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きが確認された。首の椎間板の段階は慢性的D5レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、仕事の関係で週2回のケアから開始した。

3週目(6回目のアジャストメント)には、膝痛がかなり緩和して階段をスムーズに下りられるようになった。また便秘が明らかに改善してきており、5~6日に一度しか出なかったものが、薬に頼らなくても1~2日に一度は出るようになった。

5週目(10回目のアジャストメント)には、趣味の登山に行っても膝痛はまったく感じなくなった。また便秘は完全に解消され、薬に頼らなくても毎日1~2回は出るようになった。この段階でケアのペースを1週間に一度に広げることができた。

10週目(15回目のアジャストメント)には、汗をかく量が減ったように感じた。人前に行くと顔だけが熱くなっていたが、それがまったく感じなくなった。

20週目(25回目のアジャストメント)には、ホットフラッシュが始まる以前の状態に戻ることができた。人前や緊張するシーンでも、極端に顔から汗をかくということはなくなり、緊張するときには適度に、暑い日にはしっかりと環境に適応できるようになった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回のホットフラッシュは、女性ホルモンの分泌低下により、脳が過剰な命令を出し続けていたことが原因であったと考えられる。

女性ホルモンは、主に卵巣から分泌される。卵巣と脳は神経によって常にやり取りをしているが、更年期といわれる年代になると卵巣はその役目を終えて女性ホルモンの分泌が低下してくる。エストロゲンは40%、プロゲステロンに至っては0%の分泌となる。

このとき神経の流れが乱れ、脳が卵巣の状態を正しく把握できないと、役目を終えた卵巣の状態に気付くことができずに「女性ホルモンを分泌しなさい!」という命令を送り続ける。しかし卵巣はすでに役目を終えているため、脳からの命令に応えることができない。

この脳からの命令は交感神経を刺激し続けるため、次第に自律神経のバランスを乱してしまう。これが更年期障害のメカニズムである。ホットフラッシュのように汗を大量にかいたり、顔のほてりを感じる状態とは、まさに自律神経の乱れを示している。

人間は体内の温度を一定に保つ恒常性調節機構(ホメオスタシス)という機能が備わっている。その際、血管を拡張/収縮させる、汗腺を開く/閉じるという機能をコントロールしているのが自律神経となる。

便秘の問題は少し複雑だが、胆液や膵液などの分泌低下、小腸や大腸などの臓器機能低下、あるいは亢進が考えられるが、最も考えられるのは自律神経の乱れである。腸の蠕動運動など人間が意識して動かせないところは自律神経がコントロールしている。

検査では骨盤部の左右差が強く出ていたが、股関節、膝、足首など下肢の関節に直接的な外傷がない場合は、ほとんどのケースで骨盤部の乱れが負荷をかけていることが多い。今回のケースでも骨盤部の乱れが膝関節に負担となり、膝痛を誘発していたと考えられる。

痛みや症状が出るまでには長い年月が掛かる。患者本人は3年前から膝の痛みを感じるとのことだったが、腰の椎間板の段階を見ると最低でも10年間は負担が掛かっていたことは明白である。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経のバランスが整った結果、脳が卵巣の状態を正しく把握することができ、膝痛のみならず、ホットフラシュや便秘の改善に繋がったと考えられる。

どのような症状であったとしても、検査によって問題の神経系を特定し、神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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