うつ病(顎関節症、眼精疲労、頭痛、呼吸が浅い、首・肩の凝り、吐き気)

うつ病(顎関節症、眼精疲労、頭痛、呼吸が浅い、首・肩の凝り、吐き気)

うつ症状がなくなり気分が晴れやかになった!

30代女性
来院に至った経緯
ボクシングを6年間やっていて、20代は女子プロボクサーとしてリングに上がっていた。残念ながら選手としては大成できなかったが、精いっぱいやったので後悔はなかった。現役時代に何度も顎を撃ち抜かれたため、現役を引退するころには顎関節は左右とも不安定で口を大きく開けるとガクガク音が鳴るようになっていた。

現役を引退してからはフリーランスで仕事をするようになり、パソコン作業が増えた影響か眼精疲労が酷く、夕方以降になると決まって目の奥と両方のこめかみが締め付けられるような頭痛が出るようになった。雨が降る前日などは必ず頭痛が出るため、友人からは人間天気予報とからかわれていたが、台風が来る前日などは頭が割れるほどの頭痛に襲われた。

3年前にバイクに乗っていると交差点で信号無視の車に右から突っ込まれた。事故当時の記憶が曖昧だが、ヘルメットを見るとかなり強く頭を打ったことが分かった。また右肩関節を脱臼してしまい、ようやく軌道に乗り始めたフリーランスの仕事もパソコン作業が満足にできず滞ってしまった。

バイクでの事故後、1週間くらいしてから体調が悪くなった。息切れのように呼吸が浅くなり、体が震えるようになった。首や肩が異常に凝るようになり、頭痛の頻度も明らかに増えてしまった。病院でレントゲン、MRI、CT検査まで行ったが、異常なしと診断されてしまった。

事故から1年経っても体調不良は続き、身体が常に重だるく、不意に吐き気を感じるようになった。何か所も病院を訪ねたが、最終的には心療内科でうつ病と診断されてしまった。抗うつ薬を処方されたが、薬を飲んで数か月経っても症状は何も変わらなかった。

このまま薬を飲み続けても治らないなら意味がないと思い、自分で調べて自律神経専門の針鍼灸院や整体院に通ってみたが、ほとんど症状の変化はみられなかった。何かないかなと探していると、塩川満章先生の動画をYoutubeで見る機会があった。

こんなすごい人がいるのかと思って調べてみると、藤沢駅前に塩川先生のお弟子さんが開院されていることを知る。銀座の塩川カイロプラクティック治療室で副院長を務めていた先生なら大丈夫だろうと思い、当院に来院された。


【神奈川県平塚市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    左後頭部の強い浮腫感

  • 03

    頚部全体の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節に明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きも確認された。首の椎間板の段階は慢性的なD3レベルが確認された。首の前弯カーブは消失しており、ストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、仕事の関係で週1回のケアから開始した。

6週目(6回目のアジャストメント)には、異常なほどの首・肩の過緊張が少しぬけてきた。また不意の吐き気というものは出なくなった。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

14週目(10回目のアジャストメント)には、頭痛がほとんど気にならなくなってきた。呼吸も普通にできていると感じるようになった。また睡眠の質が良くなったのか、寝起きがすっっきりと起きられるようになった。

26週目(16回目のアジャストメント)には、気分がとても晴れやかになり、視界が明るく感じるようになった。薬も手放すことができ、パソコン作業をしても集中できるようになった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回のうつ病は、自律神経の乱れが最大の原因であったと考えられる。人間の精神状態は体内のホルモンバランスの影響を大きく受けてしまう。うつ病に関してはセロトニン(別名:幸せホルモン)と呼ばれているホルモンが代表的ではあるが、女性の場合はエストロゲンやプロゲステロンの分泌量も大きく関係している。

セロトニンや女性ホルモンに限らず、体内の各ホルモン分泌器官と体の司令塔である脳は神経によってやり取りがなされている。特に着目すべきは自律神経となる。自律神経は交感神経と副交感神経からなるが、検査では骨盤部と上部頸椎に強い反応が見られた。

骨盤部と上部頸椎はどちらも副交感神経支配の部位となる。サブラクセーション(根本原因)があることで、副交感神経が上手く機能せず、交感神経が過剰な状態となっていたと考えられる。

交通事故後、仕事が満足にできず大きな環境の変化によって強いストレスが引き金となったことは要因の一つだと考えられるが、事故前からボクシングでの強い外傷を高頻度で受けていたことも要因の一つだと考えられる。

ボクシング引退時には左右の顎関節からガクガク音が鳴っていたとのことだが、顎関節は上部頸椎(特に第一頸椎)のバランスの影響を大きく受けてしまう。また上部頸椎から繋がる神経は、視神経とも密接な関係がある。

長時間のパソコン作業から視神経に負担がかかり、眼精疲労からの頭痛に繋がっていたとも考えられる。またパソコンやスマートフォンなどの電子機器から出るブルーライトは視神経から交感神経を刺激する。それによって、さらに交感神経が過剰になり、自律神経の乱れに拍車を掛けていた可能性もある。

頚部から肩にかけても過緊張だったが、交通事故でヘルメットがへこむほどの外傷によって頚部全体の負荷となり、首や肩の筋肉を固めて頭部の重さや神経を保護していたのだろう。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、体の情報が脳へ届いたことで、自律神経、ホルモン、筋骨格など、さまざまな症状の改善に繋がったと考えられる。

ボクシングや交通事故など強い外傷があった場合でも、検査によって問題の神経系を特定することが重要であり、改めて神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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