2025.08.10

腰痛と便秘の深い関係──腸内環境と神経機能から見る意外な原因

腰痛と便秘の深い関係──腸内環境と神経機能から見る意外な原因

「腰もお腹も重くてつらい」「便秘が続くと腰の痛みまで強くなる」──こうした声は臨床の現場で頻繁に耳にします。一見、別々の不調に思える腰痛と便秘ですが、その背景には共通の神経機能の乱れが関わっているケースが少なくありません。腸内環境の悪化が腰痛を悪化させる理由、そしてその逆のメカニズムまで、今回は詳しく解説します。

 

■ 便秘が腰に与える直接的な影響

腸に便が長く滞ると、腸管が膨張し、その周囲の組織や神経を圧迫します。腰椎のすぐ前には大腸が位置しており、慢性的な腸の膨張は腰部の血流やリンパの流れを阻害します。こうした循環不全は腰部の筋肉や靭帯を緊張させ、持続的な重だるさや痛みを引き起こします。

 

さらに、便が硬くなり、排便時に強くいきむ習慣が続くと、腰椎や仙腸関節に過剰な圧力が加わります。これは、椎間板や靭帯に小さな損傷を生じさせ、慢性的な腰痛の温床となります。患者さんの中には「便秘が続くと腰をかばうようになり、さらに動かなくなって余計に悪化する」という悪循環に陥る方も少なくありません。

 

■ 神経を介した間接的なつながり

腸の働きは自律神経がコントロールしています。交感神経が優位になると腸の蠕動運動は抑制され、副交感神経が優位になると活発になります。長時間の座位や精神的ストレスは交感神経を高ぶらせ、腸の動きを鈍らせるだけでなく、腰部の筋緊張をも高めます。

 

さらに重要なのが内臓体性反射です。腸と腰は、脊髄の同じ高さ(腰椎下部〜骨盤部)から神経支配を受けています。そのため、腸の不調が脊髄を介して腰の筋肉や関節の働きに影響を与えることがあります。これは、電気配線の途中でノイズが入ると別の機器まで誤作動するようなものです。

 

■ 便秘が神経過敏を引き起こすメカニズム

腸内に便が滞留すると、腸壁にある神経受容器が持続的に刺激されます。これが脊髄や脳に「異常がある」という信号を送り続け、痛みの感じ方を強める神経過敏状態を作ります。神経が過敏になると、本来は痛みを感じない動作でも、腰痛として認識されやすくなります。

 

このため、腰の構造に明らかな損傷がなくても、便秘が続くだけで腰痛が悪化することがあります。特に慢性的な便秘を抱えている人では、腰痛がなかなか改善しない背景にこの神経過敏が隠れていることが多いのです。

 

■ カイロプラクティックでできること

カイロプラクティックでは、腸と腰の両方に影響を与える神経の働きを評価します。体表温度検査で自律神経のバランスや局所の異常反応を確認し、視診や静的・動的触診で腰椎や骨盤の動きの乱れを探ります。

 

例えば、腰椎5番や仙骨周囲の動きが低下している場合、それは腸への神経伝達の乱れとも関連します。調整は最小限の刺激で行い、副交感神経の働きを高めつつ、交感神経の過剰な緊張を和らげます。これにより腸の動きが促され、腰部の筋緊張も同時に軽減されます。

 

実際、当院の患者さんでも「調整を受けた翌日から便通が良くなり、腰の重さも和らいだ」というケースは少なくありません。これは偶然ではなく、神経学的なつながりを整えることで起こる必然的な変化です。

 

■ 日常生活で意識したいこと

便秘と腰痛の悪循環を断ち切るためには、日常生活の中でいくつかのポイントを押さえることが大切です。

まず、同じ姿勢を長く続けないようにしましょう。30分から1時間に一度は立ち上がり、腰や股関節を軽く動かすことで、血流と腸の動きが促進されます。

呼吸も重要です。横隔膜をしっかり動かす深い腹式呼吸は、副交感神経を優位にし、腸の蠕動を自然に活発にします。

食事面では、水分を十分にとることと、食物繊維の質と量のバランスを意識することが大切です。特に野菜、海藻、発酵食品などを組み合わせて摂取すると、腸内環境が整いやすくなります。

排便時の姿勢も見直しましょう。足元に小さな台を置いて膝の位置を高くすると、直腸の角度が変わり、排便がスムーズになります。

さらに、睡眠の質も腸と腰の両方に影響します。就寝前のスマートフォン使用を控え、同じ時間に寝起きするリズムを整えることで、自律神経が安定しやすくなります。

 

こうした日々の工夫と神経機能の回復を組み合わせることで、便秘と腰痛の両方に改善の道が開けます。

 

■ ご相談・ご予約はいつでもどうぞ

「腰もお腹も重くてつらい…」そんな悩みを抱えている方へ。

神経の働きを整えるケアを通じて、腰痛と便秘の両方を改善し、「軽やかに動ける日常」を取り戻すお手伝いをいたします。

 

📍前田カイロプラクティック藤沢院

神奈川県藤沢市鵠沼橘1-17-4 第一興産28号館402

【営業時間】9:00〜12:00/14:00〜18:00

【休診日】月曜日・火曜日午後・金曜日・第3日曜日(前日土曜日は午前のみ)

📞0466-21-9624

【LINE予約】下記QRコードを読み取り、トーク画面から「予約希望」とお送りください。

ご予約・お問合せはお電話またはLINEから

お電話での予約
TEL:0466-21-9624
LINEでの予約
QRコードを読み取り、トーク画面から「予約希望」とご連絡ください。
前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

コラム一覧へ戻る
pagetop