女性アスリートの生理(月経)問題と向き合う|パフォーマンスを支える自律神経との関係
「生理前になると身体が重く感じる」
「月経中は思うように力が出せない」
「以前より生理周期が乱れるようになった」
「練習や試合の日と月経が重なるのが不安」
女性アスリートの中には、このような悩みを抱えながらも、「女性だから仕方がない」「我慢するもの」と考えてしまう方も少なくありません。
しかし、月経は女性アスリートの身体の状態を知るための大切なサインの一つです。月経周期には、女性ホルモンの変化だけでなく、睡眠、栄養状態、精神的ストレス、運動量、身体の回復状態など、さまざまな要素が関係しています。
特に競技レベルが高い選手ほど、練習量や試合による身体的ストレスが大きくなります。その結果、身体が十分に回復できない状態が続くと、ホルモンバランスに影響が出たり、月経周期が乱れたりすることがあります。
また、月経に関わる不調を考えるうえで、自律神経の働きも重要なポイントになります。
自律神経は、心拍、血流、体温、消化、睡眠など、私たちが意識してコントロールできない身体の機能を調整しています。そして、女性ホルモンの変化に対応しながら、身体を一定の状態に保つ役割も担っています。
つまり、月経を快適に過ごすためには、女性ホルモンだけを見るのではなく、身体全体の調整機能や回復できる状態を考えることが大切です。
今回のコラムでは、女性アスリートに起こりやすい月経の悩みについて、身体の仕組みや自律神経との関係性から解説し、さらにカイロプラクティックではどのような視点で身体を評価しているのかについて詳しくお伝えします。
■ 月経は女性の身体の状態を知る大切なサインです
月経は、単に毎月起こる身体の変化ではありません。女性の身体が健康な状態を維持できているかを知るための、大切なバロメーターの一つです。
月経周期は、脳、卵巣、子宮が連携することで調整されています。脳の視床下部や下垂体からホルモンの指令が出され、その指令を受けて卵巣から女性ホルモンが分泌されます。そして、その変化によって子宮内膜の状態が変化し、月経が起こります。
この一連の仕組みは、単に子宮や卵巣だけで完結しているものではありません。脳が身体全体の状態を確認しながら、「今は妊娠に適した環境を維持できる状態なのか」を判断して調整しています。
そのため、月経周期は身体のさまざまな影響を受けます。
例えば、激しい運動による身体的ストレス、エネルギー不足、睡眠不足、精神的ストレスなどが続くと、脳が身体を守るためにホルモンの調整機能へ影響を与えることがあります。
特に女性アスリートでは、競技力向上のために練習量が増えたり、体重管理を意識したりすることで、身体が必要としているエネルギーが不足する場合があります。
身体は、生命維持に必要な機能を優先する仕組みを持っています。そのため、利用できるエネルギーが不足した状態が続くと、月経周期に変化が現れることがあります。
以前は、女性アスリートの月経異常について「運動量が多いから仕方がない」と考えられることもありました。しかし現在では、月経の乱れは身体から発せられる重要なサインとして捉えられています。
月経が止まる、周期が大きく乱れる、月経痛やPMS(月経前症候群)が強くなるといった変化は、単なる女性特有の悩みではありません。身体のエネルギー状態、回復状態、ストレスへの適応力など、全身のコンディションを見直すきっかけになる可能性があります。
また、女性ホルモンの変化は、体温調節、血流、睡眠、精神状態などにも関係しています。これらの働きを調整している重要なシステムの一つが、自律神経です。
では、なぜ自律神経が月経の不調や生理期間中の身体の変化に関係しているのでしょうか。次の章では、自律神経と女性ホルモンの関係について詳しく解説していきます。
■ 生理の不調は「ホルモンだけ」の問題ではありません|自律神経が身体の調整力を支えています
「生理前になるとイライラする」
「眠気が強くなる」
「身体がむくむ」
「疲れやすくなる」
「練習でいつもの動きができない」
女性アスリートの中には、月経前や月経中にこのような変化を感じる方もいます。
これらの変化が起こると、「女性ホルモンのせい」と考えることが多いかもしれません。確かに、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンは、身体や心の状態に大きく関係しています。
しかし、身体はホルモンだけで動いているわけではありません。
私たちの身体には、外部環境や身体内部の変化に合わせて状態を調整する仕組みがあります。その中心となるのが、脳の視床下部です。
視床下部は、体温、食欲、睡眠、ストレス反応、ホルモン分泌など、生命を維持するために重要な働きを調整しています。そして、自律神経の働きにも深く関わっています。
つまり、女性ホルモンの変化と自律神経の働きは、それぞれ別々に存在しているのではなく、脳を中心にお互いに影響しながら身体の状態を調整しています。
例えば、試合前の緊張や大きなストレスが続くと、交感神経が優位な状態が続きやすくなります。交感神経は、集中力を高めたり、瞬発的な力を発揮したりするためには必要な働きです。
しかし、活動状態が長く続き、身体が十分に休息や回復へ切り替えられない状態になると、睡眠の質、疲労回復、身体の調整機能に影響することがあります。
また、女性アスリートの場合、練習による身体的ストレス、試合へのプレッシャー、食事制限、睡眠不足などが重なることで、身体にとって大きな負担になる場合があります。
身体は常に「今の状態で生命活動を維持できるか」を判断しています。
エネルギー不足や強いストレスが続いた場合、身体は自分を守るために、月経周期に関わるホルモンの働きを調整することがあります。これは身体が壊れているのではなく、環境に適応しようとする自然な反応の一つです。
ここで大切なのは、「生理の問題だから女性ホルモンだけを見ればよい」と考えないことです。
睡眠の質、疲労の蓄積、ストレスへの対応力、身体の回復状態など、身体全体のコンディションを見ることが重要になります。
近年、女性アスリートの健康管理では、月経を隠すものではなく、身体の状態を知るための重要な情報として活用する考え方が広がっています。
月経周期を把握することは、自分の身体の特徴を理解し、練習や試合でより良いパフォーマンスを発揮するための一つの方法です。
では、カイロプラクティックでは、このような女性アスリートの身体の状態をどのように評価し、自律神経や神経機能という視点からどのように考えているのでしょうか。
■ 女性アスリートの身体を支える神経機能|カイロプラクティックが大切にしている評価の視点
女性アスリートが安定したパフォーマンスを発揮するためには、筋力や技術だけではなく、自分自身の身体の状態を正しく把握することが大切です。
特に月経に関する変化は、単なる女性特有の悩みとして片付けるものではありません。睡眠、疲労、栄養状態、ストレスへの適応、身体の回復状態など、全身のコンディションを知るための大切な情報になります。
カイロプラクティックでは、身体の状態を考えるうえで「脳と身体をつなぐ神経の働き」を重要視しています。
人間の身体は、脳が司令塔となり、神経を通じて全身の状態を調整しています。
脳は、筋肉、関節、皮膚、内臓などから送られてくる情報を受け取り、「身体がどのような状態なのか」を判断しています。そして、その情報をもとに、筋肉の働き、身体のバランス、内臓機能、血流、体温調節など、生命を維持するためのさまざまな機能を調整しています。
月経周期に関わるホルモンの働きも、脳の視床下部を中心とした調整機能によってコントロールされています。
そのため、女性アスリートのコンディションを考えるときには、女性ホルモンだけを見るのではなく、身体全体がどのような状態にあるのかを確認することが重要だと考えています。
私たちカイロプラクターは、背骨や骨盤を「全身のバランスを整えるため」に評価しているわけではありません。
背骨の周囲には神経が走行しており、脳と身体の情報伝達に重要な役割を担っています。そのため、神経機能に関係する身体の変化を確認するために、背骨や骨盤の状態を評価します。
そして、神経伝達を阻害している可能性があるサブラクセーション(根本原因)を正確に特定することを大切にしています。
サブラクセーション(根本原因)が存在すると、脳と身体の間で行われる情報のやり取りが円滑に行われにくくなり、身体が本来持っている調整機能や適応力を十分に発揮しにくい状態になる可能性があると考えています。
そのため、当院では一つの症状だけを見るのではなく、身体に現れているさまざまな情報を総合的に評価します。
具体的には、
体表温度検査
視診検査
静的触診
動的触診
レントゲン評価
という5つの検査を組み合わせます。
体表温度検査では、背骨に沿った皮膚温度の変化を確認し、神経機能の変化を客観的な情報として評価します。
視診検査では、身体の姿勢や動き方、左右差などを確認し、競技動作の中でどのような負担が生じやすい状態なのかを見ていきます。
静的触診では、筋緊張、熱感、浮腫感、皮膚の質感など、身体に現れている細かな変化を確認します。
動的触診では、背骨や骨盤の関節が本来持っている動きを保っているかを評価し、身体がどのように連動しているのかを確認します。
レントゲン評価では、骨格の構造や椎間板の状態を確認し、安全性を確保しながら身体の状態を把握します。
これらの検査を行う目的は、多くの場所をアジャストメントすることではありません。
本当に必要な場所を正確に評価するためです。
カイロプラクティックでは、身体を外から変えることを目的としているわけではありません。身体の回復を担っている主役は、その人自身が生まれながらに持っている自然治癒力です。
私たちカイロプラクターは、神経機能に関わる身体の状態を評価し、脳と身体が円滑に情報をやり取りできる環境を目指すことで、その人自身が持っている適応力や回復力を発揮しやすい状態をサポートします。
女性アスリートにとって、生理を「競技の邪魔になるもの」と考えるのではなく、自分の身体を理解するための大切な情報として向き合うことが、長く競技を続けるための第一歩になります。
身体から発せられる小さなサインに気づき、自分に合ったコンディショニングを行うことが、未来のパフォーマンスや健康につながっていきます。
女性アスリートにとって、月経は競技の妨げになるものではなく、自分自身の身体の状態を知るための大切な情報の一つです。
「生理だから仕方がない」「我慢するしかない」と考えてしまうこともあるかもしれません。しかし、月経周期の変化や生理前後の体調の変化には、女性ホルモンだけではなく、睡眠、栄養、練習量、精神的ストレス、身体の回復状態など、さまざまな要素が関係しています。
特にアスリートは、日々の練習や試合によって身体へ大きな負荷がかかります。その負荷に対して十分に回復できているか、自律神経が身体を適切に調整できているかという視点を持つことは、安定したパフォーマンスを発揮するうえで重要です。
自律神経は、体温、血流、睡眠、内臓機能、ストレスへの対応など、私たちが意識していない身体の働きを調整しています。そして、脳を中心とした身体の調整機能が円滑に働くことで、身体は環境の変化に適応しやすくなります。
カイロプラクティックでは、症状だけを見るのではなく、身体に現れているさまざまな情報をもとに、神経機能に関係するサブラクセーション(根本原因)を評価することを大切にしています。
5つの検査を通じて身体の状態を確認し、本当に必要な場所を見極めることで、脳と身体が円滑に情報をやり取りできる状態を目指します。
身体を変える主役は、その人自身が生まれながらに持っている自然治癒力です。カイロプラクティックは、その力が十分に発揮されるための環境づくりをサポートするものです。
女性アスリートが長く競技を続け、より高いパフォーマンスを発揮するためには、痛みや不調が出てから対処するだけではなく、日頃から自分の身体の状態を理解し、適切に向き合うことが大切です。
生理に関する悩みや身体の変化を一人で抱え込まず、「これは身体からのサインかもしれない」と考えることが、健康的に競技を続けるための第一歩になります。
藤沢市で女性アスリートのコンディショニングや身体の不調についてお悩みの方からもご相談をいただいています。
自分自身の身体をより深く理解し、日々の練習や試合で持っている力を十分に発揮するためにも、身体の状態を確認する一つの方法としてカイロプラクティックケアを役立ててみてください。
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執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。


