【腰痛と足の冷え】血流だけではない、神経反射の影響

「腰も足も冷えてつらい」「夏場のエアコンで脚が冷える」「冬になると腰痛が悪化する」という声は、臨床の現場で頻繁に耳にします。
一般的には、足の冷えは血流不足の問題として片づけられがちですが、それだけでは説明できないケースが数多く存在します。腰痛と足の冷えが同時に現れる背景には、血流の問題に加えて神経反射による深い関わりが潜んでいるのです。
このコラムでは、腰痛と足の冷えの関係を神経の働きの視点から掘り下げ、改善の道筋をわかりやすく解説します。
■ 血流不足だけではない足の冷え
足先の冷えを訴える方に対し、循環器系の異常が原因として検査されることは少なくありません。動脈硬化や閉塞性動脈硬化症などがあれば、確かに血流は滞り冷えが生じます。しかし、腰痛と足の冷えを同時に訴える多くの方には、検査をしても大きな血管異常が認められない場合が多いのです。
この場合に注目すべきは、自律神経の働きです。血管の拡張や収縮は自律神経によって制御されています。交感神経が過剰に働けば血管は収縮し、末端の血流は減少します。副交感神経がうまく機能していれば血管は開き、温かさが保たれます。腰痛を伴うとき、腰椎周囲の神経が過敏化してこのバランスを乱し、血流は十分にあっても足先の温度が下がってしまうことがあるのです。
■ 腰と足をつなぐ神経のルート
腰椎から出る神経は、足の感覚や運動を支配しているだけでなく、足先の血管を調節する自律神経の枝も含んでいます。腰椎や骨盤周囲で神経が圧迫されたり、動きの異常が生じたりすれば、足先への血管調整が乱れ、冷えを生じやすくなります。
また、腰の関節や筋肉のトラブルが足の冷えを誘発する背景には、神経反射という仕組みがあります。腰部の刺激が脊髄を通じて足の筋肉や血管に影響を及ぼす現象であり、これは「同じ配電盤からつながる複数の部屋のうち、一つの回路に不具合が起きれば他の部屋の照明までちらつく」ようなものです。
腰の異常が神経反射を介して足先の血流や温度感覚に波及するのは、神経生理学的に自然な現象なのです。
■ 冷えが腰痛を悪化させる理由
冷えは単なる不快感にとどまりません。末端温度が低下すると筋肉や関節の柔軟性が損なわれ、動きがぎこちなくなります。この状態で日常動作を繰り返すと腰椎や仙腸関節に負担が集中し、神経の過敏化がさらに進みます。
加えて、血流が滞れば筋肉や靭帯への酸素・栄養供給は不足します。損傷した組織の修復が遅れ、炎症が長引くのです。特に冬季や冷房環境では「冷え→筋肉の硬直→循環障害→修復遅延→腰痛悪化」という悪循環が生じやすくなります。
■ 冷えを伴う腰痛の臨床例
坐骨神経痛や腰部脊柱管狭窄症の患者には、足の冷えを伴う例が多く見られます。これらは神経の圧迫や狭窄が原因で、運動や感覚だけでなく自律神経の機能にも影響が及びます。その結果、足先の温度調整が困難になり、冷感が強まります。
なかには「足が冷たいのに触ると熱く感じる」「冷たいのに痛みとして認識される」といった温度感覚異常を呈することもあります。これは神経の信号処理が乱れているサインであり、単なる循環不全では説明できない現象です。
■ カイロプラクティックの視点──神経機能を整えて腰と足を回復へ導く
腰痛と足の冷えの背後には、自律神経のアンバランスと神経反射が深く関わっています。したがって、血流促進や筋肉の柔軟性改善だけでは根本解決には至りません。必要なのは、神経機能そのものの安定です。
当院で実践しているガンステッド・システムでは、体表温度検査・視診・静的触診・動的触診・レントゲン評価という5つの検査法を用い、神経伝達に乱れが生じている部位を正確に特定します。
こうして得られた情報をもとに、必要最小限のアジャストメントを行い、過敏化した神経を鎮め、働きにくくなった神経回路を呼び覚まします。神経の伝達が回復すると、足先への血管調整もスムーズに働くようになり、冷えと腰痛が同時に改善していきます。
実際、腰椎や骨盤を調整した直後に「足先がぽかぽかしてきた」と訴える患者は多く見られます。これは単なる血流の一時的な改善ではなく、神経反射が正常に働き始めた証拠です。生理学的に見ても、自律神経のバランスが整うことで血管の拡張と収縮が調和し、組織への酸素供給と代謝が安定することが確認されています。
さらに、神経が安定すれば筋肉の緊張と弛緩も適切に切り替わり、腰部の柔軟性と安定性が回復します。この過程を通じて、腰痛と足の冷えは「同時に解決されるべき一つの問題」であることが理解できます。
■ ご相談・ご予約はいつでもどうぞ
「腰も足も冷えてつらい」と悩まれている方へ。
神経の働きを整えるカイロプラクティックケアを通じて、腰と足の機能を回復させ、再発しにくい安定した身体づくりをサポートします。血流の問題だけにとらわれず、神経反射の視点から根本的な改善を目指しましょう。
📍前田カイロプラクティック藤沢院
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執筆者前田 一真
神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。
笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。