2025.09.07

1日500歩でも2万歩でも腰が痛い!?現代人の歩行と腰痛の深い関係

1日500歩でも2万歩でも腰が痛い!?現代人の歩行と腰痛の深い関係

「健康のために歩こう」と言われますが、実際には歩きすぎても、歩かなすぎても腰痛の原因になります。たとえば体重60kgの方は1歩で体重の約1.2倍、約72kg分の負荷を腰や下半身で受け止めています。

 

歩幅を70cmとすると1万歩で約7km、腰は1万回以上の衝撃を処理している計算です。一方、コロナ以降に定着したテレワークで、1日500歩以下という生活も珍しくありません。対照的に、2万歩以上を毎日のノルマにする人もいます。極端な歩行量の偏りは、腰の神経・循環・関節のバランスを崩し、痛みの温床になります。

 

このコラムでは、現代人の歩行習慣(1日500歩〜2万歩)と腰痛の関係について解説します。

 

■ 歩行と腰痛の関連性

歩行は最も自然で基本的な運動ですが、腰にとっては「支え」と「負担」の両面を持ちます。立って一歩を踏み出すだけでも、腰椎・骨盤・股関節・膝・足首が精密に連携し、足裏の触圧や関節の位置情報(固有感覚)が脳へ送り続けられます。適度な歩行はこの循環を保ち、腰を内側から守りますが、量が極端になるとバランスが崩れます。

 

日本人の平均歩数は男性でおよそ7000歩、女性でおよそ6000歩とされます。ところが通勤が消えた在宅勤務では、500〜1000歩に落ち込む人も少なくありません。逆に健康志向の高まりやデバイスの普及で、毎日2万歩(距離にして14km前後)を超えて歩く人もいます。体重60kgの方なら、1万歩の総負荷は概算で数百トン規模に達し、2万歩ではその倍に近づきます。

 

歴史を振り返ると、江戸時代の飛脚は日中に40km前後を走破した記録が残っています。ただし彼らは“歩く”ことに特化して鍛錬された人たちでした。現代人が急にそれに近い負荷を日常化すれば、腰椎や骨盤周囲の組織は疲弊し、神経系の制御が追いつかなくなります。

 

つまり、歩きすぎでも歩かなすぎでも、腰椎・骨盤への力学的ストレスの“偏り”が生まれ、神経が「危険」と判断しやすい環境が整ってしまうのです。

 

■ 歩行が神経と循環に与える影響

歩行は単なる移動ではなく、神経と循環を同時に調律する営みです。一定のリズムで足を運ぶと、足裏と関節の固有感覚が脊髄・脳幹・大脳へ届き、体を安全に動かしているという「安心情報」を中枢に供給します。これが交感神経と副交感神経の切り替えを助け、血流・呼吸・心拍の協調を生みます。

 

しかし歩行量が極端に少ないと、この神経入力が乏しくなり、ふくらはぎの筋ポンプも働かず、下肢〜骨盤帯の血液・リンパ循環が停滞します。酸素や栄養が届きにくい組織は代謝が落ち、神経受容器の閾値が下がって痛みを感じやすくなります。

 

反対に、2万歩のような長距離歩行が連日続くと、交感神経の緊張が持続し、血管は収縮しがちになります。腰部・骨盤周囲の微小循環は不足し、乳酸やサイトカインなどの炎症性シグナルがわずかに増えて痛みを増幅させます。

 

さらに、歩行で本来は微細に揺れながら衝撃を吸収すべき仙腸関節の可動性が低下していると、着地衝撃や体幹のねじれが腰椎へ直輸送され、神経が過敏化しやすくなります。

 

要するに、歩行は神経・循環・関節(特に仙腸関節)の三位一体で機能するときに腰を守り、いずれかが崩れると腰痛のリスクが跳ね上がるのです。

 

■ カイロプラクティックができること:歩行と腰痛への神経学的アプローチ

腰痛を「歩数の多寡」だけで説明しないのが、カイロプラクティックの視点です。

 

問題は、骨盤・仙腸関節・脊柱を介して“正しい順序とタイミング”で感覚情報が中枢へ届いているかどうか、そして自律神経がその入力に見合った循環反応を出せているかどうかにあります。

 

当院で実践しているガンステッド・システムでは、体表温度検査・視診・静的触診・動的触診・レントゲン評価という5つの検査法を用い、神経伝達に乱れが生じている部位を正確に特定します。

 

加えて、神経伝達に乱れを引き起こしているサブラクセーション(根本原因)の有無を全体の連動性から評価し、必要最小限のアジャストメントで情報伝達のノイズを減らすことを目指します。これにより、足裏・足関節・膝・股関節・仙腸関節から脊髄へ上がる固有感覚の“精度”が上がり、歩行リズムの安定性が回復します。

 

神経の過緊張が緩めば交感・副交感の切り替えが整い、骨盤帯の血管調節も適正化します。その結果、腰周囲の微小循環が改善し、炎症性シグナルに傾きにくい環境が整います。仙腸関節の微細な可動性が回復すると、着地の衝撃と体幹の回旋が分散され、腰椎の一点に負荷が集中しにくくなります。

 

歩行は本来、腰痛の要因となるべきものではありません。歩くことそのものを回復のリズムへと転換させ、毎日の歩行を腰の“味方”にしていきましょう。

 

■ ご相談・ご予約はいつでもどうぞ

「歩数が極端に少ない」

「逆に歩きすぎると必ず腰が重くなる」

 

そんなお悩みは、歩く量だけではなく、神経・循環・関節の連動が乱れているサインかもしれません。カイロプラクティックケアで神経伝達を整え、骨盤と脊柱の協調を回復し、歩いても安心な体づくりを進めていきましょう。

 

📍前田カイロプラクティック藤沢院

神奈川県藤沢市鵠沼橘1-17-4 第一興産28号館402

【営業時間】9:00〜12:00/14:00〜18:00

【休診日】月曜日・火曜日午後・金曜日・第3日曜日(前日土曜日は午前のみ)

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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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