【ホットフラッシュでの汗】運動時の汗と更年期の汗とは?

「最近、汗のかき方が変わったかも…」そんな風に感じたことはありませんか?
汗は健康のバロメーターともいえる存在ですが、その原因によって性質や現れ方が大きく異なります。
今回のコラムでは、運動でかく汗と更年期にかく汗の違いについてお伝えしていきます。
運動でかく汗は“体温調整”のための自然な反応
運動によってかく汗は、私たちの体が上がった体温を調節するために出しているものです。
運動中、筋肉を動かすことで体温が上がると、体は汗を出して体温を下げようと働きます。このときの汗は額や脇の下、背中など全身に均等に出やすく、特に体幹部に多くみられます。
また、運動による汗はサラサラしていて蒸発しやすく、においも比較的少ないのが特徴です。これは汗腺で水分とミネラルが分離され、体に必要なミネラルが再吸収される仕組みが関係しています。
運動中や運動が終わった直後に汗が多く出て運動をやめてしばらくすると自然とおさまっていく、というのがこのタイプの汗の特徴です。
つまり、運動による汗は「自然な体の反応」であり、スッキリとした爽快感を伴う、健やかな汗といえます。
なぜ更年期にはこんなにも汗をかくの?
一方、更年期にかく汗は、原因がまったく異なります。
女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが急激に減少することで、自律神経が乱れ、体温調節がうまくできなくなるのです。
このような状況では、特に体温が上がっていないにもかかわらず、突然顔や首、胸まわりなど上半身を中心に汗が噴き出すことがあります。これは、ホットフラッシュと呼ばれる症状の一部で、急なほてりやのぼせとともに発汗が起こるのが特徴です。
また、日中だけでなく、夜間に寝汗として現れることもあり、「汗で何度も目が覚めてしまう」といったお悩みに繋がることもあるのです。
更年期の発汗の背景には、エストロゲンの急激な減少による視床下部の混乱があります。
視床下部は、体温調節やホルモンのバランスを司る、いわば自律神経の司令塔のような存在です。この視床下部は本来、卵巣にエストロゲンを分泌するよう指示を出していますが、更年期になると卵巣の働きが弱まり、視床下部が混乱を起こしてしまうのです。この混乱が自律神経のバランスを崩し、結果として体温調節機能に異常が生じ、必要以上に汗をかくという現象につながっていきます。
エストロゲンは血管の拡張や収縮のコントロールにも深く関わっているため、このバランスが崩れると、血管が急に開いたり閉じたりして体が「暑い」と誤認してしまいます。これがホットフラッシュの原因となり、発汗も引き起こされます。
また、更年期には気分の落ち込みやイライラ、不安感などの精神的な変化も起こりやすくなります。
このようなストレスがさらなる自律神経の乱れを生み出し、汗をかきやすくするという悪循環が起こるのです。
更年期の汗が体に与える負担とは?
汗をかくこと自体はエネルギーを消耗し、体を常に緊張状態に置くため慢性的な疲労感やだるさを感じやすくなります。さらに、寝汗によって睡眠が妨げられると十分な休息が取れず、心身の回復力が低下します。結果として、日中の集中力や気力の低下にもつながっていきます。
また、過剰な発汗は体内の水分とともに、ナトリウムやカリウムなどのミネラルも失われてしまうため、軽度の脱水や電解質バランスの乱れを引き起こすこともあります。これがめまいや筋肉のけいれん、強い倦怠感などの症状につながることもあります。
さらに、外出先や人前で突然汗をかいてしまうことに対する不安や恥ずかしさが、精神的なストレスを増やし、それがさらに自律神経の乱れを悪化させるという悪循環にもつながります。
更年期の症状とカイロプラクティックの関係性
カイロプラクティックでは、背骨や骨盤にかかる神経への圧迫を取り除くことで、私たちが本来持っている自然治癒力を高めることを目的としています。特に、自律神経の働きを整えることで女性ホルモンの分泌が安定し、更年期特有の不調を和らげる手助けとなります。
自律神経には、活動モードの「交感神経」と、リラックスモードの「副交感神経」があり、これらがバランスよく働くことで、動悸や息切れ、不眠などの更年期症状の軽減が期待できます。さらに、神経の流れがスムーズになると筋肉の緊張が緩み、血行が促進されるため、冷えや肩こり、腰痛などの慢性的な症状にも良い影響を与えます。
アジャストメントによって神経の働きが整うと、ホルモン分泌を担う内分泌系の機能も活性化し、女性ホルモンのバランスが保たれやすくなります。その結果、イライラや不安感が和らぎ、気持ちの安定へのサポートにも繋がります。
女性にとって更年期は心身ともに大きな変化の時期ですが、カイロプラクティックを生活のサポートに取り入れながら自分らしく、心地よい日々を過ごしていきましょう。

執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティック治療室で実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。