胸椎ディッシングによる背部痛と腰痛の真実

「肩甲骨の間が突っ張って仕方ない」
「背中が板のように硬く感じる」
「腰の痛みと背中の張りが同時にある」
こうした訴えの背景に隠れているのが「胸椎ディッシング」です。胸椎の後弯カーブが失われ、本来動くはずの部分が動かなくなっているため、背中や腰に負担が集まってしまいます。
ここで注意したいのは「そこが悪いから痛い」という単純な話ではないことです。胸椎ディッシングは補正作用の結果である場合が多く、その本質を正しく理解しなければなりません。
このコラムでは、胸椎ディッシングの仕組みとDISHとの違い、背部痛や腰痛がどう代償作用として現れるのか、そしてカイロプラクティックが果たす役割について解説します。
■ 胸椎ディッシングとは何か/「ディッシュ(DISH)」との違い
胸椎は本来、なだらかな後弯カーブを描き、体幹の柔軟性と安定性を支えています。しかしこのカーブが失われ、真っすぐに近づく状態を「ディッシング」と呼びます。胸椎が動かなくなることで背中の張り感や肩甲骨周囲の突っ張りを訴えるケースが多く、「板のように硬い」という表現がぴったり当てはまる状態です。
ただし「ディッシング」と「ディッシュ(DISH:びまん性特発性骨増殖症)」は混同してはいけません。DISHは椎体前方に骨棘が連続して形成され、X線上で皿を重ねたように見えるため“ディッシュ”と呼ばれます。
加齢や代謝異常と関連し、病気として扱われるものです。一方で、胸椎ディッシングはあくまで「胸椎後弯カーブの消失」という現象であり、骨棘や病的増殖を伴うわけではありません。見た目は似ていても、本質的には全く異なるものであることを理解しておく必要があります。
■ 背部痛や腰痛は「胸椎が動かない」ことの代償作用
胸椎のカーブが消失すると、肩甲骨の間に突っ張りを感じたり、背中全体が板のように硬くなることがあります。しかしその張り感が「そこが悪い証拠」ではありません。むしろ胸椎が動かないことで腰椎が過剰に動き、その負担が背部や腰部に現れているケースが大半です。
さらに多くの場合、問題の根本は骨盤にあります。骨盤に制限が掛かると股関節の可動も乏しくなります。本来「動かす関節」である股関節が働かなくなれば、代わりに「支える関節」である腰椎が動かざるを得ません。
結果として腰椎は過剰に可動し、背中や腰に痛みが現れます。つまり背部痛や腰痛は「胸椎が動かない」という表面的な結果だけでなく、「骨盤の制限 → 股関節の制限 → 腰椎の代償」という連鎖の中で発生しているのです。
■ ガンステッド・カイロプラクティックの役割:“原因”と“補正”を見極める検査力
カイロプラクティックが行うことは、マッサージやストレッチのように筋肉を直接ゆるめることではありません。
カイロプラクティックの目的は神経の働きを回復させることであり、そのために神経伝達を妨げているサブラクセーション(根本原因)を特定し、その一点に必要最小限で精密なアジャストメントを行うことに特化しています。
胸椎ディッシングに伴う背部痛や腰痛に対しても、まずは“原因”を正確に見抜くことが出発点です。
当院で実践しているガンステッド・システムでは、体表温度検査・視診・静的触診・動的触診・レントゲン評価という5つの検査法を用います。
体表温度検査では左右差から神経機能の乱れを可視化し、視診では姿勢など目で見て体の状態を観察します。静的触診で熱感や緊張を確認し、動的触診で胸椎や腰椎の関節の可動域を直接評価します。さらにレントゲン評価で胸椎後弯の消失や骨盤の傾き、腰椎の代償パターンとして背骨全体を土台の方から可視化し、補正か異常かを最終的に見極めます。
ガンステッドでは基本的にアジャストメントはP-A(後方から前方)方向です。しかし胸椎後弯が消失している部位に安易にP-Aを加えれば、不足しているカーブをさらに失わせてしまうリスクがあります。
背部痛を訴えている部位が“原因”ではなく“補正”であることも多く、そこに手を加えれば体に余計な負担を強いるだけです。だからこそ“原因”と“補正”を見抜く検査力が最重要なのです。
サブラクセーション(根本原因)を正しく特定し、適切な部位にアジャストメントを行うことで、胸椎は本来の動きを取り戻します。その結果、腰や骨盤が過剰に動かされる代償が解消され、「胸椎は動く、腰は支える」という本来の分業が復活します。
胸椎ディッシングで板のように硬くなっていた背中は柔軟性を取り戻し、腰痛や背部痛も自然に軽減へと向かうのです。
■ ご予約・ご相談はいつでもどうぞ
「肩甲骨の間が突っ張る」
「背中が板のように硬い」
「背中の張りと腰痛が同時にある」
こうした悩みは胸椎ディッシングによる神経ストレスが隠れているかもしれません。カイロプラクティックケアで神経を整え、背中と腰が本来の役割を取り戻せる体へ導いていきましょう。
📍前田カイロプラクティック藤沢院
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執筆者前田 一真
神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティックに内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。
笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。