炭水化物を抜くと、心と体が不安定に?女性ホルモンと自律神経に与える影響とは⁉

最近、「炭水化物抜きダイエット」や「糖質制限」が注目を集めています。
確かに体重が落ちるスピードは早いかもしれませんが、女性の体にとって“炭水化物を減らしすぎる”ことは、ホルモンバランスや自律神経に大きな影響を与える可能性があるのです。
今回のコラムでは、炭水化物と女性ホルモン、自律神経の密接な関係についてお伝えしていきます。
炭水化物は、体にとって重要なエネルギー源
炭水化物は、体内で最も効率的にエネルギーへと変換される栄養素であり、特に活動量の多い脳や神経系にとっては欠かせない存在です。
脳細胞は、主にブドウ糖(グルコース)を唯一のエネルギー源としており、この供給が滞ると、脳は生命維持のために「飢餓状態」と判断します。
その結果、視床下部を介してストレスホルモン(コルチゾールやアドレナリンなど)の分泌が促され、交感神経が優位になります。これは身体を守るための生理的な反応ですが、慢性的にこの状態が続くと、自律神経のバランスが乱れ、心身に不調を引き起こすリスクが高まります。
さらに女性においては、血糖値の安定がホルモン分泌のリズムに深く関与しています。血糖値が不安定になると、視床下部-下垂体-卵巣系(HPO軸)にも影響が及び、月経周期の乱れ、排卵障害、PMSの悪化など、ホルモンバランスの崩れを招きやすくなります。
また、糖質制限による低血糖状態は、身体だけでなく心理的にも「焦り」「イライラ」「集中力の低下」といった精神的ストレスを引き起こす要因となり、それがさらにホルモンや自律神経の安定を妨げるという悪循環につながります。
適切な炭水化物摂取は、女性の神経系・内分泌系・免疫系の働きを統合的にサポートする基盤であり、エネルギー源としてだけでなく、ホルモンの調和と心の安定においても重要な役割を果たしています。
自律神経のバランスが乱れることで起こる不調
炭水化物の不足により体内のエネルギー供給が不安定になると、自律神経のバランスが崩れやすくなります。特に交感神経が過剰に優位になる状態が続くと、心と体にさまざまな不調が現れてきます。
たとえば、ちょっとしたことでイライラしたり、理由もなく不安感に襲われたりすることがあります。また、夜に寝つきが悪くなったり、睡眠途中で何度も目が覚めてしまうなど、質の良い休息がとれなくなることも珍しくありません。さらに、血行が悪くなって手足が冷えやすくなったり、反動的に甘いものを無性に食べたくなるなど、食欲のコントロールも難しくなります。
これらの症状はいずれも、自律神経のバランスが乱れていることが背景にあります。炭水化物の過度な制限が、エネルギー代謝だけでなく神経系全体の働きに影響を及ぼしているのです。
自律神経の安定こそが、女性の健やかさを守る鍵
女性の体は、月経周期や年齢によるホルモンの変動によって日々繊細に変化しています。この複雑なリズムを安定させ、心身の健康を保つ上で重要なのが「自律神経のバランス」です。
自律神経が安定していると、ホルモン分泌のリズムや内臓の働き、睡眠の質、感情の安定など、多くの機能が調和を保ちます。
この自律神経の働きを支える大きな要素のひとつが、毎日の食事、特に「炭水化物」です。炭水化物は脳と神経の主要なエネルギー源であり、不足すると交感神経が過剰に働き、心身が緊張状態に傾きやすくなります。その結果、血糖値の不安定、ホルモンの乱れ、睡眠障害、イライラ、不安感といった不調が現れやすくなるのです。
カイロプラクティックでは、脊柱や骨盤での神経系、特に自律神経が圧迫・干渉されることで起こる不調に着目します。神経の伝達をスムーズにし交感神経と副交感神経のバランスを整えることで、体が本来持っている自然治癒力を取り戻すことが可能です。
特に女性に多い冷えや便秘、不眠、月経不順、PMSなどは、自律神経とホルモンの連携の乱れが関与していることが多いです。また、アジャストメントと併せて、栄養指導や運動といった生活習慣を見直すことでより持続的な健康改善へと導くことができます。
女性の健康を守るカギは「バランス」です。食事、睡眠、運動、そしてカイロプラクティックによる神経系の調整を通して、ホルモンと自律神経の安定を内側からサポートしましょう。炭水化物は悪者ではなく、そしてあなたの体の声を整えるカイロプラクティックは、その声を聴き取るための大切な手段なのです。

執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティック治療室で実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。