2025.12.14

更年期症状と甲状腺ホルモンの関係性 ― 自律神経を整えるという選択 ―

カテゴリ: 健康通信
更年期症状と甲状腺ホルモンの関係性 ― 自律神経を整えるという選択 ―

更年期に入ってから以前より疲れやすくなったり、理由もなく動悸を感じたり、気持ちが不安定になることあったり、検査を受けても「年齢によるもの」「特に異常はありません」といわれ、はっきりした答えがみつからないまま不安を抱えている女性は少なくありません。

 

更年期の不調というと女性ホルモンの変化が注目されがちですが、実は甲状腺ホルモンや自律神経も深く関係しています。

 

カイロプラクティックでは、症状だけを見るのではなく、ホルモンが正しく働くための神経の状態や体全体のバランスに目を向けていきます。

 

今回のコラムでは、更年期と甲状腺ホルモン、自律神経との関係性についてお伝えしていきます。

■ 更年期に甲状腺ホルモンの影響を受けやすくなる理由

更年期になるとエストロゲンという女性ホルモンの分泌が大きく揺らぎ始めます。エストロゲンは、甲状腺ホルモンが体の中で安定して働くためにも関わっているため、この変化は甲状腺の働きにも影響を及ぼします。

 

甲状腺ホルモンは、体温の調整や代謝、心拍数、エネルギーの産生、さらには気分の安定など、日常生活をスムーズに送るためのリズムを整える重要な役割を担っています。そのため更年期には、暑さや寒さを強く感じやすくなったり、理由もなく心臓がドキドキしたり、疲れているのに眠れなかったり、気持ちが落ち着かないといった症状が現れることがあります。

 

これらは甲状腺の病気とよく似た症状ですが、検査の数値にははっきりとした異常が出ないことも多く見られます。その場合、ホルモンが不足しているというよりも体がホルモンをうまく使えていない状態に陥っている可能性が考えられます。

■ 自律神経がホルモンの“使われ方”を左右している

女性ホルモンや甲状腺ホルモンはそれぞれが単独で働いているわけではなく、自律神経の指令によって細かく調整されています。自律神経は脳と内臓、そして内分泌器官をつなぐ司令塔のような存在で、私たちが意識しなくても24時間休まず働いています。

 

更年期は仕事や家庭の役割、将来への不安などが重なりやすく、心身ともに緊張状態が続きやすい時期です。その結果、交感神経と呼ばれる「頑張る神経」が優位になりやすくなります。交感神経が過剰に働いた状態が続くと、体は常に緊張モードとなり、ホルモンが分泌されていても体がそれを十分に受け取れなくなってしまいます。

 

つまり、更年期の不調はホルモンの量の問題だけではなく自律神経の乱れによってホルモンがうまく作用できない状態が背景にあることも少なくないのです。

■ カイロプラクティックが大切にしている「整える順番」

自律神経が乱れている状態では体は常に無意識の緊張を抱えています。気づかないうちに肩や首に力が入り、呼吸は浅くなり、眠っている間も体が休まらない状態が続きます。このような状態では、脳から内臓や内分泌器官への指令がうまく伝わらず、甲状腺ホルモンや女性ホルモンが分泌されていても体がそれを十分に受け取れなくなってしまいます。

 

特に更年期は、ホルモンの変化に加えて生活環境や心の負担が重なりやすく、自律神経のバランスが崩れやすい時期です。自律神経が乱れたままでは、体は常に「頑張らなければならない状態」に置かれ、回復に必要な休息モードへ切り替わることができません。その結果、疲れが抜けない、不安感が強くなる、動悸や息苦しさを感じやすくなるといった症状が長引いてしまうことがあります。

 

カイロプラクティックでは、背骨や骨盤を通る神経の流れに着目し、自律神経の過剰な緊張を和らげていきます。背骨は脳と体をつなぐ神経の通り道であり、ここに歪みやこわばりがあると神経の働きが乱れやすくなります。神経の流れが整ってくると脳からの指令が正確に伝わりやすくなり、体は少しずつ安心できる状態へと切り替わっていきます。

 

自律神経が安定してくるとまず呼吸が深まり、自然と力が抜ける感覚が出てきます。睡眠の質が向上し、朝の目覚めが楽になる方も少なくありません。また血流や内臓の働きが整いやすくなることで、体の内側から温まりやすくなり、甲状腺ホルモンや女性ホルモンも本来のリズムで作用しやすくなっていきます。

 

カイロプラクティックが目指しているのは、症状を抑え込むことではなく、体が自ら整おうとする力を引き出すことです。自律神経が安定することで、更年期の不調は「我慢し続けるもの」から「少しずつ付き合い方を変えていけるもの」へと変わっていく可能性があります。

 

更年期は、女性の体が次のステージへ進むための大切な移行期です。甲状腺ホルモン、女性ホルモン、自律神経はそれぞれ別々に存在しているようにみえて実は密接につながりながら体を支えています。

 

症状だけに目を向けるのではなく、なぜ今その不調が起きているのかを理解することが、回復への第一歩になります。

 

カイロプラクティックは、更年期をただ我慢する時間ではなく、自分の体と向き合い、整え直す時間へと変えるための選択肢のひとつです。

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中島 恵

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティックで実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。

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